MSSゾイド ハンマーロック

■MSS ハンマーロック データベース■

 発売年月 2013年1月  発売当時価格 2310円

 型式番号 EMZ-26

 スペック 全長5.6m 全高6.7m 全幅5.9m 重量26.8t 最高速度180km/h 乗員1名

 主な武装
  誘導対空ミサイル×4 連装ビーム砲 バルカン砲パック 機銃×2 コックピットは単独で飛行可能

 特徴
  小型、軽量、本格的格戦闘用のタイプ。
  あのアイアンコングの実戦結果、有効性を教訓に開発されたもので、大型獣の補佐を任務としていたが単独でも十分に作戦可能な機体といえる。


2013年に始動したトミーテックMSSシリーズの第一弾で、シールドライガーと同時にリリースされたキットです。
新シリーズの第一弾にまさかのハンマーロック。まさかのシールドライガーとの同時ラインナップ。
発表時は、あまりに予想外のラインナップに驚きました。

メカ生体ゾイドのEMZ-26ハンマーロックを、1/144で再現したモデルです。
動力を廃した可動モデルですが、シールドライガーと同じく、極めてオリジナルに忠実な造形をしています。
しかしやはり、細部にアレンジもあります。


ボックスアートはイラストで、進撃するハンマーロックの様子が描かれています。
手前の機はとても勇ましい反面、奥の二機はなんだかドラミングをしたり鉄棒をしたり、遊んでいる風にも見えます。
可動の良さを示した絵だとは思いますが、少しシュールな気もします。

説明書には、機体設定とバリエーションが載っています。
やはりメカ生体ゾイドシリーズの箱裏に描かれていたもののリファインで、原点復帰ぶりが伺えます。

左はメカ生体ゾイド版箱裏m右がMSS版です。


前後より

オリジナルに極めて忠実に作られており、じっくり見ないと見分けがつかないほど忠実に、ハンマーロックが再現されています。
オリジナルへの忠実度は、シールドライガー以上です。

リアル感を演出する細かいディティールなども、精度の高い金型で気持ちよく再現されています。
その為、極めて小スケールながらも、リアルメカ・ゾイドとして素晴らしい仕上がりを見せています。

MSSシリーズ伝統の、一部タンポ印刷によるマーキングと部分塗装がされています。
タンポ印刷は、ヘルメットに帝国紋章、両肩に型式番号が入っています。シールドライガーに比べると、やや少なめの印象です。
もちろん、自由に貼れるデカールも付属しています。

部分塗装は、パイプや排気口などが、ガンメタルで塗られています。

関節部は特に、部分塗装がメカ的なリアルさを大きく上げており良いと思います。


オリジナルと共に

オリジナルと並べると、親子のように見え微笑ましくもあります。

MSSなのでスケールは当然1/144ですが、それにしては少し大きい気もします。
ハイパワーユニット級か、それより少しだけ小さい程度の大きさになっているように見えます。
これに対しては、単に縮尺ミスと捉えるのも一つと思いますが、あるいはという仮説を思いつきました。

オリジナル版は動力を持つので、それゆえ大きさに成約がありました。非力なゼンマイでは、大きく作ってしまうと動かない為です。
ハンマーロックは、マイクロゼンマイ使用ゾイドの中では、かなり後期に登場したゾイドです。
もしかすると「もう少し大きく作りたいが制約上作れなかった」機体なのかもと思いました。

その点、MSSは動力をオミットした完全な模型なので、自由な大きさで作れます。
当時作りたかった大きさで再現したのかも…と思ってみても、面白いと思います。

デザインでは、ボディはほぼアレンジがなく、完璧と言えるほど同じ形をしています。
色の再現も完璧です。ただ強いて言えば、色は全く同じですが、オリジナル版はプラが厚く、MSS版は薄いので、わずかな質感の差があるようにも思います。

唯一、大きな差があるのは武装です。両肩の砲は、どちらも巨大化しています。
ハンマーロックは格闘戦の強さをアピールした機体だと思うので、ここまで極端に大型化しなくても良かったのでは…とは思います。
これ以上小さくすると強度がもたなくなってしまうゆえの措置かもしれませんが…。

連装ビーム砲は、デザイン的にも二連装であるという事以外は完全に別物になっています。

砲身がかなり太く、また先端に砲口が無い為、少し玩具感が漂っているように思います。
更に、大きくなりすぎた弊害で、腕のハードポイントに装着できなくなったという致命的弱点も生まれています。
せっかくハードポイントをオリジナル版と同じように付けているのに、武器が付けられなくなっているのは残念です。
ボディが素晴らしい出来なだけに気になります。個人的に、このキットで唯一気になる点です。
(補足すると、逆側の肩に付いているバルカン砲パックなら装着可能です)

対し、背中のミサイルはよく出来ています。

こちらは、元のデザインを意識しつつも、スマートに作り直されています。ラック部分が色分けされているのもリアルで良い感じです。
また、ミサイルは一基ずつ着脱が可能です。対空戦闘で数発撃った後の状況…なんていうのも簡単に再現できるので高ポイントです。
その際、細かいパーツなので紛失には特に気をつけたいところです。

フェイス

顔は見分けがつかないほど、オリジナルに忠実な作りです。
特徴的な二重装甲が再現されています。
ヘルメット形状は改めて見ても素晴らしいの一言で、帝国共通コックピットを見事なゴリラ顔に仕立てています。
側面の帝国エンブレムも決まっています。

可動面では大進化しています。画像にもある通り、横を向く事が可能になっています。
これはもうオリジナル版で出来ないのが残念で仕方なかった点で、今回MSSでようやく待望の可動が搭載されたのは、最大級のセールスポイントだと思います。

キャノピーを開く手順は、オリジナルと同じです。

ヘルメットを外し、その後に帝国共通コックピットの上部を開けます。

極めて忠実に作られた頭部ですが、実はヘルメットを開けると、違う点も見えてきます。
帝国共通コックピット部分ですが、側面のディティールが省略されています。

三角形をした、のハードポイントあたりにあったヘコみモールドが省略されています。
また非常に細かい点ですが、下部の機銃モールドも省略されています。
モールドは省略されていますが、設定上は「機銃×2」が搭載武器として残ったままになっています。
ただハンマーロックは通常はヘルメットをかぶっているので、ほとんど気づかないような点だとは思います。
その他はよく再現されており、上部の3つ穴や後部のエンジンノズルも再現されており、ぬかりない作りになっています。


腕の可動

ゴリラ型の可動のキモといえばやはり腕ですが、この部分は特に良く出来ています。
小スケールと思えぬほど、良好に可動します。

ひじは良く動き、表情を大きく付けることができます。
また手のひらはボールジョイントで接続されている為、内側に向かせる事も出来ます。
オリジナル版は固定だったので、待望の可動化です。

また、肩の接続部の出来の良さは特筆ものです。

引き出し式関節になっている為、可動域が想像以上に広域です。
また、引き出し式関節は見た目も素晴らしく、メカ的な見ごたえも十分です。

腕でちょっとした仕草を表現したり、格闘戦の強さをアピールさせたりするのも思いのままです。
強いて難点を言うなら、肩と手首は縦方向の可動に加え横方向にも大きく角度を取れます。しかしひじ部分は縦方向の可動しかせず、少し不満が残ります。
ひじ部分が横方向へ可動しないゆえ、完全なドラミングポーズは取り辛くなっています。惜しいポーズなら簡単に出来ますが…。
それでも、肩部分の可動は本当に素晴らしく、このサイズとしては優秀な出来であるのは確かと思います。

脚も、若干は動きます。また接続がボールジョイントなので、若干ならハの字立ちをさせる事も可能です。
保持力バランス共に良好で、立ち上がらせてそのまま飾ることも可能なのは高ポイントです。


その他部分の可動

ハンマーロックの可動のキモは腕ですが、その他でも可動箇所が幾つかあります。
オリジナルと同じように、胸部のハッチを展開する事が可能です。

展開すると細かくディティールが掘られています。この部分はオリジナル版以上に細かく作られています。

その他、胴体も若干可動します。

腰部分で少し姿勢を変える事が可能で、背を反らした状態から、やや猫背状態にまで動かせます。
微妙な動きですが、躍動感あるポーズを作る際は、かなり重宝します。
贅沢を言えば横方向への可動…、腰のひねりも欲しかったと思いますが、それは出来ません。

首が可動するのは先に書いた通りです。素晴らしい威力を発揮します。


ジオラマベース

キットにはジオラマベースが付属します。
湿地帯(?)のような感じですが、質感がやはりプラスチック然としている感じはあります。
ただハンマーロックはその姿勢の関係で、ベースの上に飾るにはもってこいの形状になっています。
そういった意味では、ハンマーロックだからこそベースが付くのは非常に嬉しくもあります。


小型万能メカ ハンマーロック

総じて見ると、微妙な不満足要素が無いわけではないものの、それを加味してもなお傑作キットと言える完成度だと思います。
ディティールはシャープで、細かい塗り分けで密度感もアップしています。
最初にハンマーロックがラインナップに加わった時は驚きましたが、この完成度を見れば本当に出てくれて良かったと思います。

一方、やはり思ってしまうのは、大型ゴリラ型ゾイド・アイアンコングの事です。
これだけ傑作のゴリラ型小型ゾイドが出たという事は、やはり大型ゴリラ型ゾイドへの期待もいやがおうにも高まります。
ハンマーロックが第一弾に選ばれたのは、ゴリラ型特有の可動を作るテストベット機として選ばれた側面も、あるのではないかと思います。
ハンマーロックの可動や出来は素晴らしいもので、ここから更に発展してアイアンコングが出る事を願ってしまいます。
この出来の良さを維持しつつ、更に大型機の強みを生かし、腕のひじ関節や腰が、横方向への可動を持つような構造に改良されてリリースされる日を心待ちにします。

MSSハンマーロックは傑作であると同時に、そう思わせてくれるキットでした。

Back
index

inserted by FC2 system