MSSゾイド シールドライガー

■MSS シールドライガー データベース■

 発売年月 2013年1月  発売当時価格 3360円

 型式番号 RPZ-03

 スペック 全長21.6m 全高9.0m 重量92.0t 最高速度250km/h 乗員1名

 主な武装
  レーザーサーベル×2 2連装加速ビーム砲 3連衝撃砲 連装ビーム砲 ミサイルポッド×2 エネルギーシールド発生装置 冷却用ラジエーター×6 各種センサー

 特徴
  帝国軍の高速メカ“サーベルタイガー”に苦戦をしいられてきた共和国軍が対サーベルタイガー用として開発した決戦メカ。
  時速250キロの高速を保持するために機体の各所にエンジン冷却用のラジエーターが装備されている。
  また背部の砲を胴体内部に収納して空気抵抗を減らすシステムが採用され、スピードアップに大きな効果をあげている。
  武装もレーザーサーベルをはじめ、体の各部に配備されておりコンパクトながら強力なものになっている等、共和国軍が総力をあげて開発した
  対サーベルタイガー用の切札である。


2013年に始動したトミーテックMSSシリーズの第一弾、シールドライガーです。
メカ生体ゾイドのRPZ-03シールドライガーを、通常の半分の大きさである1/144で再現したモデルです。

動力を廃した可動モデルとなっていますが、コトブキヤHMMと違い、極めてオリジナルに忠実な造形をしています。
とはいえ、全く同じなわけではなく、見比べるとそれなりに違っている事にも気づかされます。


ボックスアートはイラストで、疾走するシールドライガーをあおりで捉えた迫力ある構図になっています。
非常に良い絵だと思いますが、もう少し重厚感のある感じにしてみても面白かったのではないかとも思います。

説明書には、機体設定とバリエーションが載っています。
共にメカ生体ゾイドシリーズのものと同じで(機体設定は一文一句に至るまで同じ)、MSSシリーズの原点復帰ぶりが伺えます。
ただバリエーションに関しては全く同じなわけではなく、オリジナル版からデザインが変更されている為、絵はそれに併せて描き直されています。

左はメカ生体ゾイド、オリジナル版の箱裏に掲載されていたものです。
仕様を引き継ぎながらも、新規に描き直されているのが分かると思います。
こうして見ると、MSSシールドライガーのデザインの違いが分かりやすいかと思います。

正直、最初はデザイン的にはオリジナル版とほぼ同じものだと思っていましたが、こうして見るとかなり違う事に気づきます。
私としては、「オリジナルを尊重した上で、しかし変えるべき所は変えている。ただ受ける印象は絶対にオリジナルと同じようにされている」というのがMSSだと思いました。
とても理想的だと思います。


前後より

上で見比べた通り、実はデザインのアレンジはありますが、こうして見るとホントに差なんてあるのか…?と思えてきます。
アレンジする前提としてオリジナルを知り尽くしているからこそと思います。

各部は非常にシャキっとしており、非常に精度の高い型で作られています。
その為、小スケールモデルでありながら非常にモールドの細かいゾイドが見事に再現されており、その点では文句の付けようのない仕上がりだと思います。

基本的には成型色のみで出来ていますが、一部にはタンポ印刷によるマーキングと部分塗装がされています。
タンポ印刷は、顔に共和国マーク、背中に型番、肩に階級章が入っています。
キットには、この他、自由に貼れるデカールも付属しています。
個人的には、デカールを入れるなら印刷は全て省略しても良かったのでは…?と思ってしまいます。
ただ非常に綺麗に印刷されているし、非常にゾイドらしくカッコ良く貼られているので、これはこれで良いとも思います。

部分塗装は、パイプ類がガンメタルで塗られており、またシリンダーが金銀で塗られています。

部分塗装は極めて精度良く塗られており、また極力ゲート位置に配慮されてもいます。
部分塗装に関しては最初は懐疑的でしたが、なかなか良いアクセントになっていると思ったというのが組んだ後の感想です。


オリジナルと共に

さすがにその小ささがよく分かります。

カラーリングはほぼ完璧にメカ生体版を再現しています。
特に装甲の独特の水色、キャノピーのスモークブラウンの感じは、比べても見分けがつかない程同じになっています。
脚部と胴体フレームの色は、オリジナルの方が若干だけ緑味があるかな…?という風にも見えます。
ただ手持ちのオリジナル版が発売から25年程も経過したもので、色味も若干変化している可能性もあるので(白色パーツとキャップは黄ばみが出ている…)、
正確には比べかねる部分もあります。
ともかく、目を凝らして互を見比べないと絶対に分からない程度ではあり、個人的には色に関してはほぼ完璧。100点をあげてもいい再現度だと思います。


フェイス

顔はオリジナルに忠実な作りです。
もちろん、上下のエネルギーシールド発生装置は手動で展開できます。
HMMやYAMATO版のように横も開くというのはなく、あくまでオリジナルと同じ可動になっています。

極めてオリジナルに忠実ですが、一点、牙のみ大きくデザインが異なります。
上の牙の付き位置が前方へ移行しており、少し出っ歯な感じにも見えます。この点はYAMATO版にも共通するアレンジの方向性です。
実用性を考えれば確かにこの方が良いのでしょうが、個人的にここはオリジナル版の方が好きです。
また牙の曲がり角度も若干変わっており、少し内側に傾斜しながら伸びており、オリジナルに比べ少し生物的な気もします。


キャノピーの鼻先の省略も、変更されている点です。ただこれは省略というより大勢のユーザーの意見を取り入れたという方が正しい表現だと思います。
なおこの処理はMSSではなくシールドライガーブロックスの時点で成されていた点は言及すべきと思います。
キャノピーはオリジナルと同様、がばっと開く事が出来ます。
またコックピットのシート部分が別パーツになっており、灰色をしているのが嬉しいと思います。

その他、下あご下側のキャップが省略されているのも、オリジナルと違う点です。


可動(オリジナルの再現)

MSSは電動を廃した可動モデルという事で、各部可動します。
まずはオリジナル版で動く部分は全て動くかどうかですが、これは完璧に再現されています。
オリジナル版で見事な動きを見せた背中の連装ビーム砲のギミックも完全再現されています。


脇のミサイルポッドも、もちろん差し替えなしで展開可能です。
オリジナル版と違い、それらしいモールドが彫られています。
また、HMM版と違い、「自分の脚を撃ち抜かずに発射できる」ように開くのは非常に良い点だと思います。

尾部ももちろん動きます。
またこの部分はボールジョイントになっているので、上下のほか若干は左右にも動かせるのが大きな改良点です。


可動2

電動を廃止しているので、オリジナルで動く部分以外にも、もちろん各部可動します。
ライガーという事で動きのキモは脚だと思いますが、なかなか良好な動きを見せます。


脚部は引き出し式関節になっており、その気になればこの位まで開きます。
ただ残念なのは、足首の可動粋が狭く、しっかりと接地させにくい点は大きな弱点だと思います。
またシールドライガーのデザインの関係上、脚部に幾つかあるパイプが干渉し、可動域を若干狭めているのも弱点だと思います。


とはいえ、それを差し引いてもなかなか色々なポーズを取らせる事は出来ます。

足首は非常に残念ですが、その他は非常に良好で痒いところに手の届くものになっています。
また胴体が3ブロック構造になっており、上下の角度をつけられるのもポーズの幅を増やしています。


胴体の構造は「大」「小」「中」のブロックで構成されており、ネオブロックスやYAMATOの構造に近い気がします。
オリジナルよりもややスリム化していますが、無理に細くしたというよりは、胸の辺りは力強く太く、腹はしゅっと引き締まっており、あるべきスリム化だと思います。

モールドは極太パイプの密集で構成されていたオリジナル版に対し、かなりオリジナルデザインになっています。
この点は構造上やむない点だと思いますが、再現できる部分は再現されており、可能な限り忠実にデザインされているとは思います。
胴体のデザインではありませんが、胸部の三連衝撃砲の奥にあるべきパイプは省略されています。


胴体は、上下のほか、若干は左右に曲げる事も出来ます。
これはかなり動物的な感じが出せるので、非常に良い点だと思います。


顔もよく動き、低く構えたポーズなどが取りやすくなっています。
また可動させても極端なクリアランスが発生しないのも良いと思います。
ただ顔の可動は弱点もあり、下向きは良いのですが上にはほとんど向きません。向かせるなら胴体ごと上を向かせる必要があります。
また左右への動きはほとんど取れず、そのため表情を付け方がイマイチ制限されてしまっているのは非常に残念なところです。

その他の部分では、腰のウイング部分も可動するようになっています。
これらの可動ですが、サイズを考えればなかなか頑丈に出来ており、ハードに動かしすぎなければそれほどポロリを気にしなくても遊べる点は、
地味ながら非常に嬉しい点だと思います。

総じて、不満もそれなりにあるが十分に可動する良い出来だと思います。
むしろ、最大の弱点はここまで動くのにフライングベース的なものに対応していない点かもしれません。


ジオラマベース

キットにはジオラマベースが付属します。
これは悪いものではありませんが、質感的にはプラスチックな感じがするものだし、岩が上まで作られておらず平らに切り取られており、どうも半端な感じがします。
もう少し小物を置き、更に背景に空の写真でも置けばそれなりの簡易ジオラマとして撮影出来るかもしれませんが…。
ただ個人的に思うのは、これよりもフライングベースの方が嬉しかったなという事です。

ちなみにジオラマベースは連結して増やしてゆく事もできます。
ただ別のジオラマをくっつけても違和感ばりばりで、同じのをつなげば左右対象なベースがどんどん広がってゆくシュールな事になるわけで、どうも中途半端な気もします。
まぁあって悪いものではないし、確かに置いて飾っておく分には「ちょっとだけ嬉しい」ものではあります。


駆け抜ける青い風 シールドライガー

総じて見ると、個人的には大満足のひと品です。
この色が完全再現されている点だけでも大満足ですが、デザインのあるべくしたアレンジや、良好な可動など、非常に高いレベルでまとまっていると思います。

個人的に絶賛している出来ですが、強いて弱点をあげるなら、小スケールゆえに武器系統のデザインに関してだけは、圧倒的にオリジナルに分があると思います。
比べると、どうしても太く丸くなっている部分もあり、ゾイドの部品の中でも特に細かく作られていた武器デザインゆえに、ここは限界を感じてしまいます。
ただここまで再現するならもはやエッジングパーツを要求されるレベルなわけで、可能な範囲内でよく出来てはいます。

オリジナルより改良されている点としては、肉抜きはほとんど目立たなくなっています。
爪の裏面も抜かれていないので、これはポーズを取らせる時に大きな威力を発揮すると思います。
目立つ肉抜きとしては唯一、前脚/後脚の装甲パーツ裏面で、ここだけは大きな肉抜きが目立ちます。

その他で気づく点としては、尾部のモールドが変わっています。
オリジナル版は「・・・」のような穴があいたモールドだったのに対し、ラインが入ったように処理されています。

個人的には、メカ生体時の試作型のシールドライガーが、ちょうどこのようなモールドだった(バトルストーリー2巻エリクソン大佐機参照)為、非常に燃えます。
偶然だとは思いますが。

また脚部のデザインも一部変更されています。

左はオリジナル版。
キャップ位置が、円状のパーツの寄った部分から、中央へ移動しています。
最も、これはMSSの特徴ではなく、アニメ版、HMM版、YAMATO版など、オリジナルを除くほぼ全てのシールドライガーに共通するアレンジです。
なお先発機のサーベルタイガーは元から中央にキャップがあります。
その事から察するにシールドライガー(オリジナル版)が「寄った」位置にキャップを配置していたのは意味のあることだったように思えます。
個人的にも「寄った」位置のキャップが好きで、安易に中央に移動させた事は若干残念です。

また脚部全体で言うと、前脚はやや大型化し、後脚はやや小型化しています。
ふくらはぎの部分で比べると非常に分かりやすいと思います。
肯定的に捉えるなら、前脚の大型化は「高速で飛び掛って強烈な前脚の一撃を浴びせる」事を連想させる、力強いアレンジだと思います。
ただ他方、「高速を実現する要は前脚ではなく後脚である」と思うので、正直、後脚の小型化は違和感を覚えてしまいます。
アニメ全般では脚ではなくブースターで加速する描写が目立ち、また/0では前脚で打撃を打つ描写が非常に印象的だったので、その影響かと思います。
ただ本来ゾイドはブースターは補助でしかなく自分の脚で走ってこそだと思うし、前脚の打撃は重要だがそれを強調しすぎては牙の意図が薄れてしまうとも思うため、
従来通り後脚が大きくあってくれた方が個人的には好みです。

ただそれらは残念ではありますが、それを補って余りある魅力を持ったキットである事も断言できます。

小スケールであり、単品での魅力なら、大型キットであるオリジナル版に圧倒されてしまいそうでもあります。
ただ小スケールゆえに手軽に集めやすい点を活かし、今後どんどんシリーズが増えていってほしいと思います。

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