ゾイド妄想戦記 グリーンホーン<GREEN HORN>

■グリーンホーン(スティラコサウルス型) データベース■

 発売年月 2002年12月  発売当時価格 2500円  動力 モーター

 型式番号 記載なし

 スペック 全長20.8m 全高7.6m 重量94.0t 最高速度130km/h 乗員3名

 主な武装
  クラッシャーホーン 対ゾイド3連装リニアキャノン 80mm地対空2連装ビーム砲 高圧濃硫酸噴射砲 地対地ミサイルポッド AEZ20㎜ビームガン(×2)
  TEZ20mmリニアレーザーガン(×2) 全天候3Dレーダーアンテナ(×4) 複合センサーユニット 赤外線レーザーサーチャー

 特徴
  長引く戦いでゾイドは消耗し、両軍は捕獲した敵ゾイドをも実戦投入していくことになる。
  この共和国グリーンホーンも、識別コードとカラーリング以外、ノーマル機との変更点はない。

 ゾイド妄想戦記『STORY05 濃緑の盾』
  旧中央大陸戦争時代のZAC2046年。デスザウラーにより首都が陥落、共和国軍が各地でゲリラ戦を展開していた頃。
  共和国の2名の特殊工作員が、帝国基地から緑のレッドホーン(グリーンホーン)を奪取、逃亡を企てた。だが、帝国軍は2人を執拗に追跡。
  あろうことか、デスザウラーまで投入してくる。
  このグリーンホーンには帝国最強兵器の存在を脅かす、重大な機密が隠されていたのだ!


前後より

ゾイド妄想戦記第5話「濃緑の盾」の主人公機、グリーンホーンです。
キットはレッドホーンのカラーバリエーションとなっています。色は大胆な変更が加えられていますが、形状の変化は一切無ありません。

ストーリー設定上、メカ生体ゾイドの時代に存在した機体とされています。
しかし武装には、メカ生体ゾイドEPZ-001レッドホーンではなく、機獣新世紀ゾイドEZ-004レッドホーンのものが記載されており、ちょっとチグハグさを感じます。
また、機体解説には「識別コードとカラーリング以外、ノーマル機との変更点はない」とありますが、ストーリー中では「特殊仕様の改造機」な機体とされています。
ここでも混乱は否めません。設定的なものは、もう少し煮詰めが欲しかったと思います。
「妄想戦記」の機体なので、あまり深く考えず「矛盾してでも自由に遊べ」というメッセージなのかもしれませんが…。

妄想戦記シリーズの機体なので、ボックスアートがおなじみ開田裕治先生によるものになっています。

構図は大迫力といった感じで、さすが素晴らしい仕上がりです。大地を歩く足音まで聞こえてきそうです。
機体もさることながら、背景の吸い込まれるような美しい空にも注目です。

機体はほぼキットそのままの形状ですが、口内にディティールが足されているのと、肉抜きが防がれている所(脚部や三連リニアキャノンなど)はアレンジされています。
また、ポーズはキットでは取れない大胆なポーズで描かれています。
ともかく、このシリーズ特有の魅力あるボックスアートです。


レッドホーンと共に

グリーンホーンというだけあって、レッドホーンと並べるとかなり色が違います。
鹵獲されて共和国側の機体となったグリーンホーンですが、確かに帝国機には見えません。しかし共和国っぽいかと言われるとそれもまた微妙ですが。
ただ、緑と茶色の渋いカラーは、いかにも戦車的でなかなか面白いと思います。
欲を言えば、緑色の色合いが抹茶のような薄いものになっています。もう少し濃緑な感じになっていれば更に良かったと思います。

後年の機体と比べるのは反則かもしれませんが、ゾイドジェネシス版カノンフォートのような色であれば嬉しかったです。

この濃い緑色は重量感もあり、いかにも戦車な色だと思います。


ゾイド妄想戦記『STORY05 濃緑の盾』

ゾイド妄想戦記の機体という事で、短編のストーリーがあります。


 時代はZAC2046年。メカ生体ゾイドのデスザウラー最強時代。
 共和国特殊工作員は敵地で愛機を破壊される。共和国領土に帰還する為に敵のレッドホーン(グリーンホーン)を強奪するものの、執拗な追撃に見舞われる。
 アイアンコング、そしてデスザウラーまでも追撃してくる。最新鋭機でもなんでもない、たかがレッドホーンに何故?
 実はこのグリーンホーンには、反荷電粒子シールドの試作機構が搭載されていたのだった…。
 デスザウラーの荷電粒子砲を跳ね返したグリーンホーンは、共和国領土への帰還に成功する。
 この機体は研究所に引き渡され、これがのちのマッドサンダー開発の大きなヒントとなったのであった…。

というような話ですが、個人的にはあまり好きではありません。
マッドサンダー開発の経緯はゾイドバトルストーリー4巻に詳しく、チェスター教授が開発した姿が掲載されています。
出来れば、そのイメージを崩すものは遠慮して欲しかったなと思っています。
ですが、妄想戦記シリーズは公式サイトで行われていたとはいえ、「妄想」とされています。
なので、ここは異を唱えるよりも「そういう想像もあるのか」と捉えるのが良いと思います。

反荷電粒子シールドの他にも、レッドホーンの重量が軽いのはハニカム構造で強度と軽量さを両立しているとか、面白い見解が散りばめられています。
あえて公式とせず、「妄想戦記」という括りの中でこういった事をしたのは面白いと思います。
作中で、ゾイドに詳しい人を指して「ゾイダー」という言葉が使用されているのも要注目です。

ただ惜しいなと思うのは、ストーリーが短編であった事です。
短い尺の中に、「孤立する特殊部隊→敵部隊を発見しレッドホーン(グリーンホーン)を強奪→追撃に出る帝国軍→アイアンコングの追撃を振り切る→デスザウラーの荷電粒子砲を跳ね返す→共和国領土に帰還→エピローグ」という濃い内容が詰まっています。
更に、様々なネタも散りばめられています。
その為、どしても各パートの中身が薄く、かなりの急ぎ足で描かれている印象は否めません。

例えばレッドホーン強奪のくだりは「忍び込んで強奪した」程度にまとめられており、さすがにそれは無茶では…?と思えてきます。
強奪する部分が重要な話じゃないので構わないのかもしれませんが、こういった各部分があまりにも淡白に描かれすぎているので、今ひとつ感情移入度が低くなってしまうのは否定できません。

「機体重量が軽い」事に対する見解があるのは先に書いた通りですが、実際に主人公の乗るレッドホーンは「機体が軽いおかげで強度不十分の橋を走破する事に成功」するシーンがあります。
しかし、グリーンホーンは反荷電粒子シールドの試験機であり、内部的にはノーマル機とかなり相違があると考えるべきだと思います。
重量は必然的に大きく変わってくると思います(しかも、恐らくは重い方に)。

また、主人公の描写も盛り上がりに欠ける風に感じました。
アイアンコングの追撃シーンが最も感情の起伏激しく描かれており、デスザウラーに対峙した時や荷電粒子砲を跳ね返した時などは、むしろ淡白な表現に留まっています。
特に、荷電粒子砲を跳ね返した直後における主人公の普段どおりの落ち着き払った立ち振る舞いはシュールですらあります。
そういった部分も気になります。

このストーリーは色々な要素が詰まっており、面白いなと感じる部分も少なくありませんが、全体的に言うとまだ完成品ではなく原石といった印象を持ちます。
この原石を綺麗に研磨し磨きあげてこそ、より面白い仕上がりになったと思います。しかし詰めが甘いからどうしてもそういった部分に目がいってしまいます。
そういった意味で、たいへん惜しいストーリーだと思いました。

願わくば、「妄想」という括りでありながら超綿密な考察の上に成り立っている「さすが公式運営だ!!」と思えるような妄想であれば良かったと思います。
こだわりすぎている部分はあると思いますが、このストーリーはこういった感想を持ってしまいました。


濃緑の盾 グリーンホーン

設定やストーリー的な部分には不満が無いわけではないですが、純粋なカラバリとしてみると、なかなか他にはない面白い色をしていると思います。
オレンジ色のキャノピーは、今までにない色で重宝するというのもあります。
そういった部分では大いに楽しめる機体です。

不満はあれど、こういった自由な色の機体が出たというのは、ゾイド妄想戦記シリーズならではの事です。
そういった意味ではやはり素晴らしいシリーズだと思うし、不満があるのを逆手に取り、じゃあ自分ならどうするかと考えてみたくなるキットだと思います。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド レッドホーン

 メカ生体ゾイド ダーク・ホーン

 機獣新世紀ゾイド レッドホーン

 ゾイドフューザーズ ダークホーン

 恐竜博 レッドホーン


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