ゾイドガム ディバイソン


ゾイドガム ディバイソン ※基本情報はこちらを参照

スケール:1/150 解説:パワフルな走行で暴れまくる重撃型機械獣。


前後より

ゾイドガム第二弾、3番ラインナップのディバイソンです。
共和国軍が最初に開発した対デスザウラー用ゾイド、パワフルに暴れまわるディバイソンもゾイドガムになりました。
見ての通り素晴らしい造形で、最高にカッコいいミニディバイソンに仕上がっています。

発売年は1989年、暗黒大陸での戦いが本格化した頃です。
暗黒大陸での戦いといえば、ディバイソンが一気に戦力外化していった時期です。
ストーリーにからまなくなった時期に食玩化したのは少しアンバランスな感じがします。しかし、そんな事はどうでもよくなるくらいに魅力あふれたキットになっています。

……実は手持ちのディバイソンは完品ではありません。尾部先端が折れてしまっています、、、。

本来はこの部分もキチンと造形されています。右下の緑のものは本家キットパーツで、実際はこの形が再現されています。
ただ軟質プラで細かすぎるパーツを造形したので、特に破損しやすい場所になっています。
この壊れやすさと引き換えに芸術品とも言うべき造形の細かになっているので、何とも痛し痒しではあります。


側面より

カラーリングは他の第三弾ラインナップと同じく、「黒・青・銀」で構成されています。
色分けはおおむねオリジナルを再現しています。
オリジナルは「黒・緑・灰」だったので、構成は若干異なります。が、青というのは共和国的なカラーです。なので違和感はありません。
ゾイドガム版の色は、これはこれでアリ。このままの無塗装でバトストに登場したとしても、それほど違和感はないでしょう。
色について難があるラインナップもあるゾイドガム。その中にあってディバイソンは非常に良い色になっています。

色分けについて、オリジナルと異なるのは肩と砲等側面(4連装部分の基部)です。
本来はこの部分は黒ですが、ゾイドガム版では青になっています。しかし、これも違和感は少ないです。
むしろこの色が上手くアクセントとして機能しています。エース機っぽいイメージを出しており、これはこれでいいなという感じになっています。
”レッドショルダー”のように、一部分が派手な色で塗ってあるのはエース機の定番です。

軟質プラゆえ塗装のしにくいゾイドガムですが、ディバイソンは安心して買える色をしています。


本家キットと共に

並べると、本当に完璧な造形で小型化しているのが分かります。
造形の忠実さを確認するために、本家キットとゾイドガムの胴体を画像ソフトで同サイズにして並べてみましょう。

まさに完璧です。
200円の食玩にここまでの熱意を注げたのは何故だろう…。思わずそう思ってしまうほどに完璧です。

何もそんな所まで……という細部まで良くできています。

裏面も抜かりなく、本家と全く同じモールドが付いています。動力ボックス部分の左右非対称具合まで再現されているのは笑うしかありません。

造形面で弱点を見つけるのは極めて困難です。ただ超超強いて言うならわずかにあります。

超硬角はわずかに「平べったく」なっている感じがします。
本家キットの超硬角断面は真円に近い比率ですが、ゾイドガムではやや縦に圧縮した感じの楕円になっています。
といってもそこまで違うわけではなく、些細な差です。

その他ではキャップです。

実はこの部分はシールドライガーなどと同じタイプになっており、再現が不完全です。
ただし、ただでさえ小さなゾイドガムのキャップだから米粒の半分位しかありません。なのでそこまで気にはなりません。
むしろ、こんなサイズなのに違いが分かるように造形されているのが脅威です。

比較対象として例を出すと、ビッグポーズ特賞のフィギュアはゾイドガムよりもやや大きなサイズです。が、どのキャップかは判別不能な造形でした。

ビッグポーズ特賞の造形は決して悪いわけではありません。むしろなかなか良い造形です。ゾイドガムが驚異的に細かな造形なのです。

ちなみに、後の弾のガンブラスターやサラマンダーF2はキャップの形まで再現されるようになりました。
ディバイソンの経験を活かして更なるブラッシュアップを図ったと言えるでしょう。

造形は角とキャップにわずかに難もありますが、極めて微細なことです。
見れば見るほど圧倒的な造形で感動します。


スケール

スケールは1/150とされています。
わずかに縮尺が違いますが、後年の「MSS(1/144)」のキットと並べてみても面白いでしょう。

なかなか馴染みます。

MSSと比較した場合、材質が硬質プラである事と色の再現度ではMSSが勝っています。
ただしMSSはデザインに幾らかのアレンジがありました。「本家キットに忠実な造形」という点ではむしろゾイドガムが勝っています。
金型のシャキッと具合はMSSが上ですが、ゾイドガムも十分にシャキッとしており特に不備は感じません。
金型精度については「MSS:特上」「ゾイドガム:上」という位でしょう。

そして値段ではゾイドガムが圧勝です。MSSはシールドライガー3200円に対してゾイドガムはガムが付いて200円。実に16倍もの差があります。
こう見ると改めてゾイドガムの凄さが分かるでしょう。
なお、むろんMSSは「可動」が出来るなど他の部分でのメリットも多くあります。この評はゾイドガムの凄さを示すものであってMSSを批判するものではありません。

MSSには台座が付属します。

これのサイズ感もゾイドガムにちょうど良い感じです。
総じて、MSSとの親和性は抜群です。


可動

動力はありませんが、手動での可動は本家が動く部分は全て同じように動きます。(唯一、スイッチのON/OFF部分は動きませんがこれは当然でしょう)

特筆なのは背中です。ハッチは開き、中のレーダーがきちんと起立します。

凄まじい細かさです。ちなみに、細かすぎるので展開には指よりピンセットか爪楊枝などを使う方が良いでしょう。

頭部は、口が開閉します。コックピットハッチも開きます……が、手持ちのモデルはこの部分が脆くなっているので残念ながら開けた姿を見せる事はできません。


顔の角度は調整可能です。下げると4連バズーカがせり出してくるギミックも本家と同じです。

17門突撃砲、両頬のミサイルポッド、腰部の後部機銃、尾部のパルスビーム砲は本家キットと同じように動きます。

とにかく火力が魅力のゾイドなので、各砲を動かし表情を付けられるのは嬉しい仕様です。
これだけではありません。

武器のハードポイント径は統一されているうえ、(全てではありませんが)本家キットと同じ位置に改造用のハードポイントも付いています。
なので、このように武器の付き位置を変えたりすることも可能です。
ここまでくるともはや狂気です。なにがカバヤをここまで駆り立てたのだろう……。そんなことを思わず感じてしまいますが、とにかく圧倒的な出来です。

脚は、動力がないので自由に動かせます。

八の字立ちは出来ませんが、前後に振れるのである程度のポーズが付けられるのは嬉しい所です。

可動は以上のように良好です。食玩でここまで本家の動きを再現したのはただただ脅威です。
ただし耐久性に難のある軟質プラなので、動かす際は破損しないよう最大限の注意を払う必須はあります。
販売継続中の当時なら、それこそ壊れたら200円握りしめてスーパーか駄菓子屋に行けば良かったのでしょうが……。


バトストでの使用

これだけ完成度が高いにもかかわらず、バトストで遠景モデルとして使用される事はありませんでした。
ゾイドガム第三弾発売以降の学年誌ゾイド記事を全チェックしたものの、ついにその姿は確認できずじまい……。
同じ第三弾でも1,2番ラインナップのマッドサンダーとシールドライガーMK-IIは頻繁に使われています。が、それと対照的なことに3,4番ラインナップのディバイソンとグレートサーベルは一切の登場がありません。

ただし使用されなかった理由は、ゾイドガムに問題があったからではなく暗黒大陸編以降でディバイソンの登場シーンが一気に減ったことが最大でしょう。
この時期のディバイソンは暗黒大陸で戦っているシーンがほとんどありません。状況がこれなのだから、遠景モデルとして使われることも少なくて当然というわけです。

グレートサーベルにも同じ事が言えます。暗黒軍高速部隊はジーク・ドーベル、ガル・タイガーが中心になりました。
旧帝国機ではライジャーは登場しましたが、グレートサーベルはほとんど登場しなくなった……。

マッドサンダーは主力として終盤まで活躍しているし、シールドライガーMK-IIも高速機にしてはパワーと火力のある機体として重宝されていたようです。
よって遠景モデルも多数が使われています。

ディバイソンが活躍しなかったのは何とも無念です。
その理由はこちらのコラム(新世紀のディバイソンの事)で推測しています。
もしも暗黒大陸編で活躍していたならば、きっとゾイドガム版が遠景モデルとして使用される事も多々あったでしょう。


ゾイドガム ディバイソン

何とも魅力的なミニバッファローです。
小サイズの中にパワフルなディバイソンが完全再現されていて、本当に魅力的です。

実は、ディバイソンのミニモデルはとても貴重です。
ビッグポーズ、ゾイドガム、ゾイドラムネ、ゾイドミニプラチョコ、Jr.ゾイド。
ゾイドのミニモデルの種類は多くありますが、ディバイソンはゾイドガム以外にはなっていません。
これは全盛期の大型ゾイドとしてはかなり珍しい事です。
例えばシールドライガーやマッドサンダーは「ゾイドガム、ゾイドラムネ、ゾイドミニプラチョコ」になっています。
ゴジュラスやアイアンコングは「ビッグポーズ、ゾイドガム、ゾイドラムネ、ゾイドミニプラチョコ、Jr.ゾイド」をフルコンプしています。

ディバイソンは決して人気がない訳ではないものの、ちょうどいいライバルが不在なのが大きな原因でしょう。
対デスザウラー用とはいえ、やっぱりデスザウラーにはマッドかウルトラを並べたい。
アイアンコングとは互角ですが、やっぱりコングにはゴジュラスを並べたい。
サーベルタイガー(グレートサーベル)にはシールドライガーがいい。
レッドホーンは古過ぎるしディメトロドンもライバルというわけではない……。

この点において、ディバイソンはなかなか難し位置のゾイドと言えます。
食玩などのラインナップは「ペア」を意識して組まれる事が多く、どうしてもディバイソンは選漏れすることが多かったようです。
まぁ、ただの一つも選ばれていないディメトロドンよりはマシですが……。

……なお強いて言えば「オリプラ」のラインナップには選ばれています。

が、これをミニモデルに数えるかはそれぞれでしょう。
オリプラ版ディバイソンの完成度は「オリプラの中では」という注釈を付ければオリジナル再現度がかなり高いのですが……。

まぁオリプラは置いておくとして、とても貴重な食玩ということは確かです。
そう思うと、ますますゾイドガム版ディバイソンが魅力的に見えてきます。

色も良いし、数あるゾイドガムの中でも特にオススメできる一機になっています。
現在では超プレミアが付いていますが、その価値は十二分にあります。


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