メカ生体ゾイド 周辺アイテム ゾイドガム


ゾイドガムはカバヤ食品から発売された周辺アイテム(食玩)です。全六弾、一弾につき4種類=全24種類のラインナップがありました。
その圧倒的精巧な出来でオーパーツとも称される伝説的食玩です。

-第一弾- ■データベース■ 発売年:1988年11月  発売当時価格:各200円  発売元:カバヤ食品
1:ウルトラザウルス
2:ゾイドゴジュラスMK-II
3:デスザウラー
4:アイアンコングMK-II

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-第二弾- ■データベース■ 発売年:1989年?月(初夏)  発売当時価格:各200円  発売元:カバヤ食品
1:マッドサンダー

2:シールドライガーMK-II

 3:ディバイソン

4:グレートサーベル

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-第三弾- ■データベース■ 発売年:1989年?月  発売当時価格:各200円  発売元:カバヤ食品
1:コマンドウルフ
2:ゴルヘックス
3:ブラックライモス
4:レドラー

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-第四弾- ■データベース■ 発売年:1990年?月(初春)  発売当時価格:各200円  発売元:カバヤ食品
1:ガンブラスター
2:サラマンダーF2
3:デッド・ボーダー
4:ダーク・ホーン

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-第五弾- ■データベース■ 発売年:1990年?月(初夏)  発売当時価格:各200円  発売元:カバヤ食品
1:オルディオスAタイプ
2:オルディオスBタイプ
3:ギル・ベイダーAタイプ
4:ギル・ベイダーBタイプ

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-第六弾- ■データベース■ 発売年:1991年?月  発売当時価格:各200円  発売元:カバヤ食品
1:バトルクーガーAタイプ
2:バトルクーガーBタイプ
3:ガン・ギャラドAタイプ
4:ガン・ギャラドBタイプ


-ビッグワンガムとゾイドガム-

こんにちの世には精巧な食玩があふれています。その歴史はカバヤから始まったと言って良いでしょう。
かつて食玩はあくまで名実ともに「お菓子のオマケ」であり、せいぜいシールやカードが付く程度でした。
そんな時代にカバヤはビッグワンガムという伝説的食玩を発売しました。1978年のことです。
これは「お菓子は板ガム1枚」「オマケは本格的なプラモデル」というものでした。
実質的に言って「お菓子の方がオマケ」という、今までの食玩とは逆の仕様で食玩業界に大きな革新を起こしました。

こちらは第一弾ランナップの戦艦大和(復刻版)。喫水線以下をカットした洋上モデルとして造形されています。

材質が軟質プラという弱点はありましたが、全体的な造形は的確でスケールモデルとして通用する水準です。
主砲、副砲、カタパルトなどが手動で動くギミックもあります。発売当時としては珍しいスナップフィット(接着剤不要)だった点も優れています。
また箱にはのぞき穴が付いており、どのラインナップが入っているかがあらかじめ分かるのも嬉しい所でした。
ビッグワンガムは大ヒットし、いらい高級・精密食玩の時代が幕を開けました。

ビッグワンガムは当時価格100円でしたが、後に「デラックスビッグワンガム」という150~200円の更にハイエンドなバージョンもシリーズに加えました。
これは一色成型が基本だったビッグワンガムに対してマルチカラー化する・造形もより細かく的確にするという仕様で更なる人気を博しました。

ノーマルのビッグワンガムはさすがに2000年以降の食玩と比べるとやや甘い造形ですが、デラックスビッグワンガムは今の目で見ても極めて精巧です。

当時はプラモデルが大人気でしたが、この頃はまだ接着剤必須・塗装必須な時代でした。
価格が安い。スナップフィットで簡単に組める。デラックスなら色もある程度再現されている。
そんな仕様は「プラモの登竜門」的な感覚でも親しまれ、ビッグワンガムシリーズは売れに売れました。

そんなビッグワンガムは、後年「太陽の牙ダグラム」「装甲騎兵ボトムズ」「トランスフォーマー」「ゾイド」などのキャラクターモノにも手を伸ばしました。
これらはデラックスビッグワンガムを更に洗練させたような仕様で、やはり大人気となりました。
「トランスフォーマーガム」は、複雑な変形をこなすトランスフォーマー本家玩具を完璧に再現した仕様で伝説として語られています。
そして「ゾイドガム」も、驚異的な完成度でゾイダーの中で伝説と化しています。

 

ゾイドガム。
定価200円。板ガム1枚付き。この仕様はデラックスビッグワンガムと全く同じです。
どれほど伝説的かはサイズと造形を見れば明らかです。

手のひらサイズに小サイズ化していますが、その中に魅力が詰まっています。
再現度は凄まじく、「カバヤはスモールライトを持っているのか!?」そんな事を思ってしまう位に完璧な形でダウンサイズされています。

正確に言うと、第一弾ラインナップはややアレンジのある造形でした。

第一弾2番ラインナップのゾイドゴジュラスMK-II(※カバヤ食玩各種ではゴジュラスではなくゾイドゴジュラスと表記されている)
むろん極めて精巧な出来ですが、ディティールの省略やバランス改変がそれなりにあります。
しかし第二弾以降は完璧に本家を再現した造形になりました。

説明書を見てもその伝説具合が分かります。

こちらは第二弾2番ラインナップのシールドライガーMK-IIの説明書。
これは食玩です。その凄まじさが伝わるでしょう。前知識なしでこの説明書を見れば本格的なプラモだなぁという感想になるでしょう。
動力こそありませんが、パーツ数は本家のものに極めて近くなっています。
シールドライガーは足に関節の動きがある事が有名と思います。ゾイドガムではそれさえ再現しています。

一方、第三弾1番ラインナップのコマンドウルフの足は一体成型になっています。
ゾイドガム第二弾以降において「本家の金型の設計図を流用している」と言われています。パーツ構成を見ているとその可能性は高そうです。

しかし本当に細かい作りです。「本家の設計図を縮小流用した」といっても、普通はディティールなどの一部を省略するものでしょう。
ゾイドガムではその辺の妥協が一切ありません。

マッドサンダーの尾部砲を、元になったパーツと並べています。
モールドの省略が一切ありません…! ファインモールド級の細かさ・的確さです。金型職人は随分苦労したでしょう。凄まじい出来です。
ちなみにビッグワンガムのモデルは「当初は食玩技師が担当していたが後にプラモデルの本職技師が担当するようになった」そうです。
当時ビッグワンガムは大ヒットしていました。それゆえお金を存分にかけられる状態だったのでしょう。しかし、そうは言ってもこの完成度は驚異的です。


こちらは第五弾3番ラインナップのギル・ベイダーAタイプの説明書。
超巨大ゾイドはさすがにパーツ数が本家よりも少なく、いくらか省略があります。
しかし省略するといっても、「ビームスマッシャーは別パーツにする」のように、そのゾイドの魅力をよく理解した構造になっています。
やはり的確な造りをしています。

ちなみに縮尺は統一されておらず、各機とも「箱に収まる範囲でめいっぱい大きく造形される」ようになっています。
縮尺は各機によってバラバラです。例えばデッド・ボーダーは1/140だしウルトラザウルスは1/300です。
並べた時の統一感はありませんが、各機とも同じ位の大きさをしているのはそれはそれで魅力的です。

 

弱点は材質が軟質プラな事と色分けです。

材質は軟質プラなので三点の難があります。
一つ目は破損しやすいこと。
造形が極めて細かいこともあり、荒っぽく遊ぶと細かな凹凸がすぐに折れます。
発売されている当時なら200円の安価な食玩=買い直せばいいのですが、現在では極めて慎重に扱う事が求められます。

二つ目は接着剤が使えないこと。
軟質プラなのでプラモ用接着剤も瞬間接着剤も使えません。破損した際の修理難度は極めて高いです。

三つ目はプラカラーが使えないこと。
塗ることは一応できますが、軟質ゆえにすぐに剥がれてしまいます。
一応、軟質用の塗料を使えばある程度強固に塗ることも不可能ではありませんが、敷居は高めです。

色分けは、どのラインナップも「3色」で構成されており、本家を完全に再現できていません。
「機種ごと」ではなく「弾ごと」で色が統一されているので、機種によってはかなり違和感のある仕上がりをしているものも……。

第三弾ラインナップは「黒・赤・青」の3色で構成されています。
これで言えばブラックライモスは良いのですが、ゴルヘックスは……。
このように、上手く処理しているものもあれば違和感のあるものもあります。
この点は塗装が困難な点とあわせて最大の弱点になっています。
まぁ、このチープなカラーが食玩らしい感じもするのですが。

ちなみに「機種ごと」ではなく「弾ごと」で色が統一されている理由は、「その弾の機種は全てまとめて同じ金型が作られているから」との噂があります。
これについては真相は不明です。

しかし、弱点を差し引いても驚異的な完成度の食玩という評価は決して覆りません。

 

「メカ生体ゾイド時代の食玩はカバヤ!」という印象が強いと思います。
しかし実はカバヤがゾイドに参入した時期は遅く、中央大陸戦争末期になってからです。
しかも第一弾の発売は1988年11月ですが、これは一部の地域で先行発売されたもの。全国発売された時期でいえば1989年、すなわち暗黒大陸編になってからです。
(全国発売された正確な時期は不明ですが、学年誌(小三)の1989年4月号(3月発売)にはゾイドガム第一弾が「新登場」として紹介されています。

それ以前は食玩やミニアイテムは森永(アタックゾイドなど)やアマダ(ビッグポーズなど)が中心でした。

なぜ後期から末期にかけてのカバヤがこれ程の存在感を出しているか。
それは参入からメカ生体ゾイド展開終了までの短い期間で凄まじい数を出したことが一つ目。
ゾイドガムは二年間で六弾各4種=全24種類を出しています。これは凄いことです。
ゾイドガムは大型ゾイド中心に選ばれました。
ゴジュラス、コング、ウルトラ、デスザウラー、マッド、サラマンダー、ガンブラスター、ギル・ベイダー、etc.。
主要な大型ゾイドのほとんどがゾイドガム化しているのだから、印象が強くなるのも当然です。

二つ目は、やはり圧倒的な造形レベルでしょう。
アタックゾイドは素晴らしい出来だったしビッグポーズも良い出来でした。
しかし憧れの大型ゾイドがたった200円で手に入る。しかもその完成度たるや「スモールライトを使ったのでは?」という位に完璧なのだから、ゾイドガムに圧倒的な印象が集まったのも頷ける話です。

三つ目は、カバヤはゾイドガムだけでなく「ゾイドラムネ」「ゾイドミニプラモチョコ」というやはり精巧なモデルが入った食玩を展開していたことでしょう。
これらも多くの弾を短期間でリリースしました。立体造形をこれほど一気に展開したのだから、カバヤの印象が強くなるのも当然です。

あとは、弾によってはテレビCMも展開していました。
カバヤ側がテレビCMを打つほど気合を入れて挑んだから、当時かなり多くのスーパーが入荷していたし、個人経営の小規模商店にも多くが入荷していました。
これは個人的な思い出ですが、最初にゾイドガムを買ったのは個人経営の商店でした。
おそらくですがアタックゾイドよりも多くの店で扱われていたハズです。売っている場所が多かったことも印象が強くなった要因でしょうか。

 

造形は神がかり的で、現在でもこれを越える食玩は存在しないと言って良いでしょう。まさにオーパーツです。
販売終了後の金型の行方は謎です。海外に流れたとかの噂もありますが(実際に食玩金型の多くは海外に渡ることが多い)、真相は不明です。カバヤのみぞ知るでしょう。

このページでは、手持ちのゾイドガムを紹介していきます。


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