学研 ロボゴロン キャタピラス


80年代に、学研から発売された動力キットです。とても魅力的なキットですが、ゾイダー的にはゾイドと併せて見るとより興味深いキットです。

学研が当時展開していた「ロボゴロン」シリーズの中の一機で、同シリーズの中では最も有名な機体です。動力はモーターで、電池で動きます。
発売時期などは不明ですが、1984年に発売された「SFホビー大カタログ」という書籍を見ると、最新玩具のように紹介されています。
なので、おそらく1984年販売のキットだと思います。
ちなみに、同書ではゴジュラスやレッドホーンが、同じく最新玩具として紹介されています。

先に書いたように、ゾイドと併せて見るととても面白いです。ゾイドと同じく、金属生命体的な設定を持ちます。
 

スペックは、
幼虫時 :直径0.15m 変形時全長0.45m 重量0.07t
成長時 :直径4.27m 変形時全長12.7m 重量23t ※確認された最大個体:直径6.25m 重量38t
走行性能:巡航40km/h 最大70km/h
性質  :極めて攻撃的な正確で、敵を発見するとその巨体で突進し相手を倒す。
     自分より小さいものは何でも踏み潰し破壊する。
     地下で増殖された試作第一号であるため、内部生体は紫外線に弱く日中は球体で行動し、日が沈むと変形して攻撃態勢に入る。
     また地中を走行する事も可能である。

とされています。

生きたメカという設定ですが、ロボゴロンがゾイドに影響を受けたのかは不明です。
ただ、ゾイドに勝るとも劣らない、なかなか面白い動きを持った傑作玩具である事は確かです。


前後より

キットは、完成形で提供されています。ゾイドのように組み立てる必要はありません。
箱を開封した直後は、最初の写真のように球体で入っています。しかし、電池を入れてスイッチを入れると伸縮を開始します。

ギミックは二段階があります。
一段階目は、球体状態でゴロゴロ転がります。球体の中には重心をズラした重りが入っており、不規則に転がるのです。
そしてしばらくすると、二段階目のギミックに移行します。
二段階目は伸縮です。
球体状態から徐々に伸び始めます。

伸びきった後は、再び丸まりゴロゴロ転がります。
これはなかなか驚異的なギミックです。


側面より

動力を持つ事、生物をモチーフとしている事、生きたメカである事。これらはゾイドと共通します。
影響を受けたかどうかは不明ですが。

モチーフといいギミックといい、ゾイダーなら必ずこのゾイドを思い出す事でしょう。

ヴァルガ。回転&前進ギミックを持つ同モチーフのメカ。
見比べると、とても面白いです。


構造・細部

先に書いたように、ロボゴロンシリーズがゾイドの影響を受けているかは不明です。
ですが、受けているとすれば面白いです。
1983年に始まったゾイドが、1984年に発売されたキャタピラスに影響を与えているかもしれない。
そしてもしかして、2008年に発売されたヴァルガはキャタピラスに影響を受けたのかもしれない…。
傑作玩具は、後の玩具に多くの影響を与えます。
「ゾイド」という単位を超え、「玩具」という広い単位で見て、色んな玩具が互いに影響を与え合っていると考えると面白いです。

ギミックは、先に書いたように「丸まって転がる→伸縮」を繰り返すものです。
ヴァルガと似たギミックですが、構造はかなり違います。

各装甲は、テグスで繋がっています。

装甲は、常に開くテンションがかかるようになっています。伸びきった状態です。
モーターのスイッチを入れると、テグスが巻き取られ始めます。それに従い、徐々に丸まり球体化します。
そして巻き取りが終わると、今度は徐々に緩めていきます。これにより再び伸び状態になるという訳です。

その構造は、ヴァルガとはかなり違います。
動力部の位置も、ヴァルガが機体中央にあるのに対しキャタピラスは前寄りです。
完成したギミックは似ていますが、その構造の差に注目し研究すれば、両者ともいっそう魅力的に見えてきます。

ギミックが注目されるキットですが、デザインもなかなか魅力的です。
特に、パネルラインはゾイドにも勝るとも劣らない細かさで、そのメカニカルさは見ていて飽きません。

惜しいと思うのは、動力部の処理です。

やはりメカニカルな感じですが、この部分はシールで済まされています。図案もややチープな感じがします。

また、組み立てにはネジが使用されていますが、これが露出しています。

これは美観を損ねており、欠点だと思います。


イモムシ型未来メカ生物 キャタピラス

欠点もありますが、ギミックは面白く入手してみる価値のあるキットです。
入手難度は決して低くありませんが、ロボゴロンの中では最も見かける事の多いキットです。地道に古玩具屋を巡っていれば出会えるかもしれません。
ただ、動力部の破損については注意が必要です。

残念ながら、現在ロボゴロンシリーズを入手しても、ほとんどの場合故障し動きません。
動力部の造りは細かく、耐久性の低いものです。しかも「転がる」というギミックであるから、その破損率が非常に高いのも納得です。
ゾイドの場合は、耐久性に配慮した造りのものが多いですが、残念ながらロボゴロンシリーズはそこまでの配慮はありません。
(どちらかというと、ロボゴロンの不備というよりゾイドの完成度が高すぎるゆえの文句だと言えます)

では動かないキットを入手し修理すれば良いのかというと、それも難しいです。
動力部の故障というのは、モーターではなくギアの破損である事が多いです。
しかし、ロボゴロンには一般的ではないギアが使用されています。現在では同じものを購入するのはほぼ不可能…。
修理には、似たギアを購入し、各部を削るなどして加工していく必要があります。
求められるレベルはかなり高い事は否定できません。

しかし、それでも万難を超えて動かす価値のあるキットです。ゾイダーにとっては、かなりの感動を呼び起こすキットでしょう。


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