機獣新世紀ゾイド ネオゼネバス帝国軍 ディロフォース<DILOFORCE>

■ディロフォース(ディロフォサウルス型) データベース■

 発売年月 2001年08月  発売当時価格 400円  動力 なし

 型式番号 EZ-050

 スペック 全長11.5m 全高5.7m 重量12.0t 最高速度300km/h 乗員1名

 主な武装 小型荷電粒子砲 ハイパーキラークロー(×2) レーザーソード(×2) テールソード Eシールド

 特徴
  ディロフォースは、鉄竜騎兵団の最前線に布陣する突撃用の超小型高速ゾイドだ。
  小型荷電粒子砲やEシールド、レーザーソードなどを装備し、接近戦にも砲撃戦にも対応できるバランスの取れた機体として設計された。
  尾と足のソードが、ウイングの役割も果たすことで高速走行も可能。得意の集団戦法ならば、大型ゾイドすら葬る力を秘めている。


前後より

ネオゼネバス帝国の新鋭歩兵、ディロフォースです。
SSゾイドとして、マッカーチス、ディマンティスに続く第三弾として登場しました。
初期SSゾイドはマニアックなモチーフを採用していましたが、ディロフォースは恐竜を採用している点において特筆です。

超小型SSゾイドですが、性能は極めて高くなっています。
高機動で駆け巡り、格闘戦を得意とします。更に、あの荷電粒子砲とEシールドまで持っている万能機です。
機体設定としても「集団戦法なら大型ゾイドをも倒せる」とあるので、レブラプター程度の能力は持っているという事でしょうか。
サイズを考えれば、もう少し抑え気味であった方が良かったんじゃないかなぁと思います。

ただ、大きな弱点もあります。SSゾイドは操縦法に特徴のある機体が多いですが、ディロフォースのコックピットもかなりの特徴があります。

背中に、バイクのようにまたがるようになっています。
後に同様の操縦法を持つゾイドは幾つか登場しましたが、ディロフォースこそ、その先駆けです。

従来のコックピットに比べ、いろんな意味で辛いコックピットでしょう。
前面にEシールドがあるとはいえ、側面や後方を守るものはありません。生存率をあまり考慮せず、性能面のみを追及したアンバランスな機体と言えます。
そのアンバランスさを批判する事もできます。
しかし当時のネオゼネバス帝国の事情を考えると、なるほどこのようなアンバランスなスペックになったのも頷ける話でもあります。
総じて言えば、サイズに比して高性能すぎると感じる部分はありますが、ストーリー事情と併せて考えると、これはこれで魅力的です。

ちなみに、このコックピット部は分離させる事が出来ます。

単独でビークルのように飛行する事が出来るとされています。
この際、コアはビークル側と本体のどちら側にあるんだろうというのは少し興味があります。


側面より

側面から見ると、その細身のボディが良く分かります。動力を排したSSゾイドシリーズならではの造形と言えます。
また、コックピットが剥き出しであるからこそ、機体サイズがより分かりやすいです。

この細身のボディを見ていると、稼働時間は極めて短いとも思えます。パイロットの生存率と共に、もう一つの大きな弱点だと思います。
パワーに劣るからか、ディロフォースの格闘武器は腕や牙ではなく外付けのソードとされています。

脚部に大型ソードを持ち、すれ違いざまに敵を切り裂きます。

ブレードライガーの影響を受けた装備でしょうか。小型軽快なゾイドがこのような武器を持つのは、たいへん理に適っています。
ブレードはクリアパーツで成型されており、特有の高級感があるのも良いと思います。
ただ、ソードを外側に展開させる事は出来ず、少し不満が残ります。

尾のソードも、展開はしますが微妙な可動です。

たしかに展開していますが、かなり微妙です。これで敵を切り裂く…というのは不安です。

脚のソードはブレードライガーのように、尾部のソードはレドラーのように展開すれば嬉しかったのですが。


フェイス

頭部デザインは好きです。
目つき等がギル・ベイダーに少し似ている気がします。
マッカーチスはデスザウラーに似た目をしていましたが、このような同軍らしい技術的つながりを感じる処理はとても良いと思います。

頭頂部には特徴的な二対のトサカがありますが、クリアパーツで出来ており高級感があります。
ただ機能的な設定は無く、少し惜しい気もします。見た目から推測すると、レーダーか通信アンテナあたりでしょうか。

口は、鋭い牙がビッシリと並びます。その為、小型ゾイドながらにしてかなりの迫力があります。
しかし、バイトファング的な設定はされておらず、武器として機能するかは不明です。

また、首からは特徴的なエリマキが生えています。これはEシールドとして機能します。
口やエリマキは大きく可動します。

口は、可動時は上あごの方が大きく動くのが特徴です。
また、もう一つの特徴として噛み合わせの良さが挙げられます。閉じた時にピッチリと綺麗にはまるので好きです。
これだけ大きく開き綺麗に閉じるので、何かしら設定があっても良かったんじゃないかなあと改めて思います。

そんな頭部ですが、コックピットにはなっていません。先に紹介したように、背中がコックピットになっています。
ディロフォースのコックピットは背中のみで、全ての操作をその位置から行います。

コックピットが背中で、乗り方がバイク式であるのは先に紹介した通りです。
しかし、パイロットは1名ですが、ディロフォースのキットにはオマケとしてもう一体のフィギュアが付属しています。

土嚢と、ロケットランチャーらしき装備を構える兵士です。
これは、なかなか世界観を良い感じに広げてくれる嬉しいアイテムです。
ディロフォースと絡めるのは難しいですが、他のゾイド…、特にカノントータスなどの砲戦系のどっしりしたゾイドと絡めると抜群に似合いそうです。
安価なキットながら、このような気の利いたオマケが入っているのは嬉しいです。


モチーフ

モチーフはディロフォサウルスですが、ここは少し留意が必要です。
モチーフと比べると、頭部のトサカや細身な所はよく再現されています。
一方、ディロフォースはエリマキが大きな特徴ですが、実はモチーフであるディロフォサウルスにはエリマキありません。
また、体格も5~7m程もある中型恐竜で、超小型ゾイドのモチーフとしては微妙なラインです。

しかし、ディロフォサウルスは、映画「ジュラシック・パーク」に出演した事があります。
劇中ではかなりのアレンジがされており「エリマキの追加」「超小型恐竜化」が行われています。更に、口から毒液を吐く設定にもなっています。
まさにディロフォースのイメージです。
ディロフォースはディロフォサウルス型ですが、厳密には「ジュラシック・パーク版ディロフォサウルス型」と言うべきでしょう。

この事は、ゾイドが「実際の生物」だけでなく、様々なメディアに登場する秀逸なアレンジ(あるいは時代ごとの解釈による姿)を採用する事があるという点において要注目な事例です。


細部デザイン

デザインに関しては、かなり難があると思います。
細身で引き締まったボディやギル・ベイダーを髣髴とさせる頭部など良い部分もありますが、全体的には厳し目の感想です。
全体的にディティールに乏しく、リアルメカをあまり感じません。
それだけなら超小型新世代ゾイドだし構わないとも思いますが、全体的にデザインセンスはあまり良くないと思います。
特に、腕と脚のデザインがかなり厳しいです。

腕は、肘の曲げ角度が90度で生物感に乏しい…、むしろ無機質な感じを強調してしまっているように見えます。
爪も、現状のような横向きより縦向きの方が生物感が出たと思います。
脚は関節位置が謎で、バトルクーガーなどメカ生体ゾイド末期の悪しき例が再び出たと思います。
また、爪のカッコ悪さは特筆です。鋭くもなく、しかも鮮やかな黄色をしているので、ズックを履いているように見えます。
設定上、300km/hもの高速性を持つゾイドなので、この脚部デザインはかなりの難点です。

頭部デザインは、改めて良いと思います。既存機との関連性を思わせつつ、上手く小型相応に簡略化しています。
そのテイストで全体を作って欲しかった所です。


合体機能

ネオゼネバス帝国の主力歩兵ですが、同時にバーサークフューラーの支援機でもあります。
支援というのは高機動小型歩兵の特性を活かしバーサークフューラーをサポートする…のではなく、頭部のみが分離しバーサークフューラーの手で握られ武器として機能するというものです。


かなり凄い状態です。
確かにディロフォースは荷電粒子砲があるしEシールドもあります。
なので、このようにすれば強力な銃&盾として機能するのかもしれませんが……。
しかし、荷電粒子砲やEシールドは、ディロフォース本体がないと使えないのではないだろうか……と思います。
本体(コア)が無ければエネルギー供給が出来ないと思うからです。先端だけあっても、それのみで機能するものではないと思います。

また、バーサークフューラーに合体した後、残りの胴体や上あごはどうなるのだろう…というのも疑問です。
合体後はパイロットはコックピットを分離させ離脱し、残った本体は放棄するのでしょうか。

合体時は生首とも言える状態で、コアからのエネルギー供給がありません。
なので、おそらく荷電粒子砲は撃てるにしても一発が限度で、Eシールドも一回の展開が限界だと思います。
そう考えると、「残った本体を破棄する」事から考えるに、費用対効果としてかなり疑問です。
わざわざ、このような機能を付けた意図はかなり疑問です。

合体機構は、後のBLOXゾイドと共通します。
しかし、BLOXゾイドの合体は、「ブロックスからのエネルギー供給がある」と解釈できる合体をしています。また、余剰パーツもできるだけ低く抑えられています。
ディロフォースの合体は「握られるだけ=バーサークフューラーからエネルギー供給があるとは思えない」事や、余剰パーツがありすぎる事が大きな問題だと思います。

ただ、あるいは、実験だったのかなとも思います。
バーサークフューラーとディロフォースが合体した姿は、戦場ではほとんど確認されません。
両機とも、それぞれ単体で行動している事がほとんどです。
なので、あくまでこの機能は後のBLOXゾイドへの過渡期として実験的に搭載しただけで、実戦で使用する事は考慮されていない。
それゆえに無駄が多いシステムであるのかもしれません。


ギミック

ディロフォースは、動力を排したSSゾイドです。なので、可動は通常期と比べかなり良好です。
可動箇所は、首(二重関節)・エリマキ・腕・脚・脚部ソード・テイルソードです。

側面から見ると、可動の良さが良く分かります。


このように、自由自在です。

胴体角度と首角度を組み合わせる事で、様々なポーズが取れます。

このポーズ付けは、さすがSSゾイドです。
難を言えば、腕や脚が外側を向かない事でしょうか。いわゆる八の字立ちや恐竜らしい内股に出来ないのは残念です。
また、バランスにも難があります。脚が長いせいでもありますが、バランスは良くなく、片足立ちはとても出来ません。
(上の写真は、実は足裏に両面テープを張って無理やり立たせています)

出来れば片足立ちが出来ればポーズ付けや遊びの幅が広がったのになぁと思えるのは惜しい点です。
もし、脚のデザインが凄くカッコ良いならば、まぁ仕方ないかなと諦める事も出来るかもしれません。
しかし、先に書いたように脚デザインにはかなりの難があります。だから余計に、片足立ちが出来ないバランスには不満を感じてしまいます。

ただ、それでもなかなか満足度は高いです。
先に紹介したように、口の開きも良好です。ソードの展開には不満もありますが、全体的にこのサイズでこれだけの可動があるのだから良いかなと思います。


戦歴

戦歴は、あまり目立ったものは確認されません。
数々の戦場にバーサークフューラーやディマンティスと共に登場していますが、あまり数は写っていません。

せいぜい単機がひっそりと写されている程度です。

設定から、レブラプターのように超超多数が投入されていそうなイメージがありましたが、そこまでの数が生産されたわけではないようです。
また、バーサークフューラーと合体している姿もほとんど確認できないのは先に書いた通りです。
目立った戦果も残しておらず、全体的に極めて地味な印象です。

改めて考えるに、やはり歩兵的な能力を持つゾイドではありますが、それ以上に「実験機」としての側面の強いゾイドだと思います。
このクラスとしては破格の豪華装備(荷電粒子砲やEシールド)を持つ点、合体機構を持つ点、合体時には無駄が多いが後のBLOXゾイドと併せて考えると技術的つながりを感じる点などです。
ディロフォースのアンバランスな能力や地味な戦歴は、全て実験機として考えると納得が出来ると思います。

おそらく、戦場で大量投入され主力として戦うよりも、実戦を経験しそのデータを蓄積し後に繋げる事が主目的だったのだと思います。


俊足 ディロフォース

初見では、正直あまりカッコ良くないなぁという印象でした。
武装も、荷電粒子砲やEシールドやソードなど豪華絢爛で、欲張りすぎじゃないかなぁとあまり好きになれませんでした。
バーサークフューラーとの合体にも違和感が大きく、長い間私の中でかなり低い評価を下されていたゾイドです。
しかし、考えた末に「後のBLOXゾイドと深い関係を持つ実験機である」と思いついてからは、なるほどと納得し評価を上げる事が出来ました。
BLOXゾイドが後に極めて重要な一群になるのは周知の通りです。

とはいえ、やっぱりあまりカッコ良くないなぁという所も正直な感想です。
戦史的に読み解くと解釈できる…とはいえ、脚部をはじめもう少し煮詰めて欲しかったなぁと思う部分は多いです。
面白いゾイドではあると思いますが、やはり総合的に言うと高評価はし辛いなぁと思ってしまうゾイドです。


バリエーションモデル

なし


Back
index

inserted by FC2 system