メカ生体ゾイド ゼネバス帝国軍 装甲機甲型 グレートサーベル<GREAT SABRE>

■グレートサーベル(トラ型) データベース■

 発売年月 1988年6月  発売当時価格 2500円  動力 モーター(サーベルタイガー系)

 型式番号 EPZ-03

 スペック 全長15.8m 全高11.5m 全幅5.7m 重量90.0t 最高速度240km/h 乗員1名

 主な武装
  八連ミサイルポッド、レーザーサーベル、三連衝撃砲、高速キャノン砲(×2)、高圧濃硫酸噴射砲、大型赤外線レーザーサーチライト、全天候3Dレーダー

 特徴
  帝国軍トラ型をプロトタイプとし、機動力アップをはかるため高機動飛行ウイングを装備し攻撃力をも高めている。
  プロトタイプにくらべ性能・攻撃力とも20%のアップがはかられている。


前後より

サーベルタイガーを全面的に強化した仕様、グレートサーベルです。
サーベルタイガーの色変え+追加パーツで構成されています。(ノーマルタイプのレビューはこちら)

史上初の大型高速ゾイド、サーベルタイガーは、出現以来その速度と運動性でまさに無敵の活躍をみせました。
しかしさすがに登場から年数が経ち、また共和国軍がコピー改良機「シールドライガー」を開発したことで劣勢になります。
そこでシールドライガーから最強高速ゾイドの座を取り戻すべく、徹底的な強化改造が行われます。これによって誕生したのがグレートサーベルです。

追加された大型装備、そしてカラー改変が特徴的です。
スペックはかなり向上しており、特に速度はノーマル200km/hから240km/hになりました。
攻撃力も八連ミサイルポッドが付いており倍加しています。


ノーマルタイプと共に

ノーマルタイプと比べると、カラーと装備が大きく変わっています。
印象は大きく異なりますが、どちらもカッコ良くて魅力的です。

ノーマルタイプは、やはり基本という感じがします。
帝国大型ゾイド標準カラーである赤い装甲。そして武装は最小限。高速性を重視し、コンパクトにまとめてあります。

サーベルタイガーは史上初の大型高速ゾイドという非常に華のあるヒーローゾイドです。
ただ、同時にかなり渋いゾイドでもあると思います。
高速ゾイドは後に多く発売されましたが、それらは「華やかなヒーローゾイド」の面をより多く追及するようになります。

サーベルタイガーは燃えるような赤い装甲を持ちます。
これは秘めた闘志を示しているように見えます……が、それは同時にゼネバスレッドという多少くすんだ落ち着いた色です。鮮やかではありません。
武装も「不足はないが必要最低限」といいた具合で、後の高速ゾイドのような一撃必殺外付け武器はありません。
あくまで自身の牙と爪が最大の武器で、火力は最低限に抑えられています。
ブースター等の装備はなく、あくまで自身の脚だけで走ります。
速度は200km/hと当時のゾイドの大型中ではトップですが、アイアンコングが150km/hだった事を思えば現実的な範囲内とも思います。

「後の機と比べれば」ではありますが、サーベルタイガーはヒーロー性と泥臭い渋さが混在した独特の高速ゾイドだと思います。
対してグレートサーベルは、とにかくヒーロー性を強調しています。
装甲は真っ黒。そして原色の赤。シャープでスピード感を感じさせる黒と鮮やかな赤がぶつかり、なんとも鮮烈なカラーになっています。
設定的にもこのカラーは「帝国最強カラー」であり、非常に華があります。

目の色が赤になったのも見逃せません。

ノーマルタイプは茶色で非常に地味でした。
電飾がないので少々目立ちにくいのは難点ですが、それでも真っ赤な目はノーマルタイプよりも非常に鋭くなった印象です。

装備も、分かりやすい大火力やウイングが付きました。攻撃力と機動力がある機体というイメージを強調しています。
全体的に強化された事がひと目でわかります。ヒーロー性が多く向上した仕様になりました。

しかし方向性は違えど、どちらも魅力的です。

思うに、サーベルタイガーのデザインは過剰な造り込みがなく適度にシンプルです。それでいて完成度は極めて高い。
それゆえ、新たな方向性への発展を秘めていたのだと思います。

泥臭い渋い面を残したサーベルタイガー。色や装備の変化でスピーディでヒロイックになったグレートサーベル。
改めて、どちらも魅力的です。


追加武装

追加武装は非常に多くあります。
ライバルのシールドライガーMK-IIと比べると、その豪華さはかなり上を行きます。
まさに名の通り、グレートな装備と言えます。

まずは、攻撃力を大幅に向上させた装備「8連ミサイルポッド」です。

この装備の非常に面白い所は、シールドライガーを徹底して意識している事です。

展開/収納が可能になっています。
攻撃時はポップアップしますが、高速走行時は後方に畳む事ができます。言うまでもなく空力特性への配慮です。
空力特性の為に収納するというのは、元々はシールドライガーが備えていた機能です。

シールドライガーは鹵獲したサーベルタイガーをコピー改良したゾイドというのは有名でしょう。
帝国軍にしてみれば「俺たちのサーベルを奪いやがって……」という気持ちだった筈です。
ただし展開/収納機能はシールドライガー独自です。この機能をはじめ、共和国独自の技術も幾つか搭載されています。
その結果として、シールドライガーはサーベルタイガーを超える能力になりました。

グレートサーベルは、シールドライガーから展開/収納機能を奪っています。
これは、開発経緯を追っていくと何ともニヤリできるものでしょう。

次に、「ミサイル」という所もシールドライガーを意識しています。
シールドライガーがサーベルタイガーを下した理由の一つが「エネルギーシールド」の装備です。
これはビーム砲を跳ね返してしまう強力な防御用装備で、ビーム砲主体の帝国ゾイドにとって非常に厄介な装備になりました。もちろんサーベルタイガーにとってもです。

しかしエネルギーシールドにも弱点はあります。それはビーム砲以外には効果が薄いという事です。
さてミサイルは実弾砲なので重量がかさみます。高速ゾイドとはあまり相性が良くない装備と言えます。
しかし対シールドライガー戦を意識したグレートサーベルだから、その選択は必須だったのでしょう。

展開/収納の機構。ミサイルという選択。いずれもシールドライガーが意識されており、非常に面白い装備です。

ただ一つ、キットには弱点があります。それは、裏から見るとあまりにも大きな肉抜きがある事です。

これはちょっと興ざめです。せっかくカッコいい装備なのに……。
ただフォローすると、通常時においてはそれほど見えない場所ではあります。後ろから見ても、ウイングなどの装備があるのでそれほど過度には目立ちません。
また、フラットなのでプラ板等でフタをする改造も比較的容易ではあります。

 

八連ミサイルの次に目立つのは高機動飛行ウイングです。

美しい形をしています。後退角の付き方、直線と曲線が絶妙に合わさったライン、航空機を思わせるディティール。
非常にシャープで見事なデザインだと思います。

ウイングは可動します。垂直からV字、水平まで自在です。

大型ウイングがこうも自在に動く。この事が、ノーマルタイプよりも格段に向上した速度や運動性に圧倒的な説得力を与えています。

ウイングはまた、尾部にも付いています。

大型ウイングが背中に、小型ウイングが尾部にあります。
この配置は航空機の主翼と尾翼のようです。「なんだか飛行機の翼のようだ」というイメージは、グレートサーベルの速さのイメージにもつながっています。

……冷静に考えれば、ウイングで運動性はともかく最高速度が上がる事はないでしょう。
グレートサーベルは推進力を高める「ブースター」は増設していません。それでいて八連ミサイルポッドをはじめ大幅な装備増で重量が大きく増しています。
普通に考えて速度は低下する筈です。ウイングを付けた所でカバーできず筈はありません。
しかし実際は、ノーマルタイプから40km/hも速度は向上しています。
おかしなことです。

これは、理屈として言えば正しいでしょう。
ですが、見た目の印象は確かに速くなったようになっています。
ウイングは、細かい事を考えるより先に「直感」で「絶対に速くなってる!」と思わせてしまいます。そんなデザインです。

「ウイングが付いたから速いんだ」という、実際にはありえない理屈。
しかし、子供の頃は見事にだまされていました。「こんなカッコいいウイングがあるんだからそりゃあ速くなっているに違いない!」と思っていました。

このような“だまし”はとても重要なデザインテクニックだと思います。これは時に理屈以上の説得力を与えます。
グレートサーベルのデザインは「理屈を超越する説得力」を持った傑作デザインです。
だからこれで良いと思います。

なお理屈について補足すると、グレートサーベルはノーマルタイプから作中で11年も経ってから登場した強化仕様です。
したがって本体側にも相当の調整が入り、それゆえ速度が大幅に向上したのでしょう。そしてウイングは安定性や運動性を高めていると思います。

色々と書きましたが、一言で言うと蹴作です。

 

その他には、比較的大型のエネルギータンクも備えています。

攻・走だけでなく、稼働時間まで考えられているのは凄いです。エネルギータンクから太いパイプが出ているのも見逃せません。
このパイプの曲がり方も非常に美しいと思います。
キットではこれは金属スプリングになっており、程良いアクセントになっています。

代表的な装備は以上です。
改めて、その圧倒的な魅力に驚きます。


ノーマル状態

追加パーツを付けずに組む事もできます。この場合は、サーベルタイガーの色変えとなります。
ただ、シールドライガーMK-IIは[機動力低下と引き換えに砲撃力をUPさせた]というアンバランスな仕様です。すなわち場合によってはノーマルが勝る時もあります。
対してグレートサーベルは攻・走を同時に強化。しかもエネルギータンクの増設で稼働時間の低下もありません。
メリットのみでデメリットがない仕様です。

まぁ、強いて言えばコストはかかるだろうし操縦難度も幾らか増したと思います。それでも、この素晴らしい強化を前には些細な問題でしょう。
従って、完成後はほぼ全ての機が装備増設をして戦場に赴いたと思います。
グレートサーベル就役後にノーマル仕様で運用された機。これは居ないか、居たとしても少数だったと思います。

ノーマル仕様とグレートサーベルはどちらも魅力的ですが、このカラーで並べると ノーマル仕様は少し物足りなく感じます。

もちろんカッコいいことは確かです……が、色がやはり漆黒と真っ赤。この対比があまりにも鮮烈でヒロイックです。
それに対して武装がシンプル過ぎる気はします。
このヒロイックなカラーには、少し盛りすぎなくらいの豪華仕様が似合う。
そんなわけで、このカラーには改めてグレートな装備が似合うと思います。


ギミック

ギミックはサーベルタイガーから進化しています。
電動ギミックは同じですが、手動ギミックは大きく向上しています。

既に書きましたが、八連ミサイルポッドは展開/収納が可能です。高機動飛行ウイングも大きく動きます。
エネルギータンクも角度を付ける事ができます。

増設された装備がいずれも動くので、遊び甲斐も大きく向上しています。
ギミック面でも非常に優れたゾイドと言えるでしょう。


戦歴

戦歴は極めて華やかです。
普通、「強化改造ゾイド」は完全新規のゾイドに比べると扱いは微妙になりがちです。
ですがグレートサーベルは、完全新規のゾイドと同じかそれ以上の大活躍をしています。

学年誌、小学二年生では「帝国軍が謎の新型ゾイドを開発しているらしい……。共和国24部隊はその調査をした」という下準備を経て登場しました。
改造ゾイドなのに入念な前振りをしてから登場したのは驚きです。
そして登場するや、シールドライガーを圧倒し鮮やかなリベンジをします。

これは”サーベル派”のファンにとっては何とも打ち震えるシーンだと思います。

他の学年でも、やはりシールドライガーを倒して最強高速ゾイドの座を取り戻した姿をアピールしています。

特に、このゾイドバトルストーリー4巻にも収録されたシーンは有名でしょう。満月をバックにした姿はカッコ良すぎます。

シールドライガーだけでなく、サラマンダーやゴジュラスMK-IIやディバイソンなどにも快勝して強さをアピールしています。

改造ゾイドでここまで活躍が続いたのはなかなか珍しいです。やはり、トミーとしても自信があった改造ゾイドなのだと思います。
戦況が次第に帝国不利になっても、グレートサーベルは強いゾイドであり続けました。

不覚を取った例としては、シールドライガーMK-IIに不意打ちを受けて負けたシーンがあります。
ただ同クラス又はやや上位のゾイドを相手に負けたのはこれ位です。
他に負けたシーンとしては「ウルトラザウルスの砲撃」「マッドサンダーの角」「キングゴジュラスの格闘」とかがあります。
ただこれらは「仕方がない……」と思える圧倒的上位機相手のものばかりです。

シールドライガーMK-IIについて言うと、上に書いた通りグレートサーベルを不意打ちで倒したシーンはあります。
しかし活躍したのはそれ位で、以降は定番のやられ役と化します。
暗黒軍が参戦した後は更に悲惨で、デッド・ボーダー、ジーク・ドーベル、ガル・タイガー、ギル・ベイダー。ほとんどの暗黒ゾイドに蹴散らされています。
ゴジュラスMK-II(量)といい、共和国の強化タイプは悲惨な描写になるのが定番です。

一方グレートサーベルは、キングゴジュラスにはやられたものの、他の共和国ゾイドにはやられていません。
シールドライガーMK-IIと対照的に、ハウンドソルジャーやキングライガーにも倒されたシーンもありません。
まぁ、この時期に出番が少なくなっていた事情でもあるんですが……。

それでも、最後まで「強いゾイド」というイメージで通したと思います。戦歴はノーマルタイプにも並ぶ非常に華やかで見事なものになっています。
戦歴からも、改めてその傑作性が分かります。


密林の黒いイナズマ グレートサーベル

アイアンコングMK-IIもですが、帝国軍は本当に強化タイプを作るのが上手いなあと思います。
これだけ装備を増設したにもかかわらず、スピード感はむしろ増している。攻撃力はもちろん圧倒的に向上している。
改めてすごい強化改造仕様だと思います。
改造ゾイドとしては珍しく、戦歴にも華があります。そんな所も凄いです。

グレートサーベルは、極めて「攻め」の姿勢で増設パーツが設計されていると思います。
その攻めの姿勢と確かなデザイン能力。それがこの傑作を生んだと思います。

このような傑作強化仕様が今後も誕生する事を願ってやみません。


バリエーションモデル

 メカ生体ゾイド サーベルタイガー

 機獣新世紀ゾイド セイバータイガー

 セイバータイガーホロテック

 セイバータイガー スペシャルカラーバージョンゴールド


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