メカ生体ゾイド ゼネバス帝国軍 グランドモーラー
■グランドモーラー(モグラ型) データベース■
発売年月 1987年7月 発売当時価格 100円 動力 なし
型式番号 EMZ-16
スペック 全長4.6m 全高1.4m 重量6.8t 最高速度90km/h 地中最高速度40km/h 乗員数1名 ※てれびくんより
主な武装
パワーアーム(×2) スピンドリル ※てれびくんより
特徴
大きなパワーアームとドリルで地中を掘り進む。土の中での戦いが得意だ。 ※てれびくんより
前後より
帝国軍の特殊ゾイド、グランドモーラーです。
モグラ型という所から分かるように、主に地中での行動を得意とするマニアックな機体です。
両軍を通じてアタックゾイドの最終号機ですが、最終号機がこのようなマニアックな機体なのは嬉しいことです。
アタックゾイドは、最後まで「このクラスだからこそ出来る」マニアックなモチーフを積極採用し続けました。
小ゾイドでありながら、ゾイドワールドを飛躍的に広めてくれた名シリーズだと改めて思います。
アタックゾイドなので、もちろん極小サイズです。パイロットが登場すると、よりそのスケール感が分かります。
だいたい、ブルドーザーと同じかやや大きいくらいの大きさです。
側面より
側面から見ると、ずんぐりしたボディがまさにモグラです。
ディティールも最小限ながら過不足無く、なかなか秀逸な仕上がりをしています。特に、後脚上の排気口(?は良いアクセントになっています。
ただ腹側はもう少し何か欲しかったなと思います。
ボディの感じはモグラらしく素晴らしい出来ですが、唯一、難点は最後部かなと思います。先端のでっぱりが、ケチャップ容器のように見えてしまいます。
モグラの尾を再現しようとしたものと思いますが、もう一考欲しかった所です。
前腕が巨大で、本物のモグラと比べるとやや誇張されているかなと思います。また、本来モグラの腕は前でなく横に広がっているのも相違です。
しかし、巨大で前を向いているからこそ、より「掘る」ことを強く連想させます。
メカとして「アリ」なアレンジだと思います。
「再現」でも「誇張」でもなく完全に別の機能が与えられているのは、目と鼻です。
実際のモグラは目がほとんど退化しています。変わりに鼻は素晴らしく進化しており、わずかな匂いを感知しそれを立体的に処理してしまいます。
しかしグランドモーラーは大型の目を備えており、鼻部分はドリルになっています。
この形状は、特撮映画の名作「地球防衛軍」に登場するモゲラに酷似します。
ゴジュラスはじめ、特撮映画の影響が感じられるゾイドです。グランドモーラーも、そんな中の一機だと思います。
モゲラは目の部分にプラズマ状の殺人光線を出す機能が与えられていますが、グランドモーラーの機能は不明です。
まぁ、まさか光線は出さないと思います。おそらくサーチライトではないかと思います。
鼻をドリルにしている事と言えば、もう一つ、アンパンマンに出てくるもぐりんにもよく似ています。
目が大きいのも似ています。まぁ、もぐりんの影響は無いと思いますが。
ただ、これらの要素を、モグラ型メカを作る際の共通イメージとして考えるととても面白いです。
地中対応型
モグラ型ゾイドであり、当然穴を掘れます。
先に書いたように、鼻はドリルになっています。おそらく、ドリルで硬い岩を砕き巨大な手でかきわけ進むのでしょう。
後のブラックライモスやマッドサンダーと違い、ドリルの形状は螺旋状の刃の付いたスタンダードなものです。
凝ったデザインもいいですが、アタックゾイドの場合はこのような簡易な感じも似合っています。
ドリルは手動で回す事ができます。
この辺のツボを押さえているのはさすがです。
ところで、グランドモーラーで疑問なのは「地中行動できる」という部分です。
「大きなパワーアームとドリルで地中を掘り進む。土の中での戦いが得意」という設定があります。
土の中での戦い…というのは相手が不在です。強いて言えば共和国側で穴を掘れるのはベアファイターやマッドサンダーあたりですが、さすがに相手にならないでしょう。
これは、地中ケーブルへの攻撃など破壊工作と解釈したいとことです。
しかし疑問というのは、地中で行動できるのか?という所です。
まぁ、そりゃあモグラ型だから可能だと思いますが、問題はコックピットです。
コックピットはむき出しです。土をかぶってしまいます。これはもうサラマンダーの背中どころではないヤバい席に思えてしまいます。
「掘りながら常に前進する」ものではなく、「少しずつ土をかき分け後方にかき出し、そしてまた少し前進する…」という地味なものなのかもしれません。
ただ、注目すべきは設定です。設定上、地中を最高で40km/hもの速さで進めるとあります。これはとんでもないスペックです。
さすがに、これは硬い岩ではなく柔らかい土である前提のスピードだとは思いますが、それにしてもとんでもないスペックです。
やはり、「少しずつ土をかき分け後方にかき出し、そしてまた少し前進する」のではなく、常に「超高速で掘りながら常に前進する」ようにも思えます。
しかし、それではパイロットが無事で済まなさそうです…。
思うに、
・地中40km/hというのは、無人で自動操縦…、グランドモーラー自身で進ませた際の速度である。パイロットを考慮しなくても良いのでフルに掘り進める。
・柔らかい土(それこそ畑の耕した土レベル)であれば理論上は40km/hを発揮できるが、固い土あるいは岩などに当たれば当然速度はガタ落ちとなる。
・いったん無人状態で土を掘り進ませた上で、次にパイロットが乗り込み更に土をかき分けながら安全に進む。
といったプロセスを想像します。
可動
動力は搭載していないものの、手動である程度可動します。可動はかなりツボを押さえた造りになっており優秀です。
可動部は、ドリルと前後脚です。
ドリルの回転は先に書いた通りです。静止画像ではその効果が分かりにくいですが、実際に回すと螺旋刃の回転を確かに体感でき、その効果は絶大です。
そして前腕部の可動は最高です。
付け根で360度回転します。また関節が設けられており、真ん中で折り曲げる事ができます。
真っ直ぐ~90度くらいの角度で広く動く為、掘り進めているシーンを容易に再現できます。
可動ではありませんが、前腕のデザインはアイアンコングに酷似します。
付け根が円柱状のパーツになっているのが共通しているし(ただしコングは装甲で覆われているので少し分かりにくいですが)、またコブシ部分のデザインの共通性は一目で分かるものです。
極小サイズのアタックゾイドですが、その中で出来る限り「技術的共通性」が感じられるものになっており、見事な仕上がりです。
この極上デザインの腕がこれだけ良好に可動する。最高です。
後脚は、付け根で可動するのみです。
前腕に比べると可動は寂しいし、デザインもちょっと簡易な感じがします。
しかし、グランドモーラーの主役は何といっても前腕。なので惜しいですが致命的ではないと思います。
前腕がよく動くので、前腕で地面を支えつつ上体を起こすようなポーズも可能です。
表情付けはかなり出来るゾイドです。
可動に関しては、アタックゾイド中でもかなり優秀な部類に入ると思います。
戦歴
戦歴は、謎が多い感じです。
ゾイドバトルストリーや学年誌は活躍は描かれていません。唯一、てれびくんに登場するのみです。
てれびくんでは、塗装やウェザリングが施されたモデルが登場しており、興味深いです。
特徴的なのはコックピット前が緑で塗られている事でしょう。もしかすると、本来はクリアパーツであるべき部分なのかもしれません。
ドリル部は、いかにも使い込んだ感じになっており素晴らしい仕上げです。
さて戦歴ですが、てれびくんでは「登場」はするものの、特に「活躍」というものはしていません。
大勢で戦う時にグランドモーラーも「混じっている」感じではありますが、特にグランドモーラーを魅せる!というような扱いはありませんでした。
ただ、やはり地中を掘り進む事に意義がある特殊ゾイドです。
日のあたる場所ではあまり運用されなかったが、地の底で地味ながら重要な任務をこなしていたと想像したい所です。
地中を掘り進める機体の元祖と言えば、モルガです。
グランドモーラーは、モルガより更に小型の機体。その特性を活かし、特殊な進入や潜入任務など特殊な作戦では重宝されていたのではないかと思います。
地中侵攻 グランドモーラー
モグラ型というマニアックなモチーフを使い、アタックゾイドならではの魅力で魅せてくれた名ゾイドだと思います。
キット的な弱点は、合わせ目がやや目立つ事です。
アタックゾイド(というかそもそもゾイド全般)にとってモナカ割り構造はスタンダードなものですが、出来るだけ合わせ目が目立たないような配慮はあります。
たとえばヘルダイバーのボディもモナカ割りですが、頭部だけはモナカ割りではありません。
目立つ部分にこのような配慮がある為、全体としては合わせ目がそれほど気にならないようになっている事が多いです。
そういった意味では、グランドモーラーは全ゾイド中でも合わせ目がもっと目立つ部類で、大きな弱点となっています。
とはいえ、その弱点を補って余りある魅力を持った好キットです。
両軍を通じて最後のアタックゾイドですが、有終の美を飾った名機だと思います。
アタックゾイドは本当に魅力的なシリーズでした。
超小型ならではの魅力で世界観を大いに盛り上げてくれました。モチーフも超小型だからこそ出来るマニアックさで魅せてくれました。
このようなシリーズがまた誕生する事を願うばかりです。
バリエーションモデル
なし