D-Style RPZ-002 グスタフ

■D-Style RPZ-002 グスタフ データベース■

 発売年月 2013年4月  発売当時価格 2415円


D-Styleのゾイドでは、第七弾として登場しました。
華々しい主役級ゾイドがラインナップされている中、グスタフがラインナップに加わったのは大変な驚きでした。
第一報を聞いた時は、「グスタフはダンゴムシ型……、そもそもSDに出来るのか…?」と、かなり心配してしまいました。
しかしラインナップにグスタフが加わったこと自体は大きな喜びで、期待して発売を待っていました。


前後より

発売前は、ダンゴムシがはたしてSDになるのだろうか…?と思っていましたが、これがなかなか上手い具合に見事なSDになっています。
グスタフのディティールを的確に再現した上で、各部バランスが絶妙に調整され、可愛らしくなっています。

このモデルを見ているだけでは分かりにくいかもしれませんが、オリジナルと比べるとそのSD具合は一目瞭然です。

比べると、何とも非常に愛らしく仕上がっているのが分かると思います。

製品は、「グスタフ本体+トレーラー二基」で構成されています。
カラーリングは、グスタフの中でもムンベイ仕様になっています。色合いは寸分違わず完璧に再現されています。
しかし、パッケージ等では「Zi-025グスタフ ムンベイ仕様」ではなく、「RPZ-002グスタフ」つまりメカ生体ゾイドにおける共和国仕様の型式が記載されています。
これが意図的なのかミスなのかは不明ですが、違和感を覚えてしまう点ではあります。

残念ながら、トレーラーに付けるクレーンやアームは付属しません。これがあると世界観が一気に増すので、ぜひ付けて欲しかった所です。
このキットは、既存のD-Styleゾイドに比べ、定価が高めに設定されています。その事から考えても、やはり付けて欲しかったと思えます。

またもう一つ残念なのは、アンテナの裏面です。
肉抜きが非常に分かりやすく入っており、出来れば埋めておいて欲しかったところです。
ただこの肉抜きに関しては、オリジナル版と共通する点です。「オリジナルを忠実に再現した」と言えばその通りですが。


側面より

デザインは、改めて見事です。バランス良くSDになっているし、グスタフが持つ複雑なディティールは完璧に再現されています。
複雑なディティールが完全再現されているので、リアルSDの感じになっていますが、非常に良いと思います。
サスペンションだけは大型化していますが、SDならではの大げさでリアルなメカニックの演出になっており、良いと思います。

強いて惜しい所を挙げるなら、キャップだと思います。
これは他のD-Styleゾイドとも共通する点ですが、キャップは取り付け一のパーツと一体成型になっており、色分けがされていません。
ゾイドにおいてキャップは非常に重要な要素なので、是非別パーツ化して欲しい所です。
ことグスタフに関しては、キャップ使用数も少なく、更にキャップ自体が大き目にデザインされています。
なので、他の機体はともかくグスタフは、キャップを別パーツ化させる事も不可能ではなかったと思います。


フェイス

顔は大型化していますが、デザインはオリジナルに対し忠実です。
ディティールもよく再現されており、非常に良い出来だと思います。

キャノピーを開けると、キャラフィギュアが載っています。アニメゾイドのムンベイとフィーネです。
特筆なのは、もともと単座だったグスタフが、複座仕様になっている事でしょう。
アニメ劇中では、グスタフは複数人が座れるように描かれていたので、やはりこのグスタフはアニメ劇中を再現したモデルという事になるのだと思います。
であるなら、やはり型式が「Zi-025」ではなく「RPZ-002」になっている事に、改めて違和感を覚えます。
重箱の隅をつつくような事ですが、やはり気になってしまいます。


トレーラー

トレーラーが二基付属しますが、デザインは正方形だったオリジナル版に対し、少し縦長の長方形になっています。
ディティールはオリジナルに忠実ですが、装備取り付けようの穴は開いておらず、拡張性には劣ります。

もちろん、上にゾイドを置く事は出来ますが、やや手狭な感じです。
まぁ、オリジナルの方も、小型ゾイドだとちょうど良いが大型ゾイドを置くと少し手狭な、そんな大きさでした。
トレーラーを余裕のある大きさにしすぎると、それはそれで本体とのバランスが崩壊しそうな気もします。これはこれでちょうど良い大きさだと思います。

連結は、オリジナル版と同じように凹と凸を組み合わせる事によって行います。

複数キットを買えば、それこそ延々と長く繋げてゆくことも出来ます。

なお、連結部分をよく見ると分かると思いますが、少し、一基ごとの間隔が長めです。
これは、一基に一ゾイドを乗せると少し手狭である事への対策だと思います。
つまり連結部に余裕があるので、二基のトレーラーにそれぞれゾイドを乗せても、何とか乗せる事が出来ます。
間隔が狭かったら同時に乗せる事は不可能だったと思います。細かいですが、素晴らしい配慮が感じられるポイントです。


可動・プレイバリュー

可動としては、最低レベルです。

トレーラーにゾイドを乗せて遊ぶ事が出来ます。
その点ではプレイバリューの高い機体ですが、他はもう少し何とかして欲しい仕上がりになっています。

オリジナル版のグスタフは、殻をグネグネ動かしながら前進しました。
D-Style版でも、手動で殻は動かせるだろう…と思っていましたが、この部分は何とこのようになっています。

食玩かと思うほどの、何とも見事なモナカ割りです。これでは可動などするはずも無く、完全な固定となっています。
非常に寂しいです。

しかし、何故かサスペンションのパーツだけは全て別パーツ化されています。しかも別ランナーに、全て塗装された状態で付いています。

この処理はかなり謎です。
全体まるごと赤く塗装するのなら、殻のランナーに配置すれば良いのに…。

わざわざ別ランナーにしているのなら、サスペンションだから黒や銀にするとか、そういうものであれば、まだ意味があったと思います。
しかし同じ色でわざわざ塗っているので、強い疑問を感じます。
パーツ全体が塗装されているので、当然、ゲート部分は塗装がハゲます。
あまり目立たない位置にはなっていますが、それでも外観上分かる位置にきているので、その点も気になります。

理想的には、「殻は各段ごとに可動する」「サスペンションは別パーツ化されており、殻の動きに合わせて動く」とかなっていれば最高だったと思います。

頭部の可動も寂しいです。

キャノピーは開閉しますが、問題は触覚です。触覚は完全固定されています。
触覚の角度を変える事で、わずかながら表情を変える事が出来ると思います。そうなっていないのは、非常に残念です。
構造上、触覚の可動を仕込むのはそう難しくないと思います。
100歩譲って触覚を完全固定させる事を認めるなら、せめて水平角度ではなく、少し上げ角度を付けた所で造形すべきだったと思います。

顔の位置も完全固定されています。
この点はオリジナル版と同じですが、ひっこめたり引き出したり出来るようにしても面白かったと思います。
理想的には、「顔を引き出せるようにして、左右や上下も向かせる事が出来る」ようになっていれば最高だったと思います。

D-Styleではおなじみのフライングベースにも対応していません。
確かにグスタフはフライングベースで飛ばすようなゾイドではありませんが、そんな事を言ってしまったらデスザウラーやウルトラザウルスだって……。
洒落でもいいから付けておけば、例えば積荷の事などお構い無しに元気一杯暴走運転するグスタフとかが再現できたと思います。
フライングベースに対応させるのは難しい事ではありません。裏面に穴を開けておくだけで良かったので、それすらされていないのは大きな疑問です。

ただその代わりに、機体の裏面に滑りの良いタイヤが付いており、転がして遊ぶ事が出来ます。
機体だけでなく、トレーラーにも付いています。滑りが良いので、気持ちよくコロコロできます。

ただ、殻や触角の可動が無い事を帳消しに出来るものかと言うと、そうでもないような気がします。
いっそ、裏面にプルバックゼンマイが仕込んであり「走る」ような構造になっていれば、フライングベースに対応していないこと含めて納得できたと思いますが。

その他、アンテナは回すことが出来ます。

ただ欲を言えば、せっかく車輪でコロコロ出来るのなら連動して回転する様になっていれば、より面白かったと思います。

総じて、残念ながら可動やプレイバリューに関しては厳しい評価を付けざるを得ないと思います。


輸送部隊 グスタフ

デザイン的には文句ない一品だと思います。
それだけに、可動などの不備が非常に気になります。総じて言えば、もう少し頑張って欲しかったという感想です。
価格的には、D-Styleゾイドでは最高価格を誇ります。それゆえに、余計に不満的な部分が強く思われます。

とはいえ、グスタフという機体がD-Styleで出ただけで大満足でもあります。
この機体、グスタフという地味な機体を出した事自体が、既に拍手喝采でもあります。
色々と思う部分はあるキットですが、デザイン的には大満足だし、何だかんだで気に入っています。
是非、灰色の共和国正規カラーのものも出して欲しいと思っています。

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