D-Style RZ-037 ウルトラザウルス

■D-Style RZ-037 ウルトラザウルス データベース■

 発売年月 2012年1月  発売当時価格 2100円


D-Styleのゾイド第三弾として登場したキットです。
意表を突いたラインナップに、発表時は狂喜乱舞しました。

まさかあの巨大ゾイドの代名詞、超ド級戦艦がこんなに可愛くなってしまうとは! 眺めていてニヤニヤが止まりません。
もちろん、可愛いだけでなく、元のウルトラザウルスの特徴である所の緻密なディティールも素晴らしく再現されているので、見ごたえは抜群です。


前後より

ウルトラザウルスは、全ゾイド中でもトップクラスに複雑な造形をしたゾイドです。
モールドは細かく、パイプ類などのメカニックもとにかくゴチャゴチャしています。

D-Styleで、よくぞこの機体を再現する決断をしてくれたと思い、まずそこに大拍手をしたいと思います。
HMMではなかなか実現が難しい巨大ゾイドや情報量の多いゾイドを積極的に採用するDスタイルの姿勢は大絶賛です。

オリジナルと比べると、SD体型になりつつも、極めて元のデザインに忠実に作られているのが分かります。

モールドなどは本当に「そこまでするか!?」というレベルで忠実に作られています。
原型師のただならぬウルトラザウルス愛を感じます。

色に関しては、機獣新世紀版のカラーパターンになっており、各パーツの色味はほぼ完全に再現されています。
ただ、さすがにオリジナル版がパーツの非常に多いゾイドだった事もあり、色分けに関してはやや大雑把になった印象もあります。
細かいパイプ類は仕方ないにしても、首裏の装甲やキャノン砲の色の差はやや目立っていると思います。
また、、キャップが重要なゾイドなので、どうしてもその点が気になってはしまいます。

キャノピーは全てクリアパーツで再現されており、素晴らしい効果が出ています。
驚くべきことに、頭部・首・キャノン砲基部・格納庫・尾部、全てのキャノピーが、きちんとクリアパーツで再現されています。
オリジナル同様、「多人数で動かすウルトラ」が伝わってくる素晴らしい処理です。
尻尾のクリアパーツなどは極小サイズのパーツになっており、再現には執念を感じます。


側面より

まさにSD体型で、「あのウルトラザウルスがこんなに可愛くなるなんて!」と、驚かずには居れません。
絶妙なサイズで大型化された顔やキャノン砲。
短くなったけど、首長竜がモチーフであることはキチンと分かる、絶妙な長さの首など、デフォルメのセンスはかなり抜きん出ていると思います。

その一方、オリジナルが持つ複雑なディティールは、妥協無くほぼ全てが再現されています。
その為、純粋な「SD」というより「リアルSD」な仕上がりをしています。
ウルトラザウルスのディティールを省略し可愛いだけのものを作るよりは、このように元の特徴を残したままリアルSD化してくれたのは、カッコ可愛く、
いかにもゾイド的で大正解だったと思います。

特に、ウルトラのあの複雑な造形を完全に再現しきっているフェイスは特筆モノで、思わず見惚れてしまいます。
ただ強いて言えば、下あごの歯が上あごの歯に対し非常に小さいのは、少し気になります。
それでも、全体的に見れば極めて素晴らしい、絶妙なデザインをしていると思います。

ディティールに関し非常に細かい点まで見るなら、尾部の二連装ミサイルが一基減ったとか背部格納庫の3連動砲の砲身が短くなっているなど、一部には省略もあります。
ただパッと見では全く違和感の無いように仕上げられており、改めて造形センスの高さが伺えます。


フェイス

先に書いた通り、頭部の再現度は非常に素晴らしく、大きな魅力だと思います。
また口の可動範囲が非常に広く、大げさなSDならではの表現が出来て面白いと思います。

ただ造形レベルは非常に高い反面、いくつか残念な点もあります。

まず脱出用ビークルは頭部と一体成型にされており、取り外せません。
ウルトラザウルスの大きな特徴であると同時に、いわゆるゾイド的妄想をする際に非常に重要なポイントだと思うので、願わくば、ここは色分け・パーツ分けが欲しかったと思ってしまいます。

また、目のクリアパーツの色ですが、キャノピーと同じオレンジ色になっている為、閉じた時の視認性が非常に低くなってしまっています。
不思議なのは、キャノピーのランナーと目のランナーは別になっているのに、何故か両方オレンジ色になっている点で、目の色を赤にしていないのは大きな謎だと思います。

もう一点、非常に細かい点ですが、頭部キャノピーの頂点のあたりに、オリジナルでは二つ並んだ穴がありますが、D-Style版ではそれが省略され、穴が無くなっています。
ウルトラザウルスのモチーフであるウルトラサウロスは、頭頂部に鼻の穴を持っていました。
当時、この恐竜は水中生活をしていると考えられており、頭頂部に鼻の穴がある妙な構造は、「水上に大きく顔を出さなくても呼吸が出来る為の配置」と考えられていました。

オリジナルのキャノピーにある穴は、これを再現したものになりますが、非常に細かい点とはいえ、オリジナルがモチーフ再現の為に死力した点を見逃しているのは惜しい点だと思います。
最も、その上で更に言いうならばこれはあまりにもマニアックになりすぎた意見であり、重箱の隅をつついたような小言だと思います。
総じて言えば非常にレベルの高い造形である点は揺るぎないと思います。


可動

可動としては首がよく動き、後ろを向かせることも出来る為、抜群の効果を発揮しています。

ウルトラザウルスの代名詞、ウルトラキャノン砲もオリジナル以上に大きく仰角を付ける事が可能で、その気になれば後方に向ける事すら可能です。
もちろん、各砲が独立して動きます。
ただ、キャノン砲は内側が大胆に肉抜きされており、仰角をつけると大きく目立ってしまうのは惜しい点だと思います。

尾部や脚は、動くには動くものの大きくは動かず、首やキャノン砲に比べれば大人しい可動範囲になっています。
とはいえ、脚は大きく動かすようなモチーフでもないので、特に気になるものではないと思います。
尾部はもう少しビチビチ動いても良い気もしますが。

その他、背部と腹部のビークル格納庫の収納ギミックは無くなっており、超ド級戦艦ウルトラザウルスとしては寂しい気もします。
D-Styleブレードライガーは、ブレードの展開を不完全ながら「差し替え」で再現していました。
完全再現でなくとも、そのような形でも構わないので、やってくれれば嬉しかったなとは思います。
また、艦載機も一機用意してもらえれば、飛行甲板の上に飾る等して遊びが広がったと思います。

とはいえ、オリジナル版のギミックが多すぎるので、比べるのは酷な気もします。
ウルトラザウルスの最大の特徴である首とキャノン砲を大満足の可動粋で仕上げ、なおかつ出来る限りは様々動くようにしてあるのだから、非常に優秀なギミック・可動を持つとして間違いないものと思います。


グラビティカノン

ノーマルタイプの他、アニメに登場した、グラビティーカノン装備機とコンパチ仕様になっており、同砲装備機として組む事も可能です。
この砲はアニメで登場し絶大なインパクトを放ちながらも、今までどのスケールでも発売には至っていなかった装備です。
SDとはいえ、ここでリリースされた事は大いなる意義があると思います。
どんどん攻めるD-Styleの姿勢に痺れます。

この砲のデザイン的は、超巨大であるだけでなく反対側にジェネレーターがある辺りがニヤリとしてしまいます。
また、モールドが極めて細かく彫られており、大味にならず、緻密でゾイドらしいリアルな仕上がりになっているのは嬉しいです。

加えて、接続の特性上、ちょっとした遊びが出来ます。


接続軸が左右で共通している為、その気になれば反対側に砲を装備させる事も出来ます(ディティールが上下逆になってしまいますが…)。
また、例えば「片側はグラビティーカノン・反対側はウルトラキャノン砲」という超攻撃型的な装備なんかにも出来ます。

グラビティーカノンは反対側にも付けられるのだから、その気になれば、2機買って両側にグラビティーカノンを装備した仕様を作る事も出来ます。
遊びがいがあるのは本当に嬉しい点で、絶賛すべきだと思います。

余談ですが、今後はバリエーション展開で、バトルストーリー登場の1200mm砲装備型や、それを支えるゴジュラスの登場にも期待したいところです。


超ド級戦艦 ウルトラザウルス

総合的に見て、欠点が無いわけではないものの、それを補って余りある非常に魅力的なアイテムだと思います。

D-Styleということでフライングベースに対応しており、飛び上がった感じにする事も出来ます。

さすがにウルトラザウルスが飛び上がるのは、いかにSDとはいえ違和感があるとは思います。
飛び上がるのではなく水上を航行していると捉えるべきかもしれません。
フライングベースに接続したのを下から見上げ、水上を航行するウルトラをウオディックやシンカーのコックピットから見ているような想像をしても楽しいと思います。

傑作続くD-Styleの例に漏れず、このウルトラザウルスもまた、カッコいいと可愛いを絶妙に併せ持った傑作だと思います。
共和国旗艦としての貫禄は十分。
また、このシリーズが、複雑な造形でも再現出来る事を証明してくれました。
単機で見ても十分魅力的なものですが、加えて、今後ゴジュラスなど複雑な造形を持った機体のリリースにも期待してしまう…、そんなアイテムになっていると思います。

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