メカ生体ゾイド ガイロス暗黒軍 重装機甲型 デッド・ボーダー<DEAD BORDER>

■デッド・ボーダー(恐竜型) データベース■

 発売年月 1989年3月  発売当時価格 2500円  動力 モーター

 型式番号 DPZ-09

 スペック 全長19.6m 全高12.8m 全幅7.5m 重量92.0t 最高速度140km/h 乗員1名

 主な武装
  重力砲(×2) 高圧希硝酸噴出口 火炎放射機 150mmカノン砲(×2) 二連ビーム砲 レーザー砲(×2) ミサイルポッド 熱線砲(×3) ニードルガン(×4)
  レーダーシールド

 特徴
  暗黒大陸軍機甲部隊所属メカ。暗黒大陸外辺の防衛を行うと共に、戦闘時には軍団の先鋒となる。
  背部に装備された重力砲(G-カノン)は、暗黒大陸特有の物質の影響でできた発光体に蓄積された強大なエネルギーを使用する。
  その破壊力は従来の兵器を遥かに上回る。
  頭部シールドは、高性能の全方位レーダーで、直射光に弱い視覚器を保護する役割ももつ。
  また瞬発力に優れており、格闘戦も得意とする。


前後より

暗黒軍の斥候として登場した衝撃メカ、デッド・ボーダーです。
ヘリック共和国、ゼネバス帝国に続く第三の軍として、鮮烈なデビューを果たしました。
今まで、設定の中では何度か出てきていた「暗黒軍」ですが、具体的なビジュアルイメージを伴って出現したのは、これが初です。

思えば、暗黒軍というのはHistory of Zoidsの頃から文字としては設定されていたものです。1985年です。
また、第一次中央大陸戦争終結~D-DAY上陸作戦において、何度か断片的な情報のみ伝わってきた単語でもありました。1987年です。
そして1989年。それがようやく具体的に登場したというのは、何とも感慨深いものです。
登場までの待ち時間が長かっただけに、ユーザーの期待も膨らみ、求められるクオリティは高まっていたと思います。
それだけにプレッシャーも大きかったと思いますが、デッド・ボーダーは期待以上の素晴らしい完成度で登場しました。

いわゆる恐竜型ゾイドで、スタンダードなシルエットをしています。しかし、その色やデザインは要注目な所が多くあります。
黒いボディの各所からチラ見えする緑。曲面が多いながら、帝国のそれとは若干違った感じのするライン。
全てにおいて今までに無かったデザインで、しかし、それでいてゾイドらしい仕上がりになっています。
まさに、暗黒軍の斥候として相応しい仕上がりをしています。

大きさは、2500円という定価から予想できる通り、シールドライガー級のものです。
しかし、そのインパクトは大で、大きさ以上の存在感を放っています。
底の見えない「不気味な小兵」といった感じでしょうか。


側面より

シルエットはアロザウラーに酷似します。武装配置も酷似しています。

しかし、そのデザインの方向性はかなり違います。
むしろ、酷似したシルエットだからこそ、並べると「暗黒軍的なデザイン」が際立って分かります。

デッド・ボーダーは、装甲率の高いデザインです。
しかし、関節部などはメカの露出も激しく、その造り込みは初期共和国ゾイドに匹敵する程です。

帝国ゾイド風の高い装甲率。共和国ゾイド風の徹底したメカの造り込み。
その両要素を複合し、更に独自の要素も盛り込んで完成したデザインだと思います。

従来の帝国ゾイドと共和国ゾイドと見ていると、本当に洗練されているなと思います。
装甲率が高く曲面を好む帝国。むき出しのメカと直線を好む共和国。どちらもカッコいいし、設計思想の差が分かりやすく出ているのも良いです。
そこに第三のデザインを投入するのはかなり難題だったと思います。
両者の中間のようなデザイン…、半端な装甲率で半端な曲面・直線混合な姿…、にすれば、それは必ず駄作で魅力の薄いデザインになったと思います。

デッド・ボーダーは、両国ゾイドのデザイン的特徴を、むしろ積極的に取り込みつつ消化し昇華しています。
改めて見事です。


フェイス

頭部は素晴らしい出来です。
広い範囲がキャノピーで覆われており特徴的です。
キャノピーと言えば共和国伝統のスタイルですが、デッド・ボーダーはキャノピー式でありながら共和国ゾイドとは全く異なるデザイン・印象に仕上げているのだから見事です。
また、キャノピーの奥に見える、やや大きすぎる目も不気味さ満点です。

キャノピーは前方に開きます。

キャノピーを開くと中がよく見えます。頭部側面はデスザウラーに近い印象を持ちます。

デッド・ボーダーのデザインを「共和国的特長と帝国的特長を複合し、更に独自の要素も盛り込んで完成したデザイン」と書きました。
頭部には、それがとても分かりやすく現れています。

頭部はコックピットになっており、パイロットが一人乗っています。
デッド・ボーダーのパイロットは1名のみで、ここから全ての操作を行います。

パイロットについては、ちょっと特筆です。
今まで、共和国=金、帝国=銀のパイロットが付属していましたが、暗黒軍ゾイドにはブラックメッキのパイロットが付属します。

以降、暗黒軍ゾイドにはブラックメッキのパイロットが付属するのがスタンダードになります。

 

デッド・ボーダーの事ではありませんが、この素晴らしい頭部のデザインが、後の暗黒ゾイドにほとんど引き継がれなかったのは非常に残念な事です。
同様のデザイン的特徴を持つ暗黒ゾイドは、わずかデッド・ボーダー、ヘル・ディガンナー、ギル・ベイダーの三機のみ。
その他は旧来の帝国ゾイドと同じ、装甲式のコックピットを持つものです。

確かに「コックピットは全周をクリアパーツで囲む」という制約が全機にあると、開発しにくかったのかもしれません。
なかなか難しいデザインです。
それでも、せめてあと数機はこの特徴を持った機体を見たかったと思います。
また、この特徴を持ったゾイドを多く出す事によって、より暗黒軍という第三勢力が強調されたのに…と思います。
非常に残念です。

ただ、逆に言うと、そうまで感じてしまう程に、デッド・ボーダーが魅力的という証でもあります。


蓄光パーツ

デッド・ボーダーのカラーリングは真っ黒。キャップも真っ黒。爪や砲も、銀ではなくガンメタルに近い色で暗いです。
しかしそんな中、鮮やかな緑が各所から露出しており、強烈な印象を与えています。

緑の露出のさせ方は絶妙です。黒い機体の各所からチラ見えする鮮やかな緑がたまりません。
これだけ鮮烈な緑を使用しているのに、それでいてデッド・ボーダーには玩具らしさはあまり感じません。
むしろ、どちらかというと「渋」を感じるカラーだと思います。

あくまで全体的には暗くストイックな構成。そして鮮烈な緑はこれ以上露出させたらわざとらしくなるというギリギリの一線をよく理解して作られています。
このバランスが絶妙です。

緑のパーツは蓄光パーツになっています。昼間、光にかざしておくと、暗くなった時ぼぅ…と光るのです。

何とも特別感があります。

デッド・ボーダーは、目にクリアパーツを使用していない珍しいゾイドです。が、目は蓄光パーツで出来ています。
暗闇で不気味に光る目は、クリアパーツとはまた一風違った魅力があります。

緑色の部分は、設定として「ディオハリコン」と名付けられています。
デッド・ボーダーは、大きさとしてはシールドライガークラスです。しかし、その戦力は非常に高くなっています。
その高性能を支える要が、ディオハリコンとされています。ディオハリコンは強力なエネルギーを体内に溜め込む事が出来るというものです。
具体的にどのような機構かは謎ですが、見た目の不気味さと相まって魅力的な設定です。

 

また、ディオハリコンの他、体中にパイプが密集しているのも特徴です。これはフェルチューブと呼ばれ、エネルギー伝達を効率的に行っている設定です。
ディオハリコンのエネルギーをフェルチューブが効率よく全身に行き渡らせる。それゆえデッド・ボーダーは強いというわけです。

ディオハリコンもフェルチューブも、冷静に考えれば兵器としてはいかがかと思う点ではあります。
ディオハリコンは魅力的な設定ですが、今までゾイドはリアル系な設定でした。
荷電粒子砲も反荷電粒子シールドも、「適度にSF要素を入れ込みつつも、具体的な機構を解説できる程度にはリアル」なものでした。
それと比べると、ディオハリコンは不思議で便利なテクノロジーという部分の比重が多すぎ、リアルさへの配慮がやや薄い気がします。

フェルチューブは、そこはイコール弱点です。それを撃ってくださいとばかりに露出させまくっているのは、冷静に考えると変です。
もちろん、冷却など諸々の問題から外部に露出させているものと想像します。しかしあまりにも露出させまくっているのは過剰です。

しかし、それを承知の上でデザイン・設定されたのがデッド・ボーダーというゾイドなのでしょう。
そこからは、当時のスタッフの自信やフロンティア精神が感じられます。
ともすれば奇抜である。しかしそれをあえてリアルメカ・ゾイドのブランドに投入する。

先に書いたように、デッド・ボーダーの造り込みは凄まじいです。初期共和国に匹敵するものです。それは素晴らしいリアルを感じさせます。
つまりデッド・ボーダーは「奇抜さを持ちつつも、それを感じさせない程の造り込みでカバーする」コンセプトであると思います。
部分的に左右非対称な所もあり、細部のこだわりも非常に高いものがあります。
入念な造り込みが、奇抜なデッド・ボーダーをリアルメカ・ゾイドへ昇華させたと思います。

デッド・ボーダーのディオハリコンやフェルチューブを指して奇抜だと言うのは、時間をかけて冷静な分析を行った結果です。
最初にデッド・ボーダーを見た時は、奇抜さに突っ込みを入れるより先に、そのデザインの魅力や細部の造り込みに目を奪われ、その瞬間好きになると思います。
「疑問を抱かせる前に虜にしてしまう」という勢いを持っているのがデッド・ボーダーだと思います。
こういった勢いを持つデザインというのは、とても大事だと思います。


重力砲

デッド・ボーダー最大の武器は、背中に二門背負った重力砲です。
キャノン砲とも電磁砲ともビーム砲とも荷電粒子砲とも違う。今までに無い、それでいて惹き込まれる魅力を持った名前です。
威力はかなりのものがありますが、「重力砲」という未知のテクノロジーを感じさせる名前のおかげで、おおむね納得できてしまいます。
設定としては、ボディ各部のディオハリコンが集めたエネルギーを使用して放つとされています。

あえて難を言うなら、砲の配置に関してです。
非常にスタンダードな配置だし、似合っていると思います。
また、恐竜型ゾイドに砲を背負わせる場合、必然的にこういった配置になるのも理解します。
ただその上で欲を言うなら、もう少し個性を出しても良かったような気がします。

例えば後年登場したガン・ギャラドのように、真ん中に一門背負うなど。

ダーク・ホーンのハイブリットバルカン砲、ガル・タイガーの小型荷電粒子砲、デス・キャットの超重力砲など、暗黒軍ゾイドは、背中に「一門のみの巨大砲」を背負ったタイプが多いのが特徴の一つです。
細かい部分ですが、このような部分で暗黒軍の火力搭載思想を現してみても良かったと思います。

もっとも、暗黒軍に1門砲が多い特徴は後になってからだんだん現れた傾向でもあります。
暗黒軍第一弾のデッド・ボーダーにそれを求めるのは酷ではありますが。

砲はよく造り込まれています。

砲身だけでなく、パイプや照準機(?)等のメカニック、後部のカウルで覆われスッキリした場所など、どこを見ても飽きない仕上がりです。

難をいえば、裏側が豪快に肉抜きされている事です。

ここまで豪快に肉抜きされているので、アングルによってはどうしても見えてしまいます。
モナカ割りでも構わないので、出来れば見えないようにして欲しかった所です。
しかし、それを差し引いても魅力的です。

重力砲は、可動もあります。
残念ながら旋回は出来ませんが、仰角を付ける事が出来ます。
軸と、軸との接合部の二箇所に可動ポイントがあるので、かなり広い範囲で狙う事が出来ます。

重力砲は、更に遊べます。
まず、砲の角度を変えて付ける事が出来ます。

こうしたところで撃てる射角は同じなような気がします。変えるメリットは不明ですが、見た目をいじれるのは嬉しいです。
好きな方で組めば良いでしょう。

また、腕に持たせる事も出来ます。

デッド・ボーダーの指は完全固定で動きません。ですが、この通り持つ事が出来ます。

重力砲の裏面は、ちょうどデッド・ボーダーの腕にフィットするようなでっぱりが付けられています。

これにより、デッド・ボーダーが掴めるようになっているのです。

固定は緩く、激しく動かせば持ったままでいる事は出来ません。
この機構はオマケ程度と考えた方が良いでしょう。ですが、かなり気の利いたオマケです。

バトストでは、腕に重力砲を持つシーンも多くありました。

お手軽に、そういったシーンを再現してみても面白いでしょう。


その他砲

デッド・ボーダー最大の武器は重力砲ですが、その他にも様々な武器を満載しています。
全面にはズラリと砲が並んでおり、武器庫とも言うべき仕上がりです。
この部分は、一部が左右非対称に作られているのも魅力です。
どれも小~中型火器で、これだけ密集しながらも重力砲の魅力を妨げていない事も素晴らしいと思います。

また、口も高圧希硝酸砲になっており、金属を溶かしてしまう強力な武器です。
以上の様に砲を満載したデッド・ボーダーですが、全面に集中しているのが特徴的でもあります。
側面、後方へは撃てないものばかり。

デッド・ボーダーは、非常にフットワークが良い機体とされています。
それこそシールドライガーを捕らえるほどに。
なので、横への砲は必要なく、その都度自身が向いて撃つという事かもしれません。


格闘性能

砲の多いデッド・ボーダーですが、そのうえ格闘戦も得意とされています。

個人的に、デッド・ボーダーの腕のデザインが大好きです。

肉食恐竜らしい小さく短い腕を見事に再現したものだと思っています。特に、関節の曲げの感じが抜群です。
従来のゴジュラス、ゴドス、デスザウラーなどと比べると、その恐竜らしさは抜群です。
以前のゴジュラスなどは、曲げが少なく直線的に伸びた腕をしています。これは、どちらかというとゴジラに似た曲げです。

モチーフに忠実な造形として、素晴らしい進化です。
ただ、モチーフに忠実すぎるのは弊害もあります。
ゴジュラスやデスザウラーの腕は、確かにモチーフに忠実ではありません。
しかしその分、太くたくましく、格闘戦では無類の強さを発揮しそうに見えます。

モチーフに忠実な造形のデッド・ボーダーの腕は、格闘戦ではあまり使えないようにも見えます。
この辺は実に悩ましい所です。

ただ、デッド・ボーダーが格闘戦に強いのは、ディオハリコンの力を使っているからとされています。
この腕が強いというより、ディオハリコンの恩恵です。
そう思うと、まぁ、格闘戦が強いという設定も良いかなと思います。


ギミック

電動ゾイドなので、もちろんスイッチを入れると動きます。
デザインはかなり洗練されていると思うデッド・ボーダーですが、ギミックは凡作です。
連動ギミックは、口を開閉させながら、腕を振りながら前進します。脚は、屈伸しながら動きます。
こう聞くと十分な連動ギミックを持っているように思えますが、これはHiユニット級アロザウラーと全く同じギミックです。
決して悪くないギミックですが、先に出たゼンマイゾイドと同等になっていると言えば、もう少し頑張って欲しかったなぁと思ってしまいます。

ただ、もう一つ言うなら、デッド・ボーダーは、実は完全二足歩行ゾイドです。
分かりにくいですが、尻尾は地面に付いておらず、わずかに浮いています。その為、二本の脚だけで動くようになっています。
その姿勢ゆえ、それが全く目立っていないのは難点ですが…。

アロザウラーと同じギミックになったデッド・ボーダーですが、希望を言えば、尻尾の振りでもあれば評価も変ったのかなと思います。
ぜひ、これは実現して欲しかった所です。尻尾の振りは定番ギミックですが、デッド・ボーダーの尻尾は完全固定で動きません。

手動ギミックは、キャノピーの開閉、重力砲の可動です。
少なめですが、重力砲のギミックはかなり楽しめます。

ただ、過不足はありませんが、総合的には凡作の域に留まるものと思います。


戦歴

デッド・ボーダーの戦歴は、凄まじいものになっています。

第三勢力「暗黒軍」の斥候として登場しただけに、その強さを見せ印象付ける役割が与えられています。
登場するやいなや、シールドライガー、ゴジュラス、ディバイソン、ウルトラザウルス、サラマンダー、そしてデスザウラーなどなど、両国の強力なゾイドを次々に、しかも一方的に撃破し衝撃を与えました。
更に、この時代の最強ゾイド、マッドサンダーさえ大苦戦させています。

かつてここまで鮮烈なデビューを飾ったゾイドが居ただろうか、いや無い。そんな凄まじい具合でした。

確認した範囲では、バトスト、学年誌、てれびくんでは、マッドサンダーを苦戦させるところまではいっても勝利したシーンはありませんでした。
ただ、コロコロの記事では「圧勝」した事があり、手も足も出ず破壊しつくされたマッドサンダーが掲載されたことがあります。

当時のコロコロは、バトストの範疇かと言われると意見が割れると思います。
というのもバトスト、学年誌(小一~小五)、てれびくんは、同じ方が担当されています(スフィウスlab)。
しかし小六とコロコロだけは別の方が担当されており、かなり毛色が違うものになっていたからです(十川俊一郎氏。ちなみに同氏は特攻ゾイド少年隊にもアドバイザーとして参加しています)。

ただ、当時デッド・ボーダーが凄まじい勢いでプッシュされ、最強、あるいは最強にかなり近いイメージを与えられていたのは確かな事です。

ちょっと欲張りすぎたじゃないかなぁという気はします。いくら暗黒軍の強さを印象付ける役割があったとはいえ…。
ゾイドの展開は、「最大最強ゾイドが登場し戦況が変わる」ものです。
例えばウルトラザウルスで第一次中央大陸戦争に勝利し、デスザウラーで共和国首都を攻略し、マッドサンダーで第二次中央大陸戦争に勝利した。
歴代の最大再挙ゾイドがいなければ、決してなし得なかった勝利。
しかし、デッド・ボーダーの活躍ぶりを見ると、もはやデッド・ボーダーだけでいいのでは… という感想を抱いてしまいます。
「やりすぎて、やりすぎた結果、一線を越え白けてしまった」のがデッド・ボーダーだと思います。

個人的には、例えば倒すにしてもウオディックがウルトラザウルスを仕留めたように「予想だにしない奇襲攻撃」などであれば良かったと思います。
デッド・ボーダーがやりすぎに思えてしまうのは、全て正面きって対戦した末に圧勝しているからです。

しかし登場直後はまさに無敵の活躍を演じたデッド・ボーダーですが、その後は急速に没落します。
共和国軍がガンブラスターを完成させた後は悲惨で、次々と撃ち抜かれ、その短い無敵時代を終えています。

更に、その後はマッドサンダーをはじめ既存機にも苦戦を強いられるようになっており、急速に価値を落としています。
派手な登場の割には、後年は哀愁の似合うものでした。
それについては、対デッド・ボーダー用の戦術が確立されたからだと解釈しています。詳しくは、コラム(デッド・ボーダー初号機)にまとめています。

登場時、強さを印象付ける役割を担ったデッド・ボーダー。
そして、ガンブラスターなど新鋭・新生共和国軍ゾイドの強さを伝えるためにやられ役となったデッド・ボーダー。
無茶な戦歴を持つゾイドですが、その戦歴は置かれた立ち居地に原因があるとも言え、ちょっと同情してしまう部分もあります。


暗黒軍斥候 デッド・ボーダー

ギミックや戦歴で多少の不満はありますが、それでも傑作と言って良いゾイドだと思います。
特にデザイン面は見事で、改めて魅力を感じます。

暗黒大陸編以降、ゾイドは衰退の道を進むことになったと言われます。
デザイン面でも大きな衰退があったと言われます。
そこでよく言われるのが、「デッド・ボーダーとヘル・ディガンナーは良かったのに…」という事ですが、正直、否定出来ないなぁと思います。
その後、様々な暗黒ゾイドが誕生しましたが、デッド・ボーダー並の造り込みを持ったゾイドはついに現れなかったと思います。
ガル・タイガーは極端な例ですが、あのギル・ベイダーですら、シルエットや設定は素晴らしい半面、メカニックの造り込みではデッド・ボーダーには及ばないという感想です。

デッド・ボーダーは、見事に暗黒軍の斥候として、凄まじい印象を残しました。その意義は見事達成されたと言えます。
しかし、後に続く機があまり現れなかったのが大きな不幸だったと思います。
暗黒軍ゾイド第一号にして、そのデザインの極地まで達してしまった。その素晴らしい完成度ゆえ、後のゾイドに悩ましい問題を与えてしまったのかもしれません。

ただデッド・ボーダー自体は、間違いなく傑作機として記憶すべきゾイドだと思います。
個人的には、「暗黒軍と言えば」やはりデッド・ボーダーです。


バリエーションモデル

 トイズドリームプロジェクト 復刻版デッド・ボーダー


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