メカ生体ゾイド 周辺アイテム CDゾイド

■CDゾイド(ガチャガチャ版) データベース■ 発売年月 1990年  発売当時価格 100円(フィギュア2個入り)  販売元 ユージン

■CDゾイド(食玩版) データベース■ 発売年月 1990年  発売当時価格 100円(フィギュア1個+発射台+ガム入り)  販売元 カバヤ


CDゾイド

メカ生体ゾイドの末期、1990年にリリースされた周辺アイテムです。
デフォルメ体型かつ戦国武者風にアレンジされた小型フィギュアで、ゾイドシリーズの中でもかなり異色な一品に仕上がっています。
ラインナップは、マッドサンダー、デスザウラー、ゴジュラスMK-II、ウルトラザウルス、アイアンコングMK-II、シールドライガー、サラマンダー、レドラーの8機種です。

このキットは流通が二形態あり、ガチャガチャと食玩で販売されました。
ガチャ版の方が先行して販売されており、少し遅れて食玩版が販売されています。
ガチャ版は「CDゾイド」食玩版は「神風ゾイド-恐雄戦闘伝-」の名で販売されています。流通形態や販売開始時期に差があったとはいえ、ラインナップはどちらも同じです。
(このレビューでは、呼称はCDゾイドに統一しています)

二形態で流通したにも関わらず売れ行きは芳しくなかったようで、ほとんど注目されないまま展開終了してしまいました。
そのため、知名度は非常に低く留まっています。現在では、メカ生体ゾイド関連アイテムの中でも、特にレアアイテムと化しています。

商品名称のCDゾイドですが、「CD」とは、「コミカルディフォルメ」の略と記載されています。
この時期、バンダイがSDガンダムシリーズはじめ、SDの名を冠したキットを多く発売していました。
その為、「SDと言ったらバンダイのキット」というイメージが強く、その為、SDではない新たな言葉を作り採用したものと思われます。
個人的には、CDというとコンパクトディスクの方が思い出されるので、もう少し別の言葉にした方が良かったようにも思います。

リリースされた1990年は、メカ生体ゾイドが、その勢いを大きく減退させていた時期です。
世の中の流れも変化を見せており、リアルタイプメカのブームが過ぎ去り、SDメカのブームが到来していました。
巷にはSDメカがあふれており、いずれも好評を持って受け入れられている状況。特にSDガンダムシリーズ・武者ガンダムは大ヒットを飛ばしていました。
そんな時代背景の中で、リリースされたアイテムです。

そんな背景があったので、ブームに便乗してみた側面や、また実験的意味合いも大きかったキットと思います。


キット特性

ラインナップは先に描いた通り8機種ですが、各機カラーが4パターンずつあります。
赤、青、緑、レアカラーのクリスタルです。
従って、厳密に言うなら全ラインナップ数は8機種×4カラー=32種類という事になります。

フィギュアは、本体+武器パーツが繋がった状態で入っています。これを切り取って組み立てれば、完成します。
また各機の武器には互換性があるので、複数機集めれば交換する事も出来ます。

このキットには、「本体」「武器パーツ」それぞれに「ZP」なる数値が書かれています。
要はZPが高いほど強いというもので、相手の武器を奪って装着すればどんどん強くなる というものです。

可動は一切しません。
せっかく武器パーツがあるので、腕くらいは動かしたい気もします。ただ、この手のキットとしては標準的な仕様でもあります。

キットの底面には穴が開いており、エンピツなどを挿す事もできます。

この辺りも、この手のキットの標準的な仕様を踏襲していると言えます。


世界観

デフォルメ体型&戦国武者風にアレンジされているという事で、 当然、本家ゾイドバトルストーリーとは 別世界のもの とされています。
CDゾイドには、専用の世界観やストーリーが設定されています。これは付属するミニ冊子に記載されています。
ミニ冊子は、ガチャ版と食玩版で内容が異なります(上の画像はガチャ版)。
食玩版の方が後発なんので、より設定が詳しくなっており、またストーリーも少し進んでいます。

CDゾイドの世界観は「卵島」という島を舞台としており、そこに住まう4つの部族が、互いに島の領有権を主張してバトルを勃発させているというものです。
部族は4つあり、「竜族」「獣族」「天鳥族」「恐族」があるとされています。また、それぞれの部族に所属ゾイドには、階級が与えられているのも特徴です。

竜族には「ウルトラザウルス大佐」 獣族には「アイアンコングMK-II大尉」「シールドライガー中尉」 天鳥族には「サラマンダー大尉」「レドラー少尉」
恐族には「マッドサンダー大佐」「デスザウラー中佐」「ゴジュラスMK-II大尉」が、所属しています。
戦国武者風アレンジをしている割に、階級が「大佐」とか「少尉」とかになっているのは、ちょっとチグハグな感じもします。

部族設定(食玩版記載のもの)
 竜族(とりあえず中立の部族) ●体が大きく群れで行動する。●やさしいが怒ると恐い性格。●陸上と海上で戦える。

 獣族 ●動きがすばやく夜も動ける。 ●用心深く冷静な性格。 ●森林でのゲリラ戦が得意。

 天鳥族 ●頭が良く、空が飛べるが夜は動けない。 ●空からの攻撃が得意。 ●おとなしい性格。

 恐族 ●乱暴で戦い好き。王様には絶対服従。 ●明るくガンコな性格。 ●陸上戦では卵島No.1。

ストーリー設定(ガチャ版のもの)
  卵島・恐雄期ストーリー(CDゾイド暦1650年頃)
  変動を続ける卵島に、新たな戦いが切って落された。
  恐族VS獣族+天鳥族連合軍が領有権をめぐって血で血をあらう凄まじいバトルロイヤルのまっさい中であった。はたしてこの戦いはどちらの手中に納まるか!!

ストーリー設定(食玩版のもの)
 卵島・恐雄期ストーリー(CDゾイド暦1650年頃)
  恐族VS獣族+天鳥族連合軍は、領土争いの戦いを続けていた。
  連合軍の勝利が目前の時、ある1頭の恐族の勇士が自分から投石器に乗り、ジャンプして敵の後から攻撃し、恐族が大逆転勝利をおさめた。
  この攻撃を「神風攻撃」と呼び、この戦いは、後に「鉄勇士ヶ原い戦い」と言われ歴史に残る戦いとなった。

世界観やストーリーは、このようになっています。
ここからは、各機を紹介・レビューします。


マッドサンダー大佐

マッドサンダー大佐は、青いキットを持っています。

CDゾイドの世界では、恐族に属します。本体+武器パーツ(マグネーザー×2、剣)で構成されています。
ZPは、本体75+マグネーザー40(×2)+剣30=185ZPで、ラインナップ中では最強です。
ZPの他は、機体設定のようなものはありません。

もともと4足歩行のマッドサンダーを直立で立たせているので、かなりの違和感はあります。
ただ特徴的な頭部のおかげで、一応はマッドサンダーと分かるようにはなっています。
シールドライガーのような長い牙が生えていたり、マグネーザーが妙にアレンジされている辺りは違和感を覚えます。
また、これは全機に共通しますが、CDゾイドのデザインでは大きな目が入っているのも特徴です。

ボディは、ほとんどマッドサンダー要素が無いものになっています。
ただ、背面に大口径二連加速衝撃砲のようなモールドがマッドサンダー的とも言えます。
尾の部分も、マッドサンダーの装甲っぽいといえば、それっぽいデザインになっている気もします。

設定上は「恐族」に属するため、股間部の鎧には「恐」の文字が彫られています。


デスザウラー 中佐

デスザウラー中佐は、緑のキットを持っています。

CDゾイドの世界では、恐族に属します。マッドサンダーとデスザウラーが同じ所属というのはなかなか珍しい事です。
本体+武器パーツ(剣、盾)で構成されています。盾は手に握らせる他、前腕にマウントさせる事も出来ます。
ZPは、本体75+剣50+盾35=160ZPで、ラインナップ中ではマッドサンダーに次いで二番目の強さを誇ります。

頭部の出来は微妙だと思います。
正面や斜めから見ると、頭頂部の砲が再現されている事もあり、そこそこデスザウラーっぽく見えます。
しかし側面から見ると激しい違和感を覚えます。もう少し前に伸ばした方がデスザウラーっぽくなったのではないかと思います。

ボディは、背中にオーロラインテークファンを大きく特徴的に使用している事に好感が持てます。ファンは非常に綺麗に造形されています。
ただ、その他はデスザウラー的要素は感じられません。
尾部のデザインがマッドサンダーとほとんど同じになっている事は、特に気になります。

装備品として盾を持っている事は、少し違和感を感じます。
盾を装備するべきは、マッドサンダーやシールドライガーといった、機体設定上特別なシールドを有した機体にすべきだったと思います。
むしろ、デスザウラーが備えるべきは、荷電粒子砲を思わせる、大筒のような大砲だったのではないかと思います。

設定上は「恐族」に属するため、マッドサンダーと同じく股間部の鎧に「恐」の文字が彫られています。


ゴジュラスMK-II大尉

ゴジュラスMK-II大尉は、赤いキットを持っています。
※このキットの画像は、CGで色を補正しています。赤色のままではディティールが非常に分かりにくいと判断した為、補正しました。 元の色は、右のものです。

CDゾイドの世界では、恐族に属します。本体+武器パーツ(剣、盾)で構成されています。デスザウラーと同じ所属の為、舎弟的なイメージを持ってしまいます。
盾は、デスザウラーと同じく、手に握らせる他、前腕にマウントさせる事も出来ます。
ZPは、本体70+剣40+盾30=140ZPで、ラインナップ中では4番目の強さです。

頭部にトサカがある為、キングゴジュラス風にも見えます。
しかし両頬のキャップが再現されているおかげで、かろうじでゴジュラスと分かる風になっています。

その他の部分は、ゴジュラス分は薄い感じに仕上がっています。
ただ多少は他の機種よりもゴチャゴチャしている点や、分かりにくいですが一応背びれがある点などは評価すべきかもしれません。
尾部デザインが、やはりマッドサンダーと同じ風になっているのは気になります。

バックパック形状がオリジナルとかけ離れているのも気になります。
設定上「MK-II」と記載されているのに、キャノン砲を思わせるモールドなどが一切無いのも気になります。

装備品として盾を持っている事は、デスザウラーと同じく違和感を感じます。
盾よりも、キャノン砲を思わせるような、火縄銃でも持たせるべきだったと思います。

設定上は「恐族」に属するため、マッドサンダーと同じく股間部の鎧に「恐」の文字が彫られています。


ウルトラザウルス大佐

ウルトラザウルス大佐は、赤いキットを持っています。
※ゴジュラスと同じく、キットの画像は、CGで色を補正しています。 元の色は、右のものです。

CDゾイドの世界では、竜族に属します。竜族は、ウルトラザウルスのみで、少し寂しい感じがします。
階級が付いていますが、なにぶん竜族はウルトラザウルスのみなので、大佐を自称している風にも思えて少しシュールです。
本体+武器パーツ(薙刀)で構成されています。
ZPは、本体95+薙刀55=145ZPで、ラインナップ中では3番目の強さです。 本体のみだと、最も高いZPを有しています。


CDゾイド全8機種の中では、最も問題ある造形だと思います。
どこからどう見ても全くウルトラザウルスに見えません。頭部はウルトラザウルスに全く見えず、ボディもウルトラザウルスに見えません。
とにかく顔の段階で致命的だと思います。

長い首も全く再現されていません。
まぁ、再現されていたら、それはそれでろくろ首のようになっていて不気味だったかもしれませんが…。
かなり厳しい点数をつけざるを得ない造形だと思います。

設定上は「竜族」に属するため、額に「竜」の文字が彫られています。


アイアンコングMK-II大尉

アイアンコングMK-II大尉は、赤いキットを持っています。
※ゴジュラスと同じく、キットの画像は、CGで色を補正しています。 元の色は、右のものです。

CDゾイドの世界では、獣族に属します。本体+武器パーツ(薙刀)で構成されています。
ZPは、本体75+薙刀50=125ZPで、ラインナップ中では6番目の強さです。 ゴジュラスよりも15ZP劣っており、更にサラマンダーよりも低い数値です。ちょっと不憫です。

CDゾイド全8機種の中では、最も出来が良いと思います。
やはり元がゴリラ型で人に近い体型だったので、やりやすかったのだと思います。
他の機種がよく見ないとそれと分からないのに対し、アイアンコングはすぐに分かるような造形になっています。
特に、頭部の出来の良さは特筆モノで、元のデザインを上手く残しつつアレンジしてある辺りは良いと思います。

全体のバランスも良い感じに出来ています。
またゴジュラスと違い、バックパックのウイングまで再現されているのが高ポイントです。
ただ頭(後頭部)と引っ付いて造形されている為、ウイングではなく角のように見えてしまうのは惜しい点です。

恐族や竜族と違い、「獣」の文字は本体に彫られていません。


シールドライガー中尉

シールドライガー中尉は、赤いキットを持っています。
※ゴジュラスと同じく、キットの画像は、CGで色を補正しています。 元の色は、右のものです。

CDゾイドの世界では、獣族に属します。本体+武器パーツ(薙刀+斧)で構成されています。
ZPは、本体50+薙刀45+斧15=110ZPで、ラインナップ中では7番目の強さです。


バランスはそこそこ良いと思います。
頭部は上手くシールドライガーを再現していると思います。特に正面から見たときの再現度はなかなかのものです。
ボディも、胸部が三連衝撃砲を思わせるモールドになっていたり、他の機体よりデザインは上手いと思います。

名称はシールドライガー中尉ですが、背中には、キャノンビーム砲らしきモールドがあります。この辺はちょっと謎です。
尻尾を横に巻いているのは、少し可愛い感じがします。

恐族や竜族と違い、「獣」の文字は本体に彫られていません。


サラマンダー大尉

サラマンダー大尉は、緑のキットを持っています。

CDゾイドの世界では、天鳥族に属します。
本体+武器パーツ(飛行ユニット、剣)で構成されています。
ZPは、本体50+飛行ユニット60+剣25=135ZPで、ラインナップ中では4番目の強さです。

ウルトラザウルスに次いで、元が分かりにくい出来になっていると思います。
造形的には、中央の角を強調するより、両耳を分かりやすく見せた方が再現度が高くなったと思います。

翼に至っては 再現する事をもはや放棄したとしか思えぬ具合です。
また、後頭部が手榴弾のようになっているのが謎で気になります。
尾部も完全に省略されています。

鳥の羽毛を意識したのか、胸部は鎖かたびらのように見えます。
頭部の形状も手伝い、忍者のような形になっているのはなかなか面白いと思います。

設定上は「天鳥族」に属するため、胸部に「天」の文字が彫られています。


レドラー少尉

レドラー少尉は、緑のキットを持っています。

CDゾイドの世界では、天鳥族に属します。
本体+武器パーツ(剣)で構成されています。ZPは、本体30+飛行ユニット40+剣30=100ZPで、ラインナップ中では最弱です。
最も、最弱というのはラインナップ中で唯一のゼンマイクラスからの抜擢なので、これは致し方ないところだと思います。
むしろ、なぜレドラーだけがゼンマイクラスから選ばれたのかが謎です。

造形は、アイアンコングに次いで良い出来だと思います。
特徴的な二股に分かれた頭部が良く再現されているため、一目でレドラーと分かります。
更に翼の再現度が非常に高いのも特筆ものです。サラマンダーと比べると雲泥の差です。
尾部もきちんとと再現されています。

剣を持っているところも、オリジナルと共通した装備であり良いと思います。
オリジナルの装備と合致した装備を持つレドラー少尉を見ていると、他の機体の装備ももう少し機体とリンクさせる配慮があったら良かったのに と改めて思えます。

設定上は「天鳥族」に属しますが、サラマンダー大尉と違い「天」の文字は彫られていません。


戦国武者風デフォルメゾイド

正直、全体的に微妙な出来のシリーズな事は否めないと思います。

個々のデザインセンスが微妙とかもありますが、最たる原因は別にあると思います。
根本的な事を言ってしまいますが、人型にアレンジしてしまった事が、最も大きい原因だと思います。
やはり恐竜や動物の形をしたゾイドを人型の武者風にしてしまうというのは、かなり無理があったのは否めません。
わざわざ、ゾイドの良さを捨ててアレンジをしている様に思えます。

結局のところCDゾイドは、武者ガンダムの大ヒットを安易に真似てしまった結果、ゾイドの良さを自ら捨ててしまったシリーズに思えてしまいます。

設定は「卵島」を舞台としており、そこの領有権を争うという、コミカルながら激しいバトルが繰り広げられており、なかなか良い感じになっていると思います。
この辺は、SDガンダムを意識しつつも、必死で独自の魅力を出そうとした跡が伺えます。
しかし詰めの甘さを感じる部分も多々あり、不慣れな中で構築した事が伺えます。

とはいえ、メカ生体ゾイド末期の混迷期にあって、何とか新しい方向性を模索しようとした感じは伝わってくる一品です。
その点に関して言えば非常に興味深いキットだと思います。


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