ビッグポーズ特賞

■ビッグポーズ特賞 データベース■

 発売年月:198?年  発売当時価格:なし(ビッグポーズの特賞景品)  発売:アマダ


ビッグポーズ特賞

ビッグポーズの「特賞」の景品です。
(今回のレビューは、先にビッグポーズのレビューを読むことを推奨します)

駄菓子屋ゾイド、ビッグポーズは稀に「特賞」を引くことがありました。
これを引いたら、今回紹介する大型ゴムフィギュアをもらえるシステムになっていました。

ビッグポーズ特賞は、通常ビッグポーズに比べて明らかに大型かつ精密です。
これは射幸心を大いにあおりました。当時のキッズは特賞を目指して、こぞってビッグポーズを買っていったのです。

特賞のラインナップは3機種で、ゴジュラス、アイアンコング、サーベルタイガーです。
ただし、ラインナップは3機種ですがカラーが各2パターンありました。赤か銀です。
なので、それも含めるとラインナップは3機種×2カラー=計6種という事もできます。

生産数の比率は不明ですが、ゴジュラスとアイアンコングは赤、サーベルタイガーは銀の方をよく見かけます。
特にゴジュラスの銀は中々のレアだと思います。

パッケージには台紙が入っています。台紙は全ラインナップで共通です(台紙は長い紙を真ん中で折ってあります)。

台紙には各機のスペックなどが載っています。これを眺めるだけでもかなりの時間が過ぎていきます。とても魅力的です。
ゴジュラスの扱いが大きいのはこの時代ならではと言えるでしょう。

台紙は裏面にも印刷があります。

一色刷りですが、多くのゾイドの写真が掲載されていてテンションが上がります。
また簡易な説明書も兼ねているようです。
塗装を推奨しています。塗装は薄い色から順に塗るべし、そして水性カラーを使用する事とあります。


仕様

ビッグポーズ特賞の大きさは、通常ビッグポーズよりはかなり大きく・小型ゼンマイゾイドよりはやや小さいくらいです。
ゴムフィギュアとしては中々の大きさだと思います。

これだけ大きいので、一体成型ではなくパーツ分けがされています。

全機とも、[胴体][右前脚][左前脚][右後脚][左後脚]の5パーツで構成されています。
接続は単純な「凹凸」です。組んだ後も可動させる事ができますが、なにぶんゴムなので激しく動かすとちぎれてしまいます。その辺の力加減は調整が必要です。

ビッグポーズ特賞の造形はかなり精密です。通常ビッグポーズより大型だから当然ではありますが、かなり細かい所まで実キットを忠実に再現しています。
各脚パーツを見ると、内側もきちんと作り込んでいる所にこだわりが見えます。これは特にアイアンコングの腕において抜群の効果を出しています。

ただし弱点もあります。

残念ながら合わせ目がかなり目立ちます。ただしこれは個体差もかなりあって、良い個体を引き当てると合わせ目が綺麗なものもあります。
次にパーツの切取り部分が汚い事です。バリが大胆に残っていたり「えぐりとったように」なっていたりします。
ゴム製ゆえに仕方のない点ではありますが、気になるといえば気になります。

あとは、各機とも「(C)TOMY ZOIDS」と機体名の表記が表面に彫られています。

特にアイアンコングは目立つ位置に彫ってあり気になります。
ただし、これらの弱点を差し引いても非常に完成度の高い一品だと思います。

ここからは、各機毎に紹介します。


ゴジュラス

特賞の一機目はゴジュラスです。台紙には「ZOIDS GOJULAS」と書かれているのでゾイドゴジュラスと書くべきかもしれません。
造形はかなり細かく出来ていて、まさにゴジュラスといった感じです。

さすがに幾つかのディティールは省略されていて、火器は全撤去になりました。しかしボディはよく再現されています。
またゴジュラスと言えば密集したキャップ。キャップは全て再現されています。この点は凄く嬉しいポイントです。

惜しいのは爪の造形です。実物の手の爪は二股、脚の爪は三股に分かれていますが、ビッグポーズ特賞版は「つながって」造形されています。
他にも背中のバックパックがそのようになっています。これは金型成形上の制約上やむなくそうなっています。
しかしその点を差し引いても、十二分の出来と言えます。


側面から見ると、バランスが完璧な事が分かります。まさにゴジュラスです。
ディティールの再現度もよく分かります。
この時代のゴムフィギュアとしては、ここまで精密なモデルが他にあったでしょうか。そう思えるほどの出来です。

可動は、腕や脚が動きます。

ただ顔や尻尾が動かない事から、あまりキマッたポーズにはしにくいです。
特に足は動かした所で…という感じがします。どちらかというと、八の字立ちができるようになっていれば嬉しかったのですが。

ゴジュラスは、可動についてはオマケ程度に考えた方が良いと思います。


アイアンコング

二機目はアイアンコングです。
アイアンコングも非常に良い出来で、見事にアイアンコングを再現しています。

完成度はゴジュラス以上でしょう。というのも過剰なほどのディティールを持つゴジュラスより、ツルっと仕上げた帝国ゾイドの方がゴムフィギュアには向いています。
ただ唯一の難点は、右肩に装備する6連発ミサイルが撤去された事です。
これさえ再現されていれば、色を付ければパッと見では実物と見分けがつかない位の高い完成度になったと思います。

バランスはやはり完璧です。
帝国軍はツルっとした装甲を持ちますが、そうはいってもすべてシンプルなわけではない。隙間からはゴチャメカが覗いています。
そこのところも見事に再現されています。全体的に彫の深い造形になっているのも良いと思います。

また、腕の曲げ角度もとても良い具合になっています。これも要注目です。
アイアンコングは腕の曲げ角度がとても重要です。ここを良い角度にしないと見栄えが下がる。その点、ビッグポーズ特賞版は最高です。

可動は、腕や脚が動きます。

ゴジュラスに比べればポーズが決まるでしょうか。格闘戦を展開している感じに見えます。
またはやられシーンの再現にも使えそうに見えます。

ところで画像を見ると分かると思いますが、二足で立てるバランスの良さがあります。かなり絶妙です。
この事も大きな利点と言えるでしょう。


サーベルタイガー

三機目はサーベルタイガーです。 台紙には「SABER TIGER]と書いてありますが、これは誤字です。
正しくは「SABRE TIGER」です。メカ生体ゾイドのサーベルタイガーは「SABRE TIGER」、機獣新世紀ゾイドのセイバータイガーが「SABER TIGER」です。
まぁ、それはかなり細かいことです。

サーベルタイガーも良い出来です……が、ゴジュラスやアイアンコングに比べればあと一歩な完成度になっていると思います。
火器は大部分が撤去されています。背中の主砲は残っていますが、これは実物が連装なのに対して単装になっています。
胸部の三連衝撃砲の造りも半端で、詰めはゴジュラスと同じように「つながった」造形です。

いたしかし、それらは些細な問題です。細かな問題はありますが、全体的にはよくサーベルタイガーの造形を再現しています。
では何が問題かというと、バランスです。

実キットと比べて、ややズングリした感じになっています。

前後とも、脚がやや小さく短くなっているのです。これにより、高速機のイメージがやや削がれてしまっています。
動力を排したモデルにおいてズングリ化するとは……。

ディティールの彫りもアイアンコングに比べてやや浅く、シャープさに欠ける感じがします。
あと、口の中が埋まったような造形になっているのも難点です。

といっても水準以上の出来ではあります。ゴムフィギュアと思えば良い出来でしょう。
ただ、それでもゴジュラスやアイアンコングの見事な造形と比べるとやはり一歩及ばない感じがします。

可動は、やはり前後脚が動きます。

さすがに疾走ポーズが決まります。
できれば下部に穴をあけてフライングベースに対応させてみたいところです。


大型ゴムフィギュア ビッグポーズ特賞

各機とも幾つかの難はありますが、それを差し引いても素晴らしい完成度のモデルだと思います。
「特賞」を引いてこれをゲットした少年の心躍りようは凄まじかったでしょう。
さすがに実キットには及びませんが、それなりに大型。可動もする。
楽しませてくれるモデルです。

これだけ出来の良いモデルなので、ゾイドバトルストーリーのジオラマでも主に遠景モデルとして多く使われました。
 
通常版ビッグピーズと共に、バトストの画面を大きく盛り上げました。
これを探すのもマニアックな楽しみ方です。

またサーベルタイガーは、意外な所で使われていたりもします。

こちらは「ゾイドバトルコミック」の序盤の一コマですが、サーベルタイガーの造形が明らかにビッグポーズ特賞版です。
火器の具合といい、爪の具合といい、よく見ると三連衝撃砲の造形も同じです。
明らかに参考として使われたのでしょう。多少ではありますが、可動するのが参考にしやすかったのでしょうか。

ちなみに中盤以降は実キットと同じ形状で描かれています。
あえてこれを考察に取り入れて「このようなサーベルタイガーもバリエーションとして存在した」と考えても面白いかもしれません。

 

とまぁ、非常に魅力的で興味深い一品です。
ビッグポーズは流通量がそこそこあったので、現在でも容易に見つかります。
またこの特賞も比較的容易に見つける事ができます。
価格にもよりますが、総合的な完成度は高く、手を出しても面白いアイテムだと思います。


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