ホエールカイザー_形状と塗装の解析・解釈

■どのホエールカイザーを作るか その1■

一口にホエールカイザーを作ると言っても、なかなか問題が山積みです。

まず、正確な形状が謎な所があるので、そこをクリアする必要があります。
ホエールカイザーは「ゾイドグラフィックス版」と「ゾイドバトルストーリー版」があり、それぞれかなり形状が異なります。


これはゾイドグラフィックス版


続けて、これはゾイドバトルストーリー版

もはやクジラをモチーフにしている事以外は完全に別物です。
しかも、クジラがモチーフといっても、ゾイドグラフィックス版はナガスクジラのようなスマートな姿をしているのに対し、 バトルストーリー版はセミクジラのように
ズングリしています。

余談ですが、ゾイドグラフィックス版のホエールカイザーは、旧日本海軍の一等輸送艦に非常に似ていると思います。

この場合、一等輸送艦がクジラに似ているとも言えますが…。
ともかく、メカ生体ゾイド時代のミリタリックなデザインを示す例にはなると思います。

さて、まずどちらのホエールカイザーを作るかが問題になってきます。
ゾイドグラフィックスには、詳細な図面データが載っており、比較的作るのが楽そうにも思えます。
併せて、設定も載っており「ホエールカイザーがディメトロドン3機と完全武装兵士300人を運べる」という設定が記載されています。

そういえばこの設定は何となく定着している感がありますが、ゾイドバトルストーリーには、もっともっと巨大なホエールカイザーが出てきます。
バトルストーリー2巻の時点で、アイアンコング50機は飲み込めそうなサイズのホエールカイザーが登場しています。
(ゾイドバトルストーリー2巻、15ページ3枚目の写真参照)
ゾイドグラフィックスとゾイドバトルストーリーでは、設定やストーリー展開が違う部分がかなりあり、
もしかしたらホエールカイザーの設定や捉え方は全然違うのかもしれません。

話がやや逸れてきましたが、ゾイドグラフィックス版の図面は下の通りです。

ただ、この図面のシルエットは、微妙に絵と合致しないようにも見えますが…。

対し、バトルストーリー版は、図面的なデータは存在しません。
ただその代わり、写真がゾイドグラフィックス版よりも多く存在している点は作りやすいと思います。

やや迷いましたが、今回はゾイドバトルストーリー版を基準に作ることにしました。
理由は、私の立体造形能力の限界から、どのみち完全再現は困難であると判断し、それならばイメージ的に違和感の無いものを作ろうと思った為です。
その為には、図面と一枚の絵しかないゾイドグラフィックス版よりも、図面は無いが写真は多いゾイドバトルストーリー版の方が作りやすいだろうと判断した為です。

また、正直、「ゾイドバトルストーリー版の方が馴染みが深いから」という点で選んだ要素も大きかったですが。

さて、決定事項としては、ゾイドバトルストーリー版を基準として作ります。
ただし、完全再現は不可能に思える為、「ホエールカイザーに見える」ならOKとしようと思います。
また、完全再現は困難な為、意図的なアレンジも加えていこうと思います。
もちろん、ゾイド世界におけるホエールカイザーが持つイメージから一切逸脱しない範囲で、ですが。
そのアレンジの中で、例えばゾイドグラフィックス版の要素を幾つか取り入れるなどしても面白いと思います。


■どのホエールカイザーを作るか その2■

さて、ゾイドバトルストーリー版を作るとして、まだ問題はあります。

それは、「どの時期のホエールカイザーを作るか」です。

ホエールカイザーが登場した時期としては「ゼネバスの逆襲(D-DAY)時」「暗黒軍による帝国ゾイド接収時」「ジェノザウラー行軍時」の3つに分かれます。
基本的な形状はどれも同じですが、微妙な差異はあります。
というかD-DAY版と暗黒軍版は同じに見えますが、ジェノザウラー行軍のものは違っているように見えます。

これは、メカ生体ゾイド時は同じホエールカイザーのモデルが「改修」程度で使いまわされていたのに対し、
機獣新世紀ゾイド時には作り直しが行われたからではないかと推測します。


左が機獣新世紀ゾイド版。
胴体上面の第一ブロックの形状にかなりの差がある他、腹部がややスリム化しているように見えます。

また、上に出した写真の角度からでは分かり辛いですが、後部の垂直尾翼の付き方が変わっており、メカ生体ゾイド版は、
「機体と垂直尾翼を接続するパーツ」があった上で垂直尾翼が在るのに対し、機獣新世紀ゾイド版では、機体にめり込むような感じで垂直尾翼が付いています。
(機獣新世紀版の形状は、公式ファンブック17ページ写真参照)

 
この辺の感じは、個人的な好みでメカ生体ゾイド版を基準にしようと思います。
単に作るだけなら機獣新世紀ゾイド版の方が簡単そうではありますが…。

ただし、先に書いたように完全再現は目指しません。
従って、必要に応じて機獣新世紀版のラインが欲しい時は、そのつど考慮に入れるスタイルで行きたいと思います。


■塗装に関して■

ホエールカイザーの塗装は、帝国機としてはかなり奇異です。
灰色一色の色は、ともすれば共和国の色イメージに近い印象を受けます。

ただこれは恐らく、リアルな考証を入れると紐解けるものと思います。

灰色の塗装は、おそらく「無塗装」であり、金属地肌の色であると思います。
何ゆえ無塗装であるかは、ホエールカイザーのサイズに解答を得られると思います。

ホエールカイザーは言うまでもなく巨人機で、全身を塗装するならその塗料は半端無い量になります。
まぁ、塗料くらいケチらなくてもいいとは思いますが、問題はその重量です。
ホエールカイザーの全身に塗装を施すとどれ位になるかは不明ですが、十トンは下らないものになると思われます。

もしホエールカイザーが船だったら問題ない数値ですが、問題はホエールカイザーは航空機である事です。
少しでも早く身軽に飛びたい航空機にとって、この重量は致命的です。

現実世界での例を出すなら、ジェット旅客機のポケモンジェットは、その塗装のせいで大幅な燃費の悪化があるようです。
これは塗料による重量増加と、塗装した事による空気抵抗の増加が理由です。
(塗装をすると、わずかながら塗料の厚みで機体形状が変化し、空気抵抗が増加します)

これが一人乗りの戦闘機程度なら、塗料の重さなど気にするほども無い数値ですが、ホエールカイザーにとっては致命的なのでしょう。
(ただし、戦闘機サイズでも若干は影響する為、旧日本軍には、機体の塗装を引っぺがす搭乗員も居たと言います)

またおそらく、ホエールカイザーはかつてない巨人機ではあるものの、別に技術的に「余裕」で作られているわけではないと思います。
むしろ多くの兵器がそうであるように、エンジンにしろ機体設計にしろギリギリの設計で作られているものと思います。
その機体にとって、少しでも無駄な要素は省きたかったという事だと思います。

つまりこのように考えるとホエールカイザーがこの色である事は、全く理想的であると思います。
個人的には、ホエールキングが帝国=赤色をしている事の方が奇異に感じてしまいます。

ただ、ゾイドはフィクションである事は確かであり、あまりリアルに捉えすぎるのは良くない傾向だとも思います。
従って、とりあえずは灰色のものを作り、可能であれば後から黒と緑の暗黒仕様だとか、共和国に鹵獲されて青く塗られたものだとかも作れればと思います。


■製作開始■

以上をまとめると、

@形状はゾイドバトルストーリー版、なおかつメカ生体ゾイド時のもの。ただし必要に応じて他要素も加える。

@完全再現は技量的・資料的に困難なので、ホエールカイザーのイメージを壊さない範疇でアレンジも加える。

@塗装は灰色で作る

として作りたいと思います。

この考えに従い、いよいよ製作を開始します。
まずは、3DCGを使用し、自分なりのホエールカイザーを作ります。

図面が存在しない為、機体寸法は目分量で合わせています。
数少ない手持ち資料を穴が開くほど眺め、納得いく形状に仕上げます。
例えば全身が写っていないシーン…、ウルトラザウルスに撃墜されてるシーンだとかマッドフライに叩き落されてる場面なんかでも、
眺めれば貴重な情報が読み取れる事があります。

ホエールカイザーは形状自体はこの上なく単純ですので、3DCGの製作自体はすぐに出来ます。
問題は、微妙な形の比率で、最もホエールカイザーらしく見える比率で仕上げるという点です。
また、自分だけでなく、万人がホエールカイザーだと思える姿である点も目指しています。

細かいパーツ(全身にビッシリと入ったモールドなど)は現段階では全く無視しています。
ひとまずおおまかな形状を完璧に仕上げます。

この3DCGモデルを活用し、実際に「手で触れる」立体を作っていきます。

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