初めての方へのゾイド解説 ~メカ生体ゾイドのストーリー~


メカ生体ゾイドのストーリーを極簡略化して紹介します。
ゾイド星では「ZAC(ザク)」と呼ばれる紀年法が使われています。

主な舞台となるのは「中央大陸」です。中央大陸の地図は下の通りです。

オレンジ色の部分は山岳地帯です。山岳の中でも、大陸中央に走る山脈は2000mを超える山々が連なり特に険しい地帯です。
これは「中央山脈」と呼ばれます。中央山脈は大陸を東西に二分しています。

 

前史
中央大陸には二つの国がある。
西側に国を構える、ゼネバス皇帝をトップとした「ゼネバス帝国」と、東側に国を構える、ヘリック大統領をトップとした「ヘリック共和国」だ。
両国は対立し、互いに中央大陸制覇を目指して長い全面戦争をしていた。


※赤い部分がゼネバス帝国、青い部分がヘリック共和国、白い部分は両国の首都を示します。

主力兵器はゾイドだ。
両軍は、ゾイドの量産や強力な新型機の開発を進めながら勝利を目指して戦っていた。

戦争は長く続いていたが、ある時、地球から巨大輸送船「グローバリーIII」が飛来し不時着する事件が起こった。
この事件で、地球技術がゾイド星に伝わった。地球技術は高度で、ゾイド星の水準を大きく超えていた。
この直後から、ゾイドは以前よりも遥かに強力な兵器に進化した。こうして、戦いは激化していった…。

 

ZAC2030

この頃の帝国軍最強ゾイドは「レッドホーン」、共和国最強ゾイドは「ゴジュラス」だった。
レッドホーンは万能、ゴジュラスは格闘戦を得意としている。共に強力だが、ゴジュラスが一枚上の強さだった。
両者の力関係は、そのまま両軍の力関係でもあった。戦いは、共和国軍優位に進んでいた。

 

ZAC2031

共和国軍が、巨大飛行ゾイド「サラマンダー」を完成させた。
サラマンダーは、帝国領土を爆撃し高い戦果を挙げた。共和国軍は、決定的な優位を得たかにみえた。

 

ZAC2032

帝国軍が、起死回生の切り札「アイアンコング」を完成させた。
抜群の砲撃力を誇る巨大ゾイドだ。多数の高性能ミサイルの威力は極めて高い。
サラマンダーを撃ち落し、ゴジュラスとも五分に戦える。アイアンコングの完成で、帝国軍は戦線を大きく盛り返した。

 

ZAC2036

帝国軍は、その後も新型ゾイドの開発に力を入れた。
強力な新型ゾイドの中でも、「サーベルタイガー」は抜群の活躍をみせた。
史上初となる大型高速ゾイドで、ゴジュラスをも苦戦させる能力であった。
かつて最強を誇ったゴジュラスも、今ではアイアンコングやサーベルタイガーに苦戦している。
戦線は帝国軍優位になり、共和国軍は敗北するかにみえた。

 

ZAC2037

苦戦する共和国軍だが、ようやく新型ゾイドの開発に成功した。巨大なキャノン砲を持った超巨大ゾイド「ウルトラザウルス」である。
抜群の砲撃力に加えて、味方部隊を指揮する旗艦機能にも優れていた。
共和国軍は、ウルトラザウルスを使用した大反撃作戦を計画した。

 

ZAC2038
ウルトラザウルスを量産した共和国軍は、ついに反撃に出た。
ウルトラザウルスは、水陸両用性能を持っている。それを活かして、敵地への上陸作戦が行われた。
作戦は成功した。共和国軍は大進撃を開始した。ここへきて、戦況は逆転した。

 

ZAC2039
ウルトラザウルスの力で、共和国軍は中央大陸全土を制圧した。
戦いは共和国の勝利に終わった。

だが、戦争が完全に終結したわけではなかった。
最終局面で、残存する帝国軍とゼネバス皇帝は中央大陸からの脱出に成功したのである。


彼らは北にある「暗黒大陸」に渡った。そこで軍備を再建し、機が熟せば中央大陸に帰還する計画を立てた。

中央大陸は全土が共和国のものとなり、一時的な平和が訪れた。
だが完全な勝利ではない。いずれ、帝国軍はより強くなって帰還するだろう。戦いは、まだまだ続きそうであった。

※左下の大陸は「西方大陸」ですが、メカ生体ゾイドのストーリーでは舞台にならなかったので無視しても大丈夫です。

 

ここまでがメカ生体ゾイドの「第一部」とも言うべき期間です。
玩具的に言えば、1983年~1987年3月までに展開されたストーリーです。
1987年4月…、新年度からは新しい「第二部」とも言うべき新しいストーリーが始まります。


 

ZAC2041

帝国軍は、暗黒大陸での軍備再建を完了した。
大部隊を編成した帝国軍は、中央大陸への帰還作戦を実施した。この作戦は「D-DAY上陸作戦」と呼ばれた。

作戦には、暗黒大陸で完成した新型ゾイド「ディメトロドン」が中核に選ばれた。高い電子戦能力を持ち、共和国のレーダーや通信を妨害する。
統制のとれない共和国軍は、ロクな動きができないまま大敗した。

上陸作戦は成功し、帝国軍は中央大陸への帰還を果たした。帝国軍は猛攻し、年内に西側領土の全てを奪還した。

 

ZAC2042

帝国軍の猛攻は続いたが、共和国軍もようやく新型ゾイド「シールドライガー」を完成させて反撃に出た。
サーベルタイガーを超える高速ゾイドで、共和国軍の戦線を立て直した。
帝国軍は一度は東側に進出したが、シールドライガーの活躍で押し戻されてしまったのである。

 

ZAC2043
帝国軍が再び猛攻した。共和国軍はシールドライガーを先頭に戦いを続けたが、ジワジワと後退していった。

 

ZAC2044

帝国軍は、新型ゾイド「デスザウラー」を完成させた。
ゴジュラスを大きく超える格闘力、キャノン砲の直撃にも耐える防御力を持つ強力無比なゾイドであった。
また、史上最強の荷電粒子砲を持つ。背中のファンで空気中の荷電粒子を取り込み体内のシンクロトロンジェネレーターで加速、発射するという恐るべき装備である。
照射された対象は原子にまで破壊される。防ぐ術は一切なかった。

デスザウラーの登場で、共和国軍の戦線は崩壊した。帝国軍は共和国首都を攻略した。

共和国首都の攻略で、戦いは帝国の勝利に終わるかにみえた。
だが首都を失った共和国は、降伏せずゲリラ戦で帝国軍に抵抗した。
戦争はまだ長く続きそうであった。

 

ZAC2045
量産されたデスザウラーが各地で猛威を振るった。だが、ゲリラ戦を行う共和国軍は各地で粘り強い抵抗を続けた。
共和国軍は、主にデスザウラーが行動できない海や山で戦う戦略を採った。その結果、少しずつだが失地を回復していった。

 

ZAC2046

対デスザウラー戦を視野に入れた共和国軍新型ゾイド「ディバイソン」が完成した。恐るべき突撃力と17門突撃砲の大火力を持つ。
正面からの戦闘で勝てるものではないが、奇襲を成功させれば損傷を与える事はできる。
ディバイソンを先頭に、共和国軍は勢いを増した。

 

ZAC2047
共和国軍が、対デスザウラー用決戦ゾイドの開発を本格的に開始した。
暫定的な対抗機ディバイソンではなく、正面から完全に勝てるゾイドの開発を望んだのである。

 

ZAC4048

10月、対デスザウラー用決戦ゾイド「マッドサンダー」が完成した。
荷電粒子砲に耐える防御装置「反荷電粒子シールド」と、デスザウラーの正面装甲を貫く回転ドリル「マグネーザー」を持った超巨大ゾイドである。
期待通りの能力を発揮したマッドサンダーは、ついに正面からデスザウラーと戦い完勝した。
これにより共和国軍は一気に力を取り戻し、首都を奪還した。

 

ZAC2050
マッドサンダーが量産され、帝国領土への進撃作戦が行われた。
決定力を得た共和国軍の勢いは凄まじく、帝国軍は各地で敗走を重ねた。

 

ZAC2051
帝国首都が陥落した。
敗戦確実になった帝国軍は、残存する全ての戦力を中央大陸北西にある「ニカイドス島」に移動させた。
かつてと同じように、残存戦力を暗黒大陸に脱出させ軍備を再建する計画であった。
ニカイドス島への戦力移動を察知した共和国軍は、大部隊で島への上陸作戦を行った。

上陸後の共和国軍は猛攻し、帝国軍を追い詰めた。
だがその時、突如として謎のゾイド「デッド・ボーダー」を中心とした部隊が現れ共和国軍を攻撃した。
謎の部隊は猛攻し、共和国軍に大被害を与えた。突然の事態に混乱した共和国軍は、島の攻略を放棄し撤退した。

だが謎の部隊は、帝国軍の脱出支援に来たわけではなかった。共和国軍を撤退させた後、今度は帝国軍にも襲い掛かったのだ。
共和国軍を撤退させた部隊に、今の帝国軍が勝てるはずはない。帝国軍は降伏した。

こうして、戦いは思いも寄らぬ展開を迎えた。
帝国軍はどうなってしまったのか。謎の軍団とは一体何なのか。共和国軍はどうなるのか。
ゾイドは今、新時代に突入しようとしていた。

 

ここまでがメカ生体ゾイドの「第二部」とも言うべき期間です。
玩具的に言えば、1987年4月~1989年3月までに展開されたストーリーです。
1989年4月…、新年度からは謎の軍団との戦いを描いた「第三部」が始まります。


 

ZAC2051(ニカイドス島での戦いの後)

謎のゾイド部隊は、暗黒大陸の国家「ガイロス帝国」の軍であった。デッド・ボーダーは、同軍に所属する主力ゾイドである。
ガイロス帝国とは、ガイロス皇帝をトップとする強力な軍事国家であった。

ガイロス帝国は、ゼネバス帝国と密約を結んでいた。
「ゼネバス帝国に危機が起こればこれを救援する」
かつて行われたゼネバス帝国の再建は、この密約に基づく支援によって達成されたものであった。
だが今、ガイロス帝国はゼネバス帝国を裏切った。二度目の敗戦を迎えようとしていたゼネバス帝国を、もはや支援する必要なしと判断したのである。

※この時期はガイロス帝国軍は「暗黒軍」と称されていたので、以下は暗黒軍の表記を用います。
 「暗黒軍=ガイロス帝国軍」「帝国軍=ゼネバス帝国軍」です。

暗黒大陸は、中央大陸に比べて環境が悪い。
実は、ガイロス帝国は環境の良い中央大陸を攻略し移住する野望をずっと抱いていた。
ゼネバス帝国との密約も、この目的の為の偽りの条約に過ぎなかった。

ニカイドス島で降伏した帝国軍は、暗黒軍に接収された。この後は、暗黒軍内の一部隊として扱われる。
この措置で、暗黒軍の戦力は補強された。

共和国軍は強力だが、さすがに長く続く戦争に疲弊も隠せない。
このタイミングで、暗黒軍は残存する帝国軍を吸収・そして自ら共和国軍と戦い攻略する決意を固めたのである。
今、新たなる戦いが始まった。


※赤い部分がガイロス帝国、青い部分がヘリック共和国、白い部分は両国の首都を示します。
 これまでの戦いを経て、中央大陸は全土がヘリック共和国になっています。ゼネバス帝国は滅亡しました。
 またヘリック共和国はこの時期に国章を若干改定しています。
 暗黒大陸の地形などの情報は「不明」となっています。ただし、全体的に中央大陸よりも寒く険しい地帯とされています。

 

10月、共和国軍は暗黒大陸への上陸作戦を行った。
だがデッド・ボーダーや暗黒軍によって改良された改良型レッドホーン「ダーク・ホーン」の強力なパワーを前に撤退を余儀なくされた。
上陸作戦は失敗した。共和国軍は、暗黒大陸の厚い壁を思い知った。

 

ZAC2052

共和国軍は、超砲撃型ゾイド「ガンブラスター」を完成させた。
ガンブラスターを中核とした第二次上陸部隊が編成され、決行された。期待通りの能力をみせたガンブラスターは、抜群の砲撃力で作戦を成功に導いた。
共和国軍の、ガイロス帝国首都攻略を目指す進撃が始まった。

 

ZAC2053

共和国軍は、予想以上の速度で進撃を続けていた。だがそれは、暗黒軍の罠であった。
10月、暗黒軍は最終兵器「ギル・ベイダー」を投入した。
サラマンダーをはるかに超える超巨大飛行ゾイドで、両翼にあらゆるものを切り裂くビームスマッシャーを持つ。
また飛行ゾイドながらにデスザウラーを超えるパワーも持つ。

空からの攻撃に、マッドサンダーやガンブラスターも有効な手を撃つ事ができなかった。
暗黒大陸奥深くに進撃していた共和国軍は壊滅的な被害を被った。深入りをあえて許し、敵戦力を有効に撃滅する作戦だったのである。

ギル・ベイダーは、同時に中央大陸への爆撃も実施した。目標はヘリック共和国首都であった。

首都は大打撃を受け、一度の爆撃で8万人もの犠牲者を出した。有効な迎撃はほぼゼロという有様であった。
戦況は一変し、共和国軍は追い込まれた。共和国軍は後退を重ね、支配域を大きく狭めた。

 

ZAC2054

暗黒大陸内の共和国軍は、もはや大陸からの撤退寸前であった。
また中央大陸本土も、ギル・ベイダーに対する有効な迎撃が行えない事から危機的状況であった。

ギル・ベイダーは量産され、暗黒軍は勝利に王手をかけた。
だが共和国軍は応急的な対ギル・ベイダー用空戦ゾイド「オルディオス」を完成させた。
総合力ではギル・ベイダーに大きく劣るが、勝てる可能性もわずかながらあった。

オルディオスは決死の出撃で、みごと一機のギル・ベイダーを撃墜した。
この時点で、オルディオスの配備数はわずかであった。また、一機のギル・ベイダーを撃墜できたのは奇跡的な幸運であった。
マトモに戦えば、すぐさま全滅に追い込まれる事が必至であった。
だが、共和国軍は効果的な情報操作でオルディオスの能力と配備数を誇大に偽った。
暗黒軍は騙され、ギル・ベイダーの運用に大きな制限をかけた。暗黒軍は勝利のチャンスを逃し、共和国軍は貴重な時間を稼いだ。

 

ZAC2055

オルディオスを先頭に、共和国軍は進撃を再開した。
この頃にはオルディオスの真の実力 -実のところギル・ベイダーに大きく劣る- は暴かれていた。
だが、オルディオスは生産性でギル・ベイダーに勝る。この時期には既に十分な数が配備されていた。

ギル・ベイダーも量産されていたが、さすがに超巨大ゾイドであり生産数は低い。数で圧す戦術で、オルディオスは勝利を重ねた。
ついに、共和国軍はガイロス帝国首都近くにまで迫った。

苦戦する暗黒軍は、対オルディオス用空戦ゾイド「ガン・ギャラド」を完成させた。オルディオスに勝る空戦力と、同等の生産性を持つ。
配備されたガン・ギャラドは、期待通りの能力でオルディオスに快勝した。
これが量産されれば、再び暗黒軍は戦況を優位に運べたはずである。だがその登場は遅すぎ、十分な数が揃う事はついになかった。

暗黒軍は敗北を重ねた。
10月、共和国軍はガイロス帝国首都目前に到達した。ここを陥落させれば共和国は勝利を得る。

 

ZAC2056

共和国軍は、最大最強ゾイド「キングゴジュラス」を完成させた。
共和国軍がもてる全ての技術をつぎ込み完成させたゾイドで、デスザウラーやマッドサンダーをも超える圧倒的な強さを誇る。
陸上ゾイドだが、ギル・ベイダーに対して優位に戦う事さえできた。
キングゴジュラスの登場で、共和国軍の勢いは更に増した。

ついに、ガイロス帝国首都は陥落した。
ガイロス皇帝は自ら専用機に乗り込み決戦を挑んだが、キングゴジュラスを前に敗北した。
戦いは止んだ。一部には徹底抗戦を唱える暗黒軍残存部隊もあった。だが、もはやそれらの部隊が戦況を覆せる筈はなかった。
趨勢は完全に決した。共和国は勝利を得るかに思えた。

だがその時、思いも寄らぬ事が起こった。
突如として宇宙から巨大隕石が飛来、ゾイド星に三つある月の一つを直撃したのである。

 

衝突で月は砕け、破片はゾイド星に降り注いだ。
これにより、惑星規模の大異変が起こった。「グランドカタストロフ」である。
星全体に激しい磁気嵐が吹き荒れた。中央大陸は三つに割れ、暗黒大陸は一部が海に沈んだ。

 

磁気嵐を受け、多くのゾイドが機能停止した。人的被害も計り知れなかった。
もはや、協定を結べるような状態ではなかった。
グランドカタストロフは、戦いの結末を飲み込み猛威を振るった。まだ治まる気配さえ見せていない。
長く続いた戦いの果てにあったのは、惑星異変という長く辛い時代の始まりであった。

 

以上が、メカ生体ゾイドのストーリーのあらすじです。
「第三部」の部分は、1989年4月~1991年3月までに展開されたストーリーです。

5冊の本「ゾイドバトルストーリー」には、オルディオス参戦直後までが掲載されています。
その後の展開は本としてはまとめられていません。
その部分について、本項のあらすじは学年誌に掲載されたストーリーを元に書いています。

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