初めての方へのゾイド解説 ~ゾイドとは~


ここでは、ゾイドに初めて触れる方に向けての解説をします。細かい事まで網羅すると長くて分かりにくくなるので、極めて大きな事柄のみを解説します。

 

■ゾイドとは
ゾイドとは、株式会社トミー(現タカラトミー)が1983年から展開している玩具シリーズです。
また、シリーズに登場する機体の事もゾイドと呼びます。
恐竜、動物、虫といった様々な生物が戦闘メカになっています。


■玩具としてのゾイドとは
ゾイドは玩具です。簡単に言うとプラモデルです。
ただし普通のプラモデルではありません。「動力」を持っているのが大きな特徴です。
ゼンマイやモーターを内蔵しており、完成後は歩行アクションを楽しむ事が出来るのです。
「動くプラモ」というのがゾイドの大きな特徴です。

スケールは1/72で統一されています。
コックピットがあり、中にパイロットフィギュアを入れるようになっています。


パイロットフィギュアを入れる事でリアル感が高まります。


■ゾイドの設定やストーリー
ゾイドはバックストーリーを持ちます。
地球から遠く離れた「ゾイド星(惑星Zi)」を舞台に、ゾイドを使ったバトルが行われています。
バトルとは戦争であったり競技であったりします。バックストーリーもゾイドシリーズの大きな魅力です。

ストーリーは、大きく分けて「ジオラマ戦記」と「アニメ」で展開されます。
ジオラマ戦記とは、ゾイドの玩具を使用したジオラマを作り、戦記ストーリーを添える形で展開されているものです。


■ゾイドの簡易年表
ゾイドは、「ジオラマ戦記」「アニメ」の二系統で展開されています。ここでは併記します。

このような展開をしているので、ユーザーによって「メカ生体ゾイドで初めて触れた」「機獣新世紀ゾイドで初めて触れた」「アニメゾイドで初めて触れた」など、
初めてのゾイドが違っている事もあります。
各シリーズによって雰囲気に差もあるので、最初にどれに触れたかによってゾイドの印象が随分異なるかもしれません。

様々なシリーズがあるので最初はややこしいと感じるかもしれませんが、特に最初にこれを見る必要があるというものはありません。
興味がありそうなものから見てみると良いでしょう。


 

 

★★ゾイドのここが凄い★★
ここからは、ゾイドの魅力を少しだけ詳しく紹介します。

★多様性が凄い
「生き物の形をした戦闘メカ」は珍しくありませんが、ゾイドはその中でも絶大な存在感を誇っています。
まず、抜群の多様性を誇ります。モチーフは極めて多彩で、様々な形をしたゾイドが居ます。

恐竜型ゾイドでは、ティラノサウルス型、スティラコサウルス型、ロンギスクアマ型、パノプロサウルス型など、メジャーからマイナーまで膨大な種類が居ます。
動物型ゾイドも、ゴリラ型、ライオン型、ゾウ型、サイ型、犬型、ハリモグラ型、ムササビ型など、膨大な種類が居ます。
カタツムリ型、ヤドカリ型、クモ型、トンボ型、魚型など、ヒーロー性は薄いが強烈な印象を残すゾイドも多く居ます。
更に、ドラゴンやグリフォンなどの架空生物をモチーフとしたゾイドも居ます。

身近な生き物、動物園で見る生き物、古代の生き物、空想上の生き物。
様々なモチーフのゾイドが居て、それら全てが合わさってゾイド生態系ともいうべき世界を構築しているのは大きな魅力です。
「カッコいい」は重要だけど、だけでは飽きてしまう。
けどもカタツムリ型やヤドカリ型などのユーモラスでマニアックなゾイドが混在する事で、上手くバランスがとれ飽きる事のない奥深い世界ができあがっています。

大きさも様々です。
一人乗りのバイク程度の大きさのゾイドから、全長50mに達する超巨大ゾイドまであります。
以下に、統一スケールで幾つかのゾイドを並べてみました。モチーフと大きさの多様性が分かると思います。

ゾイドの種類は現在では200を超えます。これはほんの一部です。


★リアルなメカが凄い
各ゾイドのデザインは秀逸です。
モチーフとなった生物が的確に再現されているのはもちろんですが、メカニックとしても魅力にあふれています。
メカデザインとしての特徴は、とにかく徹底して造りが細かい事です。方向性は、パイプやシリンダーが露出した「ゴチャメカ」です。
過剰とも言える程の造りが「リアル」を感じさせます。本体デザインも武器デザインも、実在感タップリに造られています。

ゾイドはバックストーリーを持ちますが、多くは「共和国軍」「帝国軍」という二大勢力に分かれた戦いをしています。
両軍のゾイドのデザインには差が付けられています。
大まかに言って、
共和国軍のゾイドは「直線的」「パイプなどのメカが外部に多く露出している」「色はグレーや青系」
帝国軍のゾイドは「曲線的」「装甲で覆われ比較的スッキリした外観をしている」「色は黒や赤系」
といった違いがあります。
そして重要なのは、共和国ゾイドも帝国ゾイドもどちらも魅力的という事です。

これは共和国軍「シールドライガー」と帝国軍「サーベルタイガー(セイバータイガー)」です。
両軍のゾイドデザインの差をよくあらわしています。好みはどちらでしょうか?

デザインの差は、両軍の設計思想や技術の差を上手く表現しています。
デザインに差があるので、必然的にユーザーにも「共和国派」「帝国派」が生まれました。
各派は熱心に好きな陣営を応援し、ストーリーを盛り上げキットを収集しました。これがまた、ゾイドブームをより加熱させました。


★玩具の構造が凄い
ゾイドは動くプラモですが、ここにも凄さがあります。
プラモ的な特徴としては、組み立てが簡単になっています。これはゾイドのメインターゲットが小学生で、その年齢の子供でも組めるように配慮している為です。

「接着剤が不要」「色分けがされているので塗装が不要」という嬉しい仕様です。
これらは現在では当たり前の要素ですが、1983年当時としてはなかなか先進的でした。パーツ数も少なく、子供向けのプラモデルとして最適な造りをしています。

それでいて、組み当てた時の完成度は極めて高い。パーツ数が少ないにも関らず、色分けは完璧です。
ほとんどのゾイドは一部(キャノピーや目など)にクリアパーツを使用しており、高級感もあります。
各部のモールドもリアル感も抜群。生き物の形をしている事も相まって、今にも動き出しそうな迫力があります。

 

「改造」しやすいように作られているのも特徴です。
ゾイドは伝統的に、ユーザーに「改造して君だけのゾイドを作ろう」と呼びかけています。
ゾイドには「ハードポイント」と呼ばれる武器を付ける凸があります。

この凸の直径はごく一部のゾイドを除いて統一されています。なので、2つ以上のゾイドを買えば、相互で武器を交換する事ができます。

こうして気軽に改造を楽しむ事が出来るのもゾイドの特徴です。もちろん、上級者になれば自作武器を作って取り付ける事もできます。

 

「動くプラモ」という部分にも凄さがあります。
完成後は歩行させる事ができますが、単に歩くだけではない。各機毎にユニークなアクションを見せてくれます。
例えば長い首を持つ「ブラキオス」は、首を大きく動かしながら歩行します。

キャノン砲を持つウルトラザウルスは、それを大きく動かしながら歩行します。ドリルを持つブラックライモスは、それを回転させながら歩行します。
電動ゾイドの一部は、目を光らせるものもあります。

ギミックは各機毎の差があり、「このゾイドはどんな動きを見せてくれるのだろう?」というワクワクがあります。
ゾイドを手に入れる喜びの一つが、この素晴らしい動きを見る事でした。ギミックの凄さもユーザーを虜にしました。


★世界観やストーリーが凄い
ゾイドは独自の世界観やバックストーリーを持ちます。
これがとても上手く設定されていて、ゾイドをより盛り上げています。

世界観として、地球から遠く離れた「ゾイド星(惑星Zi)」を舞台にしています。
より詳細に言うと、
・地球から銀河の中心を挟んで正反対、距離にして6万光年の位置に未知なる星域「ゾイド・ゾーン」が発見された。
・星域はG型恒星を主星に抱く6つの星で構成されていた。その内の第二惑星がゾイド星である。
といった風に、詳細で魅力的な設定が用意されています。
一言で言うと「ワクワクする」世界です。

一方で、完璧な世界になっているわけではありません。
世界観をには、まだ解明されていない多くの「謎」があります。これを考えるのもゾイドの大きな楽しみです。
各ゾイドも、詳細な設定はありつつも一方で謎は多くあります。
「魅力的な世界観の提供と、まだ解明されていない多くの謎」
このバランスが絶妙で、多くのファンはゾイドに惹き付けられています。

ストーリーは、ゾイドがぶつかり合う豪快なバトルです。その力強さや派手さに子供は魅了されました。
ですが、それだけではありません。ゾイドの中にはパイロットが入っています。
ストーリーは人が織り成すドラマでもあります。パイロットの他にも、国の指導者、開発者など様々な人物が登場して重厚な物語を築いています。
特徴として、特定の主人公は居ません。様々な人物が織り成す「群像劇」の形をとってストーリーが進行します。
※ただし例外としてアニメには主人公が居ます。

物語の深さは、大人になって初めて気付くようなものさえあります。
ゾイドは大人のファンが多いのも特徴です。ゾイドのデザインやギミック、そして魅力的な世界観がそれを実現しています。


★派生アイテムが凄い
多くの魅力的な要素を持ったゾイドは、大人気を博して多くのファンを獲得しました。
今でも心をつかまれっぱなしのファンも大勢居ます。

その為、現在ではタカラトミー社以外からも多くのゾイドが発売されています。
ここではその中でも有名なものを紹介します。
※以下においてタカラトミー社から発売された玩具版ゾイドを「初代キット」と呼称します。

コトブキヤ HMMシリーズ

コトブキヤが2006年から展開しているシリーズです。HMMは「ハイエンドマスターモデル」の略です。
リリース数も多く、現在では初代キットと人気を二分するほどの定番シリーズになりました。

動力を廃止したプラモデルです。スケールは初代キットと同じ1/72です。完成後は、自由自在にポーズを付ける事ができます。
初代キットは、動力ギミックが嬉しい一方で「ポーズが付け辛い」という弱点もありました。
例えば、歩行させる関係で脚は正面を向いており「八の字立ち」ができません。
HMMではその点が解消されています。

完成後は、自由自在にポーズを付ける事ができます。
また「ハイエンド」の名が示すようにヘビーユーザーを対称にしています。
なのでパーツ数は極めて多く、組み立ての難度は初代キットよりも飛躍的に高くなっています。ですが、それがまたヘビーユーザーを楽しませています。
デザインや設定はアレンジも多く、新しい解釈で再構築したゾイドとも言えます。

コトブキヤZAシリーズ

コチラもコトブキヤが展開しているシリーズです。
ZAは「ゾイドアグレッシブ」の略です。初代キットやHMMより一回り小さな1/100スケールで作られています。
完成済みのアクションフィギュアで、箱から出したらすぐに遊ぶ事ができます。組むのが苦手なユーザーにはオススメのシリーズです。
動力はありませんが、各部が可動し好きなポーズをとる事ができます、

コトブキヤDスタイルシリーズ

コチラもコトブキヤが展開しているシリーズです。
Dスタイルはゾイド専用のシリーズではありませんが、幾つかのゾイドがこのシリーズからリリースされています。
ゾイドとしては珍しく、可愛らしい造形になっています。
プラモですが、パーツ数は少なく組み立て難度は本家キットの中型ゾイド並に低く、初心者でも問題なく組めるでしょう。
動力はありませんが、組み立て後はポーズをつけて楽しむ事が出来ます。

トミーテックMSSシリーズ

タカラトミーの子会社「トミーテック」が展開しているシリーズです。(現在は第一期シリーズを展開終了し休眠中です)
動力を廃止したプラモデルで、1/144スケールの極小サイズで作られています。小さいながら、完成後は自由自在にポーズを付ける事ができます。
パーツ数もなかなか多く、HMMシリーズ程ではないものの組み応えもあります。

タカラトミーMPシリーズ

本家タカラトミーが「究極のゾイド」として展開しているシリーズです。
大人ファン向けに、現在持てる最高の技術を惜しみなく投入して作られた超豪華なゾイドです。
それだけに販売価格は高額ですが、見合うだけの完成度を誇ります。

スケールは1/72です。初代キットと同じく動力を持ち、完成後は動力ギミックを楽しむ事が出来ます。
豪華絢爛な仕様のおかげで、ギミックはかなり複雑になっています。まさに大人向けのゾイドと言えます。
現在はシールドライガーとセイバータイガーがMPシリーズでリリースされています。

この他にも派生アイテムは多くありますが、キリが無いので略します。
魅力的なゾイドなので、今後もアイテム数を増やし成長を続けてゆく事でしょう。


 

★★ゾイドのここが残念★★
ゾイドには残念なところもあります。
それは、資料の観覧が極端に難しい事です。

ゾイドのストーリーは、「メカ生体ゾイド」で5冊の本にまとめられています。「機獣新世紀ゾイド」では4冊の本にまとめられました。


ですがこれらの本は現在では絶版で、入手は極めて困難です。
タカラトミーはゾイド公式HPを持っていますが、そこにもストーリーの情報等はほとんど載っていません。
あるのは断片的な情報のみ…。

例外として、アニメは四作ともブルーレイボックスでリリースされているので比較的楽に入手できます。
TUTAYAなどに行けばレンタルしている所もあります。
ですが、アニメ以外のゾイドはストーリーや世界観を把握する事が困難なのが現状です。

せっかく魅力的な世界観やストーリーを持っているのに。それを知ればゾイドは何倍も面白くなるのに…。
それが現在のような状況になっているのはとても残念です。せめて電子書籍でダウンロード販売してくれれば良いのですが…。

もう少し詳しく言えば、「メカ生体ゾイド」は5冊の本、「機獣新世紀ゾイド」は4冊の本になっています。
しかし実は、それだけではストーリーを100%把握する事は不可能です。
ゾイドの本は「雑誌や玩具付属のミニ冊子にストーリーが載る」→「それを再編して本としてまとめる」という手順で出来ています。

メカ生体ゾイドの5冊の本。5巻ラストは、まだ戦いは終わっておらずこの後も続くという所です。
雑誌(学年誌)に掲載されたストーリーでは完結まで展開されたのに、その後に本としてまとめられなかったのです。
機獣新世紀ゾイドも、4巻のラストはまだまだ戦いは続くという所です。
こちらも、玩具付属のミニ冊子では区切りの良い所まで展開されました。しかし、その後に本としてまとめられなかったのです。

言うまでもなく、エンディングはとても重要な部分です。
ストーリーを完全に把握するには、当時の雑誌や玩具付属のミニ冊子を入手する必要があります。それは現実的に言って不可能に近い事でです。

現在いるファンが「過去の資料をほしい」と思っている事はもちろんですが、「資料がない状態では新規ユーザーが獲得できない」というのは深刻な問題でしょう。
魅力的なゾイドがその魅力を伝えきれないままジリ貧になるのは残念な事です。
今後において、この点は早急に何とかしてほしいものです。そうすればゾイドの未来はもっともっと明るくなると思います。

Back
index

inserted by FC2 system