ゾイドの海外展開
ここでは、日本国外におけるゾイドの展開を解説します。
トミーはもともと海外展開に強い会社で、開発した玩具の多くは世界各国で販売されています。ゾイドも、もちろん海外展開されています。
なにぶん海外の事なので情報が不足がちなのが実情ですが、研究・解明した分だけでも掲載します。
(間違いのご指摘や新情報の提供などありましたら是非お願いします)
海外でのゾイドは、主にアメリカとヨーロッパで展開されています。
(それ以外の地域、例えばアジア各国などでも販売されていますが、シリーズとして大きく展開されたのはアメリカとヨーロッパです)
以下に、それぞれの地域に分けて解説します。
アメリカ市場
アメリカでのゾイドに関しては編集中です。申し訳ありませんが、完了するまでしばらくお待ちください。
ヨーロッパ市場
ここでは、ヨーロッパでのゾイドの販売や展開について解説します。
トミーは、1982年に「トミーUK」をイギリスに設立しました。
これによりトミー製品のヨーロッパ展開が容易になり、ゾイドも同域へ進出を果たす事になりました。
ヨーロッパでは、80~90年代かけて二つのゾイドシリーズが展開されました(2000年代以降は調査中です)。
シリーズ名は「ZOIDS」「ZOIDS2」です。それぞれ解説します。
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ZOIDS
80年代(おそらく84年~88年)に展開されたシリーズです。
ヨーロッパで展開されましたが、具体的にヨーロッパのどの国かは不明です。確実な所としては、イギリスとフランスでは販売されています。
キットの製造は日本で、販売はトミーUKが行っていました。
シリーズ名は日本版と同じ「ZOIDS」です。ZOIDSのロゴも、日本版と同じものが使用されていました。
リリースされた一部の機体は、日本版とは成型色が異なります。また、ほとんどの機体は、日本版とは名称が異なっています。
付属するシールは、日本版と同じもののようです。
また、ヨーロッパの玩具安全基準では、弾を発射するギミックは危険という事で禁止されていました。
その為、ミサイル発射ギミックを持つゾイドは、スプリングを省略したり装備を変更されたものもありました。
中でも、アイアンコングは、肩の6連発ミサイルがまるまる別の装備に変更されています。
バックストーリーは、「ブルーゾイド軍」と「レッドミュータントゾイド軍」に分かれて戦っているというものでした。
舞台がゾイド星かどうかは不明です。
各陣営は、共和国軍と帝国軍をそのまま移行させたわけではなく、独自の構成となっています。
例えば、ブルーゾイド軍の所属ゾイドにはゴジュラス、アイアンコング、カノントータス、イグアンなどが居ます。
レッドミュータントゾイド軍には、レッドホーン、マンモス、サラマンダー、マルダーなどが居ました。
日本版からすると、かなりごちゃ混ぜの印象を受けます。
なお、ブルーゾイド軍の紋章はヘリック共和国軍と同じもので、レッドミュータントゾイド軍の紋章はゼネバス帝国軍と同じものでした。
この展開に、途中から新たに「反乱軍」も加わり、どうやら三つ巴の戦いになった様です(反乱軍の紋章は不明)。
ストーリーは、ジオラマではなくコミックで進められています。
(ストーリー展開の詳細は調査中)
キットの箱は、表面は日本版とほぼ同じです。ただ裏面は大きく異なります。
日本版だと、箱裏はストーリーや機体の詳細スペックなどが載っていますが、その辺はありません。
裏面の全スペースを使用して、大きくバトルジオラマが載っています。
難をいえばバトルシーンの割には、いまひとつ構図に緊迫感が無い気はします。しかしそれでもなかなかの見ごたえを誇ります。
どれも日本版には無いジオラマなので、非常に貴重な資料になります。
リリース数は、ブルーゾイド軍:22、レッドミュータントゾイド軍:19、反乱軍:8=合計49種類です。
ブルーゾイド軍
Tyrannazoid(日本版:ガリウス)
Terrazoid(日本版:グライドラー)
Protozoid(日本版:エレファンタス)
Spiderzoid(日本版:グランチュラ)
Aquazoid(日本版:アクアドン)
Stegazoid(日本版:ゴルゴドス)
Brontozoid(日本版:ハイドッカー)
Cosmozoid(日本版:ぺガサロス)
Mantazoid(日本版:スパイカー)
Hydrazoid(日本版:フロレシオス)
Trooperzoid(日本版:ゴドス)
Scorpozoid(日本版:ガイサック)
Croc(日本版:バリゲーター ※日本版とは色が微妙に違う)
Zillon(日本版:イグアン ※日本版とは色が違う)
Zore(日本版:ハンマーロック ※日本版とは色が違う)
Cannon(日本版:カノントータス)
Tank(米国製オリジナルゾイド ※Tankは、製品のタグが「ZOIDS」ではなく「POWER ZOIDS」になっている)
Giant ZRK(日本版:ビガザウロ)
Mighty Zoidzilla(日本版:ゴジュラス)
Great Gorgon(日本版:ゴルドス)
Gore the Lord Protector(日本版:アイアンコング ※日本版とは色が違う)
Zabre(日本版:サーベルタイガー ※日本版とは色が違う)
レッドミュータントゾイド軍
Hellrunner(日本版:マーダ)
Terrared(日本版:グライドラー ※頭部が帝国共通コックピットに変更されている。また日本版とは色が違う)
Spineback(日本版:ゲーター)
Tarantulon(日本版:グランチュラ ※頭部が帝国共通コックピットに変更されている。また日本版とは色が違う)
Slitherzoid(日本版:モルガ)
Zaton(日本版:ゲルダー)
Zunder(日本版:ザットン)
Slime(日本版:マルダー)
Z-Ray(日本版:シンカー)
Zark(日本版:プテラス)
Scarab(日本版:サイカーチス)
Znake(日本版:スネークス)
Hellcat(日本版:ヘルキャット)
Serpent(米国製オリジナルゾイド ※Serpentは、製品のタグが「ZOIDS」ではなく「POWER ZOIDS」になっている)
Redhorn the Terrible(日本版:レッドホーン)
Mammoth the Destroyer(日本版:マンモス ※日本版とは色が違う)
Krark Prince of Darkness(日本版:サラマンダー ※日本版とは色が違う)
Red Scavenger(日本版:グスタフ ※日本版とは色が違う)
Ultrasaurus Red(日本版:ウルトラザウルス ※日本版とは色が違う)
反乱軍
Black Rhinos(日本版:ブラックライモス)
Zarwolf(日本版:コマンドウルフ)
Cyberdon(日本版:ゴルヘックス)
Dramadon(日本版:ブラキオス)
Zolkon(日本版:レドラー)
Zear(日本版:ベアファイター)
Shield Tiger(日本版:シールドライガー)
Spinefin(日本版:ディメトロドン)
※反乱軍の機体は、全て日本版と同じ成型色。
上記の通常ラインナップの他、特別版キットが幾つか存在します。
まず、ヨーロッパでシリーズ展開する少し前に、マンモスがテスト販売されています。
テスト販売版のマンモスは、キット箱が本展開後のものと異なっています。
また、箱の表面は画像の通りですが、裏面は青一色でした。設定も写真も何も載っていません。
成型色が日本版と同じなのも特徴です(本展開後のマンモスは赤)。
おそらく、このマンモスの販売が好評だった事で、ヨーロッパにおけるゾイドのシリーズ展開がスタートしたものと思われます。
他に、コンテスト(何のコンテストかは不明)の景品として、幾つかのスペシャルカラーゾイドが製作されています。
メッキゾイド(機種不明)や、スペシャル成型色のMighty Zoidzilla(ゴジュラス)、Zabre(サーベルタイガー)です。
スペシャル成型色は、装甲が半クリアの白色になっており、非常に特徴的な仕上がりをしていました。
スペシャル成型色のゾイドは、「ゴーストゾイド」と呼ばれています。
また、デスザウラーがDeathsaurusという名前でリリースされる予定でしたが、発売中止になってしまいました。
Deathsaurusは、ブルーゾイド軍側で登場する予定でした。
そして、シリーズは終了します。
比較的長い間、シリーズ展開されています。更にコンテスト懸賞ゾイドなんていうものも存在します。
従って、一定以上の人気シリーズだった事は確かでしょう。
日本版を知る身としては、各軍の戦力の偏りに疑問を覚えてしまいます。
とはいえ、ブルーゾイド軍にはゴジュラス、コングが揃って存在。対するレッドミュータントゾイド軍はレッドホーンとゾイドマンモス。
ちょっと偏っているなぁと思ってしまいます。未発売に終わったとはいえ、ブルーゾイド軍側でデスザウラーが登場予定だったというのも…。
が、無論、ヨーロッパ向けとして考え抜かれた上での編成なのでしょう。こういった所から海外ゾイドを考えてみるのも面白いと思います。
日本での入手は困難ですが、一部のマニア向け中古ショップなどで見かける事もあります。
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ZOIDS2
ZOIDS2は、1993年からヨーロッパで展開されていたシリーズ(終了時期は不明ですが、短命だったとの事)。
ヨーロッパでは80年代にもゾイドが展開されており、しばし間を空けて再開された事になります。従って、シリーズ名はそのままZOIDS2となりました。
キットは全て、日本版とは成型色が異なります。先代シリーズと比べても、全て色が変更されています。
全ての機体が、一部ランナーにメッキを使用しています。また付属するシールも変更されており、ファイヤーパターンのようなシールが多数入っています。
その為、カラーリングにおいて非常に特徴のあるシリーズになっています。
機体名称も、ほとんどの機体が日本版と異なっています。先代シリーズでも登場したのに、ZOIDS2で新しい名称になったような機体もあります。
例えば、日本名シールドライガーは、先代シリーズでは「Shield Tiger」という名前で登場しましたが、ZOIDS2では「Claw」と名称になっています。
バックストーリーは設定されていますが、先代シリーズと繋がっているかどうかは不明です。
ストーリーは、地球を舞台としているのが大きな特徴です。
異星(ゾイド星かどうかは不明)からやってきたゾイド軍団が地球を侵略し、それに人類が立ち向かうというようなストーリーです。
今回も、ストーリーはコミックで展開されています。
(ストーリー展開の詳細は調査中)
リリース数は16種類です。
日本でのゾイド展開が終了した後で開始されたシリーズなので、初期ゾイドから暗黒ゾイドまで、幅広い機体がラインナップされています。
Trantulon(日本版:グランチュラ)
Aquazoid(日本版:アクアドン)
Hell runnner(日本版:マーダ)
Slither(日本版:モルガ)
Stego(日本版:ゴルヘックス)
Cruncher(日本版:ベアファイター)
Raptor(日本版:アロザウラー)
Red horn(日本版:ブラックライモス)
Red wing(日本版:レドラー)
Demon lizerd(日本版:ヘル・ディガンナー)
Sabre(日本版:サーベルタイガー)
Spinefin(日本版:ディメトロドン)
Iron kong(日本版:アイアンコング)
Zoid zilla(日本版:ゴジュラス)
Claw(日本版:シールドライガー)
Ultra saurus(日本版:ウルトラザウルス)
箱は、表面はスモークを活用して撮影されています。機体のアングルは真横が多くなっています。
裏面は、必ず側面アングルの写真が大きく載っています。そして各部の解説をしているようです。
表裏で機体写真のアングルに差が少ないのは、何とも惜しい気がします。
ZOIDS2の箱は基本的に横レイアウトで構成されていますが、Iron kongとZoid zillaのみ縦レイアウトになっています。
生産は日本ではなく中国やタイで行われています。
その為、流通の途中でアジア各国の市場にも一部が流れたようです。ヨーロッパのほか、アジア各国の小売店でも販売されています。
またオーストラリアでも販売されたとの情報がありますが、こちらは不確定情報で調査中です。
日本でも、一度だけ限定販売された事があります。1998年秋に行われたに東京ゲームショーのトミーブースで、2日間のみ販売されました。
販売機種は、Trantulon、Aquazoid、Hell runner、Slither、Demon lizerd、Iron kong、Ultra saurusの計7種。
このため、日本国内でもわずかながら流通しています。海外展開ゾイドの中では比較的見かける事が多くなっています。
やはり最大の特徴はメッキのカラーリングでしょう。
「一部ランナーにだけメッキを使う」というのはかなり謎な仕様です。「装甲の全てがメッキ」とかであれば、まだしも違和感は少なかったと思いますが…。
一方で、Stego(ゴルヘックス)やHell Runnner(マーダ)などは、これはこれでなかなか似合っているような気もします。
ただ総合的に見れば、日本版や先代シリーズの方が良いカラーをしていると、個人的には思います。
結果的に先代シリーズより短命に終わったZOIDS2ですが、個人的にはカラーリングにも大きな要因があったのではないかと思っています。
また、ストーリー上、ゾイドが敵側であったのが問題だと思います。
ユーザーとしては感情移入のしにくい構成だったのは否定できないでしょう。
ヨーロッパにおけるゾイドの展開で、現在調査した範囲は以上です。