帝都防衛航空隊 メカニック解説編


ここでは、作中に登場する主なメカニックを紹介します。
本作に登場するゾイドはいずれも基本的には公式設定の通りですが、中には独自の解釈を加えているものもあります。

~飛行ゾイド~

共和国軍 ペガサロス

本編開始時点での共和国空軍の主力戦闘機です。高い性能を持ち、空戦や対地攻撃で活躍しています。
が、本作では航続距離がかなり短いとしています。その為、主に迎撃機として運用されています。
その事から強さの割には脅威度の低い敵となっています。もちろんサラマンダーの爆撃に随伴する事はできません。
ただし、主人公達が共和国領土に侵攻した時には存分に存在感を示しました。

ZAC2034年にプテラスが完成すると、その量産に伴い一線を退いていきました。
ただし生産したプテラスはサラマンダー爆撃部隊の護衛機として優先配備されました。
その為、共和国本土に駐屯する防衛部隊用機材としては最後まで主力であり続けました。

シンカーと比べると、攻撃力と防御力では大きく劣ります。
しかし速度では大きく勝っており、総合力では互角やや不利程度です。

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帝国軍 シンカー(ノーマル)

帝国軍初の飛行ゾイドです。また水上/水中性能も持ちます。
バトストでは「ZAC2031年に誕生した」とされています。が、本作は独自の設定として「水上/水中戦専用シンカーはそれ以前の時代から存在していた」としています。

物語開始前の時代には、エイ本来の能力を持つ海戦仕様があり、主人公はそれを操りアクアドンやフロレシオスと戦っていた。
同じ頃、帝国軍の上層部は空軍力の低さに大きな危機を抱いていた。
現在は空戦用ゾイドがいない。そこで海軍のシンカーに目をつけた。
「形状からこれは飛べそうだ。水空両様タイプに改良できないか?」

こうして改造計画が始まり、ZAC2031年に我々がよく知るシンカーが生まれたというものです。
ちなみに、ZAC2031年と言えばグローバリーIIIによる技術革新が浸透した時代です。
革新的な技術を用いたおかげで、「水上/水中能力は維持したまま飛行能力も得た」という理想的な仕上がりをしています。

この改良により、帝国軍はようやく本格的な空軍力を得ます。
本仕様は従来タイプに比べて利点しかありません。なので海軍用シンカーも本仕様に統一されました。
海軍では基本的に従来通り水上/水中での戦いを続けましたが、場合によっては低空を飛んで戦うような場面もあったようです。
主人公も、バリゲーターに遭遇した際は飛べる強みを活かして戦っています。

シンカーの高性能に満足する帝国軍でしたが、それも束の間。
共和国軍はサラマンダーを完成させ、猛烈な爆撃に出ます。その効果は凄まじく、帝国は危機に晒されます。
そこでシンカー乗りの大半は対サラマンダー戦を命じられたのが物語の冒頭です。

水圧に耐えるボディをしているので、その強度はかなりのものです。
またラインはなめらかな曲線を描いています。これによりペガサロスの30ミリビームバルカン程度ははじき返してしまいます。
副次的ですが、この頑丈さから乱暴な空戦機動をしても全く問題ありません。
急降下、そこからの引き起こし、乱暴なターン、etc. 何をしても大丈夫なタフな機体です。
ただし、後に登場したプテラスの武装はこの重装甲をも容易に貫きます。

積載量には余裕があり、爆撃機として運用する事もできます。この余裕が後のバリエーションに繋がっています。

帝国軍 空戦仕様シンカー

本作オリジナルの仕様です。
対サラマンダー戦ではノーマルタイプのシンカーが明らかに不足していた。そこで急遽として改造された仕様です。
水上/水中用装備の撤去、飛行用への最適化、徹底的な軽量化。これをしてようやく対サラマンダー用の能力を得ました。
作中の主人公が最も多く乗っているのがこの仕様です。

軽量化の代償に、装甲は薄くノーマルタイプのような堅牢さは一切ありません。
真っ直ぐの飛行なら問題ありませんが、高速飛行時の急旋回や引き起こしは空中分解に直結します。
その為、そうした機動は徹底して禁止されています。それ程までに脆い機体なのです。
(実際の戦闘機でも飛行には制限がある事は珍しくありません。例えば零戦52型は急降下制限速度が750km/hです。これ以上の速度で降下すると空中分解するのです)

こうまでして得た速度はM1.6、ノーマルタイプに比べれば劇的な向上ですが、サラマンダーには遠く及びません。
またもう一つ、コックピットはノーマルタイプと同じ規格品です。与圧室ではありません。
その為、高空ではパイロットが凄まじく辛い思いをする事も大きな弱点です。

強度問題から真っ直ぐにしか飛べないので、格闘戦は不可能です。もっぱら一撃離脱戦法を行っています。
ただし、サラマンダーはバルカンファランクス(帝国軍は装備の詳細を知らないので速射砲と呼んでいる)が下部にあります。
何割かのシンカーは、攻撃終了後に離脱する際に猛射を受けて散る事になります。これは完全な運次第です。

搭載量はノーマルタイプと同じくあります。
通常は基本武装のみでの出撃ですが、その気になれば爆装する事も可能です。

デザインはオリジナルですが、箱裏バリエーションの「高高度戦闘仕様」を参考にしています。

帝国軍 脱出仕様シンカー

本作オリジナルの仕様です。
最終話に出てくる大型高速化したシンカーです。作中ではドン・ホバート博士の改造としています。
脱出仕様シュトルヒ開発の成果を転用しています。

本仕様の裏話ですが、当初は「博士を格納庫に乗せて空戦型シンカーでバレシアを目指す」のが締めくくりになる筈でした。
航続距離の関係から補助ブースターの増設はしていますが、それだけという感じです。
しかし漫画「ゾイドバトルコミック」には、大型シンカーなるものが登場していたりします。

なのでその要素を取り込み大型化しました。
バトルコミック版ほど大きくはありませんが…、ぎゅうぎゅうに詰め込めば20人程が乗れます。

もう一つ補足します。バレシアへの合流ですが、当初は飛行ルートと潜水ルートの二案が考えられました。
この時の共和国軍はダレ切っていたので、潜水ルートも使えたはずです。
が、その場合は一日で辿り着けるはずはありません。
その間の水や食料などを一緒に積む事はできないし、その他にも諸々の問題があり飛行ルートが選ばれました。

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共和国軍 サラマンダー

共和国軍が誇る巨大爆撃機です。その大きさや能力は帝国軍に大きな危機を抱かせました。
共和国軍は、爆撃で年の力を弱めてから地上部隊を派遣という戦術を採っています。本機があってこそ共和国軍は圧勝できました。
飛行性能は、この時代としては高高度性能と最高速度が高く、ノーマルタイプのシンカーでは全く相手になりません。
防御力も高く、とにかく撃っても撃っても飛び続ける頑丈さを持ちます。加えて自動消火装置などのメカニックも優秀で、機体の堅牢さを更に高めています。

ただコックピットと翼の付け根は弱点です。
また生産性が低い事も弱点ですが、それは共和国基準で言う生産性が低いであって、帝国からすればかなりの数が出現しています。
その為、帝国側はそれを弱点とは認識していません。

爆撃は厳密には決めていませんが、B29数機分程度の搭載慮があるとイメージしています。
防護火器は優秀で、シンカーへの備えも十分です。
ただし、作中でもある通り上方向(背中側)への備えがないのは弱点です。
これは、もともと帝国側には同高度にまで上がってくる機は居ないだろうと想定されていた為です。
初期においてはその通りでした。ただ空戦型シンカーやシュトルヒが登場した後は大きな弱点となりました。

共和国軍 早期警戒管制仕様サラマンダー「ブラックバード」

公式改造ゾイドです。
サラマンダーに大型レドームを付け、早期警戒管制機にした仕様です。
箱裏バリエーションですが、箱裏では「早期警戒機」となっています。早期警戒”管制”機にしたのは本作独自の解釈です。

敵編隊の動きを強力にキャッチし、味方プテラス部隊に最適な指示を出します。
これにより、ただでさえ強いプテラスは無敵と化しました。

※上図ではレドームの形が分かりづらいので、下に翼を透過した絵も掲載します。

ちなみにレドームを使用する時は「羽ばたき」の動きがやや制限されます。
その為、飛行性能はノーマルタイプに比べてやや低下しています。
ただし、そうはいっても元のスペックが高いのでシンカーやシュトルヒにとって強敵であることには変わりありません。

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共和国軍 プテラス

ペガサロスをあらゆる面で大きく越える傑作戦闘機です。
空戦力の高さとサラマンダーに随伴できる小型機とは思えない航続距離を持ちます。
この時代にはあまり活かされていませんが、搭載量も多く爆撃機に転化する事もできます。
まさに小型サラマンダーと言える高性能です。

攻撃力はシンカーを貫く高性能な砲を持ちます。
防御力もサラマンダーを思わせる頑丈さがあり、撃墜は混乱を極めます。
更に生産性も極めて高くなっています。共和国軍は空を多い尽くす程のプテラスを投入しました。

作中にもありますが、帝国パイロットにとってはシルエットがサラマンダーに似ている事も不幸でした。
これにより距離感が狂い、多くのパイロットが散っていったのです。
主人公にとっては最大の脅威として終始立ちはだかります。
ゴードンターンが通用したわずかな期間を除き、主人公はほとんど抗する事ができませんでした。
サラマンダーの護衛のほか、偵察や哨戒でも運用されています。

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帝国軍 シュトルヒ

帝国軍がようやく完成させた超音速戦闘機です。
ただしスペックは高いですが、急いで作ったゆえにアンバランスな部分もあり成熟していません。
交戦力はプテラスと五分ですが、総合性能では遥かに下と言えるでしょう。
それでも、当時の帝国軍にとってはまぶしいほどの希望たるゾイドでした。

ウラニスクで開発され、ウラニスクでのみ生産されています。首都では生産できません。

帝国軍 早期警戒仕様シュトルヒ

公式改造ゾイドです。
作中には未登場ですが、こういうバリエーションも運用されていたという考えているので紹介します。
レドームを背負った早期警戒仕様です。ブラックバードに対抗して改造されました。
が、機体規模が小さいので管制機能は持っていません。それゆえ能力は大きく劣ると言わざるを得ません。
せっかくの本機でしたが、活躍は期待したほどではありませんでした。

帝国軍 脱出仕様シュトルヒ

本作オリジナルの仕様です。
全身にロケットブースターや増槽を満載したシュトルヒです。
M3を叩き出す高速性と首都からバレシアに到達できる航続距離を持ちます。
その代わり、安定性は皆無で通常のパイロットでは一瞬で墜落するような代物です。
また運動性は全くなく、直線的な飛行しかできません。
まさに単一目的をかなえるために他の全てを犠牲にした超特化仕様、通常なら絶対に作られないであろう仕様です。

設計はドン・ホバート博士が行っています。
作中の通り、装備を足せば性能は上がるが強度が不足する。そこで補強すれば重くなり性能が足りなくなる。そこで装備を足せば性能は上がるが強度がまた不足する。という難しい設計でした。
地味な機体ですが、ドン博士の天才的な設計があればこそ完成した仕様であり作戦は成功しました。

 

~その他のゾイド~
主要なゾイドのみ解説します。こちらは国別に分類します。

帝国軍
レッドホーン


帝国軍機甲部隊の中核です。両軍を通じて大型ゾイドの中では最多量産されています。
ゴジュラスにやられる印象の強い機ですが、数の多さから戦線を保っています。
また対小型機用としては全ゾイド中でも最優秀の部類です。サラマンダー開発前において、帝国軍が戦線を互角に保っていたのは本機のおかげです。
ただその割に帝国軍内では冷遇されている印象もあります。
帝国軍はアイアンコングやサーベルタイガーをヒーロー扱いし、レッドホーンは旧式で弱小と思っている節が見えます。

アイアンコング

帝国軍が対ゴジュラス用に開発した強力機です。
砲撃で遠距離からゴジュラスを破壊する事をコンセプトにしています。
ただし砲撃のみで確実に破壊できるかには不安がありました。そこで格闘性能も高く与えられています。
砲撃で先制攻撃・そこで破壊できれば良し、破壊できなくてもダメージは与えるだろうからその後格闘戦で止めを刺すという二段構えです。

本作では、弱点としてミサイルの弾数の少なさを強調して考えています。
超強力だが対小型機戦ではレッドホーンに大きく劣るというものです。

アイアンコングMK-II

末期の帝国軍がアイアンコングを徹底強化した改造機です。
本作設定では開発はエコーの要望を受けたドン・ホバート博士が行っています。
交戦力はウルトラザウルスに匹敵するほど高いのですが、稼働時間の短さや操縦に難がありエースにしか扱えないのが難点です。
完成が末期だった事と扱いにくさから戦況へはほとんど影響を与えませんでした。

ブロンズコング

本作オリジナルの仕様です。
ゼネバス宮殿の秘密兵器として配備されています。
バトストでは単に自動操縦機でしたが、本作では「敵味方を識別せず暴れ続ける」という要素を加えました。
いわゆる暴走状態です。
戦法は格闘戦のみです。これは「野生体の持つ闘争本能を暴走させている」から火器が使えないのです。

材質は胴ではなくアイアンコングと同じ鋼鉄と考えています。
ブロンズコングという名前は単に銅像に化けていたからというものです。

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サーベルタイガー

赤いイナズマと呼ばれた大型高速機です。鮮やかでスマート、帝国軍のスーパーヒーローです。
その能力は共和国軍を大いに驚かせました。第一次中央大陸戦争では、共和国軍は本機に対抗する事ができませんでした。
特に山岳では無敵です。

攻撃力も高く、レーザーサーベルはゴジュラスの装甲をも穿ちます。
ただし、パワーと防御力は大型ゾイドとしては低くなっています。
共和国軍は、重防御重パワーのゴジュラスやウルトラザウルスで強引に本機を倒しました。

強力機ですが、防衛戦では途端に力を失います。
守る時は、死守しているその地点から動けない……、スピードを活かして戦う事ができないからです。
移動せずその場で戦い続ける。これは、「ボクサーが足を固定して打ち合う」ような場面を想像すれば分かりやすいです。
互いの攻撃は相手にダメージを与える。だから最後まで敵の攻撃に耐える防御力の高い方が勝つのです。

しかし、バレシアのダニー・ダンカン将軍はそんな本機で共和国の大軍を頑として跳ね除け防衛を続けました。

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ツインホーン

シュトルヒと同時期に開発された新鋭機ですが、いかんせん地味なのであまり触れませんでした。
いやしかし、全く触れないのもどうかと思ったので登場させました。

設定ではかなりの優秀機と捉えました。
格闘戦ではイグアンやハンマーロックと互角、すなわち同クラスでは最強クラス。
砲撃ではマルダーと同等、やはり同クラスでは最強クラス。
足回りも水準以上で不足ない。後の時代で言うとブラックライモス的なバランス良い名機としています。
マンモス型なので、寒冷地に強い事も大きな強みです。
この能力を買われ、バレシアへの決死任務を成功させました。

史実と違うのは、「皇帝親衛隊所属」という要素を入れていない事です。

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共和国軍
ゴジュラス


共和国軍最強のファイターです。格闘戦では無敵を誇ります。
その強さはゴジュラス1でレッドホーン3と互角に戦えるほど。
本作ではあまり登場しませんが、帝国陸軍にとっては大きな脅威として君臨しています。
アイアンコングが登場するまで「完全損失」に至ったゴジュラスはありません。
これは「どんなに傷ついてもパイロットが生還する」事です。
経験を積んだゴジュラスパイロットは一騎当千の猛者に成長します。これはこの時代のゴジュラスの強さの大きな要因です。

ただしアイアンコング登場以降においては次第に火力不足が叫ばれるようになります。
こうして強化型が開発される事になりましたが、第一次中央大陸戦争では最後まで共和国陸戦力の中核として大活躍しました。

ゴジュラスMK-II

アイアンコングで砲戦力の低さを指摘されたゴジュラスは、長距離キャノン砲を付けて強化されました。
キャノン砲はアイアンコングを一発で完全破壊します。
コングのミサイルに比べると、射程と命中精度では劣りますが破壊力で同等、連射力で勝ります。
更に強くなったゴジュラスとして帝国軍を驚かせましたが、第一次中央大陸戦争末期に完成した事から配備数は少なく戦況へ与えた影響は低く留まりました。
ちなみに、作中の帝国軍はこの名称を掴めておらず「新型ゴジュラス」と呼んでいます。

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ウルトラザウルス

共和国軍が誇る超弩級戦闘指令ゾイドです。
主な脅威は、キャノン砲、水陸両用能力、旗艦能力です。
キャノン砲が火を噴けば帝国軍大部隊が一切の反撃ができないまま完全破壊されます。
機関能力は味方部隊の力を大きく底上げします。その能力で第一次中央大陸戦争を共和国勝利に導きました。

小型火器も多く、対飛行ゾイドへの備えも万全です。
弱点は後の時代には指摘されますが、この時代としては「ない」と言って良いでしょう。
究極のゾイドと言えます。

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バリゲーター

水陸両用ゾイドです。バランスの取れた名機として大量生産され、共和国海軍の中核を努めています。
水中戦ではシンカーと五分に戦えます。
空を飛べる強みを活かせばシンカーがやや優位だが、バリゲーターも対空ミサイルがあるので安易には飛べないという関係です。
本機登場以前の共和国軍は、フロレシオスを大量生産・配備していました。
作中の年代は、それが順次バリゲーターに切り替わる過渡期でもあります。

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