ゾイドワイルド本格始動から1年!

このコラムを書いている現在は2019年4月。
ゾイドワイルド発表から1年と少し経ちました。

2018年2月に発表されたゾイドワイルドですが、当初は「展開するぞ」という告知が中心でした。
しかし二ヵ月後の4月には、コロコロコミックで漫画版ゾイドワイルドが始まりました。

現在は、ゾイドワイルド本格展開からちょうど一年といったタイミングでしょうか。
そんなわけで、本格展開から1年を振り返って感想を書きたいと思います。

 

2018年2月のゾイドワイルド発表。そして6月のキット第一陣発売。
ここまでの流れはこちらのコラム(ゾイドワイルド始動 ~ゾイド大復活!~)に書いています。
本コラムでは、キットが発売された6月以降について主に書きます。

キット第一陣の感想は別途コラムにしています。
一言でまとめると、とにかく「最高に楽しい」だったということです。
動力の共通化から工夫が見えて楽しいし、ギミックにも工夫がたくさんあってとにかく楽しい。
動力玩具としての魅力にあふれています。

ゾイドワイルドは、6月の第一陣ランナップから、ほぼ毎月リリースを続けています。

2018年6月 第一陣
 ワイルドライガー、ギルラプター、カブター、スコーピア、ガノンタス、ガブリゲーター

2018年7月 第ニ陣
 クワーガ、グラキオサウルス

2018年9月 第三陣
 ラプトール、ナックルコング、トリケラドゴス

2018年11月 第四陣、第五陣
 覚醒ワイルドライガー、グソック、ステゴゼーゲ

2018年12月 第六陣、第七陣
 デスレックス、ハンターウルフ、キャタルガ

2019年1月 第八陣
 スパイデス、ファングタイガー

2019年2月 第九陣
 ディメパルサー

2019年3月 第十陣
 アンキロックス

現在のところ21種類。かなりの大所帯になってきました。
そしてまた4月以降もリリース予定があり、勢いが継続しているのも凄いところです。

 

ラインナップを見ていて思うのは、とにかく「多彩」ということです。
人気モチーフに一極化する事なく、多くのゾイドがそれぞれ魅力的に存在感を示している。
これは機獣新世紀ゾイド後期からの反省が大いに活かされていると思います。
もちろんアニメではライガーが主役でその活躍が中心ですが、牽引役を人気のライガーにしつつも他のゾイドも忘れない構成。
少なくとも全部ライガーがもってくようなことはない。
良いバランスだと思います。

ラインナップを見ていると、以前にブログで書いた記事を思い出しました。以下、引用します。
これは2017年2月15日に書いたもので、まだゾイドワイルド復活など知る由もない時期の記事です。

 

---2017年2月15日ブログ記事-----
私はメカ生体ゾイドが終了した91年4月以降、熱中する対象をテレビゲームに移しました。
最初はゲームボーイ。その後は据え置き機も色々入手したのですが、私が最も入れ込んでいたのはセガサターンでした。

当時、SS、PS、64が次世代ゲーム機戦争をしていました。
スーファミは面白いけどもう古いハードという風潮だった。さあ次の王者はどのハードだという感じだった。
私はSSの熱烈支持者で、特に格ゲーやシューティングの出来が良かったので最高のハードだと思っていました。カプコンの格ゲーでは雲泥の差があった。
パッドも使いやすいし絶対にSSが勝つと思っていた。そしたらあれよあれよとPSが伸びてしまって。

当時を思い出せばPSをかなり敵視していたなー、と覚えています。
あの頃は多くのタイトルがSS、PSで同時発売されていて。それでもちろん私はSS版を買って、いかにPS版より優れているかを探して満足感を得たものでした。
嫌味な奴です。
主にロード時間が短いという事だったかなー……。しかし格ゲーのロード時間の差は、実際に凄いものでした。

ただ一方で、ロックマンX4とかのアクションゲームをやる際はサターンのパッドはかなり使いにくくて。しかも別売のパッドにも良いものがなくて。
PSのパッドはアクションゲームには最適の形になっていて、それだけは悔しかったなあと覚えています。
サターンパッドは格ゲーとシューティングには良いけどアクションには向かなかったのだ……。

さてSSとPSに注目していた当時ですが、私や周りの友人は64への関心はほとんど無かったように記憶しています。みんなSSかPSだった。
当時は高校生でしたが、64は小学生には人気があるけど……くらいの認識だったかな。
ポケモンが空前の大ヒット。人気のないハードだがポケモン人気にあやかり何とか死なずに居るハードという程度の印象でした。
近所のゲーム屋ではポケモンスタジアムやピカチュウげんきでちゅうが64試遊台になっている事が多かったのですが、そをよく冷ややかな目で見ていました。当時は。


さてNINTENDO64は「勝ち負けが付くゲームはマニアックになりやすい」としてあまり歓迎しなかったそうです。
これの典型は格闘ゲームで、まぁたしかに上達するとどんどん達人になっていって、初心者ではどうあがいても勝てない感じになってしまいます。
その結果として熱狂的なマニアを生む反面、ユーザーは決して増えないという考えです。

確かに、ゲームセンターでシューティングというジャンルがまさにそれを経験しています。
その昔、ゲーセンの花形はシューティングでした。
ただ人気が出たのでユーザーの腕もメキメキ上がった。そうなると次作は難度を上げないと歯ごたえがなくなってしまう。
そうして新作は難度がどんどん上昇して、ついには新規ユーザーがプレイすると手も足も出ない、1面さえクリアできないような難度になってしまった。

80年代末期にリリースされたグラディウスIIIやR-TYPE2はその代表格です。

シューターでもかなり難しい難度。それは極一部の超A級シューターから熱烈に歓迎された一方で、シューティングを「マニアが楽しむもの」「マニアしか楽しめないもの」という認識に変えてしまい「一般ユーザーから敬遠されるジャンル」にしてしまった。
そのジャンルのマニアから見れば名作ともされるのに、ジャンル全体として見れば衰退を招いたわけです。
これは進化のジレンマとでも言うべき現象でしょう。

不運だったのは、同時期にテトリスやファイナルファイトといった別ジャンルの大ヒット作が登場した事でもありました。
ユーザーの多くはそちらに移ってしまった。
更に91年には、あの伝説のゲーム「ストリートファイターII」が登場しました。

これは決定的な出来事でした。
もはやゲーセンの花形は格ゲーに移行し、シューティングは隅の方に1、2作は置いてあるが……というマイナーなジャンルになってしまったのです。
シューティングは「冬の時代」と言われる不遇の時代に突入してしまいました。

 

「初心者・新規ユーザーが楽しめる」っていうのは大事なんだろうなぁと思います。
格ゲーは今でも人気ですが、これについてもそういえばと思う事があります。

私が印象深く思っているのはストリートファイターZEROです。
ストリートファイターIIの続編として製作されたのがストリートファイターZEROとストリートファイターIIIです。

ZEROはライト層を意識した造りでIIIはマニアを意識した造り。
当時のムック本を見るとIIIは「究極の格ゲー」と自信満々のスタッフインタビューが載っています。
実際IIIはマニアからは絶賛されて究極の格ゲーの名の通りの評価もありますが、商業的にはZEROに遠く及ばぬ成績に終わった。

 

NINTENDO64………、
あの頃は本当に空前の格ゲーブームだった。なのでそれを移植したPSやSSが盛り上がったし強かった。(RPGの存在は無視します)
64は日本国内ではPS、SSに普及台数で負けた。
でも任天堂が偉いのは、この考えを安易に捨てなかった事だと思います。

64当時はバーチャファイターや鉄拳などの3D格闘ゲームが大流行していて。2DでもストリートファイターZERO2は超ヒットしたしKOFも毎年出ていて大人気だった。
そんな時代の流れ……というか史上稀に見る超大型ハリケーンのような暴風の中で64はSSにさえ負けてしまったのだけど、この考えは根本的には間違ってはいないのだろうと思います。

既存ゲームの高度化・マニアック化。それはそれでもちろん楽しいんだけど先がない。
ユーザー人口の拡大、これまでゲームをプレイした事のない層へのアピール。それを重視した策を貫く姿勢は凄いなぁと思います。
WiiやSwitchでは64と同じ考えで好調なのだから凄いと思います。

 

さてゲームの話をしていますがここからはゾイド。
以下は「どっちがいい」「どっちにすべき」という話ではなくて、そんなことを考えましたという話なのでその前提で読んで頂ければ幸いです。

さて同クラス同タイプのゾイド…、例えばシールドライガー、ブレードライガー、ライガーゼロ。これらを脳内バトルさせるとはかどります。

私はシールドライガーが好きなので、これでどうやって戦おうかと考えます。

シールドライガーは最も旧式で遅いが火力は一番高い。
OS機じゃないのでスタミナもあると思う。またブレードライガーの最高速度305km/hはおそらくブースターをふかした時のものであろう。常時ふかしているわけじゃないので通常時ならそこまでの差はないと思う。
しかしブレードライガーにはブレードという一撃必殺武器があるので瞬時に逆転されかねない。警戒は常に密にする事が必須。

ゼロ相手にはスタミナで不足するだろうか……。身体能力の基礎値も劣るだろう。ただ、火力はやはり高い。
ゼロは回復力が高いのでシールド程度の火力では沈黙させるのが難しい。勝機があるとすれば、火器でダメージを蓄積させ回復しきらない内に突撃してレーザーサーベルないしクローの格闘戦で止めを刺す事だろうか。
しかしその場合はゼロが底力を見せて死ぬ気で反撃するだろうからどうなるか……。
更に重量も含めて考えてみようか。近接戦では最高速度よりも運動性…軽快さが重要だ。これは軽いほど良好になる筈だから………

のような妄想をするわけですが、これは細かな性能差を考えた脳内バトルと言えます。
性能差というのはミリタリー的な感覚が凄く強いと思います。
より詳細に自機や敵機のスペックを把握し、その特性を活かしながら勝つという戦術。

それは最高に楽しいのですが、ゾイドのラインナップ数がまだまだ少なくモチーフかぶりがなかった時代はどうだったのだろうと思いました。
ゴジュラス、レッドホーン、サラマンダー、アイアンコング、サーベルタイガー。これ位だった時代。

多分、そこまで詳細にスペックを把握した戦いじゃなくていい。
大雑把な把握でも充分なバトルができる。いや、大雑把な把握どころかスペック表なんて一切見なくても十分にバトルをイメージできる。
「ティラノサウルスだから強いぞ」とか、「トラはパワーじゃ勝てないけどスピードならピカイチだ」とか、「ゴリラは器用だし腕が長い」とか。
そんなモチーフの特性をストレートにとらえた豪快なイメージでバトルされるんじゃないかな。
詳しくゾイドを知らないユーザーでも、「なんかこのトラのメカかっこいい! トラだからこんな風に戦ったら勝てそう!」というイメージがしやすいというか……。
そしてそれは正解であるという時代。

 

ゾイドは”メカ生体”ゾイドというところから始まっている。生物である事を強調したタイトルなのです。
「分かりやすい」「生物らしさが活かされている」「イメージしやすくて楽しい」
そんな要素……、
「あらゆる動物が時代を超えて集合してメカになった。さあ動物達よ自分の強みを活かして戦え、どれが強い!?」
という問いをストレートに投げかけているようで、とても単純で面白い。

ただ一方で思うのは、「そんな事を言ったらモチーフかぶりしちゃいかんのか」という話にもなってくるということです。

モチーフかぶりというとサーベルタイガーに対するシールドライガー、ゴジュラスに対するデスザウラーが最初かなと思います。
これらは同タイプのゾイドなので勝敗を決めるのはモチーフの特性というより性能・設定的な面が強くなります。

新規の何も知らないユーザーが「ゴジュラスの方が強そう!」と思っても、そのイメージを設定が否定してしまう。
でもこれは悪いことかというと難しい話です。

「同クラス同モチーフのゾイドはどちらが強いか?」という問題は設定に大きく依存します。
設定の細かさはミリタリー的な方面での魅力を大いに増します。
細かいスペックが付く事でリアル感が増すし、より詳細なスペック・性能を想像しながら脳内バトルすると思い入れも増します。
それがより強固なファン…マニアを生むと思います。
私は思いっきりそういう楽しみ方をしています。

シールドライガーやデスザウラーが出た頃というのは、ゴジュラスやコングも「MK-II」になっていた時期です。
翌年はサーベルタイガーやシールドライガーも揃って強化タイプになりました。
これ以降の時代は「モチーフ」というよりミリタリー的な「技術向上・改良」といった設定的な部分に重きが置かれた感じがします。

繰り返しになりますが、そういう面も重要だと思う。
ゾイドは「動物がメカになって大暴れ」でもあるんだけど、同時に「リアル系の戦記」でもあるから、そうした面が強調されるのもまた必然であります。
それに「モチーフかぶりを許さない・このモチーフは一種類だけ」としてしまうと出せるモチーフなどすぐに尽きてしまうでしょう……。
「第一次中央大陸戦争」の時点で終わった方が良かったのか?

そうは絶対に思わないわけで。長く続いてくれて本当に良かった。
第二次中央大陸戦争以降でモチーフかぶりが出現。ゾイドはミリタリー度を増しながら盛り上がっていった。
それは大正解だったと思います。

でも新規ユーザーにゾイドに魅力を感じてもらう……、なんていうんだろう、「分かりやすくて・しかも本能を刺激するパワフルなバトルを体感しやすい要素」といえば、モチーフを強調した描写や構成なのかなぁとも思いました。
そうした「動物をメカにした事に最大限の意味がある」というのかな……、それが一番に感じられるものであれば、数あるメディアの中からゾイドが独自性をより強調できて新規層を開拓できそうな気もします。

でも、片方だけじゃ多分ダメなんだと思う。
新規層を呼び込める要素。マニアックな需要を満たせる設定。両方必要で、あとは時流を読んでそれに乗るする力も要るんだと思う。

それは一体どのような事なのだろう。
答えのない疑問がわいてそこから書いてみた文章ですが、こうした要素を考えつつ、次なるゾイドが出れば良いのになと思います。
メーカーもこうした事を考えてくれれば嬉しいと思います。
絶対にユーザーの拡大は必須となってくると思うので、いい感じの展開になればいいなぁと思っています。

---ブログ記事ここまで-----

 

奇しくもこの記事のちょうど一年後、2018年2月にゾイド復活の「謎のZ」情報がコロコロに載る事になりました。
さてゾイドワイルド本格展開から一年目の今、このブログ記事を読み返すと「書いてる通りになったな」と思いました。

マニアック化を避け、ユーザー人口の拡大をするべく大胆な仕様変更をしての復活。
ラインナップも、詳細な設定を知らずとも素直に楽しめる感じがします。
まさに広い間口、入ってきて期待した通りの楽しみ方ができる世界になっていると思います。

パワーのナックルコング。噛み付きのガブリゲーター。スピードのライガー、ラプター。小さいが数で攻めるラプトール。
突撃のトリケラドゴス。巨体のグラキオサウルス。
ヒレ系ゾイドは予想外な能力を持ちますが、これも設定を知らなくても「見た目から想像を膨らませる」ことが可能でしょうか。
好意的に言うなら「想像を飛躍させる例」であるようにも思います。

 

ゾイドワイルドは好調で、二年目以降も展開を続けることが既に明言されています。
4月以降も続々とゾイドは発売され続けます。
好調の要因は、「新規ユーザーがとにかく入ってきやすい状態にした」ことと、その新規ユーザーが「予備知識なしでも存分に楽しめるものである」こと。
これが大きかったと思います。

これはマニアックを極めたゾイドリバースセンチュリーがあまり振るわなかった事と対照的です。
(もっとも同シリーズはディープな層をターゲットにしながらストーリーなどにおいては不備も多かったと思い、そこも不振の大きな要因だったとは思うのですが)

 

さてゾイドワイルドは二年目に突入しようとしています。
そこで気になるのは、今後のラインナップはどうかという事です。
メカ生体ゾイドも、当初は予備知識なしで楽しめる世界でした。それがどんどん設定が細かくなりマニアックになり、その方向で盛り上がっていきました。
はたしてゾイドワイルドはどうなるか。

今のままの方向で行くのか。それも可能だと思います。
幸いにして、現在はインターネットの恩恵もあり過去にはマイナーだった動物・古生物がメジャーになっていたりします。
まだまだ魅力的なモチーフは多くあるので、モチーフ被りを回避しつつラインナップを増やすことは可能でしょう。

それとも、やっぱりライガーやタイガーはもう少し増やしたい。つまりモチーフ被りを許容し細かな設定の差を盛り込んでいくのか。
そうするなら、進化のジレンマに対する回答はあるのか。
二年目のゾイドワイルドは、その辺にも注目していきたいと思っています。

とにもかくにも、次の一年を走り切った時にも「一言で言うと最高に楽しかった」と言えるものであればと思います。
沢山の驚きをくれたゾイドワイルドです。
ランナーレス、共通動力、ワイルドブラストなどなど。「そうきたか!」と思える要素が沢山ありました。
なので、そうなっているだろうという確かな期待があります。

そんなわけで、一年目は改めて最高でした。
二年目も楽しんでいきたい次第です。



Back
index

inserted by FC2 system