大胆に変更された要素のこと

ゾイドワイルド発表。新型キット発表。それは最高の瞬間でした。
あのゾイドが帰ってきた……。凄まじい感動がそこにありました。
また同時に、大きく変わったゾイドに戸惑いも受けたのも事実でした。

ゾイドワイルドは従来シリーズからあまりにも多くが変わりました。
まず舞台となる星がそもそも変更。従来はゾイド星(惑星Zi)だったのが地球に。
キットのスケールも変更。従来の1/72から1/35に。
操縦法もいかにもコックピットですという仕様から乗馬のようなライダー式に。

このようにゾイド復活ではあるものの、極めて多くの要素が変わっています。
「おおお……これはいいのか?」初見でそう思ったのは確かです。

固定概念にしばられた頭の固い想いかもしれませんが、やはり何といっても思い入れの強いゾイド。
旧来のシリーズと比べてしまう感情は当然だと思います。なんたってタイトルが「ゾイド」だからこれは比べるなという方が無理な話です。

ぜんぜん違うならそれはもうゾイドという名を冠した意味とは?
かつてゼブルやパンツァーティーアなどゾイドと同じ金型を使いながら全く別もの扱いだったシリーズがありました。
そういう風にせずあえてゾイドとしているのだから、これはもう関連付けてしまうのは無理からぬものであります。

 

いやしかし、それでもゾイドワイルドには大きな期待を感じました。
色んな変更に衝撃を受けましたが、それを上回る確かな期待を感じたのです。

ゾイド星じゃなくなったのは少し残念だけど、地球で何をしてくれるんだろうというワクワクがある。
キットのスケールも1/35だからこそできることがある。
コックピットは被弾したらどうするんだろう? またガブリゲーター(水に潜る)なんかはどうするんだろう? 的な疑問はあるものの、劇中でどう描写されるかに期待している。
不安などはあっても、常にそれ以上の期待があるのです。

なぜかというと、ゾイドワイルドは再販じゃなくて新規設計です。舞台は地球だしキットのスケールも変わりました。それだけを見ると、もはや共通するのは「ゾイド」というシリーズ名だけで実質的な中身は別物と言うこともできます。
しかし変わっていないものもあると気付いたからです。それは「核」です。
キットを見ていると、その動きはまさしく初代からの流れが受け継がれています。デザインにも初代からの流れが確かにあります。
またゾイドワイルド発表時には以下のような言葉もありました。

・電撃オンライン 第3世代プロジェクト『ゾイドワイルド』始動! 玩具、アニメ、Nintendo Switchとマルチに展開
こちらの記事から引用します。

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ステージには、タカラトミーボーイズ第1企画部部長の田島豊さんが登壇。
『ゾイド』の35年の歴史を振り返る映像が公開されると、「第2世代『ゾイド』のメイン担当としてかかわっていましたが、子どもから大人まで多くのゾイドファンが世界観などに熱い思いを持っているので、その思いに答えられるようにやってきた」と当時を振り返っていた。

また、その体験を通して、2つのことを確信したと明かした。
1つ目は、『ゾイド』は唯一無二であること。戦うロボットかつ生命体であるというコンセプトは、シンプルでありながらも世界中の男の子を刺激する重要な要素であり、ゾイドならではのものだと語った。
2つ目は、『ゾイド』は他社にはまねできないものであること。35年の歴史の中で受け継がれてきたノウハウ、技術、思いなどが注ぎ込まれたものだけが『ゾイド』になりえるという強い思いをあらわにしていた。

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とても力強い言葉です。
ゾイドの歩んだ歴史へのリスペクトが大いにあるから、そういう面ですごく安心できます。
ゾイドの「核」の部分を大事に守りつつ大胆に新しくしてみせた。それがワイルドなんだろという期待になるわけです。

だから一瞬戸惑ったものの、「ゾイドワイルドの大胆な変更。これもまたいいものだ。まずはついていこうじゃないか」とすぐに思い直すことができたわけです。

 

おそらく、最初に戸惑ったのはゾイドの表層的な部分だったのでしょう。
何しろ表層だから目立つ。第一印象になる。
しかしその内部はどうか?
確かな「核」が引き継がれているじゃないか。
これはもう期待です。

今回、分かりやすい表層部は大胆に変わりました。
それはもしかすると、「ゾイドの深層をより深く考えよ」というメッセージなのかも。
勘ぐりすぎかもしれませんが、そんな風にも思います。

またもう一つ思うのは、よほどの自信がなければこれほどの大胆な変更はできないということです。
初見では大きな衝撃を受けた大胆な変更。
しかしこういう変更をされたからこそ、余計にシリーズが楽しみになってきます。

 

それにしてもたびたび思うのは、今回のタカラトミーは上手すぎじゃないか、という事です。

ゾイドワイルドが発表されたのは2018年2/27。このコラムを書いているのは約4か月後の7月頭です。
ゾイドワイルドは確かに大胆な変更がありましたが、現在は多くのユーザーから絶大な支持を受けていると感じます。

ゾイドワイルドはキッズ層を取り込む。メインターゲットはそこ。それを中核に据えてブレずに動いています。
一方で常にオールドファンの心に響くものでもあります。
そのバランスが本当に絶妙です。

数年前に、同じく「キッズ層を取り込む。メインターゲットはそこである」としたガンダムAGEという作品がありました。
これが既存ファンの心をつかめず非情に厳しい状態におかれたのを見てきました。
AGEはリアルタイムで見ていたし凄く印象に残っています。
思い出さずには居られない。思い出すことを・・・・・強いられているんだ!!

あれを見ていただけに、今回全く新しくなったのにこれだけ盛り上がっているゾイドワイルドは凄いなと思います。
当初は色んな意見が出た。でもだんだん期待と応援が増えてきた。そして発売後は絶大な支持に。
やりようによってはAGEのような状況になっていた可能性もある。そう思うと今回のタカラトミーの仕掛け方は凄いなぁと思うばかりです。

さぁ、勢いは最高潮です。この調子でどんどん突き進んでほしいものです。
アツいアツい夏がやってきそうです。

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