私とシールドライガーMK-II

RPZ-07 シールドライガーMK-II

好きな方には申し訳ないけども、これはあまり好きではない強化改造タイプだったりします。
理由は、
・機動力を大幅に減じさせる巨砲を背負っているところ。つまりシールドライガーの最大長所を潰している。
・カラーリングがノーマルの方が好き。
というもの。

同意見の方も多いと思います。もちろんMK-IIの方が好きという方もいらっしゃるとは思いますが。

少し言い訳をしておくと、子供の頃の思い入れでもあります。
それは1989年の事。
当時小二だった私は、次のイベント日には何のゾイドを買ってもらおうかと毎日のように悩んでいました。
前年の年末にマッドサンダーを手に入れており、次はゴジュラスかなーと思っていたりしました。
シールドライガーもいいよなーと思っていました。
ただ問題は、私が大好きな水色のシールドライガーは既にその時生産停止。出荷は全て白いMK-IIになっていた事でした。

お盆だったかクリスマスだったか…、その辺はよく覚えていません。
ただシールドライガーを買ってもらえる事になった日、玩具屋にはもちろんノーマルタイプはありません。MK-IIを買うことになりました。
余談ですが、今でもよく覚えていることがあります。
それは買ってもらう前日に見た夢です。「玩具屋の店員さんが倉庫から一つだけ残っていた水色のシールドライガーを出してきてくれた」というものでした。
どれほどノーマルが好きだったかが分かる夢です。

まぁとにかく、流通事情からMK-IIを手に入れる事となったのでした。
買って組んだ感想はよく覚えています。
「意外とデカイ砲は似合っているかもしれん」という事と「意外と悪くない色だ」という事でした。
そう。意外と良かった。そして気に入ったのでした。
ただ、依然としてノーマルタイプが買えなかった無念さは残っていました。
それゆえノーマルが欲しい欲求は、いよいよ増してゆくのでした。
ちなみにノーマル機をようやく手に入れたのは2005年で、実に16年越しに手に入れた機体だと思うと感慨深いです。

シールドライガーMK-IIは、2013年に始まった1/144スケールでゾイドを展開する「トミーテックMSSシリーズ」のランナップに加えられました。
「あまり好きではない」と書いたものの、それはノーマルに比べてです。
ゾイドの中でシールドライガーはトップクラスに好きな機体。それと比べてと劣ると言っても、やはり「大好き」なのは間違いありません。
この機体が選ばれた事は素直に嬉しい事でした。


<トミーテック公式ページより>

発売前には公式ページに機体解説などの情報が出ます。それを見ながらアレコレ妄想するのは何より楽しいひと時です。

MSSは初代ゾイドであるところの「メカ生体ゾイド」が強く意識されたシリーズで、機体解説や型式番号、武装の設定など、徹底してメカ生体と同じものが使われています。
悪く言えば目新しさがありませんが、それよりも圧倒的な安心感があります。
メカ生体期からのファンとしては、安心して見れる事と懐かしさを感じられる事は本当にありがたいです。

 

そんなわけでシールドライガーMK-IIの紹介ページを見ていました。
メカ生体当時と違い、大型砲や武器を搭載したゾイドは圧倒的に増えました。
当時は絶大なインパクトを放ったウルトラキャノン砲ですらかしこまって見えます。
そんな今だから、当時は巨大に見えたキャノンビーム砲もあんがい普通に見えてしまいました。
慣れとは恐ろしいものだと思います。

さてシールドライガーMK-II。
機体解説には、「威力のある軽量キャノンビーム砲を装備し、攻撃力は格段である」とあります。
もちろん解説文は「メカ生体」と全く同じものですが、今回改めて読んで意識しました。
「そっか、あのでっかいキャノン砲は軽量砲だったんだ………」と。

まぁノーマルが92t、MK-IIが110tという事で、+18tの装備が軽量かと言われると疑問でもありますが……。
なおゴジュラスMK-IIは限定型で+57t、量産型で+35t。グレートサーベルは+12tです。
まぁ、設定文通り軽量であると考えて先に進みましょう。

シールドライガーMK-IIの最大の特徴であるところのキャノンビーム砲。これはなかなか興味深いと思いました。
今回改めて思ったのは、ビーム砲という事です。

考えてみれば、共和国で一定以上の大きさを持つ砲は以前においては全て実弾砲でした。
ゴルドス、ゴジュラスMK-II、ウルトラザウルス、ディバイソン。
帝国軍が最初の大型ゾイドであるところのレッドホーンからビーム砲を満載していたのと対照的です。

帝国に技術で劣る共和国は、信頼できる(というより比較的低技術でも作れる)実弾砲に固執し、実際戦果を挙げました。
実弾砲は「必要にして充分」だったのでしょう。

何ゆえシールドライガーMK-IIがビーム砲になったかというと、やっぱり重量だろうなぁ、と思います。
実弾系の場合、砲の重量+砲弾の重量を背負わなければならなりません。
先に「シールドライガーMK-IIはノーマルに対し+18t」「ゴジュラスMK-II(量)はノーマルに対し+35t」と書きました。
これは砲だけの重さでしょう。
実弾系の場合は砲弾も積まねばなりません。そして砲弾は非常に重いものです。
砲弾一発あたりの重さの資料が無いのは悔やれます。ただゴジュラスMK-IIが戦場に赴く時の重量は、「+35t」どころか遥かに上の筈です。
対して、ビーム砲のシールドライガーMK-IIは砲弾は必要ありません。「+18t」で済んでいます。

シールドライガーに実弾砲を背負わせる事は、機体にとってあまりにも負荷がかかりすぎて、許容できなかったのでしょう。
ただグレートサーベルには早急に対抗する必要があった。
それゆえ前例が無い事を承知で、大型高威力ビーム砲の開発は開始されたのでしょう。

そこでどのような開発ドラマがあったかを想像するのはとても面白いのですが、これだけ大型のビーム砲を初めて作る共和国だったから、苦労は多々あったと思います。
あるいは、この砲の開発時期はチェスター教授が帝国から救出された時期でもあります。
案外、教授がささっと作ってしまったのかもしれませんが……。

ともかく、かくしてキャノンビーム砲は開発された、と。

このキャノンビーム砲という武器は、共和国の武器開発史を読み解く上で重要だと思います。
というのも、シールドライガーMK-IIを境に、それ以降に登場した大型砲を装備したゾイドを見てみましょう。
マッドサンダー、ガンブラスター、オルディオス、キングゴジュラス。
いずれもビーム系の砲を装備しています。逆に、実弾系の大型火器は存在感をかなり失いました。
ただ例外として、カノンフォートだけは実弾砲主体の設計ですが……。

キャノンビーム砲の開発成功は、共和国にとって非常に重要な技術革新であり大成果だったのだと思います。
余裕があるマッドサンダーなんかは、わざわざビーム系にしなくても信頼と実績のある実弾系にした方が確実な気もします。
でもそうなっていないというのは、大型ビーム砲の技術に確信が持てたからなのでしょう。
先行して大型ビーム砲を搭載し、信頼性・威力共に申し分ない事を証明してみせたシールドライガーMK-IIのキャノンビーム砲のおかげだと思いました。

このようにして見ると、キャノンビーム砲というのは非常に興味深い砲だなぁと思います。
また、デザインは改めて素晴らしい仕上がりです。情報量は多いのにスッキリしており、ゾイドの武器の中でもかなり凝った部類でしょう。

子供の頃はノーマルタイプに比べてあまり好きではなかったシールドライガーMK-II。
しかし今こうして考えると、これがなかなか奥深いように思えました。
そしてキャノンビーム砲や、それを初めて本格実運用させた本機への愛情が高まってきた気がします。

正直、それでも私の中でノーマルを越える事は無いとは思います。
ただそれでも、大人になってからも研究を怠らずに居れば、強い思い入れが生まれる事もあるんだなぁと思った一件でした。

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