私と初ゾイド

私が初めて手に入れたゾイドのキットはマッドサンダーです。

私がゾイドへのめり込むきっかけとなったのはメガトプロスでした。
それは1988年の春。学年誌に載っていたバトスト、メガトプロスを中心とした共和国24部隊の活躍を見てゾイドを知ったのでした。

その記事はこちら。

<小学一年生 1988年4月号より>
1.デスザウラー、共和国の基地を襲う
デスザウラーの攻撃で共和国の基地は次々に破壊され、いよいよ共和国は追い詰められた。

2.ゾイド24部隊、中央山脈で激突!!
中央山脈に立てこもった共和国軍。 それを追う帝国のデスピオン隊を、共和国の小型ゾイドが迎え撃った。

3.メガトプロス、進撃!!
デスピオンがのけぞる。メガトプロスの一斉射撃だ。共和国の新型ゾイド軍団は、デスピオン隊を打ち破った。

この号は最近になって再び入れる事ができて、思わず小躍りしてしまいました。やはりバトルストーリーは大興奮します。
中央山脈で帝国24部隊を迎撃し圧倒する共和国24部隊。デスピオンにのけぞりのポーズがついているのが素晴らしいです。

ちなみにストーリーは続きがあります。

<小学一年生 1988年4月号より>
4.サーベルタイガー出撃!
デスピオン隊の思わぬ敗北の知らせを受け、帝国は動きの素早いサーベルタイガーを送り込んできた。
サーベルタイガーの牙がコマンドウルフの喉を食い破る。サーベルタイガーのスピードの勝利だ。

5.ディバイソン現る!!
突然黒い影が突っ込んできた。飛ばされるサーベルタイガー。共和国の新ゾイド、ディバイソンの登場だ!

 

後半はサーベルタイガーやディバイソンの奮戦です。
ただこの部分は、こんなバトルがあったなんて完全に忘れていました……。
当時間違いなく見ていたはずなのに……。私がいかにメガトプロスに一目惚れしたかがよく分かると思います。

ここから一気にはまって、ゾイドの記事をもっと見たいと思いました。
次の号が待ちきれず、家を探すと幾つかありました。それは姉の学年誌でした。

当時、うちの地区では古本回収イベントが年1であり、そこに向けて古雑誌をストックしておくのが常でした。
そんなわけで、家の倉庫には約1年分の学年誌があったのでした。
そこにはウルトラザウルス対デスザウラーの記事(これはバトスト2巻に収録されている)などがありました。
その他にも幾つかの記事を見つけて、大興奮しました。
見つけた号は、特にデスザウラー無敵時代のものが多くを占めました。なので、なにやらこのデスザウラーというのがとんでもない敵だという認識もここで持ちました。

 

とにかく一気にはまりました。
そしてその年の年末、私にとって運命の機体である『マッドサンダー』が登場しました。
クリスマスと誕生日(私の誕生日は年末です)には絶対にマッドサンダーを買ってもらおうと心に固く誓ったのでした。

マッドサンダーはとにかく最高でした。

無敵のゴジュラスと互角に戦えるアイアンコングを巨体で倒すウルトラザウルスを圧倒するデスザウラーを更に超えた究極のゾイド!
重厚なボディーに反荷電粒子シールドとマグネーザー、サンダーホーン。
全てにおいて対デスザウラーが意識されたデザインで、しかも説得力がありました。
今でも、デスザウラーを倒せるゾイドとして最適なのはマッドサンダー以外ありえないと思っています。

ついでに言うと恐竜が大好きで、その中でもダントツにトリケラトプスが好きでした。
他にもステゴサウルスとかブラキオサウルスも好きでしたが、トリケラトプスは別格でした。

<大昔の動物(学研)より>
あの最強肉食恐竜ティラノサウルスに唯一対抗しうる草食恐竜。それがトリケラトプス……!

肉食獣も好きでしたが、どちらかというと草食獣の方が好きなものが多かった気がします。
特徴的なものが多かったからかもしれません。

 

さて年末、父親と共に玩具屋に行った私は興奮気味にマッドサンダーの箱をつかんで「マッドサンダー」と叫びました。
もちろん購入してもらい、ほくほくでした。
そして嬉しい誤算がありました。
クリスマスと誕生日が近かったので、もう一つ何か買おうとなったのです。

当時ゾイドは大人気で、売り場が一面ゾイドで埋め尽くされていた事をよく覚えています。
残念ながら売り場にあったゾイドの種類まではよく覚えていません。
ただ唯一、メガトプロスが積まれていた事だけはよく覚えてます。何故なら、私が欲しかったのはそれだったからです。


しかし……、それは叶いませんでした。

父親は私の影響で、少しゾイドに興味を持っていました。
ミリタリーへの興味が強かったので(戦記ブームを経験した年代である)、ゾイドには入りやすかったのだと思います。
父親的には帝国デザインの方が好きだったようでした。
だからかどうかは分からないけど、デスザウラーにしようと言い出したのです。

今にして思えば夢のような話だったと思います。
両軍の頂点に位置するゾイドが一気に手に入るなんて。

ただ正直に言うと、当時あまり好きじゃなかったのでした。デスザウラーが。

根っからの共和国派でした。
そもそもデスザウラーは我が軍の所属機ではない。というか、わが軍のゾイドを破壊しまくる憎き悪魔じゃないか!
なんでこいつを。
世界観への没入度が高すぎるゆえの想いでした。

 

当時の私は、「隣に帝国ゾイドを置いてマッドサンダーで蹴散らす」よりも、とにかく好きな共和国ゾイド(マッドサンダーの仲間)を増やしたかったようです。
ただ私の思惑とは別に、デスザウラーはレジに運ばれていってしまいました。
その時の私が強く反抗しなかったのは、父が心から推薦するデスザウラーを否定する事を、子供ながらに躊躇ったからだと思います……。

その当時デスザウラーはそれ程好きじゃなかったから、それも加わったんだろうと思います。
マッドサンダーをますます愛していました。
デスザウラーにはすまなかったと今は思います。

作った(作ってもらった)マッドサンダーを飽きずに眺め、飽きずに動かしました。
お気に入りはマグネーザーの回転速度を変更できるスイッチでした。

デスザウラーの軽く10倍は動かしていたでしょう。
当時を思い返すと、本当にマッドサンダーマッドサンダーな日々だったと思います。
学校から帰ればまずマッドサンダーを見る。動かす。手に持つ。
外にもよく持ち出しました。

寝る時まで一緒でした。
枕元でいじりながら、そのまま寝ていました。

もちろん、それが元で悲劇も起こりました。

キット的に言うとマッドサンダーには幾つかウィークポイントが存在します。
まず尻尾の砲。これは非常に折れやすい。次に脚部のプロテクター。これが壊れると脚が一気に貧相に見えるのが悲しいのです。
これらは初期の段階で壊れました。

凹凸で繋がっている構成ですが、凹の中に凸の先っぽが入り込んだまま折れるというゾイドでは定番の折れ方をしました。
こうなるともう治せません。
アロンアルファでは強度が足りず、すぐにまた取れてしまいます。修理に失敗するたびに白化だけはどんどん進行していきます。
最終的には針金を熱してパーツに突き刺し、ジョイントを新規で作って修理しました。
その後、キャノンビーム砲も同じ壊れ方をして、同じように治しました。

マッドサンダーは日に日にボロボロになっていきましたが、かわらずに毎日一緒に居ました。
その後は暗黒軍が攻めてきて、マッドサンダーは初の敗北を喫します。またギル・ベイダーには多くが破壊されました。
それでもマッドサンダーが私にとっての最高のゾイドである事は変わりませんでした。
キングゴジュラスというマッドサンダーに代わる共和国最大最強ゾイドが出現した後も、ベストゾイドであり続けました。

 

あれから多くのゾイドを集めました。
結局最後まで共和国派で、今に至るまで変わっていません。
デスザウラーの他に帝国側で買ったのはライジャーとイグアンだけでした。なぜライジャーとイグアンだったのか、その理由は思い出せませんが……。

共和国側は、主要なのは大体揃っていたと思います。
電動ではゴジュラスMK-II量産型、シールドライガーMK-II、ウルトラザウルス、ガンブラスター、グスタフ、ハウンドソルジャー。
ゼンマイではレイノス、ベアファイターNew、ゴルヘックス、アロザウラー、ダブルソーダ。
最終的に、マッドサンダー以外にこれだけの共和国ゾイドを揃えました。

少し余談ですが、ガンブラスターとハウンドソルジャーを除いて大陸間戦争期のゾイドが居ません。
ゾイドの衰退と併せて、当時メインターゲット年齢だった者としてちょっと興味深いと思います。

 

我が軍のゾイド部隊の中で、マッドサンダーは一番ボロボロでした。壊れた部分は修理していましたが、隠しきれない修理跡がありました。
それでも、我が軍の最高司令官は常にマッドサンダーでした。

 

再販。機獣新世紀ゾイド以降からは、壊さないように細心の注意を払いつつゾイドを扱うようになりました。
だから1999年以降、凹凸での悲劇も起こっていません。

ただそれでも、私の初ゾイドだったマッドサンダーは、玩具としては凄く幸せだったんだろうなぁとは思います。
あれだけ荒っぽく扱っておいてナンですが、本当にそう思います。
多分、ある意味……、大事に扱いすぎている最近手に入れたゾイドより幸せだったんじゃないかとさえ。

 

そのマッドサンダーは最終的にはアロンアルファまみれになって、メカ生体ゾイドの終了と共にゾイドブームが過ぎた頃、ひっそりと仕舞われました。
1999年のゾイド復活の時、ひさびさに日に当たらせて、その惨状に驚きました。
こりゃ、あまりにもボロボロだなと。

2000年頃だったか、数少ない綺麗な状態で残っていたマグネーザーのパーツを、マッドサンダーの修理をしている方に無償で譲り渡しました。
こうしてもはや完全に修復不能となり、その生涯を閉じたのでした。

2000年の時点でマッドサンダーの再販は確信していたので、うちに半端な形で残っておくよりレストアで完全復活させてあげた方が良いと思ったからでした。
ただいくつかは譲るのを断り、手元に残しておいたパーツもありました。
オレンジ色のクリアパーツとギアボックスで、これのみ手元に残しておきました。
これは再販時に色が変わっていたら塗装で対応できない部品だからです。

翌年、結局マッドサンダーはほぼ完璧な状態で再販されました。
厳密に言うとオレンジ色のクリアパーツはほんの少し濃い色になっていたし、目の発光が白から赤に変更されていました。
ただ目が赤く光る変更は全然嫌じゃなかったし、クリアパーツが濃くなった件も気にする程ではありませんでした。
これならパーツ残しておかなくても大丈夫だったかな……と思いました。
だが懐かしさから、再販されたマッドサンダーはクリアパーツとギアボックス(奇跡的な事に、あれだけ酷使していたのに生きていた)は昔のものを使って組み上げました。

そうして私にとって初ゾイド、マッドサンダーは、受け継がれながら、今も私にとって一番好きなゾイドとして大切にあります。
また、今後もあり続けるだろうと思います。

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