ハードポイントの修理

ゾイドで遊んでいる時の悲劇といえば破損です。
ゾイドは模型ではなく玩具扱い。それゆえにパーツは太く厚く作られています。といっても、やはり破損してしまう事もあります。
また、組済みのものを手に入れた場合、最初から破損していた場合もあると思います。

今回は、定番の破損を出来るだけ簡単に直してみたいと思います。

先日、コマンドウルフLCの組済みを入手しました。が、背中のハードポイントが見事に破損していました。

ハードポイントの破損は定番中の定番でしょう。
子供の頃、遊びすぎて、ありとあらゆるハードポイントを破損した思い出があります。
ビーム砲を差し込んだまま折れるというのが最悪のパターンです。

ハードポイントの中でも、コマンドウルフ系の背中は特に破損しやすい構造です。
武器が大型なので、それだけハードポイントに高負荷がかかっている為です。

ともかく、壊れてしまったら直すしかない。このような場合、瞬間接着剤で直すのはあまり良くない方法です。

①強度がそもそも足りず、またすぐに破損する
②砲ごと接着してしまった場合、砲の角度を変えて遊んだりする事が出来なくなる

…こういう結果になるからです。ちなみに、どちらも子供の頃の実体験です。
ゾイドあるあるでしょう。
加えると、「③上手くやらないと接着した周辺が白化する」を加えても良いかもしれません。

瞬間接着剤の特性については以前の講座(簡単武器制作方法)でも説明しましたが、いまいちど。

瞬間接着剤の特性は上図の通り。縦方向の引っ張りや衝撃には強いのですが、横方向の引っ張りや衝撃にはめっぽう弱い。
ハードポイントにはビーム砲などを付けるでしょう。そしてその砲を回したりするでしょう。
その際に、横方向の負荷がかかってしまいます。
結果「またすぐに折れてしまう」という状況を招いてしまうのです。

さて、今回はこれを上手く修理します。実はこの破損ですが、割と簡単に直ります。

 

修理するために用意するのは3.2mmのプラ棒です。
3.2mmというのはゾイドの一般的なハードポイントの直径です。
ゾイドのハードポイントはよく3mmと言われますが、3mmではなく3.2mmです。

解説します。
ゾイドのハードポイントはよく見ると下図のようになっています。よく見ると、主軸に加えて補助的なふくらみが入っている事に気付くでしょう。
主軸は3mmで間違いないのですが、ふくらみがあるので3.2mmになっているというわけです。

そんなわけで、3.2mmのプラ棒を用意しましょう。
ただ、残念ながら3.2mmのプラ棒は一般的ではありません。一応、存在はします。ネット通販等で入手する事もできます。ですが、かなり割高になってしまいます。
そこで、3.2mmのプラ棒は自作します。

幸いにも3mmのプラ棒は入手が容易です。3mmでは細いので、瞬間接着剤を塗って太らせ3.2mmになるよう調整します。
私の場合は、最初は明らかに厚すぎるくらいに塗って太らせます。その後に紙やすりで磨いて3.2mmまで細くします。
また、プラ棒を使わずとも余ったランナー等から制作しても良いでしょう。
いずれかの方法で3.2mmのプラ棒を用意してください。

さて、3.2mmの棒が用意できたら次に進みます。
破損部分にピンバイスで3.2mmの穴をあけます。
そしてそこに3.2mmの棒を差し込みます。後ろ側から接着剤で強固に固定します。
これにて修理は完了です。

この通り、ハードポイントが復活しました。

瞬間接着剤で修理した場合と比べると…、

穴を開けて通しているので横方向の衝撃に強い。裏面から瞬間接着剤で固定しているので縦方向の衝撃にも強い。
理想的な強度が保てます。

修理が完了すると…、

この通り。破損前と同様に砲を付けられるようになります。
修理したハードポイントは砲を付ける事で隠れるので、見栄え的な問題もありません。

「また破損するんじゃないか」と心配な方も居られると思います。
確かに、しょせん同じプラスチックで修理したのだから、ハードに遊べばまた破損する可能性はあります。
その際にはまた同じ方法で修理すれば良いのですが、二度と修理しなくても良いくらいの強度が欲しいという場合は方法もあります。

今回は3.2mmのプラ棒(または余りランナー)を使用して修理をしました。
これ以上の強度が欲しいなら、金属製の棒やパイプも模型店に売っています。
真鍮線や真鍮パイプです。
これを使用して修理をすれば、少なくとも簡単に折れる事はないでしょう。
金属なので切断には金属用ニッパーなどが必要で、正直面倒くさい所はあります。
しかし、強度はプラスチックの比ではありません。
コマンドウルフの背中にしてもそうですが、大型装備が付いており負荷が高い位置に関しては、金属パーツで修理する事も視野に入れて良いかもしれません。

 

さてそんなわけでハードポイントの修理を行いましたが、この方法は万能でもありません。場所によっては使えない事もあります。
先日、マッドサンダーのハードポイントを修理しました。それを例にとり更なる修理方法を解説します。

こちらメカ生体版です。
一見して完品に見えますが、幾つかハードポイントが破損していました。


まずは尾部先端。四連ビーム砲を付ける部分です。ここの破損はマッドサンダーの定番でしょう。


そして脚部装甲の一部も破損していました。これもマッドサンダーの定番です。
この部分が破損するとマッドサンダーが一気に貧相に見えるので、是非とも直したいです。

これらの場所の修理ですが、コマンドウルフと同じ方法では通用しません。
穴をあけ裏側から接着剤で固定する事は不可能。
そもそも、3.2mmの穴をあけるのも難しそうです。あけたら全体が強度不足になり崩壊しそうです。

このような細かい場所を修理するには、少々面倒ですが以下の手順で直しています。
3mmプラパイプ(内径2mm程度)と2mmプラ棒を用意します。これを組み合わせて、以下のものを作ります。


3mmプラパイプの中に2mmプラ棒を通したものです。

2mmプラ棒に接着剤を塗り3mmパイプの中に。3mmパイプの外側には接着剤を塗り3.2mmに太らせます。
以下、これを修理用パーツと呼びます。

修理用パーツができたら、修理箇所に2mmの穴をあけます。

 
そして修理用パーツを差し込みます。少量の接着剤で固定します。
するとこの通り。


穴をあけて差し込むのですが、2mmなのでパーツに与える負荷が小さく抑えられています。
修理する場所が小さい場合は、このように対応すると良いでしょう。
強度が心配な場合は、2mmプラ棒の代わりに真鍮線か真鍮パイプを使うと良いでしょう。

脚部装甲も同様の方法で直しました。良い感じに修理できます。
付けるべきパーツを付けると、外観上は修理したことが一切分かりません。


こうして、ようやくマッドサンダーは完全復活とあいなりました。


修理用にジャンクパーツを入するのも難しいゾイド。
できるかぎり大事に扱い壊さない事は大前提です。ですが万一破損が生じた場合には、できるかぎり容易な方法で修理したい所です。

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