硬化したゴムを軟化させる

前回のコラム(ゾイドを洗浄する)で、ワイドハイターEXを使用し、黄ばんだパーツを漂白する方法を紹介しました。

漂白前と漂白後。

この威力たるやまさに革命的。見事、黄ばみが除去できました。
なんという素晴らしき洗浄液ワイドハイターEX。 これを使えば、古くなって色の劣化やむなしと諦めていたゾイドを再生する事も出来そうです。
しかしゾイドにはもう一つ、天敵が存在します。

それはゴムの硬化です。

 

先日、ジャンクのブラックライモスNEWを手に入れました。

状態は酷いもので、まさにジャンクというものでした。ただ、ここから再生させてゆくのが楽しみです。

さて今回は、硬化したゴムキャップを軟化させる記事です。
今回手に入れたブラックライモスNEWのゴムキャップは、まさに最低レベルの状態でした。
触るのを思わず躊躇ってしまうほど汚れているのと、カチカチに硬化していました。
硬化は特にすさまじく、元がゴムであると信じられない程です。

柔軟性が全くなくなっており、無理に抜こうとすると割れてしまいました。

多くのファンの方が、「長い間ゾイドを飾っていたら、いつの間にかキャップが硬くなっていた」という経験をお持ちだと思います。
硬化したゴムキャップのやっかいな所は、穴が広がった状態で硬化してしまう事です。
それゆえ、いちどパーツから外してしまうと、もはやパーツを保持する目的では使えず、差し込んでもすぐに取れてしまいます。

このようなキャップ、あると思います。古いゾイドには特によくあると思います。

硬化しきっていましたが、どうにか分解することには成功しました。
そして手に取り、見事に硬化しきっている事を再確認。
さて、どうしたものか。
キャップは古いゾイドのアキレス腱です。
代用品を探すか、あるいは復活させる方法を研究するのは必須でした。

「キャップの硬化→あまりキャップで代用する→他にも硬化したキャップが出てくる→だんだん同じ色をそろえるのが難しくなってくる」
最悪の悪循環です。希少な色のキャップの場合、たった一つダメになっただけで、それが致命的になる事もあります。

出来れば復活させたい所です。代用品では、やはり限界があります。
そして今回、一定の成果を得たので、報告したいと思います。

 

硬化したゴムを軟化させる方法は、色々調べてみたんですが、さっぱり分かりませんでした。
シリコングリスを塗れば良いという情報は出てきましたが、良い効果は出ませんでした。
また、お湯で茹でれば良いという情報もありましたが、わずかに硬化が始まった程度のキャップならともかく、完全に硬化したキャップでは無意味でした。

そこでダメもとで、前回、パーツの漂白に使用したワイドハイターEXを使ってみました。


ワイドハイターEXに漬け込んで、日光にさらします。そのままの状態で3日が過ぎました。
あいかわらず、ワイドハイターEXは素晴らしい漂白効果を示します。あんなに汚かったゴムキャップが、新品とそう変らない程の美麗さを取り戻しています。

ただ、漂白と軟化は全く別物です。そんな事は分かっている…。
しかし前回、ワイドハイターEXで黄ばんだパーツが綺麗に漂白できたのは、本当に奇跡か魔法のような感じに見えました。
なので、もしかして軟化もしてくれないかなあ…という、冷静さを失った淡い希望を抱きつつ、試したわけです。

しかし、奇跡は起きたのです。


漬け込んで3日。改めて、本当に綺麗になっています。
色は完璧。あとは弾力が戻っていれば…。

ぐっと力を加えると…、

曲がりました!曲がりました!!
あの、カチカチで弾力のだの字も無かった硬化キャップが!  無理に力を加えると曲がらずに割れたキャップが! 見事に曲がりました!!

ただ、

あまりにも曲げすぎると、裂けてしまいました。軟化するには軟化したが、完璧ではないようです。
この後、更に一週間程度漬け込んでテストしてみましたが、やはり完全な柔軟性を取り戻す事は出来ませんでした。
一定までは柔らかくなりますが、それ以上は裂けてしまいました。

新品と比べた場合、さすがに新品のような強い弾力は無い。
ただ、硬化しきったキャップの、はめこんでもすぐ抜けるような感じではなく、ちゃんと一定の弾力があります。
ある程度飾っていて、新品ほどではないけどまだ使えるかな っていう位のキャップ。その位の弾力になっていました。

充分な結果になったと思います。


パーツを保持する事が可能な程度には回復しました。逆さにしても振っても抜けません。
その後、シールドライガーの白キャップでも、同じ結果が出ました。

 

ゾイドのキャップは、ほとんど飾り程度に付いている所もあれば、かなり大きなパーツを支えるために付いているような箇所もあります。
さすがに、後者に使用するには不安があります。
しかし、それほど重要でない部分には、充分に使用できる程度になったと思います。

まだまだ完全ではない。とはいえ、復活させる手順も「漬けて日光にさらすだけ」と簡単だし、実用的な方法だと思います。
前回のパーツ漂白とあわせ、非常に有効な方法だと思います。

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-注意事項-

さて大成功したゴムの軟化ですが、同じ事をされる場合は、必ず自己責任でお願い致します。
また、今回の検証で、実験しきれていない部分もあります。

 ■素材の違い
   一口にゴムキャップといっても、全てのキャップで成分が同じなわけではありません。
   時代によって材質が違います。また、色によっても変ります。
   分かりやすい所で例えましょう。
   メカ生体ゾイド版ヘル・ディガンナーのゴムパイプは、20年ほど経過してもちぎれていない場合が多いです(ゴムキャップとゴムパイプは同じ材質)。
   しかし機獣新世紀ゾイド版ヘルディガンナーのゴムパイプは、わずか数ヶ月でちぎれてしまう程に脆い材質です。
   ゴムキャップも、全体的に機獣新世紀ゾイド以降のものは、「硬化する前に裂ける」ものが多い印象もあります。
   おそらく、これはメカ生体ゾイドは生産が日本であり、機獣新世紀ゾイド以降は海外で生産されている事が原因と思います。
   海外なので、おそらく徹底した品質保持がしにくいのではないかと思います。

   今回、ワイドハイターEXに漬け込んだキャップは、一部のキャップのみです。
   他のキャップでどのような結果が出るかは不明です。
   また、同じ色のキャップでも、生産時期の違い等によって、同じ結果になるとは限りません。

その他にも何があるか不明な点があります。その事は充分に留意して下さい。
今回のものは、あくまでこういったやり方もあるという提示だと思って頂ければ幸いです。

繰り返しになりますが、行われる場合は必ず自己責任でお願い致します。
また、事前に例えば一つだけとかで、テストした上で行う事をお勧めします。

 

それにしても、このような方法が発見できたのはオドロキです。
今後、もっと画期的で確実な方法が生まれる事も願っています。

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