令和記念 -平成のゾイドを振り返る3(平成21年~31年)-

平成のゾイドを振り返る2に続いて、今回からは平成21年(2009)~平成31年(2019)のゾイドを見ていきます。

今日は平成ゾイドを振り返るの3回目。
ラストの10年を見ていきます。相変わらず主観たっぷりですが。


■平成21年(2009)■
リバースセンチュリーが失速し展開を終えた。

この年はゾイドアニメ10周年でもあった。
そこでそれを記念した書籍「ゾイド エンサイクロペディア-ゾイドアニメ10年の軌跡-」が発売されるなど、アニメをフィーチャーした動きもあった。
しかしこの時期はそこまで盛り上がる事はなかった。
(ブルーレイの発売は2013年からである)

この年を最後に、ついに1999年の復活以来継続していた本家キットの販売が途絶える事になった。
一方で、HMMはペースを上げて発売され好調を維持した。

-発売されたゾイド(全9種+HMM7種)-
・ティガゴドス
・クリムゾンホーン
・キングライガー
・ガルタイガーGC

・アイアンコングシュバルツ仕様

・ドスゴドス旧イメージカラー(限定)
・ヴァルガ共和国仕様(限定)
・マーダTS暗黒仕様(限定)
・ディメトロドン暗黒仕様(限定)

・HMMカノントータス
・HMMコマンドウルフアーバイン仕様
・HMMモルガAA&モルガキャリア
・HMMガンスナイパー
・HMMバスタートータス
・HMMアイアンコング
・HMMブレードライガーABバン仕様

・書籍「ゾイドアンサイクロペディア」

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『けいおん!』超ヒット
・テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』第2期放送開始されるも「エンドレスエイト」でひと悶着を起こす
・『こども店長』
・『PSP GO』が発売されるも不調
・『ニンテンドーDSi LL』発売、携帯機のDS優位を更に確実にする
・ニンテンドーDS用『トモダチコレクション』発売

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・政権交代、民主党政権時代へ
・裁判員裁判導入
・薄型テレビの普及率が50%を超える
・Windows7発売、前OSのVISTAの不評から一点、好評を得てOS切り替えが進む
・前年に日本上陸したiPhoneが好調を記録する、アンドロイド搭載機も登場し、スマートフォンが普及しだす
・派遣切り
・草食男子

昨年にあれだけ気合を入れて始まったリバセンが年始早々失速してしまった。
通常販売は3月のガルタイガーGCで終了し、ユーザーを嘆かせた。
このままシリーズが続けば再販するかと思われたバトルクーガー、ゴッドカイザー、デスキャットなどは未復刻に終わった。
限定品まで含めると最終商品は8月にイベントで発売されたディメトロドン暗黒仕様であった。

主観であるが、この件はまたしてもファンの確執を生んだと思う。それは「旧ファンは口だけでかくて買わない」という印象である。
ただし個人的には昨年末から高価格帯アイテムが「乱発」と言える程の勢いでリリースされた事は非常にマズかったと思う。
いかにファンでも年末~年始の期間で12000円のキングゴジュラス、8000円のギルベイダー、5000円のオルディオス、4500円のシールドライガーバン仕様、6500円のアイアンコングシュバルツ仕様、5000円のクリムゾンホーン=合計41000円を出す事は楽ではなかっただろう。
新型ゾイドはゼンマイ機でも2800円の価格帯をしており、年末に5種類出た。これも合計14000円になる。
他にも多くのゾイドが出た。

更に「イベント限定」のゾイドも非常に多かった。これは移動費はかかるし限定ゾイドなので単価も高い。しかも数の調達がシビアで並んでも売り切れることがあった。
(筆者は限定暗黒マルダーを買うために大阪→東京に移動した……末に早朝から並んだにもかかわらず売り切れてしまった……)
この状況で高い熱を持続するのは楽ではなかった。

「ハイターゲットを狙った=低年齢向けシリーズよりは高価格設定でも構わない」「イベント限定はいかにもマニアが食いつく要素」これは正しいと思う。
しかしそれにしても限度はあろう。
ハイターゲットの中でも更に一握りの猛者は付いてきた。だがそうでないものは疲弊し振り落とされたシリーズだったと感じる。
「頑張ったけど付いていけなかった」のだ。

 

本来、シリーズというのは「あるユーザーはキングゴジュラスを買う。あるユーザーはヘルディガンナーを買う」そんな選択が割れる状況でも成り立つものだと思う。
対して本シリーズはそれでは成立しない。「熱心なファンが長年望んだゾイドだからみんな全種類買うだろう」という前提で構成されていたように感じる。
2008年前半の月刊ゾイドグラフィックスは好調であった。
この推移を見るに、もう少し穏やかにユーザーが買いやすいバランスで展開を続けていれば一気に失速する事はなかったと思う。

他方、これだけ猛烈なダッシュをかけたから多くのゾイドが復刻され更に新型ゾイドも登場できたという見方も当然あろう。
見解はそれぞれだろう。だが結果として言うと、この年に本家タカラトミーからの展開は終わった。

もう一つだけ補足すると、たとえばゾイグラのガンギャラドは出るや即売り切れで異様なプレミアがついた。
だが再出荷後はダダ余りで捨て値のワゴン行きの一幕もあった(大阪日本橋で確認)。
出荷数の読みが甘かった事は否めない。その点でも非常に大きな課題を残した。

 

一方でHMMは相変わらずの好調で、混迷する本家と対照的であった。
この年のガンスナイパーはデザインのアレンジも好評で、HMM特有のシャキッとした金型から「ようやく理想のガンスナイパーが出た」と歓迎された。
また巨大アイテム、アイアンコングの発売もファンを驚かせた。アイアンコングはろっ骨を模したフレームの構造が秀逸であった。

ちなみにこの年の3月にZoids Ignitionが誕生した。

ゾイド以外では、Windows7が発売され世間をにぎわした。長らく続いたXPの時代が遂に収束に向かう事になった転換点の年であった。
ただしインターネットにおける次世代覇権を握るのは、Windows7ではなくこの年から普及しだしたスマートフォンであった。

 

■平成22年(2010)■
この年からゾイドは本家キットが展開しない期間となった。
ただしこれまでの展開で煩雑になったゾイドを今一度まとめ「明確な物差し」を作るべく「ゾイドコンセプトアート」の刊行がこの年から行われた。

内容は賛否はあったが、後年はこれを軸にした展開も行われた。
キットでは、本家キットがない=HMMに大きく頼った時期に突入した。
ただこの年は「リボルテック」で二種類のゾイドが発売された。またマクロスで有名な「やまと」もゾイドに参入し、シールドライガーを発売した。

-発売されたゾイド(HMM8種類+他3種)-
・HMMレッドホーン
・HMMガンスナイパーナオミ仕様
・HMMグレートサーベル
・HMMライトニングサイクス
・HMMブレードライガーミラージュ
・HMMダークホーン
・HMMライガーゼロ
・HMMコマンドウルフバラッド仕様

・リボルテック ブレードライガー
・リボルテック ジェノブレイカー
・やまと シールドライガー

・書籍 ゾイドコンセプトアート

-ゾイド以外の子供文化-
・『Angel Beats!』放送開始、天使ちゃんマジ天使
・iPadの発売でタブレット型端末が普及、モバイル端末向けゲーム市場がさらに拡大

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・大相撲野球賭博問題発覚
・記録的猛暑
・尖閣諸島中国漁船衝突事件発生

本家キットの展開が一切ない状況に置かれた。1999年以来、長く続いた本家キットの展開はこの年で途絶えた。
リバセンの気合の入ったスタートと早期の展開終了。その結果として本年は本家キットがない。これはファンに無力感を与えた。
だがHMMは相変わらず好調であった。コトブキヤは本家不在の間も力強くゾイド市場を守った。
この年のゾイドでは、ライトニングサイクスがヒット作となった。また年末に出たライガーゼロはやはり売れまくり、年末から翌年にかけてシリーズを活気づけた。

ブレードライガーとジェノブレイカーはリボルテックになった。しかし単発商品の印象はぬぐえず、あまり話題になる事はなかった。
やまとのシールドライガーについては、マクロスシリーズで定評があるメーカーだけに期待された。
同社はマクロス商品で凄まじいまでのバリエーション展開を行う事でも有名だった為、ラインナップ(というかバリエーション)も増えることが予想された。
だがやまとは2013年に突如として倒産し、結果的にバリエーションが多数出ることはなかった。

やまとのモデルはとにかく巨大であり、ダイキャストを使用した重量感も凄まじいインパクトを放った。
モデル自体の評価は極めて高いが、内容に見合う高価格アイテムでもあった。
バリエーションが”マクロス並み”に増えなかったのは寂しいようなホッとしたような複雑なところである。

 

その他ではゾイドコンセプトアートの刊行が驚きであった。
この本は当初はタイトル名のみ発表された。気になる中身は発売日まで一切不明であった。
より正確に言うと、メール配信に登録していたユーザーには「発売前日」に極一部の内容を画像で示したメールが届いた。
しかし遅すぎであろう……。
こういう状況だったので、ユーザーの予想は「ゾイドの開発スケッチや企画書などをまとめた本だろう」というものであった。

これは電ホビに掲載された連載だが、こういうまとめだと思っていた。

はたして発売されてみれば、コンセプトアートは「ゾイドの世界観を今一度まとめ物差しとする」ものであった。
第1巻となるこの年に発売された巻はゾイドの成り立ちが解説された。

内容には賛否あったが、否というのは直前まで予想されていた内容と違っていたからという事も大きな要因だろう。
筆者主観だが、本書はユーザーの想像力を刺激しつつゾイド世界観を膨らませる良い本だったと思う。その意味では大満足であった。
ただし期待した内容…「ゾイドの開発スケッチや企画書などをまとめた本だろう」ではなくてガッカリしたのもまた正直な感想であった。
異なった二つの感情がせめぎ合ってしまったのだ。
もし事前にきちんと告知していればこの感情は回避できていたのではないか。そうした意味で、またしても本家の運営の下手さを感じてしまったのは否めなかった。

 

■平成23年(2011)■
この年もゾイドは本家キットが展開しない、HMMに大きく頼った状況であった。
「ゾイドコンセプトアート」は第二巻が刊行された。ある意味では去年と同じ安定した状況であった。
ただコトブキヤが外伝的ではあるが「D-style」でゾイドをリリースするようになった。デフォルメした愛らしいゾイドは好評を得た。

-発売されたゾイド(HMM8種類+D-style2種類)-
・HMMセイバータイガーゴールド
・HMMガンスナイパーリノン仕様
・HMMプテラスボマージェミー仕様
・HMMライガーゼロシュナイダー
・HMMシールドライガーRAMMARスペシャル
・HMMジェノザウラーレイヴン仕様
・HMMゴドス
・HMMシールドライガーバン仕様

・D-styleブレードライガー
・D-styleデスザウラー

・書籍 ゾイドコンセプトアート2

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』『トリコ』放送開始
・テレビアニメ『ダンボール戦機』放送開始、LBX大ブーム
・テレビアニメ『機動戦士ガンダムAGE』放送開始、コロコロがプッシュした初のガンダム、キッズを狙って展開するも不調
・ニンテンドー3DS発売
・PlayStation Vita発売

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・東日本大震災発生
・ACジャパン「あいさつの魔法(ぽぽぽぽーん)」
・地上波のテレビ放送がデジタル方式に完全移行する

昨年と同じくHMM中心の状況であった。
ライガーゼロは当然のようにCASの展開もした。この年はシュナイダーがリリースされ、やはり好調な売れ行きを示した。
新型では小型ゾイドのプテラスやゴドスの発売でファンを喜ばせた。
HMMの「ライガーやザウラーが中心ではあるが、細かな仕様や渋めの小型ゾイドも忘れない」バランス感覚は多くのユーザーから極めて高く支持されている。
D-Styleも愛らしい造形と比較的低価格帯であった事から好評を得た。

ゾイドコンセプトアートは2巻が発売された。

内容はゾイドの成り立ちを解説した1巻と違い、良く知るゴジュラスやサーベルタイガーが登場するものでファンを喜ばせた。
ただしよく知るゾイドが登場しただけに、作中のストーリーについてはやはり賛否があった。例えば登場するゾイドの順番が従来のバトストと大きく違うなどである。
しかし1巻時ほどの混乱はなく、2巻の評価は上々だったと思う。「本家に飢える」状況がそれを後押しした所もあろう。

 

ゾイド以外では、やはり東日本大震災とその後の様々な問題が外せないだろう。日本の災害への意識が大きく変わった瞬間でもあった。
被災地では直後においては食料をはじめ生きる為の支援物資が必須であった。だがひと段落した後は特に子供たちにヒーローが勇気を与え精神的なサポートをしたという。
それは例えばアンパンマンであったり仮面ライダーであったりプリキュアであったりする。
フィクションは現実でないと言うが、時として勇気……具体的な力を与える存在たる。そのような意味でいえば確かにそこに実在するのだろう。
中にはゾイドに勇気づけられた方も居た筈だ。

 

■平成24年(2012)■
この年もゾイドは本家キットが展開しない、HMMとD-Styleで展開される状況であった。
「ゾイドコンセプトアート」は第三巻が刊行された。去年と全く同じ状況で、もはやこれが普通と化しつつもあった。
しかし、年末には新たなるシリーズも告知された。トミーテックが「MSS」というシリーズを立ち上げ1/144でゾイドを展開する事が発表された。

-発売されたゾイド(HMM7種類+D-style3種類+他1種類)-
・HMMライガーゼロイェーガー
・HMMダークホーンハリースペシャル
・HMMライガーゼロパンツァー
・HMMバーサークフューラー
・HMMシャドーフォックス
・HMMジェノブレイカーレイヴン仕様
・HMMディバイソントーマ仕様

・D-styleウルトラザウルス
・D-styleブラッディデスザウラー
・D-styleシールドライガー

・やまと シールドライガーDCS-J
・書籍 ゾイドコンセプトアート3

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『氷菓』放送開始
・テレビアニメ『ガールズ&パンツァー』放送開始
・ニンテンドー3DS LL発売、携帯機次世代覇権争いは3DS優位に進む
・Wii U発売されるも不調
・スマホ『パズル&ドラゴンズ』配信開始
・ニンテンドー3DS『とびだせどうぶつの森』『とびだす!にゃんこ大戦争』発売

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・東京スカイツリー開業
・政権交代、第二次安部内閣成立
・格安航空会社が日本就航

昨年と同じくHMMとD-styleに頼る状況であった。
この年でHMMライガーゼロの基本CAS3種が揃い、やはり安定して売れた。
その他では、ジェノブレイカーの金型が改修された。
ジェノザウラーは初期HMMだけに構造の難があり、荷電粒子砲発射時の「体を一直線に伸ばす」が惜しい所で出来なかった。
この点を改修し、一直線に伸びるようにしたのであった。この仕様変更は好評を持って受け入れられると共に、コトブキヤの高評価を更に確実にした。
また10月には「ゴジュラスHMM化決定」の発表も行った。超大型モデルの予告にユーザーは沸いた。

ゾイドコンセプトアートは3巻が発売された。

内容は3巻に続きデスザウラーやマッドサンダーが登場する豪華なものになったが、設定の大胆な変更……、例えばデスザウラーにはコアがないとかゴジュラスがデスザウラーと互角に戦える程に強いなどは賛否や混乱もあった。

 

5月にはトミーテックから「MSS」シリーズの発表もされた。

これは1/144スケールの精密造形でゾイドをプラモ化するものであった。造形はアレンジの多いHMMに対し「本家キットに忠実なデザイン」が差別箇所であった。
本家……ではないがトミーの名を冠した会社からの展開に期待が集まった。

 

ゾイド以外では、ニンテンドー3DSがLLの発売やとびだせどうぶつの森で好調を記録した。
DSに続いて携帯機王座になり、特に子供に支持されるハードになった。
ただし、非常に残念なことにゾイドゲームが3DSで発売されることはなかった。

 

■平成25年(2013)■
ゾイドが30周年を迎えた。3月にゾイドHPがリニューアルされ、30周年ロゴを掲げたものになった。
ロゴはビガザウロをレイアウトしたものであった。

記念すべき30周年に、ゾイドが久々の新展開「ゾイドオリジナル」を発表した。
これはタカラトミー公式通販ショップ限定ながら、5種類のゾイドをリリースするものであった。久々の本家キット展開にファンは沸いた。
ゾイドオリジナルに併せて電撃ホビーマガジンでは漫画も連載された。

ゾイドコンセプトアートは、続編である「ZOIDS 暗黒軍の襲来」が発売された。

MSSは予告通りリリースを開始し、8種類のゾイドをリリースした。
HMMは、年末についにあのゴジュラスが圧倒的ボリュームでリリースした。
D-styleも展開したが、これはこの年が最後のリリースになった。

本家タカラトミー、トミーテック、コトブキヤ、この三社が展開した年になった。
三社合同で「フォトコンテスト」も開催された。またコトブキヤは年末にゾイド30周年イベントも開催した。

その他では、初代アニメがブルーレイ化され話題を呼んだ。ブルーレイボックスにはHMMブレードライガーの特別仕様が付属した。

-発売されたゾイド(3種類+MSS8種類+HMM8種類+D-Style3種)-
・ミラージュフォックス
・ジェノリッター
・コマンドウルフRGC

・MSSシールドライガー
・MSSハンマーロック
・MSSサーベルタイガー
・MSSゴドス
・MSSシンカー
・MSSシールドライガーMK-II
・MSSグレートサーベル
・MSSコマンドウルフ

・HMMライトニングサイクスアーバイン仕様
・HMMサイコジェノザウラー
・HMMアイアンコングシュバルツ仕様
・HMMブレードライガー(ブルーレイボックス同梱特別仕様)
・HMMイグアン
・HMMファイアーフォックス
・HMMゴジュラス
・HMMブレードライガークリアver.(ブルーレイ同梱)

・D-styleコマンドウルフアーバイン仕様
・D-styleグスタフムンベイ仕様
・D-styleアイアンコング

・書籍 ゾイドコンセプトアート 暗黒軍の襲来
・ブルーレイ「アニメ ゾイド(初代)」

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『ラブライブ!』『進撃の巨人』『宇宙戦艦ヤマト2199』放送開始
・テレビアニメ『ガンダムビルドファイターズ』放送開始、キッズ層にも人気を博す
・ブラウザゲーム『艦これ』提供開始、大ブームに
・ニンテンドー3DS『妖怪ウォッチ』発売
・スマホゲー『モンスターストライク』配信

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・『ブラック企業』が流行語に、働き方改革が進められる契機になる
・富士山が世界文化遺産に登録される
・特定秘密保護法案成立

ゾイド30周年で、久々に活気づいた年になった。ビガザウロのロゴはファンをニヤリとさせた。
この年の最大事件はやはりゾイドオリジナルであろう。久々の本家キット展開にファンは大いに沸いた。
ただしタカタトミー公式通販サイト限定商品で、商品数も1年間を通して5つと告知された。
ロゴからして「ビガザウロが再販される!」「ゾイド大復活だ」と期待したファンは多く、この小規模展開には少なくない落胆の声があがった。
ただし、リバセンを経たユーザーはそれについては比較的早期に受け入れていたように思う。
電ホビではゾイドオリジナルと連動した漫画「ゾイドSS」も連載されるなどもした。

この年に発売されたゾイドは3種類で、既存ゾイドに追加パーツを付けた独自仕様になっていた。
ミラージュフォックスが好評を得た。ただしジェノリッター、コマンドウルフRGCは評価の分かれるものとなった。
そして売れ行きは不明であるが、年末には予定していた5つのリリースを覆し「4種類」で終わる事がひっそりと告知されてしまった。
ファンの間には無力感が駆け抜けた。

 

年始からはMSSが発売され、こちらは小サイズながら精密な完成度であった。
ラインナップはスタンダードを攻めつつマニアックな期待にも手を出すバランスが好評であった。特にシンカーはファンを驚かせた。
ただし小サイズながら価格はHMMに近く、またバリエーション展開の「痒い所に手が届く」具合ではHMMに大きく劣った。
例えばHMMはシールドライガーでキャノピーを通常版はオレンジにしたが、メカ生体時代のようなブラウンキャノピーも別売した。
このような各世代のファンがそれぞれ納得できる・嬉しい事を最大限の努力で対応していた事はコトブキヤが大きく信頼される大きな要因である。
MSSは特にメカ生体ゾイドを強く意識した構成であった。その為、その世代からは特に支持されたが、全体としては好調とは言い難い売れ行きでもあった。
しかしとにもかくにもこの年は順調にリリースを続けた。更に次作がサラマンダーと公表され、ファンから期待された。

 

HMMは相変わらずの好調だったが、ゴジュラスの発売をもっていったん「休止」する事が発表された。
ただし休止であり、翌年を予定し第二期の告知をする事も同時に告知された。
理由として、さすがにゴジュラスクラスの超巨大アイテムを作り続けるのはコトブキヤの体力としては厳しい面もある。
そこで一旦は休止し体力をまた貯めたいというものであった。
2006年から安定して続いたHMMが休止に入る。しかしこの事は絶望というより大多数のユーザーが「納得」し第二期への「期待」を抱くものであった。

これはゾイドオリジナルと対照的であった。ゾイドオリジナルは当初5と告知したリリースを4で終わると極めてひっそりと告知した。

うがった見方をするわけではないが「できればその変更には気づいてほしくない」というせこい意図を感じてしまうものであったのは否めない。
キチンと終了を告知しその事に対する詫びを行い、しかし復活の告知も同時に行ったHMMとあまりにも対照的であった。
この事はタカラトミーに対する不信感を抱かせてしまった。

 

ゾイドコンセプトアートの新刊「ZOIDS 暗黒軍の襲来」は、暗黒軍とは言ったもののファンがよく知る暗黒軍のビジュアルとは大きく異なっていた。
また作中では「ZNAゾイド」という「パーツ互換があり合体を前提とした新たなゾイド」の形も示したが、これも好評とは言い難かったと思う。
三巻までと比べて好意的な意見が減ってしまったと感じる。
コンセプトアートは翌年にも新刊のリリースを予定していたが、これが最後の巻となった。
新刊についてはイベントなどで「ギル・ベイダーと対峙するマッドサンダー」のシーンが展示されていた。
これが刊行されていれば暗黒軍のビジュアルに混乱も起こらず三巻までを見たユーザーが安心して見れる内容になったと思うのだが……。

 

■平成26年(2014)■
ゾイドオリジナル最後のリリースがされ、再び本家ゾイドは休眠に入った。
またMSSも突如として展開の休止を発表した。
HMMは予告通りに休止した……が、厳密に言うと仕様変更ゾイドのリリースや再生産は行われ、完全に停止したわけではなかった。
また意外な所で「Zナイト」をリリースしファンを驚かせた。

その他では、前年に引き続きアニメ/0がブルーレイ化された。ブルーレイボックスにはHMMライガーゼロの特別仕様が付属した。
またThreeZeroから大型アクションフィギュアのシールドライガーが登場した。

-発売されたゾイド(1種類+HMM2種類+他1種類)-
・ストームソーダーFSV

・HMMライガーゼロ(ブルーレイボックス同梱特別仕様)
・HMMブレードライガーABレオン仕様 リニューアルVer.

・ThreeZeroシールドライガー
・ブルーレイ「アニメ ゾイド新世紀/0」

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『妖怪ウォッチ』放送、ポケモンを超える勢いで超ブームに
・プレイステーション4発売
・Xbox One発売
・New ニンテンドー3DS、3DS LL発売
・『amiibo』の展開開始
・スマホゲー『ディズニーツムツム』『グランブルーファンタジー』『白猫プロジェクト』配信

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・STAP細胞騒動
・あべのハルカス開業
・消費税が8%に
・『笑っていいとも』終了

ゾイドオリジナルが終了した。そしてMSSも終了した。
MSSの終了告知は極めて唐突であった。
前年から「次はサラマンダー」と告知されユーザーの期待を集めていた。通常仕様はもちろん「F2」への期待も非常に大きいものがあった。
だが最終的にサラマンダーのリリースも停止してしまった。
展開終了についての告知は正直に言ってユーザーの気持ちを逆なでするものであった。


突如としてこのメッセージが出たのである。
「ゾイド生誕30周年の終了を受け」と説明されているが、じゃあサラマンダーはどうだったんだとなるのは当然であった。
これは本家の終わり方と併せて不信感を更に高めた。

一方でHMMは休止こそしたが幾つかのアイテムはリリースしたしブルーレイボックスに特別仕様機っとも付属させた。
またZナイトへの取り組みも意欲的であった。こちらは、Zナイトよりゾイドを…との声が出なかったわけではないが……。
また年末には予告通り復活への段階を告知した。この誠意ある歩みはユーザーからの絶対的な信頼となった。
この頃から特に、「もはやコトブキヤである」という機運がかなり高まったと筆者は感じている。

その他ではThreeZeroからシールドライガーが出た。コンセプトアート版のシールドライガーを立体化したもので、やまと版に並ぶサイズ感と凄まじいまでのウェザリングでユーザーを驚かせた。
しかし非常に高額なアイテムだった事もあり、やまと版と同じく定番というよりは記念のビッグモデルという印象ではあった。

 

■平成27年(2015)■
新作ゲーム「ゾイドマテリアルハンター」の展開が発表された。
これはスマートフォンとゲーム機「Gクラスタ―」用のゲームで、ゾイドコンセプトアートの世界観で展開するものであった。
5月にリリースされ、多くのユーザーがゲームをプレイした。

また年末には「マスターピース」というハイエンドな仕様で動力ゾイドを開発中との事も告知された。

コトブキヤは再始動した。新シリーズ「ZA」を立ち上げ、可動フィギュアでゾイドをリリースするようになった。
HMMも無事に復活し、第二期一発目である「デススティンガー」が発売された。

その他では、アニメフューザーズがブルーレイ化された。ただし残念ながらこちらには特別キットが付く事はなかった。

-発売されたゾイド(HMM3種類+ZA1種類+他1種類)-
・HMMコマンドウルフアーバイン仕様リパッケージver.
・HMMデススティンガー
・HMMデススティンガーヒルツ仕様

・ZAムラサメライガー

・Threezeroアイアンコング
・ブルーレイ「アニメ ゾイドフューザーズ」

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『ドラゴンボール超』放送開始、ドラゴンボール人気が子供たちに本格波及
・テレビアニメ『おそ松さん』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』放送開始
・『Minecraft』コロコロでを特集され大ブームに
・Wii U『スプラトゥーン』発売

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・マイナンバー制度開始
・首相官邸無人機(ドローン)落下事件

マテリアルハンターが話題になった。「スマホゲーム」というのは時代の流れを考えれば非常に納得ができるものであった。
「Gクラスタ―」というゲーム機はちょっと謎であったが……。

ただし本作は率直に言って不評であった。ゲーム内容は単調だったし、グラフィックもシュールであった。
シュールというのは例えばゾイドを改造すると追加武装が付くのだが「その付き方はどうなんすか……」という具合でユーザーを嘆かせた。
そうして低空飛行のまま、本家ゾイドやコンセプトアートを広める事はないまま翌年には配信が停止してしまった。配信期間は約1年である。
少し擁護すると、後期にはゲーム性が改善されたしグラフィックも「これだ!」というものが増えた。
しかしその頃には既に低評価が決定的になっており覆すことが難しくなっていた。
ありていに言って失敗であった。この印象は後にも影響を及ぼすことになった。

 

キットでは、年末に発表されたマスターピースゾイドが話題をさらった。
これは「大人向けに開発された贅沢な夢の動力ゾイド」であった。予告サイトでは開発状況が逐一報告され、ユーザーの期待をあおった。
マスターピースについて言えば、直近の本家シリーズとはうって変わってユーザーフレンドリーというか、「よく分かってる」告知をしていたと思う。
ユーザーも、これまでとは違う気合の入りっぷりに「いよいよ本気でゾイドが復活する」と期待した人数も多かった。
リリースは翌年で、ファンは期待を膨らませた。

コトブキヤは休眠から明けた。
やはり新作を精力的に展開した。休眠明けゆえリリース数こそ少ない。しかしその動きはさすがコトブキヤと思えるものであった。
デススティンガーは復活一発目から極めて高い評価を出す名作となった。

 

■平成28年(2016)■
マスターピースゾイド第一弾のシールドライガーが発売された。8月には第二弾のセイバータイガーも発売され、両機とも期待に違わぬ完成度でファンを喜ばせた。
しかしマスターピースゾイドのリリースはこれが最後になった。

マテリアルハンターが6月で終了した。しかし9月には新たなる展開が告知され、10月にはそれが新作スマホゲー「ゾイドFOR」だったと判明した。
これは翌年にリリースされる事になった。

コトブキヤはどちらかというと新機軸のZAに比重を置いた年になった。

その他では、アニメジェネシスがブルーレイ化された。これには特別仕様のZAキットが付属した。

-発売されたゾイド(MP2種類+HMM3種類+ZA4種類)-
・MPシールドライガー
・MPセイバータイガー

・HMMコマンドウルフリパッケージver.
・HMMアイアンコングPK
・HMMゴジュラス・ジ・オーガ

・ZAハヤテライガー
・ZAムゲンライガー
・ZAブレードライガーAB
・ZAジェノブイレイカー
・ZAムラサメライガー(ブルーレイボックス同梱特別仕様)

・ブルーレイ「アニメ ゾイドジェネシス」

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『マクロスΔ』放送開始
・ニンテンドー2DS発売
・PlayStation VR発売
・ファミコンミニ発売。レトロハードの小型化機ブームを起こす
・スマホゲー『ポケモンGO』配信、ポケモンが猛烈に巻き返す

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・熊本地震発生
・北海道新幹線開業
・ブルートレイン営業終了

マスターピースゾイドが展開し、そして終了した。明確に終了とは言われていないが、セイバータイガー後は継続とも終了とも言わず放置状態にある。
(ちなみに2019年11月現在をもってセイバータイガーの公式ページは「8月発売予定」のままである。展開終了間際になると更新が煩雑になりキッチリ締めないまま放置に移行するのは悪い癖だと筆者は極めて強く思う)

マスターピース自体の評価は極めて高く、その造り込みは確かな本気を感じさせた。それだけに非常に惜しい事態であった。
その造り込みゆえ開発は容易ではないだろう。それゆえ「休止する」でも「これで終わり」でも宣言さえすればファンは納得したと思うのだが……。
なお完成度が極めて高く評価されたマスターピースだが、シールドライガーは尾部パーツ材質に難があり「飾っておくと数か月で100%ちぎれる」ようになっているなど不備がなかったわけではない。

マテリアルハンターは終了し、代わって新展開「ゾイドFOR」が告知された。
告知は「ゾイド新展開!」と予告する謎のティーザーサイトの公開に始まった。
ティーザーサイトは気合の入ったシールドライガーのビジュアルがあり、大型展開を予想させるものであった。

スマホゲーだと判明した時の印象はガッカリが大勢を占めていたと思う。それはティーザーサイトの素晴らしい造り込みから「ゲームならコンシューマー用だろう」と予想するユーザーが圧倒的多数だったからである。
またマテリアルハンターの不評から、もうスマホゲーは要らないと思うユーザーも多かったからである。
しかし時間とともに落ち着きを取り戻し、最終的に事前登録50万人を達成する等期待されるプロジェクトになった。

コトブキヤは新機軸ZAを積極的にリリースした。
HMMはバリエーションのみであった……が、バリエーションと言ってもコングとゴジュラスの量強化仕様を同年に発表したのは凄い。
ゴジュラス・ジ・オーガでは「HMMがまた休止するのでは!?」との噂も流れたが、幸いにもそんな事はなかった。

 

ゾイド以外ではポケモンGOが凄まじい旋風を放った年である。一時的に妖怪ウォッチに押されたが、やはり体力がけた違いに大きい。 貫録を大いに取り戻した瞬間であった。
その他ではファミコンミニも大きな話題になった。
ゾイドも一時期そうであったが、やはり「あの頃の子供たち」には需要があるんだろうなぁと思う。
それのみを狙うのはちょっと違うと思うが……、任天堂のように子供も狙いつつ同時にかつての子供も狙う。そんな展開ができるのは最強だと思う。

 

■平成29年(2017)■
ゾイドFORが配信された。しかし本家キットの展開とは結び付かず、リリースはなかった。
コトブキヤはこの年の後半より再びHMMに注力するようになった。

-発売されたゾイド(HMM2種類+ZA1種類)-
・HMMストームソーダー
・HMMストームソーダーアーラバローネ仕様

・ZAライガーゼロ

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『けものフレンズ』放送開始、大ブームになるものの年末には騒動も
・Switch発売、据え置き機と携帯機の利点を兼ね備えたゲーム機で注目を集める、人気で品薄に
・Switch『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』発売、キラータイトルとしてハード普及に大きく貢献

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・『インスタグラム』大流行、「インスタ映え」が流行語に
・仮想通貨への投資がブームに

ゾイドFORが配信された。マテリアルハンターの「なんか違う……」感じとうって変わって、多くのファンが「これだ!」と感じる世界観の造りは好評であった。
また「MOBA」という新しいジャンルに挑戦した事も話題になった。評価はまちまちだが、少なくともマテリアルハンターよりは圧倒的に上であったと思う。
ただし操作性やチュートリアルには大きな難があり、またオンライン専用であるから慣れないユーザーは参加しにくいなどの課題も多くあった。
それでもこの年はそれなりの盛り上がりを見せた。

コトブキヤはリリース数は少なかったが年末の新作のストームソーダーは大好評であった。

 

■平成30年(2018)■
ゾイドが30周年を迎えた。
2月に「ゾイドワイルド」の名で完全新規のゾイドが展開する事が発表された。
これはアニメ化を含む超大型展開であり、また久々に「新規ファン」を完全に向いたものであった。
6月にはキット第一弾が発売され、7月にはアニメがスタートした。ゾイドワイルドは好調な売れ行きを示し、順調にリリース数を増やした。

コロコロコミックでの掲載も復活した。今シリーズではジオラマ戦記は展開されておらず、カラーページはゾイドの世界観や様々な情報を紹介するページである。
また漫画連載も始まった。
学年誌での展開は行われていない。というのも、既にこの時代は学年誌が小一を除いてすべて休館していたからである。

一方、ゾイドFORの配信は7月で終了した。

-発売されたゾイド(16種類+HMM1種類)-
・ワイルドライガー
・ギルラプター
・カブター
・スコーピア
・ガノンタス
・ガブリゲーター
・グラキオサウルス
・クワーガ
・ラプトール
・ナックルコング
・トリケラドゴス
・グソック
・ステゴゼーゲ
・ワイルドライガー覚醒版
・デスレックス
・ハンターウルフ

・HMMシュトゥルムテュラン

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『ゲゲの鬼太郎(六期)』放送開始
・Nintendo Labo発売、ダンボールを使った意欲的な構成で注目を集める
・Switch『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』発売
・コロコロコミックでチンギスハンの肖像画に対する騒動発生

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・振袖販売・レンタル会社「はれのひ」による騒動
・大阪府北部地震
・西日本豪雨
・歴史的猛暑
・災害が続く年で今年の漢字は「災」になる

ゾイドワイルド始動。これがやはり最大の年であった。

「再販ではなく完全新規にゾイドを開発する」ことは大きな衝撃であった。その他にも世界観の一新やスケールの変更は議論を巻き起こした。
当然、拒絶する意見もあったが大勢としてはゾイド大復活を祝福し新規ゾイドに期待するものであったと筆者は感じる。

6月にリリースされたゾイドワイルドキットは、玩具としての面白さに立ち戻った仕様で大好評を得た。
7月から開始されたアニメの後押しもあり、新規ファンの参入も上々であった。この年の売れ行きは「予想以上」であったとタカラトミーから発言された。
年末までに16種ものゾイドがリリースされ、ゾイド界隈は大いに活気付いた。
この中でもデスレックスとハンターウルフは売り場で「瞬殺」されて品薄になる程であった。

ゾイドワイルド開始以来、HMMはしばらく沈黙した。ワイルド展開にあわせた終了の噂も流れたが、これは翌年に希有であったと判明する。
これは筆者主観であるが、終了の噂はちょっと心配しすぎだったと思う。ただし、今までのゾイド全体の展開から見ればそうなってしまった気持ちもよく分かるものである。
つまりゾイドとは、ここ10年近くそんな心細さが常に思われる状態であった。

明るい話題だけではなかった。ゾイドFORは7月で配信を停止した。
大型プロジェクトであり、予定ではもっと長く続ける目算であったとされる。しかしこの年よりアップデートによるゲームバランス崩壊やゲーム内における雰囲気の劣悪化があり、どうにもこうにもならない状態になっていたのは否めない。苦渋の決断であろう。
好意的に見れば、おそらくゾイドFORはワイルドより前のシリーズファンに向けた展開である。
その層へはFORを。そして新規ファンへはワイルドをという二本柱の計画だったと思う。
しかしワイルドが発表されてみれば、いわゆる旧ファンはワイルドに大きな期待を寄せた。再販ではないにも関らずである。
そこでゾイドの展開はワイルドに一本化するという決断が促進されたところもあろう。

 

■平成31年(2019)■
この年の4月末をもって平成が終わった。

ゾイドワイルドは好調を維持して展開を続けた。
「次世代ワールドホビーフェア」では多くの新規ファンが駆けつけ各ブースに長蛇の列を作った。

キットはハイペースでのリリースを続けた。
そして好評のまま平成を終え、令和が始まった。

-この年の平成期間中に発売されたゾイド(全8種類)-
・キャタルガ
・ディメパルサー
・ファングタイガー
・スパイデス
・アンキロックス
・ギルラプター指揮官機

・ワイルドライガー紅蓮(限定)
・ワイルドライガーイーヴィル(ゲーム特典)

-ゾイド以外の子供文化-
・プレイステーション5に相当する次世代ゲーム機が示唆される

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・平成終わる

ゾイドワイルドが好調を維持した。アニメも去年の開始当時よりも描写がグッと良くなり好評価が増えたと思う。
コトブキヤのHMMシリーズは、ワイルドの機体もリリースる事が発表された。

平成最後のゾイドは「ギルラプター 指揮官機仕様」となった。
ちなみに平成最初のゾイドはメカ生体ゾイドのレイノス、平成最後の1/72スケール動力ゾイドはストームソーダーFSVである。
ちなみに令和以降もゾイドワイルドは継続される。令和最初のゾイドは「ディロフォス」である。


ということで平成のゾイド3でした。一連のコラムで昭和~平成のゾイドを主観たっぷりにまとめました。

平成はゾイドにとっては忘れ難い時代です。
メカ生体ゾイドが終わり、機獣新世紀ゾイドが始まり・終わり、様々なシリーズが始まるもいずれも短命に終わり、コトブキヤが参入し、そしてゾイドワイルドが始まり。
「激動」という言葉が似合うのではないでしょうか。

 

振り返ってみると、なんだかんだで1999年以降は「ゾイドの展開が一切ない」という年はない。その事に気付かされます
一時期本家キットのリリースは途切れましたが……。
しかし、それでもコトブキヤだけじゃない。本家からもゲームや書籍がリリースされ続けていた。それも込みで言うなら本家ゾイドもずっと生き続けていた。
これについては様々な思いがこみ上げてきます。
あっぷあっぷな時期もあったし、「ゾイ子」みたいな今や懐かしいキャラなんかも居たりしましたが、とにもかくにもゾイドはずっと息をしていた。
なんだかんだでトミー(タカラトミー)のゾイド大好き具合・大事にしてる具合が分かったまとめでもありました。

もちろん言いたいことはあります。
文中でも言及しましたが、「放置癖」「フェードアウト癖」があると思います。ゾイ子もそうだし、ゾイド関連HPは酷いです。
このコラムを書いた現在(2019年11月18日)ゾイド公式HPはの最新トピックが『【ZW】7/28「ZW07クワーガ」「ZW08グラキオサウルス」発売』になってるし……。


クワーガとグラキオサウルスの発売は2018年8月です。一年以上前に発売したゾイドをいまだ最新トピックにしているのはどうなんでしょう……。
もちろん本当の現在最新ゾイド(このタイミングだとガトリングフォックス)は紹介されていません。

ゾイドオリジナルやMSSのバナーもありますが、ゾイドオリジナルなんか既にホームページが削除済みです……。
マスターピースのHPはいまだに「発売予定」になったままだし……。

過去の事を蒸し返すのはどうかと言われそうですが、ゾイドリバースセンチュリーが終わった2009年3月、そこからゾイドオリジナルが展開開始した2013年4月まで実に4年間も放置された事もあります。ゾイドオリジナル終了からゾイドワイルド始動までは、やはりまた放置でした。
そんな事が多すぎます。

ゾイドワイルドの個別HPは頑張って更新しています。個別ブランドによってはそういう場所もあります。
ですが、ゾイドという総合公式HPの好況がこれというのは酷すぎます。「ゾイド」で検索したら一番最初に出てくるページなのに。

ゾイドワイルドで「タカラトミーはやっぱりやってくれるな!」という印象になったと思います。
でも何だかんだで不信感を持つユーザーもまだ多いんじゃないかなぁ……とも思います。
そういうファンが見てどう思うか。それを意識して隙のない構成を目指してくれればより嬉しいなと思います。
新規ファンがたまたまマスターピースのページを見つけることやゾイドオリジナルのバナーをクリックする事だってあると思うし……。
これを令和での課題にして改善してくれればいいなと思います。

 

まぁともかく、新時代「令和」です。
どんなゾイドを望まれますでしょうか。

私はまずはゾイドワイルドがどんどん発展して「ゾイド」がもっともっと浸透するといいなと思います。
そしてゾイドがたっぷりと体力を付ければ、もちろん軸としてはワイルドであるけど”旧ファン”へのサービスも行われる。そんな全てのファンがニッコリな時代になるといいなと思っています。

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