令和記念 -平成のゾイドを振り返る2(平成11年~20年)-

平成のゾイドを振り返る1に続いて、今回からは平成11年(1999)~平成20年(2008)のゾイドを見ていきます。

 

■平成11年(1999)■
年始に雑誌『電撃ホビーマガジン』が誕生し、創刊号からゾイドを特集した。
これにより復活への期待はいっそう高まっていった。
ただまだまだ復活は「夢」の話であった。
誰もがそう思っていた。

しかしそんな状況の春、突如として復活が告知された。復活告知はコロコロコミック5月号であった(4/15発売)。

また電ホビも若干遅れて6月号(4/25発売)で復活を告知した。

この年、ゾイドは「機獣新世紀ゾイド」として再スタートした。
(※これ以降、便宜上メカ生体からの継続ファンを「旧ファン」、今シリーズからの新規ファンを「新ファン」と呼ぶ)

従来と同じジオラマ戦記(バトスト)と共にテレビアニメ展開も行い、ゾイドは大々的に復活した。
戦記はメカ生体ゾイドの数十年後の続編で、アニメは登場ゾイドこそ同じなものの独自展開であった。

展開の中心は学年誌ではなく「コロコロコミック」になった。
学年誌にも行われたがこれは補助的であった。

-発売されたゾイド(全24種)-
・ゴジュラス
・ガイサック
・バリゲーター
・シールドライガー
・ゴルドス
・コマンドウルフ
・プテラス
・カノントータス
・ゴドス
・ダブルソーダ
・ステルスバイパー

・レッドホーン
・レドラー
・モルガ
・ヘルディガンナー
・ブラキオス
・アイアンコング
・セイバータイガー
・イグアン
・サイカーチス
・デスザウラー
・ゲーター
・ヘルキャット

・コマンドウルフアーバイン仕様

-ゾイド以外の子供文化-
・世紀末ブーム、ノストラダムス現象
・アニメ『ONE PIECE』『ビックリマン2000』放送開始
・ニンテンドー64『大乱闘スマッシュブラザーズ』発売
・ゲームボーイ『ポケットモンスター 金・銀』発売

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・東海村JCO臨界事故
・コギャルブーム
・AIBO発売
・700系新幹線営業開始
・iモードサービス開始、携帯電話・PHS加入台数5000万台突破
・2000年問題

夏にゾイドが復活した。

まずは電撃ホビーマガジンについて触れよう。
電ホビは既に述べたように創刊号からゾイドを特集した。特集は「Zの伝説」というコーナーで、単発ではなく毎号連載であった。

1999年初頭といえば、windows95/98によるパソコンブームでインターネットが猛烈な勢いで普及していた時期である。
ただ、この時代は「パソコンは一家に一台」が標準、インターネットの世帯への普及率はだいたい半分弱であった。
普及してきたとはいえ、まだまだインターネットができない層の方が多かった時代である。
まして「自分だけのPCがあり好きな時に好きなだけネットが出来る」なんてユーザーなどは極一部に限られていた。

ゾイド歴史館やファンサイトは大いに盛り上がっていたが、インターネット普及率を考えれば、この時代はまだ紙などのアナログ媒体が強かった時代と言える。
電ホビは紙の雑誌であり、書店に行けば情報がすぐさま確認できた。しかもほとんどの書店で立ち読み可能であった。
この雑誌が「インターネットをした事がない」「だけど昔ゾイドが好きだった」「再販されるならまた買ってみたい」そんな層にゾイドを思い出させ購買意欲を沸かせた事は想像に難くない。

機獣新世紀ゾイドは「メカ生体ゾイドからのファン」「機獣新世紀ゾイドからの新規ファン」の両方が買い支えたシリーズである。
むろん新規ファンの数の方が多かったが、旧ファンの購買もかなりのものがあった。前シリーズファンの掘り起こしに電ホビが果たした貢献は計り知れない。
ゾイド復活前夜において極めて重要な役割を果たした雑誌である。その後もコーナー名をたびたび変えつつゾイドを勢力的に特集した。


キット発売は8月であった。

メカ生体ゾイドの名機たちが一斉に再販され、ファンはこぞって玩具店に走った。
発売数は圧巻の24種である。新規金型が必要ない再販とはいえ、これだけ一気に販売したのは過去に例がないものであった。
しかも再販は8月に行われたので後半だけでこの数を出している点が特筆である。

再販といっても新シリーズの機体として「新商品」のていで発売された。それゆえ色や設定は変更された機がほとんどであった。

色の変更は「従来の方がいい」「新しいのもいい」という激しい議論を引き起こしたが、再販された喜びに比しては些細であった。
とにもかくにも最高に熱く盛り上がっていたという事であろう。

年末に発売されたコマンドウルフアーバイン仕様は武器(ロングレンジライフル)を新造した。本体ではなく武器だけだが、これが久々のゾイド新規造形となった。
同機はまた、「塗装済みパーツ」をゾイド史上初めて採用した事も特筆であろう。

(※ただし1/72本家キットとしては、である。メカ生体シリーズの24ゾイド用フィギュアやJr.ゾイド等が既に塗装済みパーツを採用していた)

 

コロコロコミックで展開されるバトストは、従来と同じ同じハードな戦記でファンを熱くさせた。
世界観はメカ生体ゾイドの45年後を描いた続編で、「隕石衝突」という衝撃の幕引きだったメカ生体ゾイドのその後が語られた。
隕石衝突(グランドカタストロフ)で多くのゾイドが死滅し、戦争も有耶無耶のまま停戦状態になった。
しかし今、ガイロス帝国とヘリック共和国は再びゾイドを整備し激突した。

この設定は実に良くできていた。
「多くのゾイドが死滅(絶滅)し、生き残ったゾイドのみで戦うことになった」
再販第一弾はゴジュラスで「最強」の名を再び背負っていた。

メカ生体ゾイドについてはこの時期ファンサイトで活発な議論がされており、”末期”には手厳しい意見が寄せられていた。
「パワーインフレ」「ミリタリー感の低下」これらは特にゾイドブームを終わらせた第一級の”戦犯”として認識されていたと思う。
今にして冷静に見ればミニ四駆やファミコンやSDガンダムの大頭など、様々な要因があってのものであろう。しかしともかく当時の旧ファンの多くの認識はそうであったと筆者は感じる。
強すぎるゾイドを排除し、ゴジュラスを最強に再びスタートした展開は歓迎された。

なお新規ファンには、メカ生体ゾイドシリーズの戦いは「旧大戦」として紹介された。
旧大戦の詳細が語られることはあまりなかったが、この要素は「世界観の奥深さ、底知れない広がり」を感じさせ、新規ファンを大いに興奮させた。
とにかく、旧ファンにも新ファンにも最適な設定だったと言えよう。

 

またコロコロコミックでは「漫画版・機獣新世紀ゾイド」も連載され非常に高い人気を博した。

これは2001年10月まで掲載され、てんとう虫コミックスで全5巻が刊行された。
5巻という巻数はゾイド漫画の中では最長である。

 

学年誌についても触れよう。これは1999年だけでなく、機獣新世紀ゾイド展開時期全てについて述べる。
展開の中心はコロコロだったが、学年誌にもゾイドは掲載されていた。
当初、連載に最も力を入れていたのは小二であった。
「キットを使ってアニメシーンをジオラマで再現」の企画をやっており、これは翌年に「ゾイドバトルワールド」として一冊の本にまとめられた。

小三~小六はゾイド人気が高まるにつれて改造ゾイドの作例やそれを使った単発ストーリーを掲載するようになった。
これは2001年に「ゾイド改造マニュアル」として一冊の本にまとめられた。

連載はいずれも2001~2002年に終了した。

漫画も掲載された。特に2000年に始まった「ゾイドバトラー雷牙」は人気を博し長期連載された。
この他にも、単行本化されていないゾイド漫画が幾つか掲載された。アニメ/0のコミカライズや独自ストーリーなど、バラエティ豊かであった。
独自ストーリーというのは、たしか「シールドライガーを残して謎の失踪を遂げた母を捜すべく主人公の少年がゾイド大会のチャンピオンを目指す……という壮大かついかにも小学生向けっぽいものもあった……と思うが、該当号を未所持につき詳細は紹介できない。
気になる方は国会図書館に行かれたい(2000年以前の号はデジタル化されている)。


アニメは、ゾイドの複雑な造形を動かすために3DCGとトゥーンレンダリングを使用した革新的な作品になった。

これはゾイドのみならずアニメ史に残る作品となった。
ストーリーの内容も好評で、途中に急遽として話数が足された程であった。

機獣新世紀ゾイドは、メカ生体からの継続ファンだけでなく、多くの新規ファンをも獲得し順調すぎる滑り出しをした。


ゾイド以外では何といってもノストラダムスの大予言「1999年7の月に恐怖の大王が来るだろう」が世の中を駆け巡った。
半ば本気にしていない、でもちょっと信じているような、そんな空気の年であった。
この問題は2000年問題……2000年になるとコンピューターが処理しきれなくなり暴走するだろうという問題と共に世の中に不安を与えた。
あの当時、この話題を口にしなかった者は居るまい。
結局、恐怖の大王はやってこなかった。同じ時期にやってきたのはゾイド復活であった。


■平成12年(2000)■
この年から完全新規開発のゾイドも登場する事になった。特にジェノザウラーとブレードライガーは注目と人気を集めた。
一方でこの年も再販は多く行われた。
展開は1999年と同じくバトスト、テレビアニメ、漫画であった。

-発売されたゾイド(全24種)-
・グスタフムンベイ仕様

・ブレードライガー
・ストームソーダー
・ガンスナイパー
・シールドライガーDCS-J
・ディバイソン
・ゴジュラス・ジ・オーガ
・ウルトラザウルス

・ジェノザウラー
・レブラプター
・シンカー
・アイアンコングPK
・ハンマーヘッド
・ジェノブレイカー
・ライトニングサイクス
・デススティンガー
・エレファンダー

・レッドコマンドウルフ(ゲーム特典)
・ミッドナイトブルーコマンドウルフ(ゲーム特典)
・レドラーゼネバス帝国仕様(ゲーム特典)

・レブラプター夜警仕様(限定)
・ブラックライモス(限定)
・ブルーコマンドウルフ(限定)
・ブラックレドラー(限定)

※この他「コマンドゾイドコレクション」が発売された
※ゲームではゲームボーイ「邪神復活ジェノブレイカー編」、プレイステーション「メカ生体の遺伝子」が発売された

-ゾイド以外の子供文化-
・『仮面ライダークウガ』放送開始、平成ライダーの幕開け
・『プレイステーション2』発売、プレイステーションに代わる次世代ゲーム機王座を射止める
・テレビアニメ『とっとこハム太郎』放映開始
・「おっはー」大流行

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・パラパラブーム
・ミレニアムブーム
・プレイステーション2の後押しもありDVDが猛烈に普及する
・雪印集団食中毒事件
・2000円札発行

この年は何といっても新型ゾイドの誕生が注目ポイントであろう。全てのパーツを完全新規で行ったゾイドが誕生した。
ジェノザウラーは2000円という価格帯で目の発光ギミックを持ちユーザーを驚かせた。
新規造形キャップが登場したのも特筆であった。
またブレードライガーも高い人気を博した。

新規ゾイドだけでなく、ゴジュラス/コングの両MK-II限定型が若干の色変更をしつつも再販されるサービスもあり、これは特に旧ファンを喜ばせた。
年末にはあのウルトラザウルスも再販された。なおこれは今までになく色のイメージが変わっており、当時はちょっとした議論を巻き起こした。
しかし再販されたウルトラは高いセールスを記録し、全玩具をひっくるめたこの年のクリスマス商戦ランキングのトップグループに入る程であった。

前年以上にゾイドが盛り上がった年であった。
一方で「バトストでもアニメでも活躍するのはライガーばかりなり」「新型機は華々しいが再販モノはやられ役」といった旧ファンの不満が徐々に高まった年でもあった。
これは翌年以降も膨らみ続け、無視できない確執となっていった。

新型キットは「塗装済みパーツ」を多用しているのも特徴であった。
正確に言うとこれは前年のコマンドウルフアーバイン仕様からだが、同機は「元々そうする事を想定していないキットをアニメと同じ塗り分けに『後から』した」からそうなったものである。
新型キットは塗装済みパーツを使う前提で設計がしてあり賛否を呼んだ。
最初のジェノザウラーやレブラプターは綺麗な塗膜で好評が多かったが、ライトニングサイクスでは安っぽい質感で厚ぼったくはみ出しも普通にある状態で不満を呼んでしまったように筆者は記憶している。

キットではガンスナイパーがデザインの評価は極めて高いのに金型がグチャグチャで不評という一幕もあった。
同機の金型は少しずつ調整がかけられ、最終的にはどうにか見れるレベルに向上した。だが、多くのユーザーに”難あり”ガンスナイパーが届いてしまったのは確かであった。
ジェノザウラーは目玉ギミックとして告知された尻尾の方熱フィン展開が直前でオミットされる一幕もあった。
これらが塗装済みパーツの不安定さと共に、若干の不信感を生んでしまったのは否めない。

またジェノブレイカーは「強化には早すぎる」「末期ゾイドを思わせる超兵器化」といった声も一部では出た。
しかしこれについてはアニメ/バトストの両ストーリーで「狂気的な超兵器化だがむしろそれがいい」と納得できる見事な展開がされた事と、ジェノブレ発売後も通常のジェノザウラーが廃盤にならず継続して出荷された事から批判は収束していった。

 

そんな年であった。若干の批判はあったが、ゾイドは絶好調で小売店では売り切れが続出する程であった。
復活後としては初のゲームソフトが発売された年でもあった。
ゲームボーイの邪心復活は、ゲーム内容は極めて評判が悪かったが異様にマニアックで気合の入った造りであった。
プレイステーションの鋼鉄の遺伝子は、今なお愛される傑作として名高い。
この年のゲームは旧ファン感涙の内容だったことも特徴である。
ゲームには初回特典としてキットが付属したのも大きな特徴であった。この大盤振る舞いは大好評で、翌年以降のゲームにも引き継がれることになった。

この年は第二の黄金期と言って良いだろう。

 

ゾイド以外では、プレイステーション2の発売が最大の注目だろうか。発売初週だけで 63万台を売りさばく化け物ハードだった。
PS2では後にゾイドゲームも多くリリースされる事になった。


■平成13年(2001)■
ニューライガー「ライガーゼロ」とそのライバル「バーサークフューラー」が主役機として人気を牽引した。
やはりこの年も多数の新型が登場したが、再販もバランス良く行われ前年以上の種類のキットがリリースされた。
キットでは動力を省いた新機軸「SSゾイド」も登場した。これは翌年のゾイドブロックスにつながっていく事になった。

展開はやはりバトスト、テレビアニメ、漫画であった。
が、アニメは第二作「ゾイド新世紀/0」に代わった。 /0は第一作にも劣らない大人気を博したが、残念ながら放送時間枠確保の契約の関係上、6月に終了となってしまった。
その為、7月以降はアニメの販促が期待できない事態に置かれる事になった。

漫画は10月で機獣新世紀ZOIDSが終了し、かわって「ZOIDS惑星Zi」が連載された。
機獣新世紀ゾイドにとっては激震が走った年になった。

-発売されたゾイド(全23種)-
・レイノス
・ライガーゼロ(シュナイダー、イェーガー、パンツァー)
・コマンドウルフAC
・スピノサパー
・サラマンダー
・シャドーフォックス
・ガンブラスター
・ケーニッヒウルフ
・マッドサンダー
・スナイプマスター

・ウオディック
・ザバット
・マッカーチス
・ディマンティス
・バーサークフューラー
・ディロフォース
・グランチャー
・ライガーゼロイクス
・ハンマーロック

・ベアファイター(限定)
・ガンスナイパーナオミ仕様(限定)
・ブレードライガーレオン仕様(限定)
・ダークホーン(限定)

※この他ホエールキングとホバーカーゴが発売された
※ゲームボーイアドバンス『ゾイドサーガ』も発売された

-ゾイド以外の子供文化-
・劇場用作品『千と千尋の神隠し』公開
・『ゲームボーイアドバンス』発売、ゲームボーイカラーの後継機として携帯機の主役に
・『ゲームキューブ』発売、プレイステーション2のシェアを奪うには至らなぬも小学生には人気ハードになる
・ニンテンドー64『どうぶつの森』発売
・セガ、ハード事業から撤退

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・ユニバーサル・スタジオ・ジャパン開業
・第1次小泉内閣発足、小泉旋風
・アメリカ同時多発テロ事件
・8cmシングルが徐々に減り、マキシシングルの時代に
・windows XP発売、パソコンがさらに普及し「一家に一台」から「一人一台」の時代へ
・ブロードバンド時代の幕開け、ADSLによる高速インターネットが普及する

この年は何といっても「ライガーゼロ」が誕生した事が最大であろう。
前年までは「オーガノイドシステム」でゾイドを強化する展開がストーリーの主であった。
それに対し、ライガーゼロはゾイド本来の強さを素直に活かす「完全野生体」という方針を採った。

基本状態ではパワフルな、換装すれば様々なタイプに変貌できるライガーの決定版とも言うべき仕様であった。
ライガーゼロはアニメ/0で主役を務めた事もあり、とにかく売れた。バトストでも長く主役を務める事になった。
基本形態と換装で様々なタイプになる仕様も好評をもって迎えられた。

ただし、またライガーかという批判も出たのは事実であった。
バーサークフューラーも前年のジェノザウラーに近いシルエットで、人気ではあるがやはりモヤモヤしたものを生んでしまったのは否めない。

モヤモヤといえば、SSゾイドもかなりの議論を生んだ。

「動力を廃止したモデル」である。その仕様について「これはゾイドとしてどうなのか」という意見が出た。
バトストの展開も、ライガーがいかにも主役という感じで固まってしまった。
正直に言うと、この時期は「旧ファンの求めるゾイド」から離れた展開になっていた面は否めないと思う。
「こんなのゾイドじゃない」「最近のゾイドは違う」という声が激しく出た。
次第にそれは大きくなっていった。

ただし、それは当然ながら新ファンにとっては知ったこっちゃない事であった。
新ファンはライガー中心の展開やSSゾイドを含むキット展開の変化も普通に受け止めていた。
だから旧ファンの反応が理解できなかった。
「旧大戦はこうだった? 知らんがな」「最近のゾイドは違う? あんたらの感覚を押し付けるな」となるのは当然であろう。
この時期は、「旧ファンは展開に何か引っかかりを覚える。新ファンは固定概念がないので素直に楽しむが……、文句を言う声が嫌でも目に入る」という状況で、徐々に確執が深くなり悪い空気が出てきた時期と覚えている。

これは今にして見れば、旧ファンが大人気なかったと言える。ゾイドは自分たちだけのものでなく「自分たちのものであり、また新ファンのものでもある。独善的になるべきではない」と考えるべきであっただろう。
また何だかんだで多くのゾイドが復活し新型ゾイドも多く出ていた状況に深い感謝の念を持つべきだった。そうすれば意見は言ったとしても暴言にはならず冷静な議論になっただろう。確執も深くならず早期に理解しあえたと思う。

ただし、トミーがもう少し上手く展開していればそういった不満を和らげられたのではないかとも思う。
なにしろ展開前夜において「ゾイド歴史館」「電ホビ」などで旧ファンの掘り起こしを行ったし、実際に旧ファンによる売り上げもそれなりの高さがあった。
それを上手く満足させられなかったのは不手際ではあろう。じゃぁどうすれば良かったかというのは難しいところでもあるが……。


さてこの年のゾイドだが、新旧ファンの確執を抱えつつも前期はライガーゼロを筆頭に絶好調をキープした。
だがアニメ/0が終了すると同時に一気に市場が冷え込んでしまった。
これはアニメ販促がいかに効果的かを物語るものであった。

漫画でも、コロコロ編集部の意向により「機獣新世紀ゾイド」が人気があるのに突然打ち切られる事態が起こった。
これは「人気はあるがハイターゲット読者が多い」という状況だった為、もっと低年齢にアピールする作品に切り替えたかったという真相であった。
しかし残念ながら目論見は外れ、新規連載された「ZOIDS惑星Zi」はゾイド人気にあまり貢献する事はできなかった。
ハイターゲットを失い、新規ファンはあまり獲得できなかったのである。
この漫画打ち切りはコロコロへの不信感を生んだ。

絶頂から一転、後半は暗い影が出始めた一年であった。

 

ゾイド以外では、やはり同時多発テロが衝撃的であった。あの日からテレビもラジオもそれ一色の放送になった。
ただ明るい話題も多かった。ゲームボーイアドバンスで携帯機も次世代化し表現力がぐっと高まった。

パソコンとインターネットはWin98時台に比べて飛躍的に浸透した。もはやほとんどの家庭に普及、各人が自分専用PCを持つ事も普通になっていた。
回線速度もADSLで高速と呼べる時代になった。
これ以前…、ISDN以下のネットでは一枚の画像を表示するのに数十秒から悪ければ数分の時間を要した。
その為、企業サイトであれ個人サイトであれ、その造りは「軽量」であることが求められていた。必然的にシンプルな造りである。
しかしADSLの普及で大きな画像や多少の動画を入れても問題なく瞬間的に読み込めるようになった。これ以降、各サイトは華やかに変化していく事になった。
この時代はまた、個人サイトがブームになっていた時期でもある。個人によるゾイドファンサイトが無数に存在したのも懐かしい話である。


■平成14年(2002)■
動力を持たず「組み換え」に主眼を置いた「ゾイドブロックス」が登場しキットのメインになった。

動力ゾイドのリリースや再販はほとんど行われなかった。これは前年にも勝る極めて激しい議論を巻き起こした。
しかしブロックスは好調なリリースを記録し、前年後半から盛り下がっていたゾイド市場を見事にV字回復させた。

展開はバトスト、漫画、webコミックであった。
ただしバトストはコロコロ5月号で「第一部・完」となった。
以後、第二部はコロコロ誌上では最低限にしか行われず、キットに付属する冊子(ゾイドファンブックEX)で語られる形式に移行した。

コロコロ誌上の特集はブロックスの組み換えや遊び方指南がメインになった。

ただこの年から、コロコロに代わって「電ホビ」でやたら濃い特集が組まれるようになった。
今までは改造作例が主で稀に開発スケッチが載る程度であったが、大量のスケッチや設定、ストーリーに関する文章が詳細に載るようになった。
(正確に言うと前年9月号から徐々に掲載されだしこの年から極めて濃くなった)
その量はむしろコロコロ以上であった為、この時期に電ホビを購読するファンは多かった。
ただし、電ホビを買うのは主にハイターゲットである。
低年齢のファンはコロコロであろう。そこに載らなくなったのだから、ストーリーが把握しにくくなった事はやはり否定できなかった。

webコミックは、ハイターゲットを狙った「ゾイド妄想戦記」の展開であった。
これはゾイドのifや外伝といった内容で、そのコミックをflash形式でweb掲載する。その登場機を限定販売するというものであった。

この他にも多彩な展開が模索された。
年末にゾイド専門通販ショップ「ゾイドコア.com」が立ち上がった。
これは翌年から本格稼働し、ショップ限定ゾイドを発売したり独自イベント(コンテストなど)を開催してゾイドを盛り上げた。
「トイズドリームプロジェクト」も立ち上がり、ブラッディデスザウラーが発売された。
これも翌年から更に本格稼働し、様々な「マニアに嬉しい」ゾイドを展開していく事になる。

-発売されたゾイド(全26種)-
・メガレオン
・セイバリオン
・ゴジュラスギガ

・グレイヴクアマ
・ダークスパイナー
・キラードーム
・ガンタイガー

・レオブレイズ
・ウネンラギア
・モサスレッジ
・ナイトワイズ
・ダブルアームリザード
・マトリクスドラゴン
・バスターイーグル
・ボルドガルド

・フライシザース
・シェルカーン
・ディプロガンズ
・デモンズヘッド
・キメラドラゴン

・ゴジュラスマリナー(妄想戦記)
・モルガロクロウカスタム(妄想戦記)
・アイアンコングイエティ(妄想戦記)
・グリーンホーン(妄想戦記)

・ブラッディデスザウラー(トイドリ)

・スナイプマスターブルーユニコーン仕様(ゲーム特典)

※この他、ゲームキューブ「ゾイドVS」も発売された

-ゾイド以外の子供文化-
・『X-box』発売、「黒船」と騒がれるも今一つ普及しなかった
・最高裁判所が「中古ゲームソフトの売買は著作権法に違反せず自由に行える」とする判決を下す
・テレビアニメ『NARUTO -ナルト-』『あずまんが大王』『ガンダムSEED』放映開始
・新海誠監督『ほしのこえ』公開
・ゆとり教育スタート

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・アザラシの「タマちゃん」ブーム
・家電量販店『エディオン』設立
・北朝鮮に拉致された日本人5人が帰国

ゾイドブロックスが大きな話題になった年であった。
賛否はあったがゾイドの市場は回復し、前年を大きく超える種類のゾイドが発売された。
といっても、大半は開発が比較的容易なSSゾイドとブロックスゾイドであった。動力付きの新型ゾイドは2種類に過ぎない(ダークスパイナー、ゴジュラスギガ)。これに加えて実質はカラー替えの再販であるところの妄想戦記仕様があったからこの数になったと言える。
なおこの年は未復刻ゾイドの新規再販は行われていない。

ブロックスは動力の点でも議論を起こしたが、「合体」「キメラ」という点でも激しい議論を起こした。
また当初はバトストとは別の世界観の機体であった。しかし後にバトストに編入され重要戦力と描写されるようになった。
この事が肯定派と否定派の対立をより深くしてしまったのは否めない。
否定派にしてみれば、ただでさえコロコロでのバトスト掲載が減りヤキモキしている中でブロックスが中心になったのだから、それは感情が爆発するのも無理からぬ所はあっただろう。
未復刻ゾイドの新規再販がなかった事も不満に拍車をかけた。

一方で、やや過剰な描写をされつつもブロックスがゾイド市場をV字回復させたのは揺るぎない事実である。
前年のアニメ終了からゾイド市場は一気に冷えていた。ブロックスはそれを見事に救った。
組み換え玩具としては良く出来ていたし、今までにないモチーフも積極的に採用し幅を広げた事も確かであろう。
ゾイドブロックスは好調なセールスを記録し、結果だけを言えば翌年からも続々と登場する事になった。

妄想戦記は登場キャラの「セリカ」も人気を博した。これは後にフィギュア化もされた。
キットは箱が写真でなく開田裕治氏による迫力の絵である事も特徴かつ大きな魅力であった。
 
一方、ストーリーはやはり賛否が分かれる事もあったし、キットには微妙なモヤモヤが出るものもあった。
例えばゴジュラスマリナーはむしろキット化された「17号機」よりも「18号機」が欲しくなるだろうし、モルガロクロウカスタムは色が明るすぎるし、グリーンホーンのストーリーはあまりそうして欲しくなかったという声が多く出た。
ハイターゲット向けとしては詰めが甘かった事は否めない。
しかし……、ブロックスの展開はおそらくファンからの批判が大きくなる事は覚悟の上だっただろう。それをゾイド市場を回復するために強行しつつ、同時に不満を持つファンへの救済として妄想戦記を同時展開した姿勢は最大限に賞賛すべきであろう。

 

ゾイド以外では、ガンダムが新シリーズ「SEED」で蘇ったのが注目であろう。
前作ターンエーは作品自体の評価はともかく商業的には成功したとは言い難かった。それは”ヒゲ”に代表されるデザインにあることは疑いようがない。
しかしSEEDは極めてヒロイックな正統デザインであった。トミーとしてはSEEDの出現に焦ったであろう。むろんユーザー層は完全に同じではないが。
なおSEEDはバクゥのゾイドっぷりも話題になった作品であった。同機の効果音はゾイドそのままであった。良いのだろうか?


■平成15年(2003)■
ゾイドが展開20周年を迎えた(メカ生体ゾイドからの計算)。これを記念して「大ゾイド博」が開催された。大ゾイド博では「1/1モルガ」も展示されファンを驚かせた。
前年は未再販ゾイドの新規復活はなかったが、この年は20周年記念としてディメトロドンをはじめ4種類の”旧ゾイド”が再販された。
更に、旧大戦の資料(バトストなど)や復刻ゾイド(マンモス)をセットにした「ゾイドコアボックス」の販売も行われた。
復刻だけでなく、新規ゾイドも多く発売された。新型ゾイドは動力もブロックスも両方であった。

新規ゾイドでは、ブロックスに続いて新機軸「サイバードライブゾイド」も展開された。
これはラジコン操作できるゾイドというユニークな試みであったが、残念ながら2種類+カラバリ1種類=計3種の展開だけで終わった。

展開はバトスト、漫画、webコミックであった。
バトストは前年から掲載が縮小したが、この年も同じような状況であった。ただ電動ゾイドが発売されたタイミングでは幾らか特集される事もあった。
漫画は「ZOIDS惑星Zi」が終了し、「鉄魂!! ZOIDS核闘技」が新規に始まった。 これは今までと違い「キットの魅力」に焦点を当てた作品であったが、残念ながらあまり人気を博する事はできなかった。

電ホビのゾイド記事は相変わらず絶好調であった。コロコロよりも読者年齢が高い為、より詳細にストーリーや設定が語られファンを満足させた。
電ホビについては「ただただ賞賛」という状況だったと記憶している。
これについては、実際に掲載されるものの質が高く、ハイターゲットのツボを理解した構成だった事が最大であろう。これに加えて、たとえ嫌だと思う展開が出たとして、あくまで「公式ストーリーの場はコロコロやキット付属冊子である」という言い訳がしやすいというか、感覚として処理しやすい位置だったのも大きな要因であろう。
電ホビについてはここまでゾイドを大きく取り扱った事に感謝の念しかない。
ただし、ハイターゲットとそうでない層の分断を図らずも促進しまったことも否めないのかもしれない。むろんこれは電ホビの責ではないが……。

この他、前年から始まったゾイドコア.comやトイズドリームプロジェクトが本格的に動いたのも注目ポイントであった。

-発売されたゾイド(全34種)-
・ゴルヘックス
・アロザウラー
・凱龍輝
・ライガーゼロフェニックス

・ディメトロドン
・シュトルヒ
・セイスモサウルス
・エナジーライガー

・レオストライカー
・ジーニアスウルフ(携帯ゲーム同梱)
・カノンダイバー
・ディスペロウ
・エヴォフライヤー
・レオゲーター
・ディメトロプテラ

・ロードゲイル
・ディアントラー
・スティルアーマー
・シザーストーム
・レーザーストーム

・ブレードライガーミラージュ(妄想戦記)
・バスタートータス(妄想戦記)
・シュトゥルムテュラン(妄想戦記)
・レイヴェンラプター(妄想戦記)
・キャノニアーゴルドス(妄想戦記)
・ファイヤーフォックス(妄想戦記)
・サラマンダーボンヴァーン(妄想戦記)
・セントゲイル(妄想戦記)

・ジェノブレイカージェット(ゾイドコア.com限定)
・ヘビーアームズケーニッヒウルフ(ゾイドコア.com限定)

・デスピオン(トイドリ)
・プロトゴジュラスギガ(トイドリ)

・ディアブロタイガーα(サイバードライブゾイド)
・サイクロプス(サイバードライブゾイド)

・ゾイドマンモス(ゾイドコアボックス)

・レオブレイズ&ナイトワイズスペシャルカラー(限定)
・ウネンラギア&モサスレッジスペシャルカラー(限定)
・セイバータイガーゴールド(限定)
・ジェノザウラーホロテック(限定)
・クリアバスターイーグル(限定)
・クリアロードゲイル(限定)

・ヘルキャットノワール(ゲーム特典)
・デザートライガー(ゲーム同梱)
・ディアブロタイガーβ(ゲーム特典)

※この他、電ホビ付録としてブリッツホーネットも登場した
※ゲームキューブ「ゾイドVSII」、ゲームボーイアドバンス「サイバードライブゾイド」「ゾイドサーガII」も発売された

-ゾイド以外の子供文化-
・テツandトモの「なんでだろう~」大流行
・スクウェアとエニックスが合併し「スクェア・エニックス」に

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・「マニフェスト」が新語・流行語大賞の年間大賞に
・宮城県沖地震、十勝沖地震
・記録的な冷夏

ゾイド20周年で、再販も新規ゾイドもある、イベントも行われる、販売も多彩になる、と華やかな一年であった。
1/1モルガはまさに度肝を抜く規模であった。

「ゾイドコアボックス」の発売も特筆であろう。ゾイドコアボックスにはメカ生体ゾイドの5冊バトストも付属しファンを狂喜させた。

この本は1999年の機獣新世紀ゾイド開始以来、永らく再販が望まれていた。
前シリーズからの旧ファンはもちろん、今シリーズからの新ファンも「旧大戦」の具体的な詳細はぜひとも知りたい要素だったのである。
長らく待たされたが、ようやくの救済であった。
ただゾイドコアボックスは価格設定が(内容物を考えれば十分お値打ちではあるが)15000円と高く、しかも受注生産で購入の敷居が非常に高かった。
購入できたのは主に旧ファンか、新ファンであればよほど熱心な一部に限られたのは悔やまれた。

その他、電ホビのゾイド記事は絶好調であった。妄想戦記やトイズドリームプロジェクトも前年以上に盛り上がった。ゾイドコア.comも本格稼働し、ショップ限定仕様のゾイドを発売するなど勢力的に動いた。

総じて、ハイターゲットには極めて華やかな一年であった。

しかし一方で、イベントや限定商品はハイターゲットや熱心なファンを狙ったものである。
市場を支える最もボリュームの大きな層は「マニア的に熱狂しているわけではないが、ゾイドは普通に好き」というユルめのファンであろう。
イベントや限定商品は、そんなゆるファンに響くものではない。まして新規ファンの獲得にはほとんど貢献しないだろう。
「ゆるファンを繋ぎ止める」「新規ファンを獲得する」その役目は一般発売される通常ゾイドである。
そしてそれについては不調の年であった。一般発売された通常ゾイドはあまり売れなかった。
サイバードライブゾイドは成功せず、ブロックスも前年ほどの盛り上がりは見せなかった。前年に回復したゾイド市場が再び下降してきた一年でもあった。

新しく始まった漫画「鉄魂!! ZOIDS核闘技」もゾイド市場を大きく盛り上げることはなかった。

これは組み立てたり改造したりといった「キットを楽しむ」をテーマにした漫画であったが、その割にはただ早く組むだけとか実際には不可能な展開があったりと、どうにもチグハグな展開であったのは否めない。

総じて、ハイターゲットには嬉しく、ゾイド全体で見れば大きな課題が見えた一年と言えるであろう。


■平成16年(2004)■
2月発売の「ジェットファルコン」に付属したストーリーで、機獣新世紀ゾイドのストーリーがクライマックスを迎えた。
新年度からは、120年後を舞台に「三匹の伝説の虎型ゾイド」をテーマにした新規ストーリーが展開した……が、それほど盛り上がらないまま夏に終了した。
これ以降、ゾイドは「ゾイドバトルストーリーがない」という異例の事態で展開する事になった。

9月には、久々のアニメ「ゾイドフューザーズ」が放映された。
しかしテレビ東京系……すなわち全国放送ではないものであった。その為、初代や/0時ほどの盛り上がりを見せなかったのは悔やまれた。
また内容について放映当時は否定的な声が多かった。しかし、やはりアニメ効果は大きく売り上げはかなり回復した。

その他では、トイズドリームプロジェクトや妄想戦記がこの年も展開した。
だが妄想戦記についてはこの年で終了となった。

-発売されたゾイド(全39種)-
・ジェットファルコン

・サビンガ
・ワイツウルフ
・レイズタイガー

・パラブレード
・デスレイザー
・ブラストルタイガー

・FZライガーゼロフェニックス
・FZケーニッヒウルフMK-II
・FZコマンドウルフAC
・FZボルドガルド
・FZレオブレイズ
・FZバスターフューラー
・FZロードゲイル
・FZゴジュラスギガ
・FZアロザウラー
・FZゴルヘックス
・FZキラースパイナー
・FZコマンドストライカー
・FZマトリクスドラゴン
・FZキメラドラゴン
・FZエナジーライガー
・FZライガーゼロファルコン
・FZジェットファルコン
・FZ凱龍輝・真
・FZグラビティウルフ
・FZグラビティサイクス
・FZグラビティザウラー
・FZアルティメットセイスモ

・デススティンガーZS(妄想戦記)
・シャドーアームリザード(妄想戦記)

・ネプチューン(トイドリ)
・バトルローバー(トイドリ)

・ワイツタイガーイミテイト(限定)
・セイバータイガーホロテック(限定)
・ダークホーン(限定)
・ブレードライガーブラックインパクト(限定)
・ブラキオトータス(限定)

・プテロレイズ(ゲーム特典)

※この他に引き換え専用ゾイドとしてトランスホーク、電ホビ付録としてブリッツハーケンも登場した
※この他にゲームキューブ「ゾイドVSIII」、ゲームボーイアドバンス「ゾイドサーガフューザーズ」も発売された

-ゾイド以外の子供文化-
・『PSP』発売、携帯機ながらPS2に近い表現力を持ち衝撃を与える
・『ニンテンドーDS』発売、能力は64程度でPSPを下回るも効果的な戦略で携帯機No.1の座を獲得する
・劇場用作品『ハウルの動く城』公開
・テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』『ふたりはプリキュア』放送開始

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・オレオレ詐欺多発
・自衛隊イラク派遣開始
・Winnyの開発者が京都府警察に逮捕される
・新潟県中越地震
・新紙幣発行
・記録的猛暑
・ヨン様ブーム

この年は「バトストが終わった」のが注目であろう。機獣新世紀ゾイドバトスト第二部の戦いがジェットファルコン付属の冊子でもって完結した。
最終的な行方はぼかされており、ユーザーの想像に任せる形が採られた。
これについて当時は「また投げっぱなしで終わった」との声も挙がった。
あるいは、キット付属の冊子で完結したのだから、そもそも完結したと知らないユーザーも多かった。勘違いから「完結しないままフェードアウトさせた」と捉えた人数も少なくなかった。

その後の三匹の虎伝説は、キットの評価自体は悪くなかった。しかし全体的な盛り上がりには欠け、マイナーなまま終わってしまったのは残念であった。

後期には久々のアニメ「ゾイドフューザーズ」が放映された。「バトストなし/アニメのみ」の展開はゾイドとしては史上初であった。

フューザーズが元々は海外向けに作られていたというのは有名であろう。その為、必ずしも日本市場でウケるものではなかった。
既存ゾイドの仕様変更再販と、新型ゾイドのどちらもが登場した。新型ゾイドはグラビティゾイドを筆頭に特徴的すぎるデザインでも話題を呼んだ。これは率直に言って否定的な意見が当時は多かった。
作中で重要なファクターとして登場した「ユニゾン」も当時は否定的な意見が多かった。
全体的に放映当時は特に否定的な声が多く、久々のアニメなのに素直に楽しめていない状態だったのは否めない。

ただ内容について言えば「多彩なゾイドが活躍する」という点では過去作以上であった。
今までの「ライガーばかり」ではなく、ライガーも活躍するがそれ以外も活躍するものであった。
例えば治安局のゾイドはゴジュラスギガ、ゴルヘックス、アロザウラーであった。
多彩なゾイドが活躍する内容は市場に良い影響を与えた。多くのゾイドが売れた。その意味では大成功したと言えるだろう。

 

ゾイド以外では、ゲームボーイアドバンスを超える次世代携帯機が発売されたのが大事件であった。
これを機に、ついに携帯機もドット絵からポリゴンへ描写が移っていった。
ニンテンドーDSではゾイドゲームも多数発売された。

 

■平成17年(2005)■
3月でゾイドフューザーズの展開が終わり、新作アニメ「ゾイドジェネシス」が開始された。
やはりテレビ東京系であったが、この作は特にダブルヒロインのキャラクターが話題と人気を集めた。
しかしキャラ人気とキット販売は結びつかず、期待されたほどの売り上げには至らなかった。
また新機軸「バイオゾイド」も賛否を引き起こした。

その他では、トイズドリームプロジェクトがこの年も多数登場した。

-発売されたゾイド(全49種+限定HMM1種)- ※ゾイドバラッツはカウントしていない
・GZモルガキャノリー
・GZカノンフォート
・GZコマンドウルフLC
・GZハウンドソルジャー
・GZヘビーライモス
・GZザバット
・GZソードウルフ
・GZソウルタイガー
・GZブラストルタイガー
・GZムラサメライガー
・GZレインボージャーク
・GZランスタッグ
・GZバンブリアン
・GZデッドリーコング
・GZハヤテライガー
・GZムゲンライガー
・GZデカルトドラゴン
・GZギルドラゴン

・バイオメガラプトル
・バイオティラノ
・バイオケントロ
・バイオトリケラ
・バイオプテラ
・バイオラプター
・バイオラプターグイ
・バイオヴォルケーノ

・ゴジュラスMK-II量産型(トイドリ)
・アイアンコングMK-II量産型(トイドリ)
・シールドライガーMK-II(トイドリ)
・グレートサーベル(トイドリ)
・デッドボーダー(トイドリ)

・レオストライカーホロテック(限定)
・コマンドウルフホロテック(限定)
・レイコング(限定)
・ストームソーダージェット(限定)
・ムラサメライガースペシャルエディション(限定)
・ライガーブルー蒼牙(限定)
・バイオメガラプトルグリアームド(限定)
・レインボージャークウインド(限定)
・ハヤテライガースペシャルエディション(限定)
・バイオラプター隊長機(限定)

・恐竜博ジェノザウラー
・恐竜博レッドホーン
・恐竜博レイノス
・恐竜博スナイプマスター

・インフィニティレオ(ゲーム特典)
・シールドライガーブロックス(ゲーム特典)
・ブレードホーク(ゲーム特典)
・サウロナイツ(ゲーム特典)

※この他、ゾイドバラッツが発売された。また電ホビ付録としてブリッツソーダも登場した
※PS2「ゾイドインフィニティ」「ゾイドタクティクス」、ゲームキューブ「ゾイドフルメタルクラッシュ」ニンテンドーDS「ゾイドサーガDS」も発売された

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『ドラえもん』で声優陣の一新
・モリゾー、キッコロ人気
・レイザーラモンHG人気
・『X-box360』発売、先代機よりは善戦するも主流にはなれず

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・JR福知山線脱線事故
・郵政解散、小泉劇場
・『愛・地球博』開幕
・惑星探査機はやぶさが小惑星イトカワへの着陸と岩石の採取に成功
・『電車男』大ヒット、アキバ系、秋葉原が注目される
・mixiサービス開始

ゾイドジェネシスが展開の中心になった。
同作はフューザーズと違い完全日本向けに構成されており、展開も1年と長く続いた。
この時代を反映してか「萌え」路線に走っており、その点では賛否を引き起こした。ただダブルヒロインは後に「ねんどろいど」化されるなど非常に高い人気を出した。

またゾイドでは異例のキャラクターユニット(レ・ミィ×コトナ)も結成されCDが発売される等もした。

ただしキャラ人気に比重が傾きすぎ、肝心のキットの売り上げはそれほど振るわなかった。
ゾイドジェネシスシリーズのキットとしては「カノンフォート」「ハウンドソルジャー」などの機種も発売されたが、これはアニメに登場する事が無かった。
その割にキットとしては発売されなかったセイバータイガーやエレファンダーは劇中でなかなかの活躍をした。
キャラ人気に比重を置きすぎた事と、こうしたチグハグな展開がキット販売低迷を招いた事は否めないだろう。

あるいは、率直に言ってこの時期の新型ゾイドは完成度が低下していた。特にランスタッグは劇中とかけ離れた造形や脚部肉抜きが批判された。
デッドリーコングも作中の大胆なギミックがことごとく削除されてしまった。
メインキャラのゾイドの不出来がシリーズ全体のキット評価・印象を下げ、シリーズ全体の売れ行きを低迷させてしまった面もあろう。

ただ「ハヤテライガー」はギミックも凝っており非常に高い評価を受けた。
またアニメのストーリー自体は1年をかけて複線を回収し壮大な戦いを描いたものとして評価が高い。
キットは振るわなかったが、一方でキャラ人気やキャラ関連商品の売り上げが好評。アニメのストーリーも上々の評価という、ゾイドの盛り上がりについてはなかなか判断しづらい一年であった。

アニメ以外では、電ホビに独自のライトノベル「ゾイドジェネレイションズ 」が連載された。

模型誌らしく、文章だけの展開ではなく「登場するゾイドを造形しながら」であった。またアニメには未登場だったカノンフォートやハウンドソルジャーも登場し、これはファンを喜ばせた。
むろん、ライトノベルではなくもっとハードな展開を……と嘆くファンが居ないわけではなかったが。

なお完全ハードな展開が無かったわけではない。
「ホビージャパン」ではこの年から「ゾイドバトルアングル」の名でハードな戦記展開をした。

ホビージャパンについて触れよう。同誌はメカ生体ゾイドの頃からゾイドを稀に扱っていた。ただこの頃は本当に稀であった。
1999年…機獣新世紀ゾイド以降はどうだったか。2000年10月号からは毎号連載を基本とするようになり、様々な「作例」を掲載するようになった。
ただあくまで作例で、特集の濃さでは電ホビに大きく劣っていた。
しかしこの年から独自のストーリーも展開するようになり、電ホビに勝るとも劣らぬ掲載量・濃さになった。

だが残念ながら、この時期のユーザーには既に「ゾイドを掲載する模型誌=電ホビ」が圧倒的認識になっていた。
その為、極めて完成度が高かったにもかかわらず現在に至るまでマイナーで注目が高くないのは大きく悔やまれる所である。

 

ゾイド以外では、あのmixiがサービス開始した年である。
かつてハマってコミュニティで大いに語らった方も多いのではないだろうか。
そしてmixiをはじめとするSNSの普及により、次第に個人HPが消滅していった時期でもある。便利ではあるが寂しくもあると感じるのは筆者だけだろうか?


■平成18年(2006)■
3月でゾイドジェネシスの展開が終わり、再びアニメに頼らない展開に突入した。
新年度からは、世界観を一新した「ネオブロックス」シリーズが展開する事になった。

またこの年の3月は、トミーがタカラと合併し「タカラトミー」になる大事件もあった。
ネオブロックスはタカラトミーになってから初のゾイドシリーズでもある。
ただし、展開時期を考えれば「元々トミー時代に企画されていたシリーズ」で、スタート時期がたまたま合併直後になっただけであろう。

ネオブロックスは、ブロックスを進化させた完全新規キットであった。また同規格を用いて人気既存ゾイドを再現する「LBゾイド」も展開した。

LBゾイドは巧みな造形で高い評価を得た。しかしシリーズ全体の売り上げは伸びず、年末には尻すぼみ的に展開は終了してしまった。

年末にはハイターゲットを狙ったゾイド初のオンラインゲーム「ゾイドオンラインウォーズ」も始まった。
これは翌年に本格展開した。

そしてまた、この年は別の大事件が起こった年でもあった。
コトブキヤがゾイドへの参入を発表し「HMM」第一弾のシールドライガーを11月に発売した。

-発売されたゾイド(全29種+限定HMM1種)- ※カスタムブロックはカウントしていない
・ブレイブジャガー
・ハードベアー
・ハリケンホーク
・ラプトイェーガー
・ステゴガンツァー
・ブラキオラケーテ

・ブレイブジャガーセット
・ラプトイェーガーセット
・バイトグリフォン
・グランドラーゴ
・ヴァルキリーシーザー
・G2レックス

・LBゴジュラス
・LBムラサメライガー
・LBゴジュラスMK-II
・LBアイアンコング
・LBアイアンコングMK-II
・LBレッドホーン

・ヘリックメモリアルI(トイドリ)
・ゼネバスメモリアル(トイドリ)

・ランスタッグブレイク(限定)
・ランスタッグ量産型(限定)
・レッズタイガー(限定)
・ゴジュラス密林戦タイプ(限定)
・ゴジュラスホロテック(限定)

・ハヤテライガーホロテック(DVD購入特典)
・ムラサメライガーホロテック(DVD購入特典)
・バイオメガラプトルホロテック(DVD購入特典)

・ジェノザウラーブロックス(ゲーム特典)

※他にカスタムブロックスが発売された

・HMMシールドライガー

-ゾイド以外の子供文化-
・テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』放映開始、美麗な作画で京アニが注目される
・テレビアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』『ひぐらしのなく頃に』放映開始
・『プレイステーション3』発売
・『Wii』発売、ヌンチャクコントローラーなど斬新な方式で新規ユーザーを獲得しトップシェアに
・『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』発売、ニンテンドーDSが携帯機王座を確定する

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・ライブドア事件
・「イナバウアー」流行語大賞に
・「ワンセグ」開始

新機軸・ネオブロックスが登場し、そして終わった年である。
個々のゾイドの評価は決して低くないが、合体形態……要は「セット販売」の展開が多すぎ必要以上の早期に飽きられた事は否めなかった。
LBゾイドは特に高い評価を受けていただけに悔やまれる事態であった。
ネオブロックス終了については「タカラトミーになった事の影響」であるとも噂されるが、これについては真相不明である。

さて筆者の主観であるが、この頃からトミー(タカラトミー)はメカ生体ゾイド世代の旧ファンを狙うようになったと思う。
LBゾイドは第三弾からカラーリングがメカ生体仕様を再現したものになっている。これはそれを象徴しているように感じる。

1999年以降のキット展開を振り返れば、機獣新世紀ゾイドの中期頃から旧ファンからの批判が出始め、末期には極めて強くなっていた。
その内容が正しいかはともかく、実際にゾイド市場は安定した回復がなかなか出来ずに低迷を続けていた。
ブロックスは一時的にはゾイド人気を回復させたが安定はしなかった。サイバードライブゾイドも三匹の虎も振るわなかった。

一方でトイズドリームプロジェクトによる「完全復刻」仕様のゾイドは賞賛の声が多く販売も常に予定数に達していた。
ゾイドジェネシスのキャラ人気……萌えを前面に押し出した売り方も、少年というよりはハイターゲットへの訴求が強いように感じる。実際、キット(メインターゲットは少年)は不調だがキャラクター関連商品(メインターゲットはハイ層)は順調に売れていた。
電ホビの記事も好評であった。
それならばいっそハイターゲット…の中でも旧ファンを狙ってみようという動きになったのであろう。

 

この年のゾイドでは、コトブキヤのHMMシリーズ第一弾「シールドライガー」が発売された事も大事件であろう。

「ハイエンドのプラモデル」になったゾイドは大注目され、発売後は超好調なセールスを記録した。
これはガンダムで例えるなら「マスターグレード第一弾が発売された時」のようであり、ゾイドの需要を再認識させるものであった。
HMMは翌年からゾイドを支える一大シリーズに成長する事になる。ゾイド以外では、新型ゲーム機のPS3とWiiが注目であろうか。
この時代の次世代ゲーム機戦争はPS3、Wii、そして前年発売のX-box360の三つ巴であった。
ただWiiが王者、PS3も高い指示を得て僅差の二番手、対して360はかなりマイナーであった。
しかし不思議なことに、この時代のゲーム機の中でゾイドは唯一360でゲームソフトを出すことになる。謎である。

 

■平成19年(2007)■
タカラトミーからの展開は極めて少ない一年であった。
「ゾイドオンラインウォーズ」を本格展開するもゲーム内容の評価は極めて低く、年末で終了してしまった。
コロコロコミックでの連載も遂にこの年で終わった。

だが、年末からはハイターゲットを狙った別の展開が始動した。
前年からの動きであろう。これは翌年に本格稼働する事になる。

コトブキヤのHMMはラインナップを順調に増やし、どれも好評なセールスとなった。

-発売されたゾイド(全6種+HMM5種)-
・ヘリックメモリアルボックスII(トイドリ)
・月刊ゾイグラvol.1 ゴドス
・月刊ゾイグラvol.2 ヘルキャット

・シールドライガーコマンダー仕様(限定)
・ラプトカイザー(限定)
・ハウンドソルジャー&ヘビーライモスセット(限定)

※この他、X-box360「ゾイドオルタナティブ」も発売された。

・HMMシールドライガー砂漠仕様
・HMMコマンドウルフ
・HMMコマンドウルフLCゼネバス帝国仕様
・HMMブレードライガー
・HMMジェノザウラー

-ゾイド以外の子供文化-
「そんなの関係ねぇ」「どんだけぇ~」大流行
新海誠監督『秒速5センチメートル』公開
テレビアニメ『天元突破グレンラガン』『らき☆すた』『電脳コイル』放映開始

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
「(宮崎を) どげんかせんといかん」
ニコニコ動画がサービス開始
『初音ミク』発売
ミートホープ事件
原油価格が大きく上昇

本家キットとしては極めて寂しい一年であった。
ゾイドオンラインウォーズは評価が低く、関連キットも限定商品としてシールドライガーコマンダー仕様が発売されただけであった。
その他は、限定でラプトカイザーが発売された程度である。

ゲーム「ゾイドオルタナティブ」も発売されたが……、これは全力で空振りした感じであった。

「兵器を強調したゾイド」であった。そのはコンセプトは良かったが「そうじゃねえだろう」という着地点でファンをずっこけさせた。
登場ゾイドはわずか5種類と信じがたい内容であった。2007年クソゲーオブザイヤーでは据え置き機部門次点を獲得している。
ただ気合の入り方は凄かったし、販促もそれなりにかけられた。
CGのクオリティも(方向性はともかく)高く、これは雑誌「CGワールド」増刊の「ゲームグラフィック2009」でも詳細に特集されている程である。
要は最初に書いた通り「全力で空振りした」作品であった。

一方、コトブキヤHMMは好調であった。
これは新規キットだけでなく色変えや追加武装の気の利いたバリエーションの展開も多く行った。
これは、1999年以降の「どこかもどかしい仕様にする事がままある」本家キットと対照的で、その事もシリーズの評価を高めた。

しかし年末からは、本家も「原点復帰」を謳い猛然とシリーズ再始動をする事になる。


■平成20年(2008)■
ゾイドが25周年を迎えた。この記念すべき年に、タカラトミーは「原点復帰」を謳った新シリーズを発表した。
「ゾイドリバースセンチュリー」という、メカ生体ゾイドと機獣新世紀ゾイドの空白の期間を埋める内容であった。

「暗黒軍仕様」のゾイドや、未復刻ゾイドの再販、新型動力ゾイドの開発が猛烈な勢いで行われた。
その内容はまさに旧ファンの不満を全て汲み取ったようなものであった。

-発売されたゾイド(全27種+HMM5種)-
・月刊ゾイグラvol.3 マルダー
・月刊ゾイグラvol.4 スネークス
・月刊ゾイグラvol.5 ツインホーン
・月刊ゾイグラvol.6 ガイサック
・月刊ゾイグラvol.7 シーパンツァー
・月刊ゾイグラvol.8 プテラス
・月刊ゾイグラvol.9 ハンマーロック
・月刊ゾイグラvol.10 ライジャー
・月刊ゾイグラEX vol.1 ガンギャラド
・月刊ゾイグラEX vol.2 オルディオス

・暗黒仕様ゲーター(限定)
・暗黒仕様モルガ(限定)
・暗黒仕様マルダー(限定)
・暗黒仕様イグアン(限定)
・暗黒仕様ツインホーン(限定)
・暗黒仕様ウオディック(限定)

・キングゴジュラス
・ギルベイダー
・ヘルディガンナー
・ダークネシオス
・ドスゴドス
・エクスグランチュラ
・ヴァルガ
・バリゲーターTS
・ヴァルガ

・シールドライガーバン仕様
・ライガーゼロヒオウ(イベント限定)

・HMMシールドライガーMK-II
・HMMセイバータイガー
・HMMコマンドウルフAC
・HMMモルガ&モルガキャノリー
・HMMブレードライガーレオン仕様

-ゾイド以外の子供文化-
・劇場用作品『崖の上のポニョ』公開
・テレビアニメ『イナズマイレブン』『マクロスF』放送開始

-世間をにぎわせた事件、新商品など-
・中国製ギョーザ食中毒問題
・秋葉原通り魔事件
・北京オリンピック
・0系新幹線退役
・ゲリラ豪雨多発
・Twitter、Facebookサービス開始

原点復帰を謳ったリバセンがスタートした年である。
まず前年末から”旧ゾイド”をカラーリングまで完全再現しつつ・同時に貴重な資料やボーナスパーツを付属した「月刊ゾイドグラフィックス」を展開した。
また幾つかのゾイドを暗黒カラー(黒・緑)に変えて販売した。
この試みは好評かつ好調であった。
特に未復刻だったガン・ギャラド、シーパンツァー、マルダーは売り場で「瞬殺」と言える売れ行きであった。これはゾイドとしては久々の事態であった。
一時期は異様なプレミア値が付いた。

もっとも再生産されるやダダ余りの値崩れになってしまい、生産数調整の難しさを認識させた一幕もあった。
ただし、「この路線がイケる。ゾイドには需要がある」と認識させるものではあっただろう。

そして下半期にリバセンがスタートした。
シリーズは「90年代グッズマニュアル」のような「あの頃本」に広告が打たれ、かつての旧ファンをカムバックさせたい意図が強く感じられた。
キットはいずれも素晴らしい仕様で旧ファンからの絶賛を受けた。
キングゴジュラス、ギルベイダーの復刻は長らく超プレミアの付いていた両機だから余計に喜ばれた。
新型キットでは動力と可動を両立させたドスゴドス、武器パーツの構成が素晴らしいエクスグランチュラ、驚異的ギミックのヴァルガが特に絶賛された。

またこの年は、旧ファンにとっては特別な意味を持つ「カバヤの食玩」が帰ってきた事も特筆であった。
「ミニアクションゾイド」は大好評を得た。

しかし一方で、キットを一気に出しすぎた面はあっただろう。
絶頂期でさえ年末商戦アイテムは一機種が普通であった。いかにハイターゲットを狙ったシリーズとはいえ、キングゴジュラスとギルベイダーを同時にリリースしたのは付いてこれるユーザーを減らしてしまった事は否めない。
またストーリーは、いわゆる旧バトストの重厚な雰囲気というよりライトノベルのような雰囲気で、違和感を感じるものでもあった。
(ライトノベルが悪いと言っているわけではない。ただし適切な使い分けがあるべきであり、リバセンは旧バトストの雰囲気に合わせるべきだったという意味である)
それでも、久々の大型展開に特に旧ファンが大きく沸いた一年であった。

一方、HMMは昨年と同じく順調に種類を増やした。
この年に出たセイバータイガーは傑作として名高い。
初期HMMのシールドライガーやジェノザウラーは「組みづらく・ポロリ率が高い」事が否めなかった。
それがセイバータイガーでは非常に組みやすくポロリも少ない仕様に進化していた。
筆者主観であるが、セイバータイガー以降でHMMはver.2.0とも言うべき次元になったと思う。

 


ということで今回の記事はここまでです。平成20年まででした。
この期間は一言で言うと「濃い!」という事に尽きます。
復活、絶頂、混迷、再始動。様々な要素が入り混じった本当に濃い10年だと思います。

ゾイド以外でもそうです。世紀末、20世紀が終わり21世紀へ。
パソコンの普及、携帯の普及、個人HPの時代からSNSへの移行。
これ程世の中が大きく変化した期間はかつてないでしょう。
そのような時代の中で、ゾイドは10年を駆け抜けました。

内容は個人的見解がかなり混じったものになってしまいましたが、この時代を体感した一ユーザーの想いとして読んで頂ければ幸いです。
もちろん抜けの指摘や異論なども大歓迎です。

次はいよいよ平成ラストまでを見ていきたいと思います。

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