ギル・ベイダーの究極の運用を考える

今回の記事は「宇宙とゾイド」の続き。
先に読まれたし。

 

さて、先のコラムでは「切り札たる4基のオリジナルエンジン」説を出した。
グローバリーIIIのオリジナルエンジンは、
・共和国に2基
・帝国に2基(後に暗黒軍の手に渡る)
という状況だ。

オリジナルエンジンの状況を見ると、共和国軍と帝国軍は初期を除いて積極的に運用していない印象がする。
だが暗黒軍は、損失を覚悟で積極的に運用している印象がある。
暗黒軍は、なぜ積極運用したのだろう。
国力に乏しいガイロス帝国が圧倒的物量を誇るヘリック共和国に勝つならば、もはや切り札オリジナルエンジンを積極運用して賭けに出る必要があったのかもしれない。

ガイロス帝国・暗黒軍は、オリジナルエンジンを用いていかなる戦いを想定していたのだろう。
勝利の秘策とは。
今回は、これを考えたい。

 

暗黒軍は、オリジナルエンジンを使用して「ブラックチャレンジャー」や「宇宙要塞」を作った。
これらがオリジナルエンジンを各1基ずつ搭載しているとするなら、2基しかないオリジナルエンジンをフルに使っているという事だ。
何とも大胆だ。

ブラックチャレンジャーと宇宙要塞。ここから見えてくる勝利への秘策は何だろう。
私は以下のように考えた。
以下の考えには、暗黒軍最終兵器「ギル・ベイダー」も大きく関ってくる。

~想像する勝利へのシナリオ~
まず、輸送機ブラックチャレンジャーが物資を満載し宇宙に上がる。
そして宇宙要塞を建設する。


しばらくの後に、宇宙要塞が完成する。
この宇宙要塞は、いったい何の任務を担っているのだろう。

私は、これはギル・ベイダーの基地であると思った。
ブラックチャレンジャーは、要塞完成後はギル・ベイダーを要塞まで輸送する。


ギル・ベイダーは、箱裏の機体解説によると「大気圏外も飛行できると言われている」とされている。
「できると言われている」というのはちょっとあやふやな表現だ。
この能力について考えよう。

私は、ギル・ベイダーには「大気圏を突破する能力はない」だが「大気圏再突入の能力はある」と考えた。
要は、「自力で出る事はできない。だが戻る事だけならできる」というものだ。
捕捉すると、大気圏再突入時には専用の降下ユニットを付ける必要があるとも思う。

大気圏再突入というのは、その瞬間において凄まじい高温が機体全体を覆う。
ノーマル状態では燃え尽きてしまいそうだ。仮に機体そのものは無事だったとしても、コックピットの構造からパイロットが無事では済むまい。

ギル・ベイダーのキャノピーの構造はウルトラザウルスと同じだ。気密性は低い。
(大気圏再突入用の降下ユニットについては後に捕捉する)

 

話を戻そう。
宇宙要塞に運ばれたギル・ベイダーは、そこから出撃し攻撃地点(主には中央大陸)に降下する。
こうするメリットは幾つか考えられる。

通常ルートでの爆撃…「暗黒大陸から飛び立ち中央大陸を爆撃し帰還する」という内容で行った場合…、これは長大なミッションだ。
中央大陸に到達するまでには、極めて長い時間がかかる。パイロットへの負担は相当だろう。
また、移動中に発見されれば入念な迎撃が避けられない。
いかにギル・ベイダーでも、ガンブラスターの対空砲火を受けた際は回避に専念している。無敵ではないのだ。
サラマンダーF2やレイノスも、そうそう落とされる事はないだろうが、かといって無視できる相手ではない。

その困難さたるや、サラマンダーの帝国領土爆撃作戦の比ではない。
第一次中央大陸戦争でのサラマンダー爆撃作戦は、ギル・ベイダーに比べればはるかに短い距離であった。
しかも敵飛行ゾイドはシンカー程度でほとんど問題にならなかった。後期には護衛(プテラス)まで付いた。
ただ、マルダーをはじめ優秀な対空用ゾイドには気をつけねばならなかっただろうが…。

大陸間を往復する超長距離ミッション。敵は多くの迎撃機や対空砲を持っている。
また、さすがに爆装状態で長距離を飛行すればギル・ベイダーのエネルギーも幾らかは減ろう。
その状態で対空砲を避け迎撃機を退け爆撃し帰還せねばならないのだ。
いかにギル・ベイダーが強くとも、易々と行える作戦ではない事が分かると思う。


参考に、これは爆撃ミッションの航路を比較してみた図。
黒丸は、ヘリック共和国・ゼネバス帝国・ガイロス帝国の各首都位置。
青線は、サラマンダーが共和国基地から飛び立ちゼネバス帝国首都を爆撃し帰還するまでの図。
赤線は、ギル・ベイダーがガイロス帝国首都を飛び立ち共和国首都を爆撃し帰還するまでの図。
ちなみに、この図ではトライアングルダラスを考慮していないので、もしも避けるならさらに距離は大きく増してしまう。
とんでもなく大規模な作戦である事が分かろう。

宇宙要塞からギル・ベイダーを投下するスタイルなら、これらの問題は解決できよう。
一気に地上にまで到達できるので、
・迎撃を受ける事なく地上に到達できる(敵が迎撃準備を整えるより先に到達できる)=損失の可能性が低減する
・目標地点に到達した時点でのギル・ベイダーのエネルギー残量が多い=中央大陸でいっそう多く暴れられる
(ただし、パイロットには大気圏再突入という別の負担を強い事にはなるのだが…)


こうして、ギル・ベイダーは宇宙要塞から投下され中央大陸を爆撃し、その後は暗黒大陸まで飛行し帰還する。


その後は、再びブラックチャレンジャーに積まれ宇宙へ。
宇宙要塞で整備と補給を受け再出撃。以後、ループ。


ここで、「ギル・ベイダーは、大気圏再突入時には専用の降下ユニットを付ける必要があると思う」と書いた件に関して捕捉する。
新ゾイドバトルストーリーの、ギル・ベイダー初登場時の姿を思い出されたい。
「隕石に偽装し空から降ってきて、その後に中から登場」という何とも凄い登場だった。

 
この隕石状の外側こそ、大気圏再突入時の防護ユニットであると考えられまいか。
また、「空から降ってきて」という登場は、上記した宇宙要塞やギル・ベイダーの運用の裏付けになると思う。

このような運用が続けば、暗黒軍はより効率的な爆撃が行え戦勝ができただろう。
中央大陸は全土が焦土と化し戦争継続が不可能になっていたと思う。
ただし、このギル・ベイダーの究極の運用は極初期において頓挫した。
「ブラックチャレンジャーの損失」によってだ。

 

ブラックチャレンジャーの任務は、宇宙要塞の建設とギル・ベイダーの輸送と導いた。
宇宙要塞は完成しているので、その時点までは順調に運用できていたと言える。
またギル・ベイダーの初登場のシーンから推測すれば、「一号機」を宇宙に運ぶ事には成功したのだろう。

だが…、ブラックチャレンジャーの戦歴は学年誌で詳しく語られている。
ブラックチャレンジャーが所属する暗黒軍宇宙基地は、キングライガーを中心とした共和国部隊の攻撃を受けた。
攻防の末に、共和国軍はブラックチャレンジャーを乗っ取る事に成功した。
この事態に、暗黒軍は苦渋の決断を下した。ギル・ベイダーを出撃させ、ブラックチャレンジャーを破壊してしまったのだ。


これにより、宇宙要塞にギル・ベイダーを運ぶ術はなくなってしまった。

また、一時的にではあるがブラックチャレンジャーを鹵獲した事で、共和国軍は宇宙要塞の情報も掴んだのだろう。
おそらく、直ちに共和国軍もオリジナルエンジンを使って宇宙船を整備、そして要塞攻撃隊を編成して宇宙へ上がったのだろう…。


それがこの戦いなのだと思う。
てれびくんで繰り広げられた、この宇宙要塞を巡る戦い。
戦いの勝敗は書かれていないのだが…、どうなったのだろう。
私的には、両者相打ちでオリジナルエンジンは大気圏との摩擦で燃え尽きたと推測している。
理由は後述。

 

さて、ここまでの考えを整理しよう。
・暗黒軍は、ギル・ベイダーを効果的に運用する為にブラックチャレンジャーと宇宙要塞を作った。
・しかしブラックチャレンジャーは早期に破壊され、もくろみはこの時点で失敗した。(オリジナルエンジン1基ロス)
・更に、宇宙要塞も攻撃され損失した。(オリジナルエンジン1基ロス)
・共和国軍も、攻撃隊は相打ちになり損失した(オリジナルエンジン1基ロス)
ここまでの結果を言うと、

共和国側:オリジナルエンジン=2-1=残り1基
暗黒側 :オリジナルエンジン=2-2=残り0基

 

共和国側の残り1基のエンジンはどうなったのだろう。
先のコラムでは「…キングゴジュラスにはこのオリジナルエンジンが使用されている とか考えてみても面白いかもしれない…」と書いた。
実際に、そうかもしれない。


こう考えると、キングゴジュラスは「ワンオフである」「ヘリック大統領が乗った」「あまりにも強すぎる」事への説得力が出る。
(※キングゴジュラスの生産機数は不明であるが、確認できる中では一機しか登場していない)

更に追記。
キングゴジュラスはまさに無敵であったが、唯一だけマトモに渡り合い被撃破寸前にまで追い詰めたゾイドが居る。
ギル・ザウラーだ。


※これは学年誌記事を参考にCGで再現した戦いの様子

ベースはデスザウラーでありながら、猛攻してキングゴジュラスを追い込んだ。
この時期、既にデスザウラーはやられ役に片足を突っ込んでいた。
ガンブラスター、ハウンドソルジャー、キングライガー、ゴッドカイザー、オルディオス、バトルクーガー。
大陸間戦争期に登場したほとんどの共和国ゾイドは、デスザウラーに手痛いダメージを与える・あるいは倒すシーンがある。
そう考えると、デスザウラーのパワーアップ具合というのはまさに規格外である。

…実は、少し気になる描写がある。
キングゴジュラス登場後のストーリーは、
・キングゴジュラスを中心とした共和国部隊が暗黒首都を攻略する
・ガイロス皇帝の潜む宮殿にキングゴジュラスが突入する
・ガイロス宮殿は突如として飛び立ち空に逃げる…
・共和国部隊は逃げた宮殿を追撃する・ギル・ザウラーとキングゴジュラスの決戦
という感じなのだが、


宮殿の脱出シーンはこちら。

「巨大な宮殿を一気に浮かし、共和国航空部隊の追撃をも振り切り脱出した」というのは凄すぎる。
もしかすると、「ブラックチャレンジャーは損失したがエンジンは生き残っており暗黒軍が回収した」のかもしれないと思った。
ブラックチャレンジャー被撃破のシーンを今一度見て欲しい。


胴体中央の貨物区を切り裂いている。この時点ではエンジンは無事かもしれない。
しかも、この後は付近一帯をギル・ベイダーが制圧しているだろう。回収は容易に行えたと思う。

もしかするとブラックチャレンジャーが搭載していたオリジナルエンジンは回収されており、
・宮殿の脱出用装置として再利用された
・脱出後、外されギル・ザウラーに搭載された
・だからギル・ザウラーはデスザウラーをベースにしながらもキングゴジュラスと渡り合うだけの向上を果たした
と考えても、なかなかアツいかもしれない。

 

~捕捉~
宇宙要塞と共和国軍攻撃隊の戦いを「両者相打ちでオリジナルエンジンは大気圏との摩擦で燃え尽きたと推測」した理由。
もし
・ブラックチャレンジャーのエンジンが回収されており
・宇宙要塞が共和国軍攻撃隊を退けて健在であった
のなら、暗黒軍は再びブラックチャレンジャーの同型機を整備する筈だ。

しかし、そうなっていない事から、
・もはやブラックチャレンジャーを作っても意味が無い=宇宙要塞は消滅した
と考えたというわけだ。

共和国攻撃隊側も相打ちになったと考えたのは、大規模要塞で戦う暗黒軍に対して、共和国攻撃隊の規模はやはり劣るだろうからだ。
普通に考えて、撃退されて終わりだろう。しかし、要塞は先に書いたように消滅した。
共和国軍の奇跡的な奮闘により、何とか相打ちにまで持ち込んだと推測した。

 

という事で、今回はオリジナルエンジンやギル・ベイダーについて深く考えてみた。
ちょっとマニアックになりすぎた気もするものの、この分野もとても面白いと思う。

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