マッドフライを考える

マッドサンダーの隠れた利点は拡張性の高さだと思う。本機のバリエーションは超大型機としては極めて多い。
しかも飛んだり泳いだり合体したり。方向性も多様だ。
そんな改造マッドサンダーの一つ一つに思い入れがあるが、本日はマッドフライについて。

マッドフライは綺麗なまとまりをした改造機だと思う。
デスバードほどの徹底した造り込みはない。だが無理やりとってつけた感じはなく翼が上手くマッドサンダー本体と馴染んでいる。
巨大な垂直尾翼も良い。エンジン数が異様に多く、無理やりマッドサンダーを飛ばしている感じも共和国的で好きだ。

本機は新ゾイドバトルストーリーに登場する事で有名だろう。シャイダー大佐の乗機として登場し、ホエールカイザーやデッド・ボーダーを次々に倒す活躍をみせた。
だが直後にデスエイリアンの不意打ちを受けて敗北している。

さてマッドフライ。これはニタイプあると言われている。
上の二枚の写真を見てみよう。違いが分かるだろうか。マグネーザーの有無だ。
左の機にはノーマルタイプと同じマグネーザーが付いているが、右の機にはマグネーザーがなく同部分がビーム砲になっている

これだけなら、マッドフライはニタイプあるんだなという話で終わる。
多分…、飛行機にマグネーザーはいらない。砲を付けた方が良い。
だから初期型マッドフライはマグネーザーのもの。後期型マッドフライはビーム砲のものだと思っていた。
問題はマッドフライが複数就役したのか、はたまた運用される中でビーム砲に換装されたか…。
だが後年になって学年誌を収集していると、ふと別の説を思いついた。

両マッドフライは、いずれも小学三年生に登場する。
マグネーザータイプは1989年1月号。ビーム砲タイプは1989年5月号。
興味深い事というのは、名前について。
89年1月号に登場した際は、このように呼ばれていた。


「マッドウイング」
そして解説はこのようになっている。


解説文に加えて、このアングルからの資料はなかなか貴重だ。

次に1989年5月号も見てみよう。
この時は「飛行型マッドサンダー」と呼ばれている。


なお、戦闘の推移に関しては新バトストと同じじ。ホエールカイザーやデッド・ボーダーを次々に倒した後にデスエイリアンに撃破されている。

同じ学年の学年誌なのに呼ばれ方が違う。
この事から私は、二種類のマッドフライはマグネーザーの有無以外にも色々と違う仕様なのではないかと思った。

 

マッドウイングは89年1月号に登場している。この頃のバトルストーリーと言えば、まだ帝国VS共和国の只中。
共和国軍がようやく首都を奪還し、いよいよ西側へ攻めようとしていた時期だ。
マッドサンダーの弱点は中央山脈では満足に行動できない点にある。これは開発者であるチェスター教授も強く言っていた事だ。
マッドウイングの解説には「敵地に舞い降りてからは翼を外して陸上を進撃する事もできる」とある。これを思った時、この仕様の目的が鮮明になった。

共和国軍は西側侵攻の為にマッドサンダーをいち早く移動させたい。だが山岳を苦手とするマッドサンダーでは移動に時間がかかる。
海を渡れるウルトラザウルスと違い、マッドサンダーはあくまで山を越える必要があったのだ。
(海上を輸送船で移動させる選択肢もあったとは思うが、万が一にでも沈められたくなかったのだろう。戦わせる前にマッドサンダーを損失するなど…)

そこで、マッドサンダーをグライダーのように飛ばして空輸する専用ユニットが開発された。それを装着したのがマッドウイングである。
共和国軍は、マッドサンダーにウイングユニットを付け山脈を越えさせる。山脈を越えた後は翼を分離し陸戦機マッドサンダーとして活躍する。
こうして西側へのマッドサンダー高速輸送が実現した…。
このように想像した。つまりマッドウイングとはマッドサンダーに外付けのウイングユニットを装着した形態を指す呼称である。

もちろん飛行ルートでも撃墜される可能性はある。マッドサンダーにウイングユニットを付けただけの簡易仕様なので狙われれば回避する力はないだろう。
しかし、護衛機を搭載して抵抗できるようになっている。また、写真を見れば分かるようにレイノスも一緒に飛んでいる。
護衛を万全にした上で飛んだのだろう。

一方、海上輸送を想像した場合を想像してみよう。
輸送艦にマッドサンダーを満載して海を越える。途中の海にはウオディックが待ち構えている。
対潜ソナーの発達により発見可能だ。だが、深海に潜むので100%ではなく不安があったと思う。
もしも監視を潜り抜けたウオディックが輸送艦を沈めたら、詰まれた複数のマッドサンダーが一気に沈む。

飛行ルートの場合は、レドラーが相手ならレイノスやプテラスの数を十分に付ける事で対処できるだろう。
また万一撃墜されても損失はその一機だけなので最小に喰い止められる。つまり飛行ルートの方が選択として正解に近い。

 

さて学年誌で「飛行型マッドサンダー」と呼ばれているマグネーザーなしの方、これは陸戦よりも飛行能力を重視した別仕様機マッドフライであると思った。
89年5月号の頃の戦況は、暗黒軍との戦いが始まってしばらくという感じ。
思うに、マッドウイングが予想以上に安定した飛行能力を発揮した。この事から共和国軍はマッドサンダーを本格的な飛行ゾイドとして改造できる可能性を感じたのだろう。
そこで応急的なウイングユニットを載せただけではなく本格的に翼を固定した。そして本体も飛行用に最適化させたのがマッドフライなのだと思った。

 

ところでマッドフライ、新ゾイドバトルストーリーでは翼を砕かれ墜落して果てたようになっている。
学年誌ではデスエイリアンと陸戦をした上で敗北している。
地上では翼が単なるデッドウェイトと化した。だが固定されているから排除できない。そのうえマグネーザーがないからデスザウラーに対する決定力がない。
そんな状況を想像した。
マッドファンとしては、もしこれがマッドウイングだったら勝てていたかも…! と想像したりもしたい。

そんなわけで、今回は二種類の飛行マッドサンダーについて考えてみた。
ただ今回の考察ではマッドウイングの「敵地に舞い降りてからは翼を外して陸上を進撃する事もできる」の部分に注目したものだ。
マッドウイングは他にも「マンモス爆撃機」とも書かれている。この部分については意図的に無視してしまった。
なので、今回の考察よりも別の可能性もあると思う。
とても好きな改造マッドサンダーなので、今後も可能性を考えていきたい。
それにしても、無数のエンジンを積み強引にマッドサンダーを飛ばした仕様。やっぱり共和国らしい魅力にあふれた改造機だと思う。改めて大好きだ。

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