帝国ゾイドの恐るべき発展性について

帝国軍は最先端の装備を好む。ゆえに技術力では帝国軍が上というイメージが強いと思う。
これについて、以前から思っていたのは「イメージされる程ではない」という事だ。

確かに、共和国ゾイドは先鋭的なものが少ない。例えば、大型ビーム砲を実用化した時期は遅い。古典的な実弾砲をずっと使っていた。
ただし、では不足しているかと言えばそんな事はない。旧式な装備を使ってはいても、帝国ゾイドに対して立派に戦っている。
共和国軍の装備は「必要にして十分」と言えると思う。
最新技術を使うか使わないのはというのは、ただの「傾向」であって「=技術差」にはならないと思う。

例えば、ディバイソンはデスザウラーに抗せる位に強い。だが、装備品には特に目新しいとことはない。
角はぶつかるだけのシンプルさだし、17門突撃砲も実弾砲だ(ただし、これだけ超多連装砲にしたのは凄いと思うが…)。

それに、共和国軍が帝国軍に勝る分野だってあると思う。
ビガザウロやウルトラザウルスなど、巨大ゾイドを開発する技術では一歩上回る。
総合的に見れば互角に近いのではないか。

……と、上に書いたようにずっと思っていたのだが、最近になってふと気付いた事があった。
その気付きによって、「帝国軍が技術力で上回る」事を認識するようになった。

今でも、「帝国軍が技術力の全てで上回る」とは思わない。やっぱり一長一短はある。
しかし、「発展性」という要素で考えた時、帝国軍は圧倒的だと思った。

 

ゾイドの展開は、「新型ゾイドが出る→猛威をふるい戦況を大きく変える」のが常だ。
例えば、「デスザウラーが出現した→あらゆる共和国ゾイドがデスザウラーに挑んだが勝てなかった→帝国軍大勝利」というような。

さて、この展開を踏まえて帝国機の凄さを語ろう。
帝国機の凄い所は、「敵新型決戦ゾイドが出た時も、既存機である程度のカバーをしている」という事だ。

・ウルトラザウルスが出た際は、アイアンコングを改造し「MK-II」になり戦った。

 大氷原の戦いは、ゴジュラスMK-IIが居なければ勝っていたであろう。学年誌での戦いでも、ゴジュラスの救援がなければ勝っていたようなシーンがあった。
 アイアンコングは、元々は対ゴジュラス用なのだ。それなのに新型巨大ゾイドのウルトラザウルスにここまで抗したのは凄い。

・シールドライガー出た際は、サーベルタイガーが後にグレートサーベルに新生し全面的に勝るようになった。

 50km/hもあった速度差はほぼ無くなり、運動性に至っては倍する程の強化を果たした。
 シールドライガーは、対サーベルタイガー用に造られたゾイドだ。そのシールドライガーをさらに下したのだから凄い。

・マッドサンダー出た際は、「デスウイング」や「デスクロス」はかなりの善戦をした。

 特に、デスウイングはレイノスがいなければ確実に勝っていたであろう所まで戦った。
 まぁ、この両機は量産機ではなく対マッドサンダー特化型ではあるのだが…。ただ、それでもやっぱり凄い。

・キングゴジュラスも、「ギル・ザウラー」はかなりの善戦をみせた。

 紙一重の戦いで負けてしまったが、前半においては一方的に攻め猛攻した。

凄い。これは凄いの言葉以外が出ない。

 

共和国軍は、これに比べると冴えない。
デスザウラーとマトモに戦えたゴジュラスやウルトラは皆無だ。
マトモに戦えるゾイドは、完全新型のディバイソンの登場を待たねばならなかった。

「そりゃぁ、ゴジュラスをデスザウラーに挑ませるのは無理だよ」と思われるかもしれない。
だが、それを言ったらデスザウラー改(ギル・ザウラー)でキングゴジュラスに挑むのも同じくらい無謀だ。
だが、デスザウラーは見事にはそれをやった。

グレートサーベルの後に登場したシールドライガーMK-IIは、グレートサーベルと互角とされている。が、かなりアンバランスなのは否めない…。
あのキャノン砲では接近戦に入れば使いづらくデッドウェイトにしかなっていないと思える。

「古い機体を改造し最新鋭機にぶつける」のは、よほど内部的な洗練があり発展性に優れていなければならない。
その点において、帝国機は恐るべき発展性を内に秘めていたのだなあと思った。

レッドホーンが後にダークホーンになった事。アイアンコングの一部が暗黒コングとなり猛威を振るった事。これも発展性を強く思わせる。

帝国大型戦闘ゾイドの全てが、後に出現した新型機とも十分にに戦えるだけの強化を果たしている。

一方、共和国軍はそのような「新生」をあまり行えていない。
古いゾイドはそのまま古くなり一線を退いていく…。

共和国軍でこのような「新鋭機に対抗できる」ような改造で成功したのは唯一ゴジュラスMK-IIだろうか。
一応、アイアンコングに再び優位を示せる程度には向上を果たした。
また、マッドサンダーは割と頑張っているかもしれない。マッドジェットやグレートサンダーは、ギル・ベイダー相手にかなり善戦した。
ただし、マッドサンダーはレッドホーンに酷似する部分がある。

帝国機をかなり参考にした設計であると思える事も併せて考えると面白いかもしれない。

…これらの”頑張っている”共和国強化改造ゾイドについてもう少し考えると、ゴジュラスMK-IIは格闘戦にやや悪影響があるというアンバランスさがないわけではない。
(学年誌情報だが、ノーマルタイプに対し「格闘戦だけなら新型のMK-IIより上」との表記がある)

帝国側強化改造タイプの凄い事は、「元の良さを活かしたまま更なる発展を果たしている」事だ。
その極地はグレートサーベルやダーク・ホーンなのだろう。
帝国軍の改造ゾイドはバランスが本当に良い。帝国ゾイド発展性、まさに恐るべしである。

新型ゾイドによる戦況の移りは、「新たな最強ゾイド出現→戦況を優位に変える」というものだが、更に詳しく見ると、

共和国側は、「敵最強ゾイドが出現→まったく敵わないが物量で耐え続ける→新型最強ゾイド完成で逆転」
帝国側は、「敵最強ゾイドが出現→既存ゾイドの強化改造で耐えられるだけ耐える→結局はそれでも最終的には負ける」

なのかなぁと思った。
こういう差は元から意識されていたのだろうか…。だとしたらゾイドは改めてすごいなと思うばかりだ。

Back
index

inserted by FC2 system