武装配置の話

ここのところ、ギル・ベイダーを話題にしたコラムを続けている。
が、今回もまたギルギル・ベイダーを中心にした話題になる。
色々な事は思うが、やっぱり暗黒軍最大最強ゾイドに相応しくカッコいいし魅力的な事は確かだと思う。
今回は、ギル・ベイダーの魅力を掘り下げる形で考えてみたい。

ギル・ベイダーの武装配置を見ていると、前方に集中しているのが面白いなと思う。


前に向けたものが極めて多い。一方、後方は切断翼のみ。また、側面は攻撃できない。
ちなみに、グレードアップユニットを付ける事も出来る機体だが、基本的に「前を向けて」付けるようになっている。
(付けようと思えば後ろ向きに付ける事もできるが、劇中でグレードアップを付けた機体は全て前向きに付けていた)

さて、前回のコラムでギル・ベイダーは爆撃機であると推測したが、爆撃機としては前方に武装を集中するのは極めて珍しい事だ。
今回は、これについて。

爆撃機が前方に武装を集中させるのは珍しい。
爆撃機は攻撃の要なので、破壊の最優先目標になりやすい。そして爆撃機への攻撃は、最も多いのは後方からの攻撃だ。
それはなぜか。

まず、側面から攻めるのは難しい。
一見、ギル・ベイダーは横に向けて撃てる武器を持たないので有効そうに思える。しかし、イメージしてみると難しい事が分かるはずだ。

飛行機というのは凄い速さで飛んでいるから、少しでもタイミングがズレたら攻撃ができない。

側面から攻撃しようとしても…、

こういう風になってしまう場合がほとんど。

前方から攻めるのはパイロットを直接狙えるので有効だが、向かい合って飛ぶのだから、一瞬ですれ違う。

射撃可能な時間はわずかだ、その瞬間に落とすのはやはり難しい。
また、空中衝突を直前で回避する必要もある。

では最も有効なのは何かというと、これはもう後方だ。

追いかけながら撃つので長時間にわたり撃てる。

また、「側面」「前方」からの攻撃は、攻撃する高さがズレていても致命的になる。
しかし、後方から攻撃する場合は、長時間に渡り攻撃できるので高度差を修整しながら撃つ事もできる。
まさに、あらゆる面で後方からの攻撃は圧倒的だ。

攻撃する側から考えると、そのような戦法が導ける。
そんなわけで、守る側…、爆撃機は後方から撃ってくる戦闘機を排除する為の火器がとても重要になる。
敵戦闘機を迎え撃つ、後に向けた火器だ。
だが、ギル・ベイダーは後方への備えが無い。何故だろう。

これを考えた時、ギル・ベイダーのM4.0という速度だろうなと思った。
ギル・ベイダーの速力は全飛行ゾイドで最も速い。だから、後方に付かれても離脱できるのだろう。
あるいは、ギル・ベイダーは驚異的な防御力を誇る。
それを考慮した、「数発喰らった所で、まずもって致命傷になる事はないだろう」という強引な思想もあると思う。

以上のように、ギル・ベイダーは爆撃機でありながら後方への備え…「防衛火器」があまり必要でない。
だから搭載量に余裕があった。その分「攻撃火器」を、狙いを付けやすい前方に集中配置したのだろうなと思った。

という事で、ギル・ベイダーについてはそのように結論付けた。
せっかくなので、他の機体も幾つか考えてみたい。

サラマンダーも後方に向けた火器がない。しかし、やはりこの時代に帝国が飛行ゾイドを保有しなかったから不要だったのだろう。

同時期にシンカーが就役してはいるが、まぁ、シンカーとは速度差や航行同性能がけた違いを誇る。万一、後方に付かれても離脱が容易なんだと思う。

共和国飛行ゾイドで後方への充実した射撃能力を持つのはレイノスだ。

これを考えると、レドラーに確実な優位を示すには後方への攻撃もできる事が必須だったのかもしれない。
逆に言えば、レドラーはそこまでさせる程に偉大な名機だという事も分かる。

という事で、今回は武装配置に注目してみた。
武器の搭載量だけでなく、その配置にも注目する。かなりマニアックな見方だと思うが、それをするとさらに深まるものがあって面白い。

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