アイアンコングMK-IIのバックパックの事

以前にアイアンコングMK-II限定型はなぜ量産されなかったのかというコラムを書いた。

 

その際は限定型に対し、
①エネルギー消費量が大きい
②装備が増えすぎて操縦性が極端に悪化し、もはや平均的技量でも扱えるというアイアンコングの利点がなくなっていた
と推測した。

すなわち、
①武器を、エネルギー消費量が少なく、なおかつ扱いが容易なミサイルに戻した
②ただし、大幅な能力向上をもたらすバックパックはそのまま残された
それにより、「ノーマルよりは扱いが難しいし稼働時間も少ないけども、これ位なら許容範囲である」という、中間というか、バランスを求めたのが量産型であると思う。

今回は、ここから更に深く考えてみたいと思う。特にバックパックに注目してみたい。

さてバックパック。MK-II最大のアイデンティティと言える装備だろう。
私は、これを見てなんと美しい形をしているんだろうと思った。また、強化タイプでこういうのを作るか! と驚かされた。
火器を盛るのではなく、姿勢制御装置を付ける発想が凄い。

色んな意見があると思う。しかし個人的には、アイアンコングにはバックパックが無いと少し物足りないというか、そんな風な感想を持っている。
本体と追加武装のシックリ具合が半端ない。
グレートサーベルとコングMK-IIは、それらを見た後にノーマルを見ると少し物足りなく思ってしまう。
もちろん、ノーマルもそれはそれで好きな事は言うまでもないが。

さて、話を戻そう。
アイアンコングのバックパックは巨大なブースターだ。このブースターは、突撃時の踏み込みを倍化させる装備だと思う。
相撲で考えると分かりやすいだろう。
格闘力で言えば、ゴジュラスはアイアンコングより強い。最強の横綱だ。アイアンコングは大関か小結くらいだろう。
横綱ゴジュラスに普通にぶつかっても勝てない。だから、背中にブースターを背負って補助を得た上でぶつかるわけだ。
こうする事で一気に土俵の外まで押し出す。また、敵の攻撃で転びそうになった時は、やはりブースターをふかし踏みとどまる事ができたと思う。

さて、アイアンコング限定型において「操縦性が極端に悪化し」と推測した。
それは、アイアンコングの開発経緯ゆえである。
そもそもアイアンコングMK-II限定型というのは、ウルトラザウルス出現を受けて帝国軍スパイコマンドの「エコー」が急造したものだ。
ゴジュラスMK-II限定型と比べて凄いと思うのは、極めて短い期間で完成しているという事だ。

ゴジュラスMK-II限定型は、開発開始から4年後にようやく完成している。しかし、アイアンコングMK-II限定型は開発開始からわずか1年も経たずに完成している。
これを急造と言わずして何と言う。各部は「入念な調整」には程遠い状態であろう。ピーキーであった事は想像に難くない。
エコーは、それを自らの技量によって見事に克服し性能をフルに発揮したのである……!

…余談ながら、ゴジュラスMK-IIも、プロトタイプ(オギータ版)であれば完成が早かった。
しかし、そこから完全完成し初陣(大氷原の戦い)を迎えるまでが長かった。
おそらく「無理やり造る事はできた」が、「マトモに操作できるまでに調整するのに(兵器として最低限のレベルにするのに)時間がかかった」のであろう。
言うなれば、アイアンコングMK-II限定型というのは、オギータ版ゴジュラスMK-IIを実戦で使っているような状態だろう。

ブースターは高機能を誇る反面、扱いが極めて難しいと思う。
というのも、バックパックを見ると、ブースターが「中央」ではなく「左右に分かれて」付いている。また、可動式のウイングブースターもある。
これがポイントになると思う。

使い方を想像しよう。
まず、「全力で敵に突撃する」とか「敵の攻撃を受け真後ろに倒れそうになった」ようなケースなら良いと思う。
何故なら、これらのケースではブースターを思い切りふかせば良いだけだからだ。

ただ難しいのは、「片側を押された」ような場合だと思う。
例えば、右側に攻撃を受け、その方向に傾いた。この場合だと、バックパックのブースター全てをふかしてもバランスが良くない。
「右肩を押されてバランスを崩した」ような状態を想像してみてほしい。
姿勢を元に戻すには、右側のブースターをふかす必要があるだろう。逆に、左をふかしても意味が無い。意味がないというか、回転してしまう……。

戦闘時には「真正面から攻撃を受け、真後ろに傾く」ようなケースばかりではない。色んな姿勢の崩れ方がある筈だ。
様々な状態において、姿勢を通常に戻す為にブースターをそれぞれ適切な出力でふかさねばならない。
またウイングブースターは特に、「どの角度でふかすか」も重要だろう。

バランスを誤れば、
①押し戻せない
②誤った出力・角度でブースターをふかすと、余計に姿勢を失う
ような事になるだろう。

アイアンコングのコックピットは「操縦」「火器管制」に分かれている。この内、ブースターの制御はやはり操縦士の方と思う。
機体そのもの動きを補助するのがブースターなのだから、これは当然であろう。
だから、その操縦は極めて困難なものと思う。

※バックパックには、それ自体にもコックピットがある。なので、ここのパイロットが操作をしているとも考えられる。
 しかし、機体の動きと完全に同期しなければ効果を発揮しない装備であるから、違うと考える。
 では何をしているかと言うと、「バックパックは単独での飛行も可能」とされている。この単独飛行時において乗り込み操作するのだと思う。

さて量産型。
量産型はその「量産」という仕様から分かる通り、平均的な技量のパイロットでも扱えるようになっているわけだが、このバックパックの操作は平均的な技量で可能なのか? という疑問もわいてきた。
上記の通りであるならば、かなり難しそうなんだ。しかし、私は中身が別物なのではないかと思いついた。
限定型のバックパックは「マニュアル」であり、量産型のバックパックは「オートマ」ではないだろうか。

限定型のバックパックは、攻撃を受けた際に「自機がどれほど傾いたか」「どの程度の力で押し戻せば最適か」「ウイングはどの角度にすべきか」等を全て瞬時に判断し、手動で操作せねばならないと思う。
開発期間から判断して確実だろう。先に書いた通り、開発期間は1年にも満たない。それを考えれば、ブースターを作るだけでギリギリだったはずだ。調整なんて……。

しかし、そこから6年ほどを経て出現した量産型は、その辺の操作が全て自動化されているのだと思う。
複雑な判断をせずとも「ブースターを使う」という判断と操作だけをすれば、後はすべて最適な出力・角度で行ってくれる。
それゆえに平均的な技量のパイロットでも扱える。そんな風に考えた。
兵器の発展とは、そのようになっているべきだと思う。

ただ、時として「必要以上にふかす」ような事が必要な場合もあるだろう。それにより敵を驚かせたり、あるいは極端な機動が窮地を救うような場面もあると思う。
そのような「あえて無茶をしたい」ような場合は、限定型のマニュアル仕様が望ましい。
これは、オートマ車の方が運転しやすいけど、レースするにはマニュアル車の方が良いのと同じだ。

ゆえに、単機としての能力は「エースの乗る限定型(能力をフルに発揮できる)>量産型>ノーマル」という図式になると思う。
しかし、これは単機として。また限定型のパイロットがエースであるという仮定のもと。
帝国軍に在籍するアイアンコングパイロット全てを考えたら、どれに乗せるのが良いかは明白であろう。
とはいえ一部にはやはりエースがいるわけなので、「少数のエースが乗る限定型」「大多数の平均的技量が乗る量産型」という割り振りは、極めて理に適っていると言える。

この高機動パックの推測だが、実はもう一つ裏付けとなる根拠があります。
それはデスザウラーに関してだ。

デスザウラーはアイアンコングMK-IIと同型のバックパックを背負った機がある。
有名なのはトビー・ダンカン機。
しかしゾイドバトルストーリー2巻によると、「この仕様は一機しかいない」とされている。

これは、おそらく「デスザウラーを制御しつつブースターの複雑な操作も完璧に行えるのがトビーだけだった」という事だろう。
(アイアンコングMK-II量産型はこのもう少し後の就役なので、このバックパックは限定型仕様のマニュアル型だと思う)

しかし、後期(主にマッドサンダー出現直前頃から)のデスザウラーは、バックパックを背負ったタイプの登場が増えてくる。

末期にはもはや標準仕様がバックパックを持ったタイプであると思える程に出てくる。この時期になると、背負ってないタイプの方が珍しい。
当初は「一機しかいない」と書かれたデスザウラーのバックパック付きタイプが後期には大量に出現している。
この事もまた、操作がオートマになったという裏付けになると思う。

さて、そんなわけでアイアンコングMK-II量産型のバックパックについて考えてみた。

余談ながら、上記を思いついたきっかけは「自動空戦フラップ」というメカだ。
フラップとは飛行機の翼に付いている装置で、空戦時にフラップを使うと素早く旋回でき優位に立てる。
しかし、双方が激しく撃ち合う空戦でフラップを使う余裕があるのはスーパーエースだけ。
使えば優位になるのは分かるが、たいていのパイロットは使う余裕が無いので使わない。そんな装備だった。
これではよろしくない。そこで、自動的に機体の速度や傾きなどを計算し常に最適な角度で旋回できるようにしたフラップが作られた。それが自動空戦フラップ。

画期的なメカで、これにより平均的技量のパイロットがベテラン並の活躍ができたとも言われている。
ただし、やはり自動であるから、スーパーエースが操作する超超スーパーフラップ操作技術には及ばない。
この装置は任意でオフにもできたため、スーパーエースは従来通りの手動で操作していたという……。

「兵器として優れたもの」が、必ずしも「単機として最強なわけではない」という例になろう。
逆に言うと、「凡作」であっても「兵器としては最良」になれる可能性も秘めるという例になろう。
それはRGM-79ジムであったり、グラマンF-6Fであったり、そしてアイアンコングMK-II量産型、ゴジュラスMK-II量産型といったゾイドだと思う。

なお、グレートサーベルのウイングも自動化されていると思う。
ただHMMの設定にはグレートサーベルは高い技量を要するエース仕様的な解説があった。
なので、それとの整合性を保つなら、初期型はマニュアル・後期型はオートマ化したと考えても良いと思う。

同じ見た目であっても、その機構まで同一なのか。それを深く考えると面白い。

Back
index

inserted by FC2 system