キングバロンとアイス・ブレーザー

メカ生体ゾイドの大陸間戦争期は、高速ゾイドが一気に増えた時期だ。
89年8月から9月の間に、実に四機もの高速ゾイドが誕生している。
ハウンドソルジャー、キングライガー、ジーク・ドーベル、ガル・タイガーだ。

この内、ハウンドソルジャーとジーク・ドーベルは「速度で次世代」な機体だ。
ハウンドソルジャー330km/h、ジーク・ドーベルは350km/hを誇る。

対し、キングライガーとガル・タイガーは「装備面で次世代」な機体だ。
両機とも、最高速度は300km/hに満たない。
しかし、キングライガーは高度の情報処理能力を持つ点で優れている。高速機ながら、指揮官機としても運用できるのだ。
ガル・タイガーは、高速機ながらにして、あの荷電粒子砲を持っている点で優れている。

「超高速機」と、「従来機並の速度を保った上で特殊能力も併せ持つ機体」
一応、住み分けはされているのだ。と言っても、高速機乱発の印象が覆せるものではないと思うが…。

さて、この四機のうち二機は、後に強化タイプとして再就役している。
キングライガー→キングバロン
ジーク・ドーベル→アイス・ブレーザーだ。

この構図を見て思ったのは、やっぱり共和国軍は強化タイプを作るのが下手だなあという事だ。
また、暗黒軍は帝国軍と同じく上手いなとも思った。

キングバロンは、大幅に増えた砲のせいでスピードがダウンしている。
対し、アイス・ブレーザーは攻・走を共にアップさせているのだから凄い。
ジークドーベルより更にアップした高い機動力、ハイパー化したフォトン粒子砲を持つ恐怖の刺客である。
最高速度は390km/hに達する。

そんなわけで、キングバロンとアイス・ブレーザー。
両者は共に強化ゾイドという事で、ライバル扱いされている。
しかし、個人的にこのゾイド達を見た時はに真っ先に思ったのは、バランスが悪いなあという事だった。

従来は「ハウンドソルジャーとジーク・ドーベル」「キングライガーとガル・タイガー」がライバル扱いであった。
強化タイプになったらペアが変わるのかー…、と。

性能を見てもアンバランスさが際立つ。
ジーク・ドーベルは、もともと速い機体だった(350km/h)。それをますます高機動にしたのがアイスブレーザー(390km/h)だ。
キングライガーは、そこまで速くない(280km/h)。それを若干の機動力低下と引き換えに火力増を果たしたのがキングバロン(270km/h)だ。

・もともと機動力で優位だった機体を更に高機動にしたアイス・ブレーザーと、
・もともと機動力で劣勢だった機体が更に機動力低下したキングバロン。
はたしてライバルになれるものか?

サーベルタイガーとシールドライガーの場合は、
・機動力で劣るサーベルタイガーは改良によって高機動になった(グレートサーベル)。
・機動力で勝るシールドライガーだが、装備増により若干の機動力低下となってしまった(シールドライガーMK-II)。
という事でバランスが取れていると思うのだが…。

キングバロンとアイス・ブレーザー。
その装飾過多なデザインと共に、設定面でも末期の混迷をよく表しているなぁと思ってしまった。

ただ、一方で、なんでこんなアンバランス事態になったんだろうという事も考えてみたい。

バランスのいいライバル関係にしようとするなら、キングライガーじゃなくハウンドソルジャーを改良すべきだったと思う。
あるいは、ジーク・ドーベルじゃなくガル・タイガーを改良すべきだった。
そうすれば、強化タイプでもライバルと呼べる性能になっただろう。

しかし、よくよく考えると、それは無理だった事に気付いた。
ハウンドソルジャー、キングライガー、ジーク・ドーベル、ガル・タイガー。
これらの機体は、「量産され部隊の中核を努める」というよりは、「Hiユニット級ゾイドを率いる隊長機」というようなポジションで運用される事が多かった。
こう考えると、ジーク・ドーベルが改良されアイス・ブレーザーになった事と、キングライガーが改良されキングバロンになった事が理解できる。

つまり暗黒軍次世代高機動ゾイドが率いるのはライジャーであり、共和国次世代高機動ゾイドが率いるのはコマンドウルフなのだ。
あぁ、なるほど。
ライジャーは時速320km/hを誇る。
コマンドウルフは210km/hでしかない。
だから、暗黒軍はアイスブレーザーのような超超高機動機を作っても大丈夫だった。ライジャーが随伴できた。

しかし共和国軍はコマンドウルフの210km/hを視野に入れる必要がある。あまりにも速すぎる機体を作ってしまっては、連携がとれず部隊としての意味を成さなくなる。
だからこそキングバロンが作られた。
キングバロンは機動力は決して次世代的ではないが、それはあえて低く留められているのだ。コマンドウルフと共に行動する必要があったのである。
部隊としては実に合理的である。

アイス・ブレーザーとキングバロン。
アンバランスな感じは否めないと思う。しかし、戦史的に読み解けばライバルと言って良い存在だと気付いた。

あと、メカ生体ゾイドの「末期」ゾイドと言えば超超スペックを持つゾイドばかりと言う印象が強かったけれども、その時期のゾイドのレベルに追従できているライジャーは改めて凄いなぁとも思った。

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