エネルギーシールド開発史

エネルギーシールド。通称、Eシールド。電磁フィールドを機体前方に展開し、敵のビーム砲をはね返してしまう強力な防御装備。

最初に採用したゾイドはシールドライガーである。
ただし、その特性上、ビーム砲には強い耐性を示すが、実弾砲に対しては無力である。
ゾイドの装備の中でも、アニメの影響もあり特に有名なものだろう。

さてEシールド。
これは高機動機と相性が良い装備だと言える。
敵の攻撃を防ぐには、分厚い装甲かEシールドの二択になろう。
パワー系の戦いをするゾイドなら、分厚い装甲を施した方が合理的だろう。
なにせ、大パワーで持続力のあるクラスなら、常に思い装甲をまとう事もそれほどの苦にはなるまい。

しかし出来るだけ重量を減らし機動性を高めたい高機動タイプには、分厚い装甲は相性が悪い。
言わずもがな。それは高機動と相反する要素だからだ。

出来るだけ軽くしたい。それでいて防御力もやっぱり必要だ。
そこで、発生装置の開発やコストは大変だが、その上でなおEシールドが望まれたのである。

Eシールドは共和国軍で開発されたものだ。サーベルタイガーではなく、シールドライガーで採用されたものだ。
これはなかなか興味深い事だ。
帝国軍は、技術力で共和国を上回る。新機軸はたいてい帝国軍が左記に採用する。
大型ビーム砲も電磁砲も帝国軍が最初に採用した。コンパクトな機体に大型武器を満載した姿は、帝国軍の先鋭さをよく表すものだった。
しかし、Eシールドは共和国軍が開発している。
帝国軍は、中央大陸戦争時代においては、ついにEシールドを搭載する事はなかった。

これはなぜだろう。
技術的にリードする帝国軍が、なぜEシールドは共和国に先んじられたのだろう。
それを考えると、思いついた事があった。
先に書いたように、帝国は先鋭性ゆえにビーム砲を多用していた背景があった。つまり共和国は対ビーム装備の開発が必須だったのである。
逆に、共和国軍は実弾砲主体であり、それに対する帝国軍にとってEシールドは不要なものだったのだろう。
なるほど。仮に帝国軍がEシールドを開発していたとしても、大半の共和国ゾイドの装備は実弾砲なのだから、特に意味を成さないのだ。
こうして考えると、共和国軍が必死にEシールドを開発した背景がよく理解できる。

さて、Eシールドとビーム砲に関してもう少し続けよう。

実弾砲のデメリットは重量がかさむ事だ。砲に加え砲弾重量がかかるのだから、かなりの負担がかかってしまう。
可能な限り軽くしたい高機動ゾイドではビーム砲が好まれるだろう。ビーム砲は、砲弾重量を考えなくても良い。
共和国軍が最初に採用した大型ビーム砲は、シールドライガーMK-II用のキャノンビーム砲だ。

この装備は、大型ビーム砲という未知の分野に挑まざるを得なかった共和国軍の背景が透けて見える。

しかし、唯一、高速機にも関らず実弾武器を主体にした機もある。グレートサーベルだ。

サーベルタイガーと比べ、増設されたのは8連ミサイルポッドだ。
逆に、サーベルタイガーの主砲とも言うべき連装ビーム砲は使いづらい位置に追いやられている。
高速機であるにも関らず、ビーム砲ではなくミサイルが主武器として採用されているのだ。
しかし、これも対シールドライガー戦を考えれば納得できる。
グレートサーベルは、Eシールドを装備したシールドライガーと交戦する事が必須だった為、強力なビーム砲ではなく強力な実弾砲が必要だったのだ。

こうして見ると、Eシールドとそれに関連するゾイドの開発史が見えてくる。
サーベルタイガー、シールドライガー。そして両機の強化タイプ。
ゾイドでも屈指の人気を誇る機体だが、やはりそれに見合う面白さが詰まっていると改めて思った。

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