開発史を考える

第二次中央大陸戦争は、D-DAY上陸作戦で幕を開けた。
その主役はディメトロドンとウオディック…、帝国軍の強力な次世代新鋭メカ達だった。


ディメトロドンはゴルドスを無効化し、 ウオディックはあのウルトラザウルスに痛撃を与えた。
これら帝国軍新鋭ゾイドの活躍で、D-DAY上陸作戦は見事成功した。

さて、これら第二次中央大陸戦争の帝国軍新鋭ゾイドは、一つ考えねばならない事があると思う。

 

デッド・ボーダーは中央大陸に上陸した暗黒ゾイド第一号と言われるが、これに関し疑問が呈される事もある。
それは「中央大陸に上陸した暗黒ゾイド第一号はディメトロドンでは?」という事だ。

ディメトロドン、ウオディック。これらは帝国軍が開発したのか?暗黒軍が開発したのか?
これは、現在のところ情報が開示されておらず謎だ。

また、D-DAY上陸作戦から間を空けず、シーパンツァーやブラックライモスといった新型ゾイドも登場している。
通常、新兵器の開発には多くの時間を要する。
祖国へ帰還した帝国軍が、すぐさまこれら強力な新型ゾイドを完成・完成させられるかというと疑問でもある。
やはり、これらのゾイドも暗黒軍の関与が可能性として思い浮かぶ。

今回は、その辺をちょっと考えてみたいと思う。
ディメトロドン、ウオディック、シーパンツァー、ブラックライモス。
これらは果たして帝国製なのか? それとも暗黒軍製なのか?

 

先に書くと、ディメトロドンもウオディックもゼネバス帝国で開発されたゾイドだという結論に達した。
この二機だけでなく、シーパンツァーやブラックライモスもゼネバス帝国製だと思った。
この結論に至ったのは、ゾイドバトルストーリー1巻を見ていてのものだ。

あまりにも大胆なページだったので逆に見落としていたというか。
1巻の中ほどのページには「ゾイド戦役の末期、何枚かの新型ゾイドの設計図が残されていた」という括りで、幾つかの未就役・新型のゾイドが掲載されている。
その中にディメトロドンとウオディックのかなり鮮明な写真が載っている…!

バトスト1巻なので、「ゾイド戦役の末期」というのは第一次中央大陸戦争の末期という事だろう。
この時期、完成直前とも言える状態で両機が存在したとは…。

ウオディックは、ウルトラザウルス対策として開発が進められていたと思う。

ウルトラザウルスが居たから、共和国軍は上陸作戦を成功させる事が出来た。
また、海上ルートを使い膨大な物資が輸送されたはずだ。その対策は急務。しかしシンカーではもはやどうにもならない。
そんな状況で開発されるも、もはや戦況は決定的に不利。
完成間近ながら、ついに祖国の滅亡を迎えてしまったのである…。

 

ディメトロドンもまた、ウルトラザウルス対策だろうと思う。

ウルトラザウルスの脅威は主に二点。一つは驚異的な砲撃力。もう一つは超高度な指揮管理能力。
砲撃ではアイアンコングがかろうじで撃ち合える。
が、指揮管理能力はどうしようもない。
しかし、対応は必須。
ウルトラザウルスとて弱点が無いわけではない。
電子能力に関してはゴルドスに劣る。その為、随伴させて指揮に当たる事も多かった。

おそらく、ディメトロドンはそこを突いて開発されたと思う。
つまりゴルドスを無効化すれば、その能力を受けて活躍するウルトラザウルスも押さえつける事が出来る。
ゲーターの実績があった為、開発は順調に進み完成間近となる。
しかし、やはり完全完成を前に、祖国の滅亡を迎えてしまったのである…。

 

同ページをよく見ると、シーパンツァーとブラックライモスも載っている。
ただし、これらは絵だ。
という事はつまり、「第一次中央大陸戦争末期に開発がスタートした」というような、開発が浅い段階だったのだろう。
そして戦況の不利により、開発は凍結されてしまった。

これらのゾイドは、開発データが持ち込まれ暗黒大陸での開発が継続されたと思う。
その結果、完成しD-DAYに使用されたと思う。
(ただしブラックライモスは完成が少し遅れ、D-DAY後に就役する事となった)

 

ところでブラックライモスについてもう少し補足しよう。
第一次中央大陸戦争末期に開発がスタートし、そしていちど中断されていると推測した。
D-DAY後、開発は再開され順調に進んだだろう。
しかし、雑誌てれびくんで、ブラックライモス開発に関するエピソードが語られた事がある。


ようやく完成間近となったブラックライモス。
しかしアタックゾイドがこの情報を嗅ぎ付け襲撃。3機の試作機を破壊してしまう。これにより完成は1年も遅れたとの事。
(ブラックライモスのレビューも参照されたい)

ブラックライモスは帝国軍が誇る重戦車。ここまで弱点がないのも珍しいと言われるほどの超傑作機。
しかし、その開発は大変だったんだなぁ…と思うと感慨深い。
こういった開発の難航ゆえ、開発者の情熱はいよいよ燃え上がり計画以上の傑作機となった…なんて考えても面白いかもしれない。

 

という事で、帝国側の新鋭ゾイドを考えてみた。ここからは、ついでなので共和国側も見てみたい。

同ページを見ると、まずダブルソーダが鮮明な写真で載っている。完成間近か、完成直後のテスト時期くらいと思われる。
ダブルソーダはD-DAY直後から参戦しているゾイドだ。
なので、「第一次中央大陸戦争末期に完成したが、量産前に共和国が勝利した。しかし来るべき第二次中央大陸戦争に備え、平和な期間においてブラッシュアップと量産が進められていた」なんて考えても面白いかもしれない。

また、コマンドウルフも確認できる。
これは、サーベルタイガーショックを受け、計画がスタートしたと思う。
あるいは、もう少し前のヘルキャット参戦から計画がスタートしていたかもしれない。
しかし、なにしろ高速機という道のカテゴリーゆえ開発は難航し、第一次中央大陸戦争では間に合わなかったのだろう。

このページにシールドライガーは確認できない。これは重要だ。
やはりシールドライガーは、バレシアの戦い…、サーベルタイガー鹵獲事件を受けて、初めて計画されたゾイドなのだ。
第一次中央大陸戦争期においては、コマンドウルフでヘルキャット&サーベルタイガーの両方に対抗しようとしていた事が伺えて興味深い。

 

というわけで、バトスト1巻の新型ゾイド情報ページから、以上を考えてみた。
が、あと少しだけ続ける。実は開発史を読み解く貴重な情報がもう一つある。ゾイドグラフィックスvol.11だ。
これを見ると、デスザウラーの開発についても考察出来るものが出てくる。

デスザウラーもまた、帝国製か暗黒軍製かで意見が分かれるゾイドだろう。
「荷電粒子砲」ははたしてどちらが開発したものなのか。ゾイド開発史上、最大の論点かもしれない。

さてゾイグラVol.11には、それに関し貴重な考察材料がある。
これに、このような記述がある。

これがデスザウラーである事は明白だ。「完成寸前」という表現にはちょっと誇張も感じてしまうが。
ともかく、という事はつまり、デスザウラーもまた純帝国製のゾイドなのだろう。
もちろん、ディメトロドン、ウオディック共に、暗黒軍の技術により「より完成度の高い」機体として完成したのも確かだろうが。

 

という事で開発史を妄想してみた。

まとめる。
ディメトロドン、ウオディック、シーパンツァー:末期に開発されていた。暗黒大陸でも開発が継続され、完成・量産されD-DAY上陸作戦に使用された。
ブラックライモス:末期に開発はスタートしていた。暗黒大陸でも開発が継続されたが、完成には至らなかった。D-DAYから1年後にようやく完成する。
デスザウラー:末期に開発はスタートしていた。暗黒大陸でも開発が継続されたが、完成には至らなかった。D-DAYから3年後にようやく完成する。

 

こう見るともう一つの妄想も膨らんでくる。
第一次中央大陸戦争の最終局面、バレシア湾から暗黒大陸へ向けた脱出。
あれはかなり切羽詰ったものであり、皇帝や残存兵を運ぶだけで精一杯だっただろう。

開発を継続するには、各種データや、何より野生体が必要だ。
という事は、バレシア湾からの脱出作戦後、こんな事もあったのかもしれない。

脱出し、無事暗黒大陸へ辿り着くゼネバス皇帝。そして残存兵。
しかし、第二次中央大陸戦争に向けて、様々な事が必須だった。
シンカーで脱出できた兵は限られている。
いまだ中央大陸に残された兵や、ウラニスク地下に隠された新型ゾイドのデータ、野生体。そういったものを回収する必要があった。
中央大陸が完全な共和国支配下になった中、決死隊が結成され、密かに作戦が実行される…。

共和国軍は、第二次中央大陸戦争のニカイドス島の戦い直後「勝利の避けにかすかに頬を赤くした見張りの兵士が」という記述が確認できる。
勝ったら一気に緊張が解かれる風潮があるのかもしれない…なんていうのも思った。
…いや、共和国軍が勝った瞬間気を抜くというのは確実かもしれない。ウラニスク地下施設も未発見に終わったようだし…。
この地下施設さえ発見しておけば、第二次中央大陸戦争は早期に共和国の勝利で終わっていたかもしれない…。

ともかく、こんな風に妄想すると、とてつもなく面白い。
「バトルストーリー」というより開発史だ。しかし、これもまた同じくらいの魅力があると思う。

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