ハンマーロックの強さの謎

今回は、機獣新世紀ゾイドの話。

さて「戦場を盛り上げる」といえばやはり中~小型ゾイドだと思う。いわゆる歩兵の魅力だ。
華があるのは大型ゾイドではあろう。だが小型機も、大型にはない魅力がある。

そんな小型ゾイド。やはり戦場を妄想する際には大いに活用したい。
1対1で戦った場合の戦力比は、メカ生体ゾイドでは大まかには分かり易くなっていたと思う。
ただ機獣新世紀ゾイドの場合、一つ困ったゾイドがあった。
それはハンマーロック。

1999年に機獣新世紀ゾイド開始。開始と同時に、猛烈な勢いで再販が続いた。
共和国重装甲SP級7機(ゴドス、ガイサック、バリゲーター、スネークス、プテラス、カノントータス、ダブルソーダ)は、早期に全機が再販された。
しかし帝国重装甲SP級は、イグアン、サイカーチス、ヘルキャット、少し間をおいてシンカーが再販されたものの、そこからさっぱり再販されなくなった。

帝国重装甲SP級は9種類。つまり再販数は4。残り5(マルダー、ハンマーロック、シーパンツァー、ツインホーン、シュトルヒ)。
数で言えば100%再販された共和国側に対し、半分も再販されていない帝国。

2000年に入ってからの機獣新世紀ゾイドは、再販よりも新型の開発がメインなっていった。
次々誕生する新型に注目する一方、やはり再販は強い望みだった。どうにか残りの機種も再販を…と願うものだった。
しかしようやく、2001年暮れにハンマーロックが再販された。そしてそのハンマーロックの設定と戦歴が、かなり謎を残した。

ここでは、ハンマーロックを中心に機獣新世紀ゾイドの小型ゾイドの強さを少し考えたい。

メカ生体ゾイドだと、
・初期の頃、小型最強を誇ったゴドスがあった。
・しかし、それを凌ぐイグアン、ヘルキャット、ハンマーロックが登場した。特にハンマーロックはこのクラス最強の格闘性能を誇った。
・後年、更にそれらを凌ぐ次世代機コマンドウルフ、ベアファイター、アロザウラーが登場した。
という図式があったと思う。


ゴドス<イグアン、ヘルキャット<ハンマーロック<<コマンドウルフ、ベアファイター、アロザウラー位の感じだと思う。
さて、これを基準にして考えると、機獣新世紀で最初に考えたいのはレブラプターだ。

レブラプターの設定には
「不完全ながらもオーガノイドシステムを搭載したレブラプター。この機体に格闘戦を挑む事は、小型ゾイドはもちろん、中型ゾイドでも大きな危険をともなう」
とある。この一節をから考る。
おそらく中型ゾイドというのは、機獣新世紀ゾイドで最もスタンダードとして扱われたコマンドウルフを指すと思われる。
コマンドウルフが戦って危険を伴う=「ゴドスくらいなら余裕だがコマンドウルフだとわずかに不利」位だろうか。

ここで、

ゴドス<イグアン<<レブラプター<コマンドウルフ位なのかなぁと思う。

ただ事態をややこしくしたのはハンマーロックだろう。
箱裏において、豪快にレブラプターを破壊している。

メカ生体時代、ハンマーロックとコマンドウルフには絶望的な戦力差があった。
コマンドウルフに匹敵する強さのレブラプターを倒せるハンマーロックはコマンドウルフにとって雑魚。
ややこしぃ…。

考え得るのは、
①ハンマーロックが新世紀版では大幅に強化されている
②レブラプターが強いのは初期配備型だけ
③上記二点の両方
だろうか。

個人的に②は有力であると思う。
やはりオーガノイドシステム。ジェノザウラーも量産機はOSレベルが下げられているという。
その例から言ってレブラプターも同じ事が起こっていても不思議ではない。
もともとレブラプターに搭載されたのは低レベルOSであったが、更に下がっていると推測する。

初期型は不完全ながらもオーガノイドシステムを搭載=操縦性に難があるが素晴らしい能力を発揮=しかし兵器としては欠陥とも言える
後期型はOSレベルがかなり下げられている=安定はしたものの戦闘力はかなり低下した=しかし兵器としては安定しており優秀と言える

①もありそうだ。
機獣新世紀のゾイドはマッドサンダーなど一部の例外を除き強化されているようだし、それはあろう。
特にPK師団の中核として配備が進んだハンマーロックだから、そういう事があったと考えて然りだと思う。
というか、公式ファンブック3巻には、その辺の設定文章がわずかながら載っている。
「旧大戦仕様から、コックピット周りや動力機関など極わずかな改造で、同クラスの最新鋭ゾイドすら上回る総合性能を発揮した」とのこと。

という事で、結局、③の両方が正解だろうか。

まとめると、

ゴドス<イグアン<メカ生体版ハンマーロック、OSリミット型レブラプター<新世紀版ハンマーロック<<初期型レブラプター<コマンドウルフ
位なのかなぁと思った。

まぁ、あとは単純にPK師団のパイロットだから技量が良く機体性能で上回るレブラプターすら沈めてみせたと考えたり、奇襲であったなど戦場での状況を考えると面白いものが見えてくるかもしれない。
しかし、その上でなお思うのは、箱裏のような、「それこそがスタンダードな印象となる」ものでこういった事をやったのはマズかったなという事だ。
更に、バトストでは他にこれといった活躍もしていないのだからなおの事、だ。
混乱してしまうのは仕方のないものだろう。

解釈は出来る。様々な要素を検証し、自分なりの結果を導くのはとても面白い。今回のハンマーロックでも導いてみた。
その過程でもっと好きになる。たくさんの「なるほど」が生まれる。
理想的な付き合い方だと思う。

しかし、できれば積極的に「解釈したい!」と思わせるものであって欲しいと願うという事だ。
ある事に対し、「あれ…?」という疑問が沸いたとして、そこから、
「よし、じゃあ謎を解いてやるか」
となるか、あるいは、
「なんかいいかげんだなー…」
となるか。
この判断は確かにユーザーが行うものだ。だが出来るだけ前者の方が良かろう。
前者の場合、より好きになるだろう。後者の場合、なにか冷めてしまい、その先は「去ってしまう」所に行き着くと思う。

メーカー側は、出来るだけ大多数のユーザーが前者に行き着くような配慮はすべきだろうと思う。しるべはあるべきだろうと思う。
そういった意味で、ハンマーロックの描写はあまり良いものではなかったと思ってしまう。

後年のシュトルヒの設定も、かなり誇張されたものだったと思う(新世紀版シュトルヒのレビューを参照)。
こちらもまぁ、解釈は出来なくもない。ただ、やはりあまり良いものではなかったと思う。
正直に言うと、ちょっと配慮に欠いたものは多かったと言わざるを得ない。

再販するタイミング、その時の戦況。
新たな設定と前シリーズにおける位置づけ。その両方とも矛盾無く両立させるのは非常に難しいものだと思う。
しかしゾイドは大河シリーズとしてこれからもあってほしいと強く願う。
なので、そういったものも是非、素晴らしい昇華をさせていってもらえれば良いと思う。

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