骨ゾイドを考える

私がゾイドを知ったのはメガトプロスがきっかけで、その頃の主力キットは帝国側はデスザウラーやコングMK-II、共和国側はウルトラザウルスやディバイソンでした。
程なくグレートサーベルやマッドサンダー等の更に強力な装備を付けた新型も次々登場し、私は大いに憧れました。

ゾイドバトルストーリー4巻も発売され、書店でねだった末に買ってもらいました。
余談ですがが、近所の本屋ではどこもバトスト4巻を入荷していたのをよく覚えています。本当に大人気でした。
さて4巻を読んだ後、他の巻も欲しいという事になり、1、2、3巻も手に入れる事に成功しました。

そこでメガトプロスより前の時代のゾイドの事を知り、あぁ最初のゴジュラスやコングは背中に何も背負ってないんだとか、初代は色が違ってるんだとかを知りました。
4冊のゾイドバトルストーリーを見て、私はどんどんゾイドワールドに惹き込まれていったのでした。

私の家は、本はともかく玩具はなかなか買ってもらえない方針でした。
だからゾイドバトルストーリーに付属するカタログを眺めて、必死で次のイベント時に買ってもらうゾイドを吟味したものです。

さてカタログを見て、「マッドサンダーやディバイソンに比べてゴジュラスやゴルドスはゴチャゴチャしていて旧式っぽいな」という感想を持ちました。
でも旧式だからカッコ悪いというわけではなくて、旧式っぽいけどカッコいい!!!と思わせるものでした。
最新鋭じゃないけども、渋くて頼もしい魅力的な古参兵に映ったのです。
それはもう、全てのゾイドを欲しいと思いました。
特に共和国派だったから、共和国ゾイドはいっそう強く欲しました。

いやしかし、そんな中で例外が無いわけではありませんでした。
ガリウスをはじめとする初期の共和国小型ゾイド。これだけは「いらん」と思ったのでした。
(ストレートな表現ですが当時の感想なのでご容赦いただきたい)


「ガリガリやんけ」
というのが当時の率直な感想でした。

私がゾイドに入った当時、既にアロザウラーがスタンダードなゾイドとして君臨していました。
それを基準としていた私にとって、ゴドスさえ少しヒョロく写っていました。
いわんやガリウスなど……。

かろうじてフロレシオスはいいかもと思っていました。フロレシオスはなんだかタンク始め各種装備が付いていて割とたくましかったのです。
ペガサロスは見る角度によっては……、うーん……、でもこいつは割と強いし…(バトスト1戦力比較表参照) とか、複雑な感想を持っていました。
ただ他のゾイドの感想は壊滅的でした。

ガリウス、エレファンタス、ゴルゴドス、ハイドッカー。いわゆる"骨ゾイド"。これらの評価は特に辛辣でした。
何故なら同じモチーフで肉の付いたゾイドが居るからです。どうしても、それらと比べてしまったのでした。

でも今になって骨ゾイドを見直すと、これはこれで味があって面白いと思います。
そして今、深く骨ゾイドを考えてみたいと思いました。
彼らにしろ就役当時はまごうことなき「最新鋭機」だったわけで、その時代としては十分な能力で君臨したはずなのです。
今回は、その辺を考えてみたいと思います。

 

さて、航空機は現代戦において欠かせない。制空権無くして勝利はありえないと言ってもいいでしょう。
しかし航空機だけで敵地を完全制圧するのは困難です(戦術核でも使えば話は別ですが)。
敵地の制圧には地上部隊の投入が欠かせません。むしろ地上部隊を効率よく運用する為に他があるといっていいでしょう。

上空からの航空支援、後方からの砲撃支援。
いずれも欠かせませんが、やはり「支援」でありメインは最前線の地上部隊です。

そして地上部隊の主役は歩兵です。
いくらゾイドが居るといっても。そりゃあインパクト的な意味ではゾイドが主役でしょう。しかし数の上、そして敵地を完全に制圧する意味においては歩兵が最重要です。
ゾイドの性能が低く、また小型しか居なかった極初期の頃は、なおのこと歩兵の重要度が高かったでしょう。

その事を踏まえて、初期の骨ゾイドを捉えてみようと思います。
昔から、何となくゾイドといったら「対ゾイド戦が当然」な思い込みがありました。
しかし、その思い込みをリセットしてみましょう。
対ゾイド用ではなく、「対歩兵」用ではないかと考えた時、新しい可能性が見えてきました。

 

「歩兵こそが主力である(初期の時代においては特にその重要度が高い)」「初期におけるゾイドの任務は歩兵の支援である」
この上で、改めて骨ゾイドを考えたいと思います。

 

RMZ-01 ガリウス

対ゾイド戦を想定すると、とてもじゃないが乗りたくないゾイドです。
しかし対歩兵としては素晴らしい性能を発揮しそうに見えます。
特に前面のマクサー35mmビーム砲は、改めて見ると対人用に適した位置にあるように思えます。
また、その足は踏み潰すのに適した形状です。想像したくはありませんが……。
防御力は無きに等しくとも、それでもゾイドです。歩兵の装備程度では容易にはやられないでしょう。
対歩兵と考えると、フレームむき出しの構造でも「必要にして十分」なのなのだと思います。

RMZ-02 グライドラー

上空から味方の目となり敵部隊を偵察するのでしょう。
防御力は皆無で運動性も低そうですが、この時代は他にロクな航空ゾイドが居らず、またロクな対空装備も無かった時代です。
それを考えると、やはり必要にして十分です。

地球の戦争で使用される航空機。これの歴史に少し触れましょう。
 最初の頃、航空機は戦闘力を持たず敵地偵察に使われただけだった。
 最初期はお互いに攻撃手段を持たず、敵偵察機に対し、そのまますれ違ったり、お互い手を振って挨拶していることもあった。
 しかし航空偵察の効果が上がり始めると、敵偵察機の行動は妨害する必要性が出てきた。
 最初は持ち合わせていた工具を投げつけたのが始まりとされている。やがて煉瓦や石を投げ合い始め、拳銃や猟銃を使い始めた。

グライドラーはこの時期のイメージにかなり合致します。

RMZ-03 エレファンタス

初期の索敵機です。耳は高度な音響解析装置になっており、敵の位置を探ります。
グライドラーが敵部隊の大局的な動きを探るゾイドなら、エレファンタスは地上部隊に直接随伴して、より詳細な策敵を行う機体なのでしょう。

 

と、このように考えると、それぞれ「細い」「弱そう」だけではなく、彼らの合理的なデザインが見えてくる気がします。
あくまで「歩兵」の支援が任務であり、「対ゾイドではない」。

後のRMZ-07ハイドッカーは、特に歩兵支援が意識されていると思います。

このゾイドの主な任務は兵員輸送です。その設定は、歩兵こそ主力の時代を色濃く思わせます。
(ただハイドッカーは、この構造でどうやって兵士運んでるののだろう? という別の問題もあるのですが……)

RMZ-08ペガサロス、RMZ-09スパイカーあたりになってくると、対ゾイドが意識された装備になってきます。

しかし相変わらず装甲はありません。
これは、「歩兵支援用のゾイドを一方的に狩る」ゾイドなのだと思いました。
ガリウスやエレファンタスは歩兵を意識した装備しか持ちません。
だからそのレベルのゾイドを想定した「対ゾイド用の戦闘ゾイド」には、装甲は必要なかったのだと思います。

ただ、そういった対ゾイド用の戦闘ゾイドが増え始めると、更にそれを倒す為の新型戦闘ゾイドも必要になります。
それらは「対ゾイド用装備を持つゾイド」と戦うわけだから、分厚い装甲が必須。それこそがゴドスから始まる重装甲スペシャル級ゾイドではないかと………。

こんな風に考えると、今更ながら極初期の小型ゾイドたちが納得でき、どんどん魅力的に見えてきたと思います。

 

正直、今でもカッコいいかと言われると微妙な所は否定できません。
活躍した期間は決して長くありません。バトルストーリーでの扱いは散々でした。
それでも、深く考えるとゾイドワールドの根幹が見えてくると思います。

やはり最初期のゾイドだけに、それゆえのカッコ悪さと、同時に他には無い魅力が詰まっていると思います。
改めて見直すと、非常に魅力的なデザインだと思います。

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