MSS第二期に想いを馳せる

MSSゾイド。非常に残念な事に短命に終わった。
いや、あくまで休止であり、シリーズの再構築が告知されている。リップサービスでない事を願う。
今回は私なりにMSSを振り返り、色々考えてみたい。そして未来の事も考えてみたい。

第一期がかくも短期に終わってしまったのは何故だろう。

「1/144なのが悪かった」と言われる事もある。
私個人としてはこれには反対意見をもっている。
「1/144である」というのは「1/72じゃない」というべきだろう。すなわち今まで成功したシリーズはすべからく1/72である。
それ以外のスケールは既存機と並べにくいし適切でない。

確かにゾイドにとって1/72というスケールは最適だと思う。
ディティールの密度や迫力を感じれて、なおかつキットの大きさ的にも最適だと思う。

しかし1/144はガンプラのHGシリーズはじめ、多くが採用しているスケールだ。
スパロボ参戦も果たしたゾイド。各メディアとお連携という意味では、良いスケールなのではないだろうか。
航空機のモデルでも、このスケールはよく採用されている。

こうやって並べるのも楽しい。

また、当然、小さい。
それは迫力という意味では弱いが、逆に限られた場所の中でコレクションする場合、非常に「助かる」のは確かだろう。

小さいながらディティールの密度は高く、満足度も高い。可動も上々で、良いものであったのは確かだ。

HMMが定着した事に異論はあるまい。
そのHMMも、「動かないゾイドなんて」と散々言われたものだ。
「○○はダメ」という考えは枷でしかないと思う。あらゆる可能性を模索すべきだと思う。

しかし実際ダメだったじゃないかと言われると思う。それは否定できない。何がダメだったかを考えたい。

まず価格はネックだっただろう。率直に言って高かった。
…ラインナップが共通しているのもので、本家/MSS/HMMの価格をおさらい(本家のは初版の値段で記載)。

シールドライガー…1980円/3200円/4200円
サーベルタイガー…1980円/3200円/6090円
コマンドウルフ……1000円/3000円/3150円
ゴドス………………780円/2200円/4410円

本家は動力モデルでMSSは可動模型。HMMはデザインのアレンジが多くMSSは元に忠実。
だから各シリーズがもたらす「価格:価値」のバランスは、一概に比べられるものではないかもしれない。
ただ「大きさから来る満足度」ではMSSはかなわない。トミー版より大幅に高くなり、むしろ小さいのにHMMに近い価格のものもある…という所が目立ってしまう。
コマンドウルフにいたってはMSSとHMMがほぼ同じ額ではないか。
これでは一般層への訴求も厳しかっただろう。

完成度は高くパーツも非常に細かい。価格が高くなるのはある程度仕方ないだろう。
ただMSSは少し過剰だったと思う。
ガンプラでいう所のRGを目指すのも良いが、あれはガンプラだからこそ出来た事だろう。
目指すべきはHG級のものだったと思う。

RG(左)とHG(右)

いや、最近のガンプラHGはとんでもなくレベルが高いので、例えとして適切でない部分があるかもしれない。なのでもう少し加える。
ガンプラのHGというか、むしろ、SDガンダムかコトブキヤのD-Styleくらい割り切った構造でも良いと思う。

これらはパーツ数が非常に少ないが、その中で見栄えは見事に保っており素晴らしいと思う。

MSSは関節の構造など、凄いなと思う部分も多い。
デザイン的に考慮されており、「可動させてこそ魅せる」デザインになっている箇所も多い。
ただそういったものも良いが、ある程度割り切った簡素な構造も視野に入れて良かったのではないだろうか。
割り切った単純な構造の方が、逆に可動が増す場合もある。

これはMSSハンマーロックとD-Styleで比べると、とても分かりやすい。

ゴリラ型の可動のキモといえばやはり腕で、もちろん良く出来ている。
ただ難点を言うなら、ひじ部分だ。この部分は縦方向の可動ししない。
ひじ部分が横方向へ動かないので、内側に向ける事が苦手だ。その為、ゴリラらしいドラミングポーズは取り辛い。
こういう所は割り切って、D-Styleのようにすれば良かったと思う。


D-Style版ウルトラザウルスの首に注目。構造が何とも割り切った感じになっている。
可動箇所にメカ的なリアル感は無いが、見た目を追求しすぎるより、素晴らしい可動を取ったという事だろう。
構造は単純なのでパーツ数も少ない。
また、単純な構造であるゆえに丈夫で壊れにくい。小スケールでも頑丈というのは、とてもありがたい。

見た目も大事で、それはもちろんある。
が、やはりバランスを取って、ある程度の割り切りを行う事は必要だと思う。

見た目も可動も両方求めるのは、ガンプラのMGとかPGとか、そしてRGだと思う。
コトブキヤHMMはそのレベルに近づきつつあると思う。
が、こうして見ていると、MSSはそれを求めつつ半端になったのかな、とは思ってしまう。
今後、研究を続ければ、いずれこのサイズで見た目と素晴らしい可動が両立できるかもしれない。
だが先に書いたように、目指すべきは究極のミニモデルではなく、どちらかというとエントリーモデルの構造だと思う。

パーツ数は、1/144である事を踏まえ、個人的にはトミー版と同程度か、脚が一体成型のゼンマイモノに関してはその部分を増やす程度で良いと思う。
逆に、部分的には減らす箇所があって良いとさえ思う。
部分塗装やタンポ印刷も不要だったと思う。
確かに良いが必須というほどのものではなく、むしろ改造をしようとした時妨げになる。
少なくともコスト増に見あうものではないと思う。
台座に関しても同じく。

…小さな精密なゾイドというと、個人的にはこれも思い出す。

ゾイドガム。メカ生体ゾイド時代の食玩で、カバヤから発売。
小サイズながら精密で、しかも200円という驚異的なものだった。ちなみにシールも付属する。もちろんガムも付く。
さすがにこのままでは厳しい面もある。色分けが不十分なところと、軟質プラである所。そしてスケールが各個バラバラな所(ゾイドガムはキットの大きさを統一している)。
ただ個人的にはそこを改修した程度で申し分ないと思う程だ。

ゾイドガムが何故ここまで素晴らしい完成度で、なおかつ安価かというのに以下のような説がある。
それは、「実はトミー版の金型図面を出来る限り流用しているから」というものだ。
確かに、パーツ分割がトミー版に酷似しているものが多い。
もちろんマッドサンダーなど超大型はパーツ数は減っているが、ブラックライモスなどは動力が入っていないだけでパーツ数も構造もトミー版とほぼ同じだ。
グレートサーベルやシールドライガーの脚なんかは、脚の構造がまるまるトミー版と同じで、関節ごとの連動まで再現されていたりする。
これは食玩としては、明らかに過剰だ。
一方、コマンドウルフは脚の間接が無く、トミー版と同じような一体成型だったりする。
「流用している」説はある程度信憑性が感じられる。
この説が正しいかどうかは不明だし、金型設計がどの程度製造コストに結びつくのかも不明だ。
だがもし、それが大幅なコストカットに結びつくのであれば、トミー版からの設計流用という事も視野に入れて良いと思う。

MSSの構造は、精密すぎて価格が高くなって当たり前の構造だったと思う。完成度を求めようとした姿勢は評価したいが、その一方、大いなる反省もあったと思う。

 

次にラインナップを考えよう。
MSSのラインナップは、良い部分と悪い部分が混在していたと思う、
良い部分は、シールドライガー等の人気機種…、すなわち一般層への訴求力が高い機体を出す一方、ハンマーロックやシンカーといったコアファンに訴えるものが出ていた事だろう(格納庫はマニアックすぎだった気もするが)。

現実、売れないことには話にならないし、かといって偏りすぎてはダメだ。
華やかな機体だけでは、より強くひき込むものが少ない。
だがマニアックなもので固めすぎると、それはそれでコアファンには受けるだろうが一般層への訴求が弱く、売れずにシリーズ終焉へ一直線となろう。
前者はメカ生体ゾイド末期や機獣新世紀ゾイドの中期以降のように感じる。後者はリバースセンチュリーがそんな感じだったと感じる。

MSSは上手くハイローミックスをしていたと思う。
ただ、悪い点もあったとは思う。
まず、シールドライガーが出る前に既に「シールドライガーMK-II」の発売を告知した点。
サーベルタイガー/グレートサーベルも同じく。

同じ機種で売り上げを相殺してどうするのだ…。
金型の使い回しはメーカーにも旨味が多かろう。やるなというわけじゃない。むしろ推奨したい。
だが…、タイミングというものはあるだろうよという事だ。
「MK-II出るならノーマルはスルーしてもいいや」と考えたユーザーがどれだけ居ただろう。
全機種買うのはコアファンの中でもそうとうなコア層だけと思った方が良い。
コマンドウルフも、「いずれ出るであろうNEWカラーを買えばいいや」と思いスルーしたユーザーが一定数いたと思う。

次に、第一弾がシールドライガー、第二弾がサーベルタイガーだった事だ。
この二機はいわゆる「切り札」だろう。
いきなり第一弾と第二弾で使い切ってどうする…。
ライガータイガー以外にも、「ハイ」である方のゾイドは居よう。
恐竜型など。
HMM化していないものもあり、狙いどころだったと思う。
ハイローミックスの構成は良いが、もっと深く、ハイの中でもより切り札なもの、やや非力なものなど検討し、その上でバランスよくやって欲しかったと思う。

シールド、サーベルが出てしまったのだから、時期シリーズはどうするのだろう。
恐竜型の幾つかも「ハイ」になるだろうが、やはりそれだけでは心もとない。
ライガータイガーといっても、キングライガーやガル・タイガーでは全く力足らずである事は明白だ。
個人的には、もうメカ生体にこだわりすぎず、ブレードライガー、ライトニングサイクス、ライガーゼロシリーズなどの新世紀以降のゾイドも解禁して良いと思う。
メカ生体にこだわるのは良いが、固執しすぎては良くない。それで自滅なんて元も子もない。

私はシリーズ開始当初、メカ生体シリーズが好きなのでとても喜んだ。
だが今、振り返るとどうだったのかなと思った。
だって、いくらMSSがメカ生体をリスペクトしたとしても、MSSは紛う事なき新型キットだ
熱心な思い入れの強いファンは、やはりトミーのキットを追うだろう。
乱暴な言い方をすると、メカ生体にこだわるファンにとってMSSはいくら頑張っても代用の域を越える事はない。

悪い事ではない。代用は代用でも気の利く代用品だ。
動力は無いが可動はある。小さいゆえのミニチュア感もあって小気味良い。
魅力的だ。
だがやはり完全ではなく代用であるのも確かだ。
だから、間口にはこだわりすぎず、出来るだけ広くし、あらゆるファンの受け皿になってはどうかと思うのだ。
カラバリや金型の使い回しなど、そうした方がメーカー的にも旨味が多いのではないだろうか。

良いと思うシリーズだけに、このまま消えてしまうのは本当に惜しいと思う。
様々な教訓を残した第一期に学びつつ、ぜひとも第二期をスタートさせ、今度こそ安定し長く続くシリーズになってほしいと思う。
可能性は大いにあると思っている。

構造を割り切って簡素化し、部分塗装やタンポ印刷、台座など省けるところは全て省いて価格を下げる。
そして間口は広く全てのファンに向けた商品を。

 

さて、ここからは私的なラインナップの希望というか妄想というか。

 

ゴジュラス

やはり外せまい。RBOZ、RZ、MK-II(限)、MK-II(量)、ジ・オーガなどバリエーションが多いのも良い。
小サイズで小回りが利くだろうから、デストロイヤー兵団の弾丸補給機「デストロイドゴジュラス」の再現用CPがあったりしても面白いと思う。
実は狙いはもう一つあり、周知の方にゴジュラスのボディフレームはビガザウロ、マンモス、ゴルドスと共通する。
ビガザウロ、マンモス、ゴルドスは単体で出すのはチト厳しいだろう。
しかも巨大ゾイドだから開発も大変だろう。
だが多数のパーツをゴジュラスと共通化させれば、あるいは…。

 

サラマンダー


やはり試作とはいえ、あの完成度を捨てるのは惜しい。惜しすぎる。
サラマンダーにも、ゴジュラスと同じ事が言える。
すあわちボディフレームは他のゾイドにも使用されている。
レッドホーン、アイアンコング、そしてギル・ベイダーだ。

さすがにギルは共通している部分があるとはいえ、大変だろうか。
だがレッドホーンとアイアンコングは大本命だ。
両機共に、バリエーションが多いのも心強い。
もちろんサラマンダー自信にも人気バリエーション「F2」が居る事は言うまでもない。
なおコングについて補足。コングのボディフレームはサラマンダーと共通だが、機獣新世紀時に改定されたのは周知の通り。
MSSで出るなら、間口の広さという意味で両方再現できるようにすればなお良いと思う。

あと、実はゴーレムも同じボディフレームを使用している(パンツァーティーア版ではコングと同じく改修済み)。
MSSは、たまに24ゾイドを出してみるなんていうサプライズをやってもいいと思う。
メカ生体とか機獣新世紀とか、シリーズにはこだわり過ぎなくていいと思う。
また同時に「1/144」というスケールにもこだわり過ぎなくていいと思う。
MSSのコマンドウルフくらいの大きさでゴーレムを作ったら、1/72ゴーレムにニアな大きさになるのではないだろうか。
1/72ゴーレムを出したりすると、何とも小粋だなと思う(バリエーションとして赤いカラーを出して間口をZevleまで広げようというのはやりすぎだろうか)。
もちろん、厳密に居は大きさに若干の差は出るだろうが、そこはまぁ誤差として受け止められ大きな問題ではないと思う。

ともかく、色んな妄想が出てくる。
第二期シリーズを切に望んでいる。

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