バッテリーボックスを考える -メカ生体&機獣新世紀-

ゾイドの特徴の一つが「動く」という事には異論が無いと思う。
その中で、電動が好きかゼンマイが好きかは各人の好みがあろう。
個人的には子供の頃 欲しくて欲しくて、でもなかなか買えなくて悔しくて…という思い出があるので、電動ゾイドに強い憧れがある。


さて、電動ゾイド。
利点は何といっても、電池残量さえあればずっと動くという事だろう。ゼンマイのように頻繁に巻き直す必要がないのは大きなメリットだ。
また馬力が大きい為、内部構造も複雑で、多彩な動きを魅せてくれるという点も嬉しい。
ただ欠点もある。
ゼンマイに比べて構造が複雑なので、どうしても壊れやすい。

ゾイドは再販されるたびに色が変るから、どうしても当時の色が欲しい!という場合は、中古やジャンクで入手する場合もあると思う。
あるいは、長い間仕舞っていたゾイドを久々に取り出した なんていう事もあると思う。
そんな時に動力が死んでいて悲しい気持ちになった…という方は多いと思う。

動力が死ぬというのは、要因は幾つかある。
電池の液漏れは定番だろうか。これは気をつけていれば避けられる問題なので、面倒だからといって入れたままにするのはやめたい。
しかしそういう事ではなく、自然に壊れたという場合もある。
液漏れは論外としても、大切に仕舞っておいたのに壊れたというのはダメージが大きい。
経年劣化というのは避けられないものだ。だが、出来る限り動力の耐久性は高くあって欲しいと思う。

今回のコラムでは、電動ゾイドのバッテリーボックスを分解してみたい。
また、メカ生体ゾイドと機獣新世紀ゾイドのバッテリーボックスを、比較検証する事も行おうと思う。

用意したのは、メカ生体版RBOZ-03ゴジュラスと、機獣新世紀版RZ-001ゴジュラス。

まず、分解してバッテリーボックスを取り出す。

左がメカ生体版。右が機獣新世紀版。
色が違うものの、形状は一切変化していない。では、中はどうだろう…。

更に分解する。ネジは、一般的なプラスネジなので簡単に開く。
なおこの時の注意点。開くと、ギアにグリースがかなり多めに塗ってあるので、手などを汚さないように注意されたい。


当たり前だがギアの大きさや配置は同じだ。(メカ生体版のギアの色が少し黄ばんでいるのは経年劣化による変色)
分解する際は、この状態で必ず写真を撮っておきたい。というのもギアの組み合わせは割と複雑なので、記録しておかないと戻せなくなる恐れがある。
もちろん、一枚だけでなく様々な角度から撮っておいた方が良い。

大小様々なギアが複雑に組み合わさってゴジュラスの素晴らしい動きの基が作られていると思うと、これを眺めているだけでワクワクしてくる。

さて、ここまでは両者に決定的な差は無いように思うが、ここから更に分解してみると、幾つかの差がある事に気づいた。
それはモーターを取り外した時に気づいた。

モーターはどちらも同じものが使われている(マブチ140モーター)が、リード線の被膜が違う。
メカ生体版は赤青で色分けされているが、機獣新世紀版は両方とも赤くなっている。
コスト的な問題だろうか…?

この点は、メカ生体版の方がメンテナンス的に有り難いと言える。
というのも、先に書いたようにモーターはマブチ140モーターである。すなわち、モーターがもし壊れても、市販のマブチ140モーターを買って付け直せば修理できる。
しかしそこで赤青で色分けされていない所がネックになる。
配線を逆にしたら当然逆回転になってしまう。スイッチ入れたら後退するゾイドが出来てしまう…。それはそれで面白いかもしれないが、不親切ではあるだろう。

リード線ではもう一つ差があった。底面の、密集するギアの下を通る線だ。

メカ生体版は、この部分もキッチリと被膜で覆われている。対し、機獣新世紀版はむき出しになっている。
おそらくこれはコスト的な問題だろう。
実際、この部分を通電時に触るなんてまず無いだろう。だから問題ないといえば問題ない…が、心情的にはメカ生体版の方が安心できる気がする。
というか機獣新世紀版のものはすぐに壊れやすそうで恐い。

電極にも差があった。メカ生体版は銅板が使用されているが、機獣新世紀版はアルミになっていた。ここもコスト的な問題と思われる。
銅は電気抵抗が少なく伝導性に優れるので、こういったものに使用するには最適だ。だが一方、製造コストは多少多い。
アルミは銅に比べて電気抵抗のが大きく伝導時のロスが多いが、製造コストを抑える事が可能だ。

別の機体でも比較してみたが、同じような状態であった。検証したのはシールドライガー、ディメトロドン、ディバイソン。

 

総じて、メカ生体版の方が品質的には上だと感じた。
実際、メカ生体のバッテリーボックスは壊れにくい。
壊れたと思っても、大抵はグリースの劣化である事が多い。分解してグリースを一度ふき取ると動く事が多い。
逆に、機獣新世紀のものは完全に壊れたものを多く見てきた。

修理するにも難度が大きく変わる。
メカ生体のものはグリースを拭けば良いだけの事が多い。万一モーター自体が壊れていても、取り替えの配線が楽なようになっている。
機獣新世紀のものでモーターを変える場合、配線でかなり迷う。

この差は「コスト削減」という所に集約されるのだろう。
加えると、メカ生体ゾイドのほとんどは日本製であり、機獣新世紀ゾイドは海外生産。その事も品質に関わっているかもしれない。
あるいは海外生産である事も含めて、コスト削減と表現すべきかもしれない…。

ここで少し考えたのは、何故そうなっているのかという事だ。
まぁ、当たり前に考えて、企業としては少しでも利益を確保する為に無駄コストは削減するものだろう。
しかしそれでは逆に、メカ生体ゾイドが豪華な構成にしたのは何故だろう。

思うに、「玩具の寿命」と直結するのではないだろうか。
メカ生体ゾイドが開始されたのは1983年。機獣新世紀ゾイドが開始されたのは1999年。
玩具の寿命は年々短くなっている。
この寿命というのは、玩具が耐用限界を迎える寿命ではなく、「そのメディアが世間的にヒットする期間=子供がその玩具で遊ぶ期間」という意味での寿命。
長期展開する玩具は減り、そのかわり瞬間的に売れ急速に衰退する玩具が増えた。
その影響があるのかもしれない。

非常に悲しい事であるが、この流れは世間の流れであってゾイド自身のせいではないので、どうしようもない。
その時流を考えると、バッテリーボックスの耐久性を提げてコストを選択したのも、ある程度仕方がないと思う。
その一方、ワガママをいう事が許されるなら、やはりゾイドは動く事も大きな魅力だ。だからそのバッテリーボックスは出来る限り高品位であって欲しいと願う。
一旦飽きた子供がゾイドを奥に仕舞い…、そして、ふと思い出した時に取り出してスイッチを入れ、昔と変らぬ状態で動くようなものを期待したい。
あるいは、分解すれば簡単に直る程度のラインは死守して欲しい。

私自身がそうだったからそう思うのかもしれないが、子供がゾイドに熱狂したまま、その熱をずっとキープしたまま過ごすというのは、なかなかありえないと思う。
子供はどうしても目移りするものだ。他のアニメだってあるし、ゲームだってある。もちろん玩具はゾイドだけではない。
それは悲しいが自然な事であり、非難すべきではない。
また、「離れる」というのは寂しい事であるが、大局で見て良い事だと思う。ゾイド以外にも色々なものを経験し、成長すべきだと思う。
ゾイドファンである事は嬉しいが排他的になるべきではないし、悪い意味で固執すべきではない。

ただ、ゾイドが本当に良いものであるのは確かだ。だから色んなものを見た時に、また戻ってきて欲しいと思う。
その時…、ふとゾイドを思い出して、仕舞っていたゾイドを取り出してスイッチを入れた時、動いて欲しいと思う。
その瞬間こそ、かつてゾイドにはまっていた頃を思い出し、一瞬でゾイドゾーンに戻ってくる原動力になると思う。

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もうすぐ、吠える、動く。

これが何機目のゾイドだろう。
出会うたびに新しい喜びがある。
今日の相手は、サーベルタイガーだ。
もう、完成に近づいた。
左前足を組み込んだら、ヤツはすぐにでも歩き出しそうだ。
最後に、メカに命を与える仕事が残っている。
バッテリーをセットして、思いきり、吠えさせてやろう。

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この広告が好きだ。ゾイドを組み立てて、それが動く事への感動が伝わってくる。

その感動は、大人になってからも感じられるものだと思う。
何故なら真に良いものは年齢を関係なく楽しめるものだからだ。
むしろ、自身が様々なものに触れて成長したからこそ、子供の頃に理解しきれなかった部分にまで考えが及び、当時以上の感動を味わうかもしれない。

ゾイドはやはり動く事が大きな魅力だ。アキレス腱であるのも確かだ。だが、やっぱり大事にして欲しい部分だと思う。
ゾイドの次期シリーズにおいてバッテリーボックスがどうなるか。マニアックな部分であるが要注目だと思う。

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