ゴーレムを考える

子供の頃、ゴーレムが好きになれませんでした。

もちろん当時としての想いです。今ではその素晴らしいデザインに惚れ込んでいる位で、鮮やかな手のひら返しというやつです。
メカニックの造りは本当にたまりません。

当時好きになれなかった理由は「ひいき」を感じていたからでしょう。
私が大好きなメガトプロスを倒したのはまぁいいとして、超巨大ウルトラザウルスまで倒してみせたのは、熱狂的な共和国ファンとしてはいかにも「生意気」な存在でした。

……しつこいようですが補足。
もちろん当時としての思いです。今では「小型ゾイドでも知恵と勇気をあわせれば巨大ゾイドを破壊できる」事を証明した名エピソードだと思っています。
ただ、リアルタイム当時はどうしてもひいきを感じてしまっていました。

ひいきという点ではもう一つ。宣伝上でのひいきを感じていたというのもありました。
テレビCMも単独であったし、雑誌の広告も多かった。広告は本当に多くて、ゾイド関連の資料を集めた今では一層強く思います。
ゴーレムの広告は、同じ年に登場したマッドサンダーより多いんじゃないかという位あります。

「"G"が来た」「キミは"G"を見たか」と、まるで最強ゾイド級のVIP待遇をされています。

そしてゴーレム発売時期のカタログ。

「五感と頭脳を兼ねそなえた特殊工作メカ」というあおり文句は、他のゾイドとは一線を画しているかのよな表現です。
この文言もちょっとシャクでした。
ゾイドであるから五感と頭脳を備えているなんて当然じゃないか。
このあおり文句は、ゴーレム以外のゾイドが完全人工の無機物だといわんばかりに思えました。

 

さて今回は、このことに関して「もしや」という仮説を思いついたので書いてみたいと思います。

24ゾイドは大好きなシリーズです。
ただよく言われるし自分としても大いに謎だと思っている事があります。それは「ゾイド生命体(コア)はどこに入っているのか」という事です。
特に、ショットウォーカーはスペースが無いよう見えます。

デスピオン、ドントレス、ロードスキッパー、バトルローバー、ネプチューンも、操縦席位置から考えると少々厳しそうに思えます。
メガトプロスは入りそうです。しかしメガトプロスは別の問題があります。体全体が「生物か?」と疑問をもってしまうほど、がばっと展開するのです。

大胆すぎる仮説だと思いますが、もしや24ゾイドは完全なる人工ゾイドかもしれない……と思いました。
野生体を使用しない擬似的ゾイド。完全人工ゾイド。

設定上、24ゾイドは就役と共に直ちに量産・配備が進み、またたくまに戦場の主役となっています。
この辺りはゾイドグラフィックスvol.13の資料に詳しく書かれています。

またたく間に超超量産され配備が完了したというのは凄い事です。
しかしその理由が、
1:24ゾイドが野生体を使用しない(捕獲が実用でない)完全人工ゾイドだから超短期間で量産できた
2:操縦に際してゾイドとの相性を考慮しなくても良い完全人工ゾイドだから、パイロット育成がスムーズに進んだ

と考えれば、納得できると思います。

 

この説にもう少し肉付けしたいと思います。以下は私が考えた開発経緯などの妄想。

---------

元が生物であるから、ゾイドの最小サイズには限界があった。どうしても野生体の大きさに左右されるのだ。
現在の技術では、最小サイズの限界はゲーターやグランチュラといったサイズだった。しかし戦場では、それよりも小さいサイズのメカも必要としている……。
もともとビークル等はあったが、ゾイドの高性能化に伴って能力不足になってきた。そこで野生体を使わない極小サイズの完全人工ゾイドを造る研究が始まる……。
完全人工ゾイドのプロトタイプとして完成したのはアタックゾイドであった(アタックゾイドの幾つかも、コアが収納できそうに無い形状をしている)。
アタックゾイドは従来のビークルよりは飛躍的に高性能であり、大活躍をみせた。
しかし完全人工ゾイドであるから、どうしても野生体を使った通常ゾイドに対しては非力であり、せいぜい奇襲や敵を翻弄する程度の働きしかできなかった。
それでも非常に使い勝手の良い人工ゾイドの評価は高かった。
その為、その後も改良の研究は続いた。そして後年、ついにアタックゾイドよりも飛躍的に強力な完全人工ゾイド「24ゾイド」が誕生したのだった……。

---------

どう見ても生物じゃないサンドスピーダも、当時はゾイドとして扱われていました。

それもこの説の通りだとすれば、あるいは納得できると思います。

 

そしてゴーレム。
「五感と頭脳を兼ねそなえた」とあります。ゴーレムは24ゾイド中で唯一、明確に内部にコアがある事が描写されています。

<ゾイドバトルストーリー4巻より>

開発者は帝国の若き天才、マイケル・ホバート技術少佐。
彼の力をもってして、ついにこのサイズのメカに野性ゾイドのコアを使う事が可能になった。

いくら高性能化したといっても、人工ゾイドでは野生ゾイドに対して劣るのは仕方の無い事。24ゾイドとてそれは同じだった。
しかし、それがゴーレムで変わった。遂にコアが入ったのだ。
野生体を使用したその小型ゾイドは、ゾイド本来の力をふんだんに発揮した。それゆえ、このサイズとしては従来とは一線を画する高性能になったのであった。
それがゴーレムである、と。

更に、完全人工ゾイドという部分は更に研究が続けられ、後に大型化に成功。ブロックスの技術に繋がっていると考えても面白いかも……。

 

以上、ゴーレムを中心に24ゾイドの事を考えてみました。
しかし、ここからはあえて反証するものも考えてみたいと思います。

ゴーレムの広告は、先に紹介したようにかなり特別感が出ています。
「五感と頭脳を兼ねそなえた」と紹介されておりゾイドっぽい感じがすると思いました。

では、その他の24ゾイドはどうでしょう。


デスピオンには、思いっきり「どう猛な機械獣」とあります。人工ゾイドならどう猛とは紹介しないような気がします。
だからゴーレムだけが純粋ゾイドというのは誤りで、やっぱり全ての24ゾイドが野生体を使用した純粋ゾイドなのかなあとも思ったりします(アタックゾイドも)。


ネプチューンも、やはりどう猛と紹介されており生物的です。

ロードスキッパーも、イダテンという表現がいかにもダチョウです。
同機の特徴は「あっという間にトップスピードに達する」という事でもあります。これはやはりダチョウのコアを使用したからとも思えます。

その他、学年誌のメガトプロスを見ると、「ゴーレムとふいに遭遇し、思わず突進する」という、いかにも生物らしい戦い方をした事があったりします。
なので、やっぱり人工ではなく通常と同じように野生体を使用したゾイドではないか……とも思えてきます。

一方で、人工ゾイド説もある程度はしっくりきます。
まぁ実際はどうなっているかと、これはもう謎という他はありません。しかしこうやって答えのないものを追い求めるのも楽しいものだと思います。

 

24ゾイドを考えてみました。今回は結局どちらを選ぶか微妙な所です。人工ゾイドか、純粋ゾイドか。その結論は出ていません。
まぁ今後、より多くの資料を集め、更なる研究を進めていきたいと思います。結論はその時に先延ばししようと思います。

24ゾイドはシリーズの中では異端扱いされる事も多くあります。
しかしその異端さを含めて、見れば見るほどに、考えれば考えるほどに大好きなシリーズです。

Back
index

inserted by FC2 system