Name of ZOIDS

今更繰り返すまでもなく、私にとってゾイドは最高のものとして君臨している。
それはもちろんデザインやギミックといった魅力であるものの、それだけではない。
バックグラウンドの世界観・ストーリーも素晴らしく惚れ込んでいる。

そしてもう一つ素晴らしいのは、ネーミングだと思う。
ネーミングというのは普段はあまり意識せず自然に聞いている部分だと思うし、それがまぁ普通だと思うけども、考えてみると非常に面白いと思う。

そもそもZOIDSという言葉がよく出来たものだと思う。
ZOIC(動物の)と、ANDROID(アンドロイド)を合成した語が”ZOID”であり、そしてゾイドは無数に居るのだから、複数形のSを足して”ZOIDS”。
子供の頃はZOIDSの語の語源などは考えた事すらなかった…が、1999年の復活以降に知って、その優れたネーミングに感心した覚えがある。

余談ながら、この語に突っ込むなら、「生体メカであるゾイド」という点を考えるなら、アンドロイド(生物の形をしているが全て人工で作られた機械)というよりサイボーグ(生物の身体に機械を組み込んで改造したもの)であるようには思える。
ただ、ZOIC CYBORG…、ゾーグ…?という名になるよりはゾイドという名前の方が良いと思うので、その点はANDOROIDを採用して良かったと思える。

メカボニカ、超次元戦隊ラッツ、変幻機械獣スタリアス、サイテックス、アニマル軍団ネンダーランド、装甲巨神Zナイト、生体バトルビークル ゼブル、…。
メカ生体ゾイドと同時期あるいは前後にトミーが放ったオリジナルメカの中で、メカ生体ゾイドはひときわ素晴らしいネーミングをしていると思う。
まず短い語句で覚えやすい。
次に濁点が入っていてオトコノコの心をくすぐる点が良いと思うし、それでいてどこか宇宙を感じられる。
個人的に濁点というのはオトコノコ向けのメディアではとても重要だと思う。
”ガンダム”とか”ダグラム”とか”ボトムズ”とか、ゾイド以外でも広く意識されている事だと思う。
”サイテックス”や”スタリアス”は、壮大な宇宙を感じる素晴らしいネーミングだと思うけども、オトコノコが求めるある種の荒々しさはあまり感じられない。
スマートになり過ぎたネームであるようにも思える。
それはそれで悪くないし、むしろ作品の世界観によっては求められる場合もあるだろうし、”マクロス”シリーズはその例ではないかと思う。
ともかく、ゾイドがゾイドというネームになったのはベストな選択であり大正解だったと思う。

そしてゾイドという名前の他に、各機体のネーミングもまた素晴らしいと思う。
個人的には「サーベルタイガー」とか「ベアファイター」のような単語二個の組み合わせによるネーミングに愛着がある。
これは自分がゾイドを知った時期によるものだと思う。最初に手に入れたゾイドがマッドサンダーだったというのも大きな影響だったんだろうなと思う。
もちろん「ビガザウロ」「ゴルドス」等の一語のみで、意味は分からないけど不思議な響きを持つ名前も、それはそれで好きで居る。

今回は、ゾイドの機体名に注目し、考えてみたいと思う。
といっても全ゾイドを考証していると膨大な量になってしまうと思うので、歴代最強ゾイド、あるいはそれに肉薄する実力を有したゾイド達を考えてみたいと思う。

 

まずは帝国VS共和国時のもので歴代最強ゾイドを挙げてみると、以下のようになる。

ゾイドマンモス→ゾイドゴジュラス→アイアンコング→ウルトラザウルス→デスザウラー→マッドサンダー。
 ※ゾイドマンモスとゾイドゴジュラスは、「マンモスなのかゾイドマンモスなのか」のようにネーミングが不確定な部分はある(正確にはマンモス、ゴジュラスが正しい)。
  ただメカ生体ゾイドのリアルタイム時にはゾイドマンモス、ゾイドゴジュラスの呼称が常識的・支配的だったので、ここは「ゾイド~~」を採用するが妥当と思える。


これらを考えてみると実に面白いと思う。
つまり…、

ゾイドマンモスとゾイドゴジュラス。「ゾイド」の名を冠するもの。
アイアンコング。「アイアン」鉄
ウルトラザウルス。「ウルトラ」超
デスザウラー「デス」死
マッドサンダー「マッド」狂気

まず「ゾイド」がある。
そして「鉄」で出来た強いゾイドが出た。
次に鉄を「超」えるものが出た。
それらに「死」を与えるものが出た。
死を超えるのには「狂気」にならないといけない。

こじつけになっている部分はあるかもしれない…けども、実にしっくりくる構図だと思う。
ゾイドは単体での名前も素晴らしい。
けども、歴代最強ゾイドは設定だけでなく、ネーミングでも先代最強ゾイドを超えるようになっているのが素晴らしいと思う。

今回は最強ゾイドたちを考えるので積極的な議論からは外しているけども、サーベルタイガー「剣」を超えるために作られたシールドライガー「盾」。
そしてその盾を破壊する為に強化されたグレートサーベル「研ぎ澄まされた剣」といったような、ライバル同士の構図も素晴らしいネーミングをしていると思う。

続けて暗黒大陸編を考えてみたいと思う。ここからは歴代最強に肉薄したゾイド達も加えながら進めたい。


死を超えた狂気・マッドサンダーに肉薄する実力を誇り、ある時はマグネーザーの突きを華麗にかわし、反荷電粒子シールドすら貫いた事もあるデッド・ボーダー。
訳すると「デッド」死の「ボーダー」境界線。
死を超えた狂気をも再び死のふちまで引きずり出す機体、とでもいった所かと思う。
同時代最強ゾイドに完全に土をつける次世代最強ゾイドではないものの、肉薄する実力は示した機体。
その機体のネーミングとしてはこの上なく妥当なものだと思える。
あるいは、デッド・ボーダーは一時的にとはいえ、共和国にかつてない戦慄を与え、全部隊の壊滅すら覚悟させた機体でもある。
そういった意味では、デッド・ボーダーの「デッド」は、マッドサンダーではなく共和国そのものを死のふちに引きずり出す意味でのデッドかもしれない…とも思える。

 


その後、マッドサンダーを完全に上回る最強ゾイドとして登場したギル・ベイダー。この機体は考えるのが難しい。
正直「ベイダー」は映画スターウォーズの登場人物・ダースベイダーのベイダーだと思う。
ダースベイダーは米国では特に熱狂的人気を誇っており、悪役ランキングでは常に上位をキープし続けるカリスマ悪役キャラ。
従って「狂気」を制する名前としてはシックリ来るような気もする。
ギル…、GILは確定的に思い浮かぶものは正直無いけども、強いて言うなら、guilty(ギルティー、罪)ではないかと推測する。
ギル・ベイダーは共和国首都空爆で一夜にして8万人の犠牲者を出す大空爆を行ったりと、戦いの残忍さが強調された機体でもある。
「罪」という推測はあながち間違ってはいないような気もする。

 


ギル・ベイダーに肉薄する実力を持ち、当時は「共和国次世代最強ゾイド」として紹介される事もあったオルディオス。
実際、かなわないとされつつも、多数のギルがオルディオスによって撃退されている。
勝率で言えばむしろオルディオスに軍配が上がったりする(共同で単機のギルに挑む事も多かったが…)。
オルディオスという単語自体に意味を見出すのは難しい。
ただ、この機体ははとにかく神々しい演出で登場したゾイドで、ネーミングも「神話っぽい響きを」と、決められたのだと思う。
つまりカリスマな悪にも裁きを与え得る「神」
その後、「神」という意味ではもっと直球(あるいは安直)なものとしてゴッドカイザーも登場しているが…。
なおゴッドカイザーはオルディオスとよく連携し、対ギル・ベイダー戦で奮闘した事実もある事は加えたい。

 


そのオルディオスのライバルとして登場し、優位に立つ事が多かったのがガン・ギャラド。
後発機である分、主に火炎放射を浴びせ苦戦させる描写が多く描かれた。
ガン・ギャラドは最強ゾイドとして登場したものではないが、最強に肉薄する実力は秘めていたと思う。
ただガン(GUN)はストレートに「銃」としても、ギャラド(GYALADO)は語源が非常に難しい。
GYALADOという単語は存在しない。
ただ、ポケモンにドラゴン型ポケモンの「ギャラドス(Gyarados)」が居り、「ギャラド」とはドラゴン系の何かを表す単語なのではとも思えるのだけども……。
(ポケモンのギャラドスは和製の龍なのでドラゴンといっても別種なので疑問は残るが…)

「GALLANT」という、発音すると「ギャラド」になる英単語ならあり、この語の意味は「勇敢な」。
読みはともかく綴りが大幅に違っているので大きく疑問が残る。
また正直それよりも、「デッド(死)」「ヘル(地獄)」といった恐ろしい言葉を好んで付ける暗黒軍が、はたして「勇敢な」を意味する語を次世代大型メカに付けるか…?というように思ってしまう。

GYALADOは二語の複合語かもしれない。
例えば「デスピオン」は一つの単語の様に聞こえるけども、「デス(死)」と「スコーピオン(蠍)」というに単語を複合した言葉だったりする。
というか、そもそも「ゾイド」という言葉自体が複合語であるし。
そう思うと、ギャラド…、「GYALADO」のうち前半は、ギャング(GYANG)ではないかと思う。
ただ「GYA」はギャングのギャだとして残りの「LADO」が問題でもある。
この部分の解釈としては、スペイン語の「ALADO(有翼の)」ではないかとも思う。
GYANG+ALADOで、をまとめて「GYALADO」と。英語とスペイン語をまとめるのは強引過ぎる気もするが…。
最もシーパンツァーのように英語とドイツ語で出来ているゾイドもあるので問題ないのかもしれないが。
つまりこの説で行くなら「銃を持った有翼のギャング」がガン・ギャラド。
ギャングという言葉はやや軽い響きを持つが、ガン・ギャラドは大量生産の出来ないギル・ベイダーを補完する機体として登場した舎弟的な機体なので、その意味では非常に似合っていると思う。

 


最終的に全てを制するゾイドとして登場したのはキングゴジュラスで、王の名を冠する。
ただ、キングゴジュラスは最終兵器とも呼ばれ全ゾイド星の歴史を通しての最大最強兵器であるが、「死」「狂気」「カリスマ的悪」を征するには、「王」ではややパワー不足な気もする。
また、それ以前にキングライガーとかキングバロンとか王の名を冠するゾイドがある点でも、パワー不足感は否めないように思える。
キング以外に相応しい言葉があるか?と言われたらそれはそれで難しいようにも思えるけども…。
ただ、初期の最強ゾイドで超絶な猛威を振るったあのゴジュラスが王になったと思えば、それなりにインパクトのある名前だとも思う。

唯一、キングゴジュラスの実力に肉薄した数少ないゾイドはデス・キャットである。
なおデスは「DEATH」ではなく「DES」とされており、デスザウラーのような「死」を意味した名ではないと思う。
思い付く事としてはDESTROY…、「破壊、破滅」等を意味する言葉かと思える。
ただ、キングゴジュラスと同じくパワー不足感は否めないようにも思えてしまう。
…というか実は、デス・キャットは学年誌の方で超重力砲を明らかにヒットさせているのにキングゴジュラスはダメージらしいダメージを受けていなかったりする。
そういう意味では、パワー不足な名前で良かったのかも…と思う。

また、他方、キングゴジュラスやデス・キャットに対しては以下のようにも思う。
両機はは両軍の最終ゾイドとして登場した機体で、設定的には各軍の頂点あるいはそれに近い位置に在った超高性能ゾイドである。
ただ両ゾイドの発売時期はメカ生体ゾイドが急速に衰えていった晩期にあたる。
ついにキングゴジュラスもデスキャットも、メカ生体ゾイドを再びブームにのし上げる事は叶わず、全盛期に比べれば実にひっそりと発売され、ひっそりと消えいった…。
そういった意味で言うなら、相応の名前だったのかも……と、思える部分もある。
この点はリアルタイムではなく今だからこそ言える事ではあるけども。

ざっと、歴代最強ゾイド、あるいはそれに近しい能力を持ったゾイドのネーミングを見てきた。
最後の方はともかく、全体として本当に優れたネーミングで、かつシックリくるものだと思う。
ネーミングは当然のように受け取り、その意味など特に気にしない事がほとんどであるけど、あえてその部分に目を向けて考えてみるのも、とても面白く意義があると思う。
そしてこのように考えると、今後も素晴らしい名を持つゾイドが誕生する事を願ってやまない。

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