デススティンガーの色と砲のこと

デススティンガー。

「凶戦士」の異名を持つ超強力機。
荷電粒子砲をはじめ、全身に強力な武装を多数持つ。装甲はデスザウラー並に厚く、低姿勢と相まって鉄壁を誇る。
水陸両用、地中潜航も可能と運用幅も極めて広い。

さてそんなデススティンガー。
今では公式ファンブック二巻のラスボスと務めるに相応しいゾイドという認識をしている。だが発売された当初は、「?」な部分がけっこうあったゾイドであった。
今回はそれを書きつつ、併せて現在ではどう解釈しているかについて書いていきたいと思う。

当時、デススティンガーについて最も強く思っていたのは色についてだった。

なんで帝国側なのに青なんだ………と思っていた。
装甲がデスザウラー並で装備は荷電粒子砲。そんなデスザウラーを意識した仕様だし、色は同じく黒と赤にしたら良かったんじゃないかなぁ……と。


こんな色に。

ただ、これはこれで保守的すぎるかな……とも思う。
当時はとにかく凄く保守的な考えをしていた。「伝統的な色にすべし・それ以外は認めん」という思いに囚われている所はあった。

今改めて見ると……、どうだろう。
黒はやっぱりカッコいいと思う。一方で、デススティンガーが持つ強烈な個性や「毒々しさ」を表現できているのは青い方かな……とも思う。

ただ、奇抜な色にするにしても、なぜ青にしたのだろう。
青というのは共和国を象徴する色だ。なぜ帝国側なのに青を使ったのか。
そういえば、デススティンガーより少し後に出たエレファンダーも青を使っている。


こちらはくすんだ渋めの青で、完全に同じではないが……。
なおキャップの色は赤。デススティンガーに極めて近い配色パターンだと思う。

さて、デススティンガーとエレファンダーが同じ色を使っている意味は何だろう。
両機に共通点はあるのだろうか?
これについて、ブログでとても興味深い意見を頂戴する事ができた。

ブログで「デススティンガーは特別機だったので解釈もできよう。しかしエレファンダーは一般機なので帝国伝統のカラーであって欲しかった」という記事を書いた。
(該当記事はこちら)
するとこれについて
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ファンブック3巻の機体解説によると、エレファンダーは作って量産している段階だと共和国にトドメをさす栄誉ある機体になる筈だった。
カラーリングはそうした特別な機体と言うイメージだったのかもしれない。

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とのレスを頂戴した。

これを読んで、あぁ、なるほど……と思った。
エレファンダーは量産機・一般機である。しかし、同時に勝利を飾る特別機でもあったわけだ……。
だから他とは違う色になった。特別機「デススティンガー」と同じ色になった。
なるほど、これは凄く説得力があると思う。

「トドメをを刺すゾイド」

さて、改めて。
それは良いとして、なんで青なんだろう……という疑問は依然として残っている。
赤じゃない。ガイロスパープルでもない。わざわざ、敵側の色であるところの青を使った意図は何なのだろう。

これについて以下のように考えた。
デススティンガーもエレファンダーも、共和国を完全敗北に追い込むためのゾイドだ。
それが青い色をしている。
「共和国を完全敗北に追い込むゾイド」これが共和国を象徴する青色をまとっていたらどうなるだろう。
精神的に参るだろう。なにしろ自分たちを守る色が自分たちを完全敗北に追んでくるのだから……。
帝国機があえて青を選んだのは、精神的な圧迫を加えたいと意図があったのかもしれない。

本来は自分たちを守る筈の青い色のゾイド。それが自分たちを完全敗北に追い込む。
ガイロス帝国側としては「もはや青は貴様たちの色ではない。勝利した我々が自由に使わせてもらうよ」というメッセージを込めているのかもしれない。
精神的に屈服させるために青を使ったという解釈だ。

これはあまり褒められたやり方ではない。
こんな嫌がらせ以外の何物でもないねちっこいやり方は、味方であっても受け入れない者が多そうである。

ただ、そこは旧大戦の大陸間戦争を思い出してみよう…。
この時代は、新型共和国ゾイドが積極的に赤、すなわちゼネバス帝国の象徴色を使うようになった時代だった。

中央大陸戦争終結後、中央大陸全土は共和国のものになった。
共和国が赤を使った意図は、融和の姿勢だったと思う。
「共和国は旧ゼネバス帝国出身者を決して差別しない。その証に今後の新型ゾイドには君達を象徴する赤で塗ろうではないか」というものだ。

だがこの想いは完全には伝わらなかったと思う。
特に、暗黒軍に吸収された旧ゼネバス帝国兵にとっては。

彼らとっては「共和国め……、勝利したからといって、俺達にとって特別な色の赤を勝手に使うようになりやがった。許せない……」となってしまったかもしれない。
ガイロス帝国もまた、その想いを利用して「旧ゼネバス帝国兵の諸君よ。共和国のやり口は許せないよなぁ?」と言って、自軍にうまく協力させたのかもしれない……。

さて西方大陸戦争だ。
ここで勝利を飾る予定のゾイドに青を使ったガイロス帝国軍だが、これは旧大戦大陸間戦争の共和国ゾイドの色への返答だったのではないだろうか。
「お前らがやったことをやり返してやる」
だから青を使った。そんな風に青を解釈した。

こう考えると、保守的な黒ももちろん良い。けど奇抜な青もなかなか悪くないなと思えてくる。

 

さて次。
当時、デススティンガーで好きじゃなかった要素は色の他にもあった。背中の装備だ。


「AZ930mm2連装ショックガン」

これがなぜ好きじゃなかったかというと、二つの理由があった。

一つは、この装備はキットでは電池ボックスになっていた。なので設定もそれとリンクするエネルギータンクで良かったのでは……と思った事だ。
キットと設定がリンクしていると何とも言えない喜びを感じる。逆にキットと設定が乖離しているとウーンと思ってしまう。
デススティンガーのこの装備には後者を強く感じたわけだ。

もう一つは、口径の930mmって……という部分だった。
ちょっと大きすぎるというか、まぁ、大きいのは別に構わない。それがこのゾイドを象徴する武器であれば良いと思う。
だがメインじゃない。
デススティンガーを象徴する武器は荷電粒子砲と巨大なクローだ。

要するにAZ930mm2連装ショックガンはサブ装備でしかない。
サブ装備でこのデカさはどうなのかなぁ……と思ったのだった。
メインの武器がぼけてしまう。

またもう一つ……、ウルトラザウルスは1200mmキャノン砲という信じられないバケモノ砲を引っさげて登場した。
930mmというとこれに匹敵する口径。しかもこれは2連装だ。
もちろん砲身が短いので迫力は全然違う。しかし文字上のインパクトで言うと1200mmキャノンの魅力を大きく削いでしまったのではないか……たかだかサブ装備が。
そんな風に感じていたのだった。

少し余談になるが、機獣新世紀ゾイドはゴドスまで荷電粒子砲を装備している。それらは華やかな魅力ではあるし「解釈」はいくらでもしたいと思う。
ただ皆が華やかになってしまった結果として、ここぞという部分のインパクトが薄まった気はする。
メカ生体のデスザウラーは「ビーム砲」とか「キャノン砲」だった中に突如として「荷電粒子砲」を出したから凄いインパクトになった。
今までと根本的に違うものという印象があった。
こうした、ここぞという部分の見せ方について、機獣新世紀ゾイドは再考が必要な部分が割と多いと思う。

デススティンガーのショックガン。口径の設定は付けない方が良かったんじゃないかなぁ……と思う。

ただ、最近は別の解釈をするようにもなった。
これはショックガン…すなわち衝撃砲と思われる。衝撃砲はサーベルタイガーやシールドライガー等にもあるおなじみの装備だ。

私はこれは「圧縮した空気やガス圧を放ち相手を吹き飛ばす装備」(コラム「衝撃砲を考える」参照)。
要するにビーム砲や機関砲と違ってそれ自体の攻撃力は低い。しかし「風圧で相手の動きを封じる」事において効果を発揮する装備という解釈だ。

さてこれでどういう解釈をするようになったかだが、デススティンガーは水陸両用メカである。
なんと72ノットの超高速を出せるという。
これは信じ難い速度だ。
ウルトラザウルスが47ノット、シンカーが60ノット、ウオディックが65ノット、ハンマーヘッドが66.5ノット。
中型の魚よりも大型のウミサソリが速い。何という衝撃だろう。
ちなみに72ノットは約133km/hだ。水の抵抗を受けながらこの速度を出すとは……。

さてこのバケモノ級の速度を支えるのがショックガンじゃないかと思った。

「圧縮した空気やガス圧を噴射する装備」
これがどう速度を支えているのか。
デススティンガーの速度だが、72ノットというのは最高速度である。通常時は「巡航」として30~40ノット程度で航行していると思う。
しかし急激な速度が欲しい時は水中でショックガンを発射。そしてその加速で瞬間的に増速し72ノットに達するのではないか……と考えたわけだ。
要するに「ショックガン=水中用ブースター」という解釈をした。

これは魚雷を打ち込まれた際にも有効だと思う。
通常、大型機は小回りが利かないので迫りくる魚雷を回避のは難しい。

水中爆発は陸上(大気中)での爆発よりもはるかに高威力になる(バブルパルスという)。
ゾイドでも、堅牢さを誇るウルトラザウルスやマッドサンダーが魚雷を受けた際はあっけなく破壊されているシーンがある。

いかに重装甲のデススティンガーでも、水中で大型魚雷を受ければ危ういのではないか。
そこで、魚雷を打ち込まれた際は急激に増速ないし減速してこれを避ける装備が付いたんじゃないか。それこそがショックガンではないかと思った。

この装備はトミー版では射角が正面固定である。だがHMM版だと全周囲に旋回可能になっていた。これでも良いと思う。
航行中に前に向けて撃てば急停止。後ろに向けて撃てば急加速。右や左に向けて撃てば機敏で小型機並みの運動性を出す事が可能……というような姿を想像した。


分かりやすく図解した。
デススティンガーが前進している。そして魚雷が放たれている。このままいけば当たってしまう。

通常、船舶は急停止ができないのでこれはもう確実に当たるであろう。
しかし状況でショックガンを前に向けて撃って急停止ができる。
こうして魚雷をやり過ごす。


このような位置であれば止まっても当たる。
この場合は、ショックガンを後ろに撃って急激な増速する。そうして魚雷をかわす。

こんな風に、ショックガンは主として水中での運動性向上に使っているという解釈をしてみた。
こう考えると、なかなか魅力的な装備に思えてくる。

ということで、今回はデススティンガーの当時の好きになれなかった所とと現在の解釈を書いてみた。
こうやって解釈すると魅力がどんどん見えてくると思う。

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