VSマッドサンダーvol.6

前回のコラム(VSマッドサンダー5)の続き。

前回はデスザウラー二機VSマッドサンダー一機の戦いを紹介した。
それはいずれもマッドサンダーの勝利だった。
しかし最後に次のように書いた。
「同時に、これならいけるかもしれないと思う改造デスザウラーも居た」

今回はこれについて。

マッドサンダーに勝つなら、私は「ノーマルデスザウラー+デスバード」がいちばん可能性がありそうだと思った。


デスバード。
デスウィングと違って本格的な飛行ゾイド。
もはやデスザウラーなのか「デスザウラーのエネルギーを使用した飛行機」なのかよく分からない…。そんなレベルで魔改造されている。

能力を見てみよう。
最高飛行速度はM2.0。これはサラマンダーと同じ。デスザウラーを飛行改造してこの数値は凄い。

最高飛行高度は3万メートル。これも凄い。
この高度は一応プテラスでも到達可能だった……が、デスバードは「その高度で戦闘ができる」という点において凄かった。

これは「B-29対日本機」に似ている。
スーパーチャージャー(過給機)と与圧室を持つB-29は高度1万mでも悠々と飛行できた。低~中高度となんだ変わりない飛行性能。
対して日本機は……、飛んでいるだけで精一杯だった。
スーパーチャージャーがないから、空気が薄くい高高度ではエンジン出力が下がる。
コックピットも与圧室じゃないから凍り付くほど寒い。パイロットは寒いのは我慢して空気が薄いのはボンベを背負って頑張っていたわけだ。
「その高度まで行ける」ことと「その高度で戦える」ことは全く別である。

デスバードはまた、火力も凄い。


撃たれたゴジュラスMK-IIがこの有様……。
余談だが…、リアルタイム当時の私はこのゴジュラスを見て「なっさけねぇゾイドになっちまったもんだ……」と嘆いたものだった。
私にとってけっこう決定的なシーンだったな……と覚えている。
何故なら、デスバードには小さな火器しか付いていない。こんなのでやられてしまうなんて。
今にして思うと、おそらく口径は小さいがデスザウラー由来のエネルギーで撃つ高性能砲なのだろう。そうフォロー的に解釈しておきたい。

…話を戻そう。
デスバードは「自動飛行コンピューター」が搭載されているのも特徴だ。これは地表スレスレを正確に飛行する為の装置。
地表スレスレを飛ぶというのは敵のレーダーに発見されにくいということだ。

ちなみに低空飛行というのは猛烈にエネルギーを消費する飛行である。
なぜなら地表は空気が濃くその抵抗を大きく受ける=それを振り払って飛ぶからエネルギーを多く消費するのだ。
このような飛び方ができるという事は、デスバードは非常に航続距離が長いであろうとも言える。航続距離が短ければそもそもこんな飛び方はできる筈がない。

何とも凄い改造デスザウラーだ。
開発したのはマイケル・ホバート技術少佐。彼はデスザウラー開発者のドン・ホバートの息子にあたる。
デスバードを開発した後、マイケルは
<これは僕のゾイドではない。父の作ったデスザウラーだ>

との言葉を残した。
しかし十分にマイケルのゾイドになってる気がする。
ドン・ホバートも、まさかデスザウラーがこんな見事な飛行ゾイドになるとは思ってもみなかっただろう。


弱点はないのか。
あると思う。まず、諸説あるだろうが、私は荷電粒子砲は外されていると思う。
背中のインテークは残っている。しかしこれは飛行エンジンを動かすための装置として転用されているのだろう。
むしろ、「荷電粒子砲用のエネルギーを飛行用に転用できたからデスバードはこれ程の高性能を得た」と解釈するのが自然と思う。

次に、運動性と防御力は低いと思う。
というのも、デスバードはプテラスの追撃を受けた際に以下のように戦っている。
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デスバードは、3万mを越える上空で悠々とプテラスを待ち構えていた。
寒さと薄い空気のために、プテラスの運動性能が低下する高々度で一気に勝負をつけようという作戦であった。

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いくら数が多いといっても所詮はプテラス。
何でそこまで警戒する必要があるのだ。

というと、まずは運動性。
巨体ゆえに運動性が低く、撃たれれば回避運動は苦手。ほぼ全弾命中するのだと思う。
これは仕方がないことだろう。

次に防御力。
ノーマルタイプで400tもあるデスザウラーをM2.0の高速と長い航続距離を併せ持って飛ばしたのだから、これは改めて凄すぎる。
各部は飛行用に最適化されているだろう。
荷電粒子砲の発射機構を撤去、更に装甲を薄くし大幅に軽くする。装甲が薄くなったので防御力は低下するが、これは許容する。
そのかわり「敵のレーダーを回避しそもそも戦闘を避ける」あるいは発見された際は「敵の対空砲火が届かない・敵戦闘機がきてもロクに飛べないような飛行高度に離脱する」ように設計したのだと思う。

そのような弱点はあるのだろう。しかし、それでも驚異的なデスザウラー改造機だ。

 

さて、これとノーマルデスザウラーにタッグを組ませればイケそうな気がする。

私が注目したのはゴジュラスMK-IIを倒しているシーンだ。
あのゴジュラスを倒せる火力を持つ。これは重要だ。
いかに踏ん張りのきかない量産型とはいえ、それでもあの頑丈さを誇るゴジュラスだ。これを複数機まとめて倒してしまうとは凄い威力だ。

このシーンから考えるに、マッドサンダーのハイパーローリングチャージャーやキャノンビーム砲くらいは破壊できるだろう。
1、空から攻撃する。チャージャーや砲を潰す。
2、その後にノーマルデスを派遣し荷電粒子砲を見舞う。
3、もはやシールドの形成できないマッドサンダーは溶けてしまう

という算段だ。

キャノンビーム砲は優秀な対空砲である…が、さすがに真上には撃てない。
まずはどうにかしてこの位置をとる。 死角をとればデスバードはやりたい放題できる。
チャージャーとキャノンビーム砲破壊後は、離脱せずに牽制の為にその場に留まろう。
重要なのはノーマルに適切な攻撃タイミングを連絡すること。そしてノーマルが荷電粒子砲をチャージする際には妨害されないようマッドを常に牽制すること。
ノーマルが無事にチャージを終えれば勝利……!

これはかなり理想的な気がする。
唯一心配なのは、チャージャーを破壊されたマッドサンダーがノーマルデスザウラーの接近を察知すれば穴を掘って逃げないかということだ。
ただデスザウラーも穴を掘ることは一応可能である。
ゾイドバトルストーリー2巻には「荷電粒子砲で穴をあけ、更にパワーハンドで土をかき分け地中を移動する」シーンがある。
さすがにマッドサンダーには劣るだろうが、不可能ではないのだ。
現在は俄然デスザウラーの優位なので、マッドサンダーが開けた穴に飛び込んで追撃しても良いと思う。

マッドサンダー側は……、追いつかれる前に地上に出る。そして遅れて地上に出てきたデスザウラーを思い切り踏みつければ逆襲が可能だろうか。
マッドサンダーが全体重をかければ、デスザウラーの頭部はおそらく耐えられまい。
ただし、デスバードが上空から監視を続けているとすればこれも使いにくい。

今回はイケるのではないだろうか。全体的に隙がないと思う。

実戦で使うとすれば、厄介な要素はレイノスだろうか。
飛行高度は設定されていないが、プテラス以上ではあろう。上昇速度も早そうだ。
速度はM3.3なのでデスバードが全力で飛んでもすぐに追いつく。
火力については三連ビーム砲と72mmバルカンがある。
大型レーダーもあり索敵力も高い。これが出張る空域には残念ながらデスバードは投入が難しいと思う。

といっても、それは実戦でのこと。
「プロレス的バトルで」という条件であれば、デスバードとデスザウラーが共同すれば倒せる可能性は高いと思う。

実戦で使うとすれば、もう一つ厄介なのは、デスバードはおそらく改造デスザウラーの中でも特に大掛かりなのでコストが非常に高い。
更に一旦改造するとノーマルタイプに戻すことはできないだろう。
爆撃ミッションや対マッドサンダー戦を除けばノーマルデスザウラーの方が強力である。極めて優れたゾイドだが量産する事は難しい。そんな仕様でもあるのだと思う。
しかし、その上でなお傑作だと思った。

デスバードの姿は元が陸戦ゾイドであるとは思えぬほどに美しい。
その意味でも傑作だと思う。

今回、ようやく二機がかりでマッドサンダーを倒せる戦術を思いついた。
これだけ苦労をさせたマッドサンダーもまた、凄いゾイドだと思う。
とても熱いバトルだ。

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