VSマッドサンダーvol.5
前々回(VSマッドサンダーvol.3)はノーマルデスザウラーならニ機では勝てる確証がない。
前回(VSマッドサンダーvol.4) は改造デスザウラーで挑む戦術を考えたがやはり1機では厳しい。
そんな風に考えた。
だがせめて二機では倒せないものか。
今回は「ノーマルデスザウラー+改造デスザウラー」あるいは「改造デスザウラー二機」で挑んでみたいと思う。
さてバトルストーリーで二対一のバトルは行われたか。
というと、ある。
学年誌で二対一のバトルは二度行われた。
まず、「ノーマル+改造」でマッドサンダーに挑んだ戦いが小三に載っている。
手を巨大化した「ビッグハンド」とノーマルデスザウラーがペアでマッドサンダーを襲った。
ビッグハンドがマッドを押さえつける。その隙にノーマルデスが後方から荷電粒子砲を発射しようとした。
しかしマッドサンダーは改造タイプ「バックアタッカー」であった。
荷電粒子探知ミサイル・バックアタッカーを装備しており、後方のデスザウラーの口の中に撃ち込んだ。
これにて後方のデスザウラーは頭が吹き飛び破壊された。前方のビッグハンドもその後結局やられてしまった。
これには二点考えるべき事がある。
一つ目は「荷電粒子探知ミサイル・バックアタッカー」なる便利装備だ。
劇中ではこれがあったから後方のデスザウラーを排除できたように書かれている。
同じ状況をノーマルタイプのマッドサンダーなら防げただろうか?
これについては、以前のVSマッドサンダーvol.3の記事の通り、あんがいノーマルでもキャノンビーム砲を全開にすれば発射を防げるかもしれない。
バックアタッカーユニットは「補助」という程度で。
二つ目は、この位置関係で撃てばマッドサンダーを撃破できたとしてビッグハンドも消滅してしまうであろう事だ。
荷電粒子砲をもろに受ける位置になっている。
マッドサンダーを1機を倒すために「デスザウラーを1機失う確定で考える」というのはちょっと頂けないだろう。
これは共和国首都奪還戦の中のシーンだ。
この時期はまだマッドサンダーが参戦直後であり数が少なかった。
だからこそ出来た戦術だと思う。
または……、あるいは「弱状態」で撃つつもりだったのだろうか。
デスウイングが撃った程度の威力。要は行動不能にしてしまえばいいのだから、それでも構わないだろう。
こうすれば荷電粒子砲を浴びるデスザウラーも無事に済むだろうか……。中破から大破程度にはなりそうだが。
成功すれば現場にはデスザウラー2(万全1・被ダメージ1)と行動不能のマッドサンダー1が残るわけだから、この後は完全撃破されるか鹵獲されるかだろう。
ただ、それは「荷電粒子砲が無事に発射出来たら」という話。
キャノンビーム砲が「アイアンコングを貫く威力で連射可能」「360度全周囲に旋回可能」というのは凄い利点だと改めて思う。
これを猛射し荷電粒子砲発射を阻止する。
こう考えると、「一機が足止め」「もう一機が後方から荷電粒子砲」という戦術は厳しそうな気がする。
次に「デスクロス+デストゲラー」でマッドサンダーに挑んだエピソードがある。
これは小二に掲載された。
……ところでデストゲラーとは凄い名前だと思う。
「トゲ」って……。
解説を見るとトゲにはデスニードルというカッコいい名前が付いている。機体名もデスニードルで良かった気がする。
新ゾイドバトルストーリーでは「アルマジロのように丸くなる」という謎の解説が添えられていたが、これは何だろう。
まさかアンギラスボールのようになれるのだろうか……。
まぁ、これはこの辺で置いておこう。
デスクロスとデストゲラーのコンビは、上画像の通り「地獄から来た最強コンビ」というプロレスのようなあおりが付いていた。
そして戦いも、二機同時に攻めれば良いだろうに、わざわざ一機機ずつ交代で挑むというプロレス的戦法であった。
戦いの推移は以下の通り。
まずはデストゲラーが先行してマッドサンダーを襲う。
殴って火花を散らせるがそこまで。マグネーザーで貫かれて敗北してしまう。
次いで出てきたデスクロスは、メタルブーメランを投げつけマグネーザーとサンダーホーンをブチ折った。
これは凄い。
マッドサンダーは攻撃の決め手を失った。
このまま勝ってしまうかと思われたが、なんとマグネーザーには形状記憶性質があり復元してしまった。
そんなアホな……。
こうして、結局デスクロスも負けてしまったのであった。
さてこの一戦だが、同時に攻めてれば勝てたのではないだろうか。
バカ正直に一機ずつ交代で攻めたから負けたのでは……と思ったのだが、これはデストゲラーの性能を見ると理解できた。
トゲラーのトゲは「金属を溶かす液を出す」という恐るべき装備だ。
この液というのは、地球にあるもので言うと酸化力が非常に強く金さえ溶かしてしまう「王水」のようなものだろうか。
製法はどうなってるのだろう。スズメバチ型野生体とかサソリ型野生体から毒液のみを抽出して濃縮したもの……とかだろうか。
これを撒き散らして戦っていたのがデストゲラーだ。
なので、デスクロスは同時に戦うと自身にも被害が及ぶかもしれない。そこで待つ必要があったのだろう。
帝国側の戦術は
・デストゲラーがマッドサンダーの装甲を溶かす。溶かしきれなければせめて弱体化させる
・そこへデスクロスが最強攻撃を行う。装甲の弱ったマッドサンダーは耐え切れない
という二段構えだったのだろう。
デストゲラーは目的遂行後に離脱する予定だったと思うが、マッドサンダーがそれを許さなかった。
この時点では毒液を浴びた直後だったのでマグネーザーがまだ使えた。しかし時間が経った事で強度が低下した。
そこへデスクロスの攻撃を受けて折れてしまったのだろう。
ちなみに毒液は高評価で、あのギル・ベイダーにも搭載されている。
メタルバースト。
名前が変わってるので改良型かもしれない。
ギル・ベイダーは「てれびくん」のストーリーでマッドサンダーを倒した事がある。この時は上空から襲撃していた。
マグネーザーが曲がっている。おそらく毒液メタルバーストを使ったのだろう。
こう見ると、正直イロモノ感が漂うデストゲラーだがなかなか魅力的に見えてくる。
話を戻そう。
さてデスクロスのブーメランだが、これは「マグネーザーの強度が低下していたから突破できた」のだと思う。
通常時から突破可能なら、はなから投げている筈だ。
「デスクロスが先制で角を折る」
こんな事が出来るなら、あとはどうとでも料理できる。
さすがにマッドサンダーといえど、マグネーザーもサンダーホーンも失えば勝つ術はないだろう。
ブーメランは「Gメタル」なるマグネーザーより強い合金でできているとのこと。
薄い刃状に成形されているので、非常に硬質な金属と推測される。
ただ「硬い=最強金属」ではない。
硬いというのは硬すぎるゆえに割れやすいという弱点がある。
逆に、粘りを持たせた装甲は割れずに受け止める事ができる。
粘りを持たせた装甲というのは、被弾時に「バターに指をさしたような」弾痕が付く。
硬いだけの装甲だと、跳ね返せる限界を超えると割れてしまう。
おそらくブーメランは普段のマッドサンダーに投げても割れてしまう。しかし毒液で弱らせた後なら突破できる。
だからトゲラーとタッグを組み、わざわざトゲラー単機を先に交戦させるというプロレス的バトルな推移になったのだろう。
学年誌での二対一の戦いは以上だ。
両方とも、一時的に追い詰めたものの最終的に敗北している。
やはり二機では厳しいのだろうか。
ビッグハンドは、もしも有効なら帝国がかなり盛り返しそうなのだが。
なにしろ手のパーツを巨大化するだけというお手軽仕様。
他の改造機と違って、改造する期間も短いだろうし戦闘後に元に戻すことも容易だろう。
ただ改めて戦いの推移を見ていると、ビッグハンドの作戦はそんなにいい作戦だったか? と思った。
「一機が足止め」「もう一機が荷電粒子砲」という戦術を使うなら、むしろノーマル二機の方が良いかもしれない。
そう思った。
デスザウラーとマッドサンダーの交戦を見ると、「荷電粒子砲発射→防がれて、その後マグネーザーで貫かれて負け」が定番パターンだ。
マグネーザーを受ける際は、爪でガシッとつかんで抵抗するパターンが多い。
デスファイターもそうしていた。
結局は貫かれるのだが………、ただ、この時はさすがにマッドサンダー側も超超全力を出している筈だ。
短距離走のような、「この一瞬で全てを出す」という状態。
シールドに全エネルギーを注ぐ。そうしないと荷電粒子砲に押し切られるかもしれない。
マグネーザーも下手をすれば折られる。
なので全力でシールドを維持して全力で角を回す。
マッドサンダー側も余裕ではなく必死なのだ。
ノーマルデスザウラー二機で挑むとはどういう戦術か。
まず一機がマッドに向かう。荷電粒子砲を撃って上のデスファイターのような「いつものような」展開になる。
マグネーザーで押し込まれるのを全力で耐えて時間を稼ぐ。
このタイミングでもう一機に登場させればどうか。
マッドサンダーは全周囲に撃てるキャノンビーム砲を持つ。
以前のコラムでは「アイアンコングを貫く威力を猛連射する」から、これを喉元に食らってデスザウラーは荷電粒子砲を撃てなくなる……と考えた。
ただ、この状況であればキャノンビーム砲を撃てるだろうか。
なまじゾイドのパワーで撃つビーム砲だから、シールドや角に全力を込めている中で更にキャノンビーム砲を猛射する余力はあるだろうか。
キャノンビーム砲を撃てばシールドや角に回すパワーが減る。撃てば荷電粒子砲に突破されたりマグネーザーを折られてしまうかもしれない。
かといって撃たなければもう一機の方に荷電粒子砲を撃たれる。
そんな状態に追い込まれる。
ビッグハンドの場合、単に「巨大な手で押さえてる」だけだから、マッドサンダー側は「動けないがむしろパワーには余裕があった」と考える事もできる。
ノーマルデスザウラーでいけば、マッドサンダーの動きを止め、なおかつパワーにも余裕がない状態にできたかもしれない。
ただし……、実戦ではこれはなかなか難しそうでもある。
というのもデスザウラーが二機いると分かればマッドサンダー側は当然警戒するし場合によっては戦闘を避ける。
この戦いは、当初において「デスザウラーは一機のみである」と思わせることがミソだ。
そしていつものように戦わせて、残る一機に奇襲させるのが最大のポイントだ。
なにしろデスザウラーは巨体だから……、これで奇襲などできるものだろうか。
ただ、首都のような市街地ならワンチャンスあるとも思う。
首都のような大都会だと、デスザウラーより背の高い建物だって多い。
だからそれの影に隠れるか、いっそ建物の中で待つ。チャンスとなれば建物を突き破って登場するような戦法が考えられるかもしれない。
ただし、これも事前に共和国側が偵察部隊を先行して投入していれば不可能になる。
いかに潜んでもデスザウラー級のゾイドが見逃されることはあるまい。
いやしかし、マッドサンダーは「自らが先陣を切る突撃機」だ。だから、場合によっては使えるかもしれない。
もっとも、戦史を見る限りその幸運はついに舞い降りなかったようなのだが……。
デスクロスの方は、いっそ角より先にキャノンビーム砲やハイパーローリングチャージャーを狙えば良かったかもしれない。
通常時の(毒を浴びせていない状態の)マッドサンダーにブーメランを放つ。
マグネーザーやサンダーホーンは折れない。それでも、角は無理でもそれ以外なら破壊できるくらいの威力はあるだろう。
先にここを潰してから戦う。
ただ、ブーメランという所に不安も残る…。これは褒められた装備ではないと思う。
命中率がまず低いだろう。いや、もしかすると何らかの誘導装置が付いていたかもしれない。
ただ、投げる時に大きく振りかぶって投げている。これは頂けない。
デスウイングと同じく、これはいちどタネがばれると次からは使えない戦法だ。
振りかぶったデスザウラーの手元を撃てば投射前に阻止できるだろう。
ということで、やはり二対一で安定して勝つのは厳しいと改めて思ってしまった。
が、しかし。
同時に、これならいけるかもしれないと思う改造デスザウラーも居た。
次回は、それで挑んでみたいと思う。
次回に続く。