ゴジュラスMK-IIを存分に活躍させる

今回は、こちらのコラム(デスザウラー部隊を倒せ)の続きとしてゴジュラスを書く。

「デスザウラーに勝ちたい!」
その為にはデスザウラーそのものではなく、部隊としての機能を損失させれば良い。
随伴する部隊を失えばデスザウラー自身は健在でも撤退せざるを得ない。
長距離砲撃が可能なウルトラザウルス、ゴジュラスMK-IIならそれが可能。

というのが前コラムの内容。
しかしこれは、ゴジュラスMK-IIがもはや砲台扱い。かつての格闘王の面影がなくなっているのが悲しい……という心情的問題が発生しているのも確かだ。
そう、心情的問題だ。ウルトラザウルスだとズバリ撃つ事が目的のゾイドだから砲台で構わないのだが……。
やはりゴジュラスは先代格闘王なのでパワフルな肉弾戦も見せて欲しい。


これは太平洋戦争における戦艦に似ていると思う。
主戦力は空母と飛行機に移った。戦艦は一気に時代遅れになった。
自らが艦隊戦の勝敗を決める主力だった時代は終わり、もはや空母の護衛をする程度の存在になってしまった。

メリットはあった。艦隊に戦艦があるとどうなるか。なにしろデカくて簡単には沈まないから敵の攻撃を吸収する役割にはもってこい。
サイズも大きいから対空火器も多く積める。まさに空母の護衛にはうってつけだった。
「最重要戦力であるところの空母を適切に護衛した成果は誇るべきだぞ」
と言われたら、理屈としては分かる。
だが心情としては主砲をぶっ放して戦艦ならではの活躍を見たかった……と思ってしまうだろう。

むろん空母は空母でいい。それはそれで活躍したらいい。でも全部それになってしまったらちょっと寂しい。
この海戦では空母が活躍したけど、別の海戦ではやっぱり戦艦が戦艦ならではの強さで活躍したんだという感じであればなぁ……と戦艦ファンは思う。

 

これはゾイドで言うと格闘戦から長距離砲撃戦に移行した時代にまさに当てはまると思う。
実際の戦場は綺麗事やロマンではない。だから勝つために最も合理的な手段を採るだろう。戦艦が主砲を撃つ機会を失ったのも仕方がない話だ。
でもゾイドはフィクションだから、どうにかして活躍の場をバランスよく残して欲しいなぁと思ってしまう気持ちはある。

そこで今回は、ゴジュラスMK-IIを砲台扱いせず、できるだけ初代格闘王としての格を保てるような戦い方を想像したいと思う。

今回の妄想は射程が重要だ。
事前にこれについての前提を書く。

・ウルトラザウルスのキャノン砲射程:100km
・ゴジュラスMK-IIのキャノン砲射程:60km
・デスザウラーの荷電粒子砲射程:20km

この数値を採用する。
それぞれの根拠を下記する。

ウルトラザウルスは学年誌に「射程100kmである」という記述が多く見られるからだ。

ゴジュラスMK-IIの射程は見た限りでは資料がない。
ただオギータ版の解説に「射程距離を可能なだけ伸ばしたキャノン砲を2連装備。コングに先制攻撃を浴びせる」と書いてある。
※オギータ版と制式版の射程は同程度という前提で進める。目的が「コングに先制攻撃を浴びせる」である以上、同程度の射程で調整されるであろう為。

コングのミサイルの射程は、背中のニ連巨大ミサイルは200km。肩の六連発ミサイルは50km。
二連巨大ミサイルをも超える……となると、射程が200km以上になってしまう。ウルトラザウルスの倍以上。
これは正直ありえないと思う。

コングのニ連巨大ミサイルは大きすぎるのでおそらく動きが緩慢。しかも二発しかない。命中率が低く、実質的な脅威度は低い。
(目標が動かないうえに巨大な「施設」に向けて使えば高い成果を出すと思うが)
実質的な脅威は、弾数がそこそこあって中型なので動きも素早い六連発ミサイル。
これに対抗して、50kmより少し先を狙える程度の射程を確保したと考え60kmと推測した。

デスザウラーの射程も見た限りでは資料がない。が、これはビーム砲なので曲射ができない。直進しかしない。
直進かしないなら、惑星の曲面に守られて狙えない位置がある。これは三平方の定理で求める事ができる。
デスザウラーの頭部高さから計算すると、だいたい20kmくらいが狙える限界だ。


さて砲撃戦を行う場合、射程で勝る共和国軍は先手を打てる。
共和国軍は距離100kmの時点から砲撃を開始。
デスザウラーとしても全力で距離を詰める。ただ20kmに接近するまで……、80kmの距離を移動する間は一方的に撃たれ続ける事になる。

共和国部隊は、一方的に撃てる80kmの間に命中弾を多数与え、帝国部隊を壊滅させればOK。
失敗すればデスザウラーの射程に入る。
射程に入られれば……、荷電粒子砲を食らって共和国部隊主力は消滅。生き残りも接近戦で各個に撃破される。
そんな感じだろうか。

共和国軍が一方的に撃てるのは、デスザウラーが80kmを移動する間。
デスザウラーは最高速度90km。とすれば1時間弱で到達可能だ。
いやしかし、接近は回避運動をしながらだろう。また最高速度は人で言うと短距離走的なダッシュだ。なので、ずっと継続するのは厳しいだろう。
このように考えると、荷電粒子砲の射程に入るまでの時間は1時間半ほどだろうか。

1時間半。これだけ一方的に撃てるのだからイケそうな気もする。
いやしかし、遠距離砲撃は命中率が極めて低い。
人で言うならエアガンで20m先の動き回る米粒に命中させるようなもので、よほど乱打してようやく当たるかどうかという感じだろう。

命中率を上げる方法はある。最も良いのは着弾観測機を使う事だろう。これは

1:敵の上空に飛行機(ビークルorプテラス)を飛ばす。
2:ウルトラがキャノン砲を放つ。
3:観測機が、着弾がどれくらいズレていたかを報告する。次はこれくらい修正して撃てと指示する。
4:ウルトラはその情報を元に射角を修正して次弾を放つ。
5:初弾よりも近い位置に着弾する。

という流れだ。
これを繰り返せば狙いはどんどん正確になり、いずれ命中する。

また、敵は動いている。だからその動きのパターンを解析し、未来位置を予想した上で撃たねばならない。
この辺も着弾観測機にやってもらう。

レドラー登場後は着弾観測機が使えないのでちょっと厄介だ。飛ばしても撃墜されてしまう。
とはいえ、その時期は代わりにゴルヘックスが居る。これに着弾観測機の代わりをしてもらいたい。
着弾観測機を使うよりは精度が落ちるものの、そこそこは良い命中率が期待できるだろう。

ただ、これをもってしても撃退できる確率は五分くらいだろう。
いかに着弾観測機やレーダー射撃を使ってもバカスカ当たるわけじゃない。
遠距離射撃の弾道は気まぐれ。風の影響を受けたりするし、砲身も撃つたびに状態が変わるから全く同じ位置を狙うのは難しい()。
なので、共和国軍は更に作戦成功の可能性を上げるべく様々な手を打ったはずだ。

※キャノン砲発射時は砲身内を超高速で砲弾が駆け抜けるから、少しずつ摩擦によって砲身が変形する。
 撃つたびに磨耗は増し、だんだん弾道が安定しなくなる。あまりにも酷くなると砲身を交換する必要が出る。これを砲身命数と言う。

 

さて、デスザウラーが侵攻してきた。その場合をシミュレートしてみよう。

両部隊の距離は100km。ここで共和国軍が砲撃開始。

ウルトラザウルスは、とにかく撃って撃って撃ちまくる。それだけに集中する。それしかない。
超砲撃型ゾイドとしての力を存分に発揮してもらいたい。

しかし、ここで問題になるのはゴジュラスMK-IIだ。
距離100kmの時点ではまだ撃てない。なぜなら撃っても射程が足りず届かないから。
射程60kmのゴジュラスMK-IIは、敵が40km進むまで何もできない。

しかし、ただ待つだけなんてバカな事はしないだろう。それは無駄すぎる。

私は、ゴジュラスMK-IIはウルトラザウルスとは別行動をとる。前進し敵部隊に突撃すると考えた。
全力で敵に急行。そして自身の射程(60km)に入った時点でキャノン砲を発射すると考えた。

ウルトラザウルスは100kmの地点から砲撃開始。
ゴジュラスMK-IIはウルトラの砲撃開始と同時に(あるいは先行して)前進開始。自身の射程にまで進出して砲撃開始だ。

そしてここからがキモになるのだが、ゴジュラスMK-IIというのは砲弾の携行数が決して多くない。

ここがマガジンと思われるが、おそらく多くても10発程度しか入らない。
これではすぐに撃ちつくす。所詮は大砲は後付け装備に過ぎない。内部に砲弾の格納スペースが豊富にあり延々撃ち続けられるウルトラザウルスとは大きく違うのだ。

撃ち尽くしたらどうするか。補給をしにいったん戻る……なんて事は無理。
敵は進行中。距離をどんどん詰めている状況だから、そんな悠長な事をする暇なんてない。
今すぐにできることをすべきである。

砲弾を撃ち尽くした後どうするかというと、そのままデスザウラー部隊に突撃すると思った。
デスザウラー部隊は「ウルトラキャノン砲とゴジュラスキャノン砲を受けて半壊滅状態。しかしデスザウラーは健在。デスザウラー以外のゾイドも数を減らしつつもどうにか健在。部隊としての規模を維持しておりいまだ侵攻を続けている」としよう。
そんな状況でゴジュラスMK-IIが飛び込んでくる。
ウルトラとゴジュラスが適切に連携すれば、「ウルトラキャノン砲着弾→爆炎の直後にゴジュラスが突撃してくる」ようなタイミング合わせをする事も可能だろう。

ゴジュラスMK-IIは弾数が少ないから、「砲撃のみで決める」という仕様ではないと思う。
むろんそれが出来る場合もある。ただそれはラッキーなケース。
多くの場合においては「砲撃で先制攻撃してダメージを稼ぐ。生き残りが居た場合は接近して格闘戦でトドメをさす」
という思想だと思う。

半壊状態の帝国部隊を襲い各個に撃破。
なにしろ接近戦。格闘戦で直接ぶっ潰すわけだから、砲撃よりも精密に正確に撃破できる。
砲撃でダメージを与えた後に格闘戦で仕上げ。この流れは極めて効果的だと思う。

デスザウラーとしては非常に悩ましい状況だ。
荷電粒子砲でゴジュラスMK-IIを撃ってやりたい。ただこの時代のデスザウラーは3発しか撃てない。

現在は進撃中。デスザウラーが狙うのはあくまで敵の本拠地である。そこで荷電粒子砲を使いたい。
そこまでは温存したい。こんな所でゴジュラスMK-IIごときに向けて撃つのは勿体ないわけだ。
それをすれば、ゴジュラスMK-II排除と引き換えに目標(敵の本拠地を奪う)を失してしまう可能性が極めて高まる。

デスザウラーが荷電粒子砲を使わない。とすればゴジュラスには十分な活躍の場がある。
キャノン砲で撃ちもらしたブラックライモスやブラキオス。これを格闘戦で各個に排除しよう。
デスザウラー以外のゾイドを完全に排除し部隊としての状態を完全に破壊する。

速度も運動性もデスザウラーの方が上なので危険ではある……が、デスザウラー一機では周囲の全てに対応する事はできない。
「キャノン砲の猛射」そして「ゴジュラスMK-IIの突撃」によってデスザウラー以外のゾイドは壊滅するだろう。

デスザウラー自身に攻撃をしてもいいかもしれない。
デスザウラーは格闘戦で圧倒的に格上のゾイドだが、ノーマルとの交戦シミュレートのコラムで「体当たりをすればパイロットにダメージを与える事は可能」と書いた。
現在のデスザウラーについて「健在だが、キャノン砲を何発か食らっておりややダメージがある」ような状態とする。
深刻なダメージ量ではないといっても万全状態でもない。
また、周囲の味方機がゴジュラスMK-IIに襲われている状況だ。なのでその援護に向かわなければならない状況でもある。
更に、ウルトラザウルスがいつまた追加の砲撃をするかも分からない。その可能性もあるので、そこへの警戒が必要な状況でもある。
現在のデスザウラーはやる事が多すぎる。いかにエースでも処理しきれないだろう。

それに比べてゴジュラスMK-II側は、たしかに機体性能は劣るだろう。でも状況は俄然有利だ。
なのでチャンスを見つけてデスザウラー自身に突撃を仕掛けるかもしれない。あんがい上手く行くかもしれない。

こうして、デスザウラーにとっては屈辱だが

1:ウルトラザウルスからのキャノン砲猛射
2:ゴジュラスMK-IIからのキャノン砲猛射も加わる
3:仕上げにゴジュラスMK-IIが突撃してくる。味方機が完全排除され自身も荷電粒子砲が使えない中で格下相手に苦戦する
4:やむなく撤退を決意する

となるような推移を想像した。
ゴジュラスMK-IIにはベアファイターやアロザウラーを随伴させても良いだろう。
これらにブラックライモスやブラキオスの排除を任せる。ゴジュラスMK-IIはデスザウラーのみを狙う感じにしても良いと思う。

まぁ、あまり突撃部隊を大規模にしすぎると、デスザウラーにこの場で荷電粒子砲を使う決意をさせてしまうかもしれない。
本作戦のキモは突撃部隊は「荷電粒子砲を使うのは惜しい」と思わせる程度の規模に抑えることでもある。

あとは、ゴジュラスMK-IIについては奥の手として「1,2発の残弾を残した状態で接近する」事をしてもいいかもしれない。
接近して撃てば、それでも撃破できるような相手じゃない。でも体当たりをする時の隙くらいは作れるんじゃないだろうか。

今回は、ゴジュラスはMK-IIになっても決して撃つだけじゃない。
撃つ事もむろん大事な任務だが「先制攻撃で撃つ」「撃ち尽くした後は爆炎の中に飛び込み格闘戦を展開する」と想像した。
カッコいいと思う。

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