デスザウラー部隊を倒せ

「ゴジュラスVSデスザウラー」
このテーマで幾つかのコラムを書いた(ゴジュラスVSデスザウラーゴジュラスMK-IIVSデスザウラーvol.1ゴジュラスMK-IIVSデスザウラーvol.2)。

ゴジュラス、そしてゴジュラスMK-IIとデスザウラーの戦いを想像した。
しかしこれはプロレス的バトルというか、実際の戦場ではあまり起こる事がないような戦いだ。
実際の戦場では様々なゾイドが混成している「部隊」がぶつかり合うものだろう。
今日はそれを想像したい。

こちらのコラム(素早い動き、共和国軍のスーパーヒーロー)でも似たテーマを扱ったが、今回は少し切り口を変えようとも思う。

さてデスザウラーを先頭にした帝国軍は猛攻し、共和国領土の大半を支配下に置いた。
「失った領土を取り戻したい」
これは共和国軍の切なる願いだった筈だ。
その目的の為にはデスザウラーの撃退が必要。マッドサンダー以前の時代から、これを願うだけでなく実行してしまったのだから共和国軍は凄い。
戦線を崩壊させてもおかしくなかったのに、逆に盛り返すとは。

しかしよくよく考えたら、「デスザウラー無敵時代において戦線の崩壊を防いだ共和国軍は凄い」と書いたが、これは異論もあるかもしれない。
デスザウラーが不在なら戦力は明らかに共和国軍が上だからだ。

デスザウラー直後の両軍主力ゾイドはこんな感じだろうか。

砲撃力は明らかに共和国軍が上。ウルトラザウルス、ゴジュラスMK-IIによるキャノン砲猛射は凄まじい。
レッドホーン、サーベルタイガー、ディメトロドンでは相手にならない。
アイアンコングはゴジュラスMK-IIとなら撃ちあえるだろう。しかし、ウルトラザウルスには分が悪すぎる……。

高速部隊も共和国軍が上だ。
シールドライガーとサーベルタイガーはシールドライガーやや優位程度だが、コマンドウルフとヘルキャットは大きな開きがある。

海軍力は一時期はウオディックで優位に立ったものの、あっさり覆された。これは対潜ソナーと対潜ホーミング魚雷の開発による。
この辺りの共和国軍の対応力は凄まじい。逆に帝国にしてみれば、「え…、我々は革新的なゾイド作った筈なんだが……」という所だっただろう。

電子戦でも、一時期はディメトロドンで優位に立った。しかしゴルヘックスの登場で互角になってしまう。
ゴルヘックスは中型。なので大型ディメトロドンより運用面でも勝っていたのは大きな強みだ。
具体的に言うと、共和国軍が中央山脈に進出した後。ここでの戦いにゴルヘックスは参加している。だがディメトロドンは参加した記述がない。
共和国軍の山岳での快進撃。これをゴルヘックスが電子能力で大きく支えたことは疑いようがない。

かつてはゲーターとゴルドスの、「小型電子ゾイドを運用する帝国と大型電子ゾイドを運用する共和国」だったのに、この時期は逆転している。
しかも、かつては「小型ゆえ性能では劣るが数の多さと運用面で対抗するゲーター」「大型ゆえ性能は高いが運用面と数では劣るゴルドス」=総合的には互角だった。
それがディメトロドンとゴルヘックスの場合、性能は同程度でで運用面はゴルヘックスが上回るの。これはもう共和国側が明らかに優位だ。

ただ唯一、空軍力は帝国軍の圧倒だった。これはかなりの強みだ。レドラー様様といった所だろう。
共和国軍はプテラスの改良で必死に戦っていたと思われる。プテラスの発展性は凄まじく「ステラス」のような魔改造とも言える仕様まで出た。
しかしもはやプテラスでしかない。どれだけ改良しようが所詮は付け焼刃でしかない。根本的にレドラーに勝る戦力にはなれない。
レドラーは中央大陸戦争末期まで最強飛行ゾイドの座に在った。

国力は帝国は常にあっぷあっぷ。
共和国とて国土の大半を失いゲリラ戦をしている状況だったから、余裕などなかっただろう。とはいえ、それでも底力がある。
首都陥落時にも戦力の大半は無傷で済んでいたから、これも大きな力だった。

総じて言うと、空軍力はともかくその他では帝国軍がかなり不利であるという状況だ。総力戦を行えばたちまち負けるだろう。
こんな状況なのに、デスザウラーがあるだけで共和国軍が劣勢になってしまう。

一体このゾイドは何なんだ……と思える強さだ。
この時代は量産されている……とはいえ、レッドホーンやアイアンコングに比べれば機数もかなり少ない。
やはりこのゾイドは別格という事が改めて分かる。
機獣新世紀ゾイドにおいてバケモノ具合が強調されたゾイドだが、メカ生体時代にも十分なバケモノだった。

何度も書いているが、やはり反則級の強さだと思う。
防御力は、あのウルトラキャノン砲にさえ耐える。ちなみにウルトラキャノン砲はアイアンコングを2機まとめてバラバラに吹き飛ばす威力がある。

格闘力は、ゴジュラスを片手でブン投げてしまう。ウルトラザウルスにのしかかられても振りほどくパワーも持つ。更に、シールドライガーを捕える俊敏性まで見せた。

砲撃力は、遠距離砲撃力こそ低いものの()、中距離以下ではあらゆるゾイドをかすっただけで完全破壊する荷電粒子砲が使える。

※荷電粒子砲の射程について
 荷電粒子砲は曲射ができないので惑星の曲面に守られた位置は撃てない。デスザウラーの頭部高さから計算して、最大でも射程は20km以下位になるだろう。
 また距離が長くなるにつれて荷電粒子が拡散し威力が低下する。その意味でも遠距離では使わない方が賢明と言える。
 砲戦をすれば、射程100kmを誇るウルトラキャノン砲や推定50km以上あるであろうゴジュラスMK-IIの方が「遠距離砲戦」に限れば明らかに優位である。

さてそんなデスザウラーが攻めてきた。どうやって撃退しよう。どうすれば撤退に追い込めるだろう。
私は、「デスザウラー以外を狙ってこれを達成した」と思った。

偵察機や連絡機は単機で行動する事もあるだろう。
しかしデスザウラーは例外的な場合を除いてそのような事はない。普通は周囲に味方機を随伴させて「部隊」として行動している筈だ。

デスザウラー部隊というと、当初は「デスザウラー、24ゾイド」という構成だった。

この時に共和国首都を陥落させた。

共和国首都攻略後は「デスザウラー、ブラキオス、ブラックライモス」の構成で登場する事が多い。

共和国軍ゲリラ部隊と戦った時代はこうだった。
特にブラキオスはカタログでの解説が「デスザウラーひきいる部隊の主力メカ」になっているので、かなりの機数が行動を共にしていたようだ。

なぜ当初と占領後に部隊構成が変わったかというと、これは確信的に推測できる。
当初の「デスザウラー、24ゾイド」という構成。これは、デスザウラーは共和国首都を電撃戦で攻略した。
電撃戦は要するには最速で攻略する戦法だ。この作戦の為には24ゾイドとの連携が必須であった。
24ゾイドが事前に敵地に潜入して様々な情報を得た。その情報を元にデスザウラーが最良のルートを進んだ。こうしてデスザウラーはあっという間に首都を攻略したのだ。

では首都攻略後は。
こちらは首都奪還にくる共和国軍からの防衛戦をするなど、今までとは違った戦いになる。
「スピード重視で突き進んだ首都攻略」と違い、「長期間ドッシリと腰をすえて戦う」ことになる。極めて大きな違いだ。
長期戦で最も重要になるのは補給で間違いない。
デスザウラーの支援。短期間で一気に攻め落とす電撃戦の時には24ゾイドでもどうにかなったのだろう。だが長期戦での補給を支えるのは明らかに無理がある。

ブラキオスはHiユニット級としては交戦力の低いゾイドだ……が、その分「輸送力」にはかなり優れている。
余談だがザットンも輸送用ゾイドだった。これを拡大発展させたのがブラキオスなのだろう。
更に余談だが、ゾイドワイルドシリーズのグラキオサウルスも輸送力に優れる。パワーとワイドボディを持つ雷竜ゾイドは輸送用に適したカテゴリーなのだろう。

直接戦闘では非力なブラキオス。デスザウラー部隊には、これが主力と言われるほど多く配備された。
これは首都占領後の共和国軍の状況をよく示している。
戦闘はブラックライモスやデスザウラーが行う。ブラックライモスは共和国軍前衛のゴドスやベアファイター……要するにデスザウラーが出張るまでもないような敵を担当。
敵大型クラスにはデスザウラーが出張る。
そして、これら戦闘ゾイドが存分に戦えるように縁の下で支えたのがブラキオスだったのだろう。

このような部隊構成を考えれば、共和国軍の勝ちのシナリオが見えてくる。
デスザウラーを狙っても撤退させられる確証がない。
ウルトラキャノン砲やゴジュラスキャノン砲。これを数え切れないくらい直撃させてようやく撤退に追い込める位である。その確率は五分ほどか……。
それならば、先にブラックライモスやブラキオスの方を排除してしまえば良い。
共和国軍は遠距離砲戦では優位だから、事前にデスザウラー以外を片付ける事は難しくないはずだ。

いかに自身が健在でも、味方機を失い丸裸になってしまえばそれ以上の行動は起こし辛い……。
防衛戦だとまだ良い。荷電粒子砲を温存しつつ敵が近づくのを待っていればそこで逆転勝利できる可能性が高い。
だが新しい支配域を獲得するための「侵攻」では味方機を失うのは手痛い。
デスザウラーは確かに強いが、やはり一機ではできる事に限りがある。
味方機を失った段階で撤退を検討するだろう。

おそらく、共和国軍はそうやって勝っていたのだと思った。
いかにも共和国軍が考えそうなことである。

……さて、もうちょっと続けよう。
実は本コラムと同様の見解をお便りから頂戴していた。
要はデスザウラーを破壊せずとも他ゾイドを撃ち「部隊として機能しなくなる」ようにすれば良い。
ただし、そこには以下のようにも書かれていました。

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この運用ではゴジュラスMK-IIはただの砲台。
共和国の格闘王の尊厳も威厳も無く、キャノン砲を打ち続けるだけの砲台。
デスザウラーから守り切った。なのに悔し涙が止まらない。

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たしかにこれはもっともだと思う。
考察というより「心情」の問題ではあるが。

合理的な作戦を考えれば、今回考えたような作戦は最良だと思う。ウルトラザウルス、ゴジュラスMK-II。これの長距離砲撃で帝国「部隊」を叩けば良い。
でも心情的には、「ゴジュラスらしい活躍もしてほしい」と思ってしまう所は確かにある。

次回は、その辺を更に考えていきたいと思う。

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