最強合体ゾイドの実力5

ケンタウロス。
これのバトストでの能力は以前のコラム(1234)で書いた通りに推測した。
今日は捕捉として、漫画版を見ていきたい。

実はケンタウロスは漫画版ゾイド「ゾイドバトルコミック」にも登場している。

学年誌(小三)に掲載された作品で、単行本になっていない。便宜上、以下「バトルコミック2」「バトコミ2」と記載する。

バトコミ2はフランツを主人公にした戦記で「ゾイドバトルストーリー3巻」をコミカライズしたもの。
ただ独自展開も多い。
冒頭の偽ヘリック部隊によって部下のルドルフとシュミットを失うまでは同じ展開だった。
フランツはこの戦いで「戦争が続けば若者がどんどん死ぬ。俺が戦争を終わらせねば……」と強く決意した。

ただここからは違う。
バトスト3巻だと、フランツは「ヘリック大統領をピンポイントで一気に誘拐する」ことに注力した。
一方バトコミ2だと、ヘリックを誘拐する方針はもちろん立てている。
だが一気に誘拐するのではなく「各地で共和国部隊を倒しまくる。その中で少しずつ地道にヘリックに辿り着く」という時間をかける方針であった。
どうもゼネバス皇帝がフランツには各地の攻略に動いて欲しいという方針を出していたようだった。
こちらの世界観軸だと、フランツの提出したヘリック大統領誘拐作戦は却下されたのだろう。


……しかし各地を攻略するフランツはけっこうノリノリである。


バトコミ2では誘拐作戦が行われていない=ローザとも会っていない。だから心がすさんだままだったのだろうか……。
ともかく、フランツ率いる部隊(レッドデビル隊)は各地で猛威を振るった。
それに対して共和国軍が開発したのがケンタウロスだった。


コチラでは「デスザウラーに勝るとも劣らない」との評価をされている。
なおヘリック大統領ではなく「デューク少佐」が搭乗して戦った。

さてバトコミ2のケンタウロスは強い!
初登場時は不意打ちでキャノン砲を見舞い、なんとデスザウラーの腕を吹き飛ばす!


どうやってこの巨体で発見されずに接近したんだ……というのはちょっと謎だが……。

しかしキャノン砲で腕を吹き飛ばしたのは凄いと思う。
やはりケンタウロスだからパワー値がウルトラザウルスより向上しているのだろう。
ただ、デスザウラーの腕は「破壊されて粉々に」ではなくて「付け根からボロッと外れた」ような描写だ。
「ジョイントを上手く破壊しただけ」であって、デスザウラーの腕そのものを貫通する力ではないのだろう。
それでも大した威力ではあるが。


その後は巨体でのしかかって優位に戦った。
やはり巨体と大パワーは凄いのだろう。
バトスト2巻のウルトラザウルスVSデスザウラーを思いだそう。あの時、デスザウラーはウルトラザウルスにのしかかられてギブアップ寸前まで追い込まれた。
飛躍的に重量の増したケンタウロスは更に辛かろう。
接近して密着する……デスザウラーが軽快な動きを発揮できないような状態にすれば勝機は十分あるという事が言える。
まぁ、いつもこんな理想的な接近が出来るわけではないとも思うが。

ということでバトコミ2での初交戦はケンタウロス圧倒的優勢。デスザウラーは逃げ出す事が精一杯であった……。

 

ケンタウロスは各地に登場し、次々に帝国拠点を陥落させる。


攻略した帝国拠点の位置が広範囲にある。
これはケンタウロスの飛行能力が大いに活かされた結果だろう。やはり限定的とはいえ飛べるのは凄い。移動力が桁違いになる。
現場近くまで迅速に移動。補給を済ませ敵拠点を攻略。再度の補給をして次の拠点に飛ぶ。そんな運用だったと思われる。
※バトコミ2でもケンタウロスはワンオフ。一機で短期間でこの拠点を攻略している。

 

さてその頃、フランツは技術部にデスザウラーの改造を依頼していた。


これは「デスドッグ」の仕様だ。パワー勝負を早々に諦めてスピードで対抗しようとしている。これはとても興味深い。
しかしこの要望は通らなかった。
猛威を振るうケンタウロスに業を煮やしたゼネバス皇帝は、フランツにノーマル仕様のデスザウラーでの出撃を命じたのだ。


戦況が戦況なので仕方なかったのかもしれないが……、軍人は辛いなぁと思う一コマだ。
しかし、これにてデスザウラーと二度目の交戦が実現した。

フランツは出撃。再度ケンタウロスと対峙した。
この時点でフランツはノーマルタイプのデスザウラーでは勝ち目が低いと予想していたようだ。
なので戦いは、

1、事前に二機のデスザウラーを地中に待機させておく。
2、自らのデスザウラーが囮となりケンタウロスを引きつける。
3、フランツ機にケンタウロスがおびき寄せられたスキに地中から二機が飛び出しケンタウロスを捕獲、動きを止める。
4、そして荷電粒子砲を放つ

という戦術を用意していた。
この辺はフランツのプロ意識が見える。1対1で誇り高い勝利を…なんていうのはどうでもいい。要は障害を排除できれば勝ちなんだという考えはプロ軍人だ。

奇襲は見事に成功。


二機のデスザウラーにおさえられたケンタウロスはさすがに動けない……が、つかまれてるのは下半身であって上半身は動く。
そこでヤリを振り回してデスザウラーを破壊(!!!)


ヤリの威力が凄すぎる……。

しかし時間稼ぎにはなった。この間にチャージを終えたフランツ機が荷電粒子砲を放つ。
直撃ではなく翼を破壊しただけ。
しかしどういう事か。ケンタウロスはあわてて撤退してしまった。


「そうか翼がケンタウロスの弱点なんだな」

  

残念ながらこれが最終対決となった。以降は交戦せず。
フランツが共和国軍最新鋭機「マッドサンダー」を強奪。それでもってケンタウロスと戦う話はあった。だがデスザウラーと交戦する事は二度となかった。
ちなみに対マッドサンダーだとヤリがシールドではねかえされて全く効果がない。驚いてる間にマグネーザーで正面からぶち破られて完敗という結果だった。

という事で以上が漫画版の描写。

 

漫画版だととにかく強い!
Round1はケンタウロスの圧倒的優勢。
まずキャノン砲の威力だが、やはり「ウルトラザウルスが撃つより上」として良いと思う。
ジョイントを破壊し腕を落伍させたのは大したものだ。

超パワーと巨体でのしかかる戦法もやはり強いと思う。
デスザウラーが撤退するのがやっとだった。
緒戦は「不意打ちが成功してそのまま押し切った」という感じ。

警戒するデスザウラーが相手だとここまで上手くはいかないだろう。
ただ、それでもやっぱり強い。
「翼を使って好位置をとり、隙を見て突撃。そのまま巨体で押しつぶす」
こんな戦法が有効だろう。

 

Round2は、フランツがそもそも1対1では不利と見ていたのは興味深い。
ただ本当に「勝てない」と見ていたのか、それとも「できるだけ損害を出さずに完勝したい」としてこの作戦を採ったのかは一考すべきと思う。
フランツはそもそも「1対1で勝つ事の誇り」みたいなのはあんまりないようである。
本当にプロの軍人というか、目的達成の為の合理的な方針を立てている感じがする。
なので「勝てるだろうがノーダメージでは無理。修理する事になれば一時的に戦力が無力化されてしまう」と考え、大げさだが三機がかりの勝負を仕掛けたのかもしれない。

しかしヤリで手痛い反撃を受けて二機を損失している。
ヤリは凄い威力だ。フランツもまさかここまでの威力とは見ていなかっただろう。
全てのパワーをヤリに込めていたのだろうか。スーパーヘビーガードを完全に突破している……。

思うに、普段はここまでの力は出せないと思う。
格闘戦で使うなら全身を動かしながらヤリを使うものだろう。だから脚や翼にもエネルギー配分をしなきゃいけない。
対してデスザウラーにガッチリ掴まれた状態。この状況でケンタウロスはもがいて脱出する事をあきらめ、その代わりに全エネルギーをヤリと腕に集中した。だからこのような超エネルギーになったと思う。

このような威力は通常ありえない。特殊な状況だったからこそ発揮できたものである。
それでも、この威力は衝撃だ。

 

ケンタウロスが翼を破壊された瞬間あわてて撤退したのは何故だろう。
というと、これは以前に推測した通り翼が運動性を支える重要装備だからだろう。
翼がなければ巨体のケンタウロスは超緩慢な動きしかできない。もはやパワーがあっても無駄。機敏に動くデスザウラーに破壊されるしかないのだろう。

 

という事で漫画版の活躍を加味して考えたケンタウロスの性能を捕捉すると、

・キャノン砲の威力はウルトラザウルスよりも上。当たり所が良ければデスザウラーの各部品を落伍させる事も可能。
 ただし……、当然だがキャノン砲のピンポイント射撃は難しい。よほどの幸運がなければこれのみで破壊するのは難しいだろう。

・超パワーと巨体を活かしたのりかかりは有効。そのまま押し切れば勝てる可能性が高い。
 ただし……、フランツは脱出に成功していることもまた事実。

・ヤリは格闘戦で絶大な武器になる。
 命中があまり見込めない弓として撃つよりも、接近戦で格闘武器として使った方が明らかに良いだろう。
 常にスーパーヘビーガードを突破できる威力ではないと思う。それでも、有効なダメージを与える程度ではあろう。

・翼はアキレス腱である。破壊または損傷を追うとそれ以降の戦闘が困難になってしまう。

という感じだろうか。
幾らか弱点はあるが強い。もの凄く強い。
一点だけ、翼が弱点なところは危うい。ここだけは本当にアキレス腱だ。

マズいのは翼は巨大なうえに強度がそれほどない事だ。
要するにデスザウラーだと潰すのに苦労するかもしれない。でもレドラーが上空から攻撃すればあんがい簡単に破壊できそうという事だ。
ビーム砲を増設したタイプで撃ちまくればケンタウロスは危うい。

残念な事にケンタウロスは対空火器をあまり持っていない。ノーマルタイプのウルトラザウルスよりも減っている。
ウルトラザウルスの時点でレドラーを墜とせない。なので、ケンタウロスも無理だろう。

「対空火器の豊富なゾイドを護衛に付ける」というのは採れない。なぜかというとケンタウロスの利点は翼を持ち移動力が極めて高い事だからだ。
この時代の高い防空力を持ったゾイドと言えばゴルヘックスだろうか。鋭い探知力と豊富な対空火器を持つ。
しかし翼で迅速に移動するケンタウロスに随伴することは叶わない。
では飛行ゾイドを護衛に付けてはどうか。これも無理だ。プテラスを護衛に付けたところでレドラーに勝てるわけはない。

ケンタウロスは「確かに強いゾイドだが翼という弱点を知られたら終わり」という極めてアンバランスな存在でもあるのだろう。

 

やはりノーマル仕様のゾイドはバランスが良く極端な弱点は少ない。
弱点があっても運用に支障をきたすレベルのものは少ない。例えばデスザウラーの背中のファンは大きな弱点だが、実際に撃ちぬくのは相当の困難がある。

対して改造ゾイドは超超特化した能力を持つものの、それに見合う大きな弱点もある。それは量産は決してできない仕様なのだろう。
「デスウイング」という飛行型デスザウラーは奇策でマッドサンダーに勝利寸前になった。しかし翼の強度が低くレイノスに撃墜されてしまった。

マッドサンダーだっていちど経験を積めば次からはキャノンビーム砲で簡単に撃墜できただろう。
改造ゾイドはこのように大きなアンバランスさ・弱点がある事が多い。
逆に言えば、改造ゾイドとは「奇策で攻める。大きな弱点を持つが気付かれる前に押し切る」という戦術なのだろう。

 

という事で全5回に渡ってケンタウロスを考えてきた。
やっぱり魅力的なゾイドだと思う。
そして改造ゾイドとノーマル仕様のゾイド、双方の魅力を再確認できた。
様々なゾイド化活躍するゾイドワールドはやっぱり最高だと思う。

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