バックアタッカー雑感2

前回のコラム(バックアタッカー雑感)で考えたバックアタッカーだが、そういえば他の場所でも見たような・・・と思いだした。
学年誌の資料を見返してみると、バックアタッカーは小三90年10月号「暗黒首都攻略戦」に登場していた。

といっても具体的に活躍が描写されたわけではない。
「同作戦に参加した主要ゾイド一覧」が掲載されていたのだが、そこに写っていた。

非常に小さなコマだが、よく見るとマッドサンダーがバックアタッカーである事が分かる。
ただしバックアタッカーとは呼ばれておらず、単にマッドサンダーと紹介されているのだが…。

 

さてバックアタッカーだが、この時代にも活躍していたのだろうか。
前回のコラムでは、「共和国首都奪還作戦でたまたま運用されただけ。その後において大々的に運用されることはなかった」と考えた。
今回の資料はその説に反している。

バックアタッカーが映っている上の画像、これは「同作戦に参加した主要ゾイド一覧」だ。
各機の写真は同作戦中のバトルシーンには見えない。
「その機の紹介ができれば良い」という事で、ありものの(これまでの戦役で撮りためた)写真から一枚選んだだけなのかもしれない。

いやしかし、あえてこの作戦でバックアタッカーが運用されたと考えても面白いかもしれない。
「一覧の写真はありものの写真を流用したのではない。暗黒首都攻略戦の決行前日、出撃前に各機の写真を記録撮影したものである」と考えた方が良い気もする。
出撃前に各機を撮影したのだから、兵士はそれが遺影とならぬよういっそう奮闘する決意を固めたのである…。
そんなドラマがあった方が盛り上がる。

さて、そんなわけで「暗黒首都攻略戦にはバックアタッカーが参加した」との解釈で以下を考えたい。

 

バックアタッカーはなにゆえこの時代に復活したのか。
バックアタッカーのミサイルは「荷電粒子探知ミサイル」だ。ここにヒントがありそうだ。
この装備は、対ギル・ベイダー用装備として使用されていたのだと思った。

ギル・ベイダーのビームスマッシャーは一種の荷電粒子砲だ(空気中の荷電粒子を翼の回転ノコギリ内に貯めて射出する)。
だから荷電粒子探知ミサイルなら有効な気がする。
撃墜までは至らなくても、うまく両翼のビームスマッシャーを潰せば攻撃力を大幅に下げる事ができる。

ただし具体的な活躍シーンはない。残念ながらマッドサンダーが砲撃でギル・ベイダーを叩き落した描写は確認できない。
という事は、あまり効果がなかったのかもしれない。
やはり高速飛行するギル。いかに荷電粒子探知ミサイルでも正確に当てる事は難しかったのだろう。

 

あるいは……、この時期はギル・ベイダー以外にもやっかいな敵が増えていた。
ガン・ギャラドだ。

一機あたりの厄介さでいえばギルほどではない。だが数でいえば最も厄介な敵だったと思う。
「これの対策として積んだ」と考えるのも説得力が高いと思う。

ガン・ギャラドもまた荷電粒子砲を使う。背中の青い大型砲が「ハイパー荷電粒子砲」なのだ。
これを狙っていたのかもしれない。

この時期、共和国軍の切り札はオルディオスだった。同機がギル・ベイダーをおさえ込んだから共和国軍は反撃に転じる事ができた。
だが新鋭ガン・ギャラドは実に優秀なオルディオスキラーだった。

空戦でオルディオスを圧倒する。
ギル・ベイダー、オルディオス、ガン・ギャラドの力関係は以前のコラム(オルディオスがギル・ベイダーに勝ちガン・ギャラドに負ける話)で考えたので今回は省略する。
まぁ、要するにはオルディオスはギル・ベイダー相手には強い。だがガン・ギャラド相手には分が悪いという事だ。

オルディオスがやられればギル・ベイダーをおさえるゾイドは居ない。
そうなれば共和国軍は総崩れだ。
その事態はいかにもマズイ。どうにかしてガン・ギャラドに対抗しなくては…。

マッドサンダーが再び荷電粒子探知ミサイルを積んだのは、ガン・ギャラド対策の目的もあったのかもしれない。

 

大陸間戦争末期に再び運用された荷電粒子探知ミサイル・バックアタッカーについて、私は以下のようなストーリーを想像した。

共和国首都奪還作戦で使用された荷電粒子探知ミサイル、これは同作戦でデスザウラーを撃破する大活躍をみせた。
だが、それは単に運が良かっただけであった。
成功する確率は極めて低い。
首都奪還作戦での活躍から量産し他機(ウルトラザウルスやディバイソンなど)に搭載する案も出たが、間もなく廃案となった。
共和国軍は、荷電粒子探知ミサイルのそれ以上の運用を停止した。

そして時は流れて大陸間戦争。暗黒軍との戦いでギル・ベイダーが出現した。
超巨大飛行ゾイドを相手に陸上ゾイドでは全く対抗できない。この強敵に共和国軍は慌てた。
しかしオルディオスを先頭に何とか反撃し、戦線を立て直すことに成功した。

共和国軍は暗黒首都近くにまで進撃した。
あと少し、暗黒首都を攻略すれば勝ちだ。
だが首都にはギル・ベイダーが多く居るに違いない。またオルディオスキラーのガン・ギャラドも集結しているに違いない。
敵首都を目前にした共和国軍だが、首都攻略戦には苦戦も予想された。

どうするか……。
ここで、またしても荷電粒子探知ミサイルが注目された。
今や格納庫でホコリをかぶっていた荷電粒子探知ミサイルだが、ダメもとで今回もマッドサンダーに装備してはどうか。
少しくらいは役に立つかもしれない。運が良ければギル・ベイダーやガン・ギャラドを撃墜できるかもしれない。
ノーマルタイプの主力対空武器はキャノンビーム砲。これよりは役に立ちそうだ。増設したところでデメリットもないわけだし。

こうして、またしてもマッドサンダーには荷電粒子探知ミサイルが装備されたのだった。
しかし、今回は活躍できなかった。
やはり超高速で飛行する大型ゾイドには命中させることができなかった。さすがにもう、次元が違ったのであった………。

このように考えてみた。

 

もし、共和国軍がずっと荷電粒子探知ミサイルを運用し続けていればどうだっただろう。
ifの世界……、ここでは中央大陸戦争の「共和国首都奪還作戦」以降も荷電粒子探知ミサイルが運用され続けたとする。
マッドサンダーは「バックアタッカー」仕様が標準として量産され、ウルトラザウルスやディバイソンも同装備を積んだ「MK-II」になった。
特に積載量に余裕のあるウルトラザウルスは荷電粒子探知ミサイルを多く積む事ができた(後部飛行甲板にズラリ並べる事ができそうだ)。

だが荷電粒子探知ミサイルはタイミングがシビアな装備だ。首都奪還作戦では運良く命中したが、その後の運用では外れる事も多かった。
「外せば荷電粒子砲発射を防げない=確実に撃たれる」という装備だ。
命中率の改善が強く求められた。

ミサイル技術で遅れをとる共和国軍だが、必死に改良を続けた。
その結果、命中率はようやく改善されていった。

こんな風になっていれば、あるいはギル・ベイダーやガン・ギャラドを正確に捉える完成度になっていたかもしれない。
だが正史ではそうならなかった。
荷電粒子探知ミサイルを改良するよりもマッドサンダーを量産した方が手っ取り早い。
マッドサンダーの数が揃いさえすれば、何もウルトラザウルスやディバイソンがデスザウラーに挑む必要はないのだ。

各機には役割というものがある。全員がデスザウラーを倒せなくても良い。
荷電粒子探知ミサイルが大々的に運用されなかったのは当然と言える。
このifの世界が実現する可能性はかなり低そうだ…。

 

という事で、今回はバックアタッカー・荷電粒子探知ミサイルについて追加で考えてみた。
バックアタッカーは当初は便利すぎてつまらないと思っていたものの、こうして考えると実に面白いと思った。

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