メカ生体ゾイド・暗黒軍部隊カラー

以前のコラムでメカ生体ゾイド時代のゼネバス帝国、ヘリック共和国のカラーリングの法則を考えた。
ゼネバス帝国 ヘリック共和国軍(中央大陸戦争時代) ヘリック共和国(大陸間戦争時代)

ゼネバス帝国にはかなり厳密な・ヘリック共和国にも大雑把な法則がある。その統一はミリタリー感に大きく貢献していると思う。
さて色の法則を考えた頃からガイロス帝国…暗黒軍の法則も考えたいと思っていた。
でも正直、無理じゃないかなとも思っていた。なぜならガル・タイガーとか…、ちょっと法則にあて込むのが難しい機体が多い。
フリーダムだ。
しかし今回、どうにかして挑戦してみたいと思う。

以下に、メカ生体ゾイド時代の暗黒軍の色法則について私なりに導き出した見解を書きたい。

まずは一覧にしてみよう。

改めてフリーダムだ。
あと種類が少ない。 たった9種類しかいない。2ケタにもいっていない。
ちなみに暗黒軍のゾイドは89~90年に発売されたが、89年に6種類・90年に3種類出た。
90年のリリース数があまりにも少ない。しかもアイス・ブレーザーは改造タイプであり完全新型ではない。明らかに失速していた年を感じてしまう。

まぁ、今回は色についてのお題なのでその話に戻ろう。
いきなり結論から言うと、厳密な法則は無いと思った。

基本カラー前期「装甲:黒、内部機構:緑、武器:銀」(デッド・ボーダー型)後期「装甲:黒、内部機構:紫、武器:銀」(ギル・ベイダー型)だと思う。
しかし、これで済ますには例外が多すぎる。
ジーク・ドーベルやガン・ギャラドは「装甲:黒、内部機構:赤、武器:銀」というゼネバス帝国そのまんまなカラーをしている。
デス・キャットも赤主体、「装甲:赤、内部機構:黒、武器:銀」というゼネバス帝国のような配色だ。
ガル・タイガーはちょっと謎過ぎる。

こうして並べると本当にフリーダムなカラーだ。
例えばガン・ギャラドのカラーは赤黒が似合うと思うしカッコ良いとは思う。ただ暗黒軍的かと言うと…。
「自軍らしさ」という事は考えなかったのだろうか?

あと、前期の改造ゾイドは「黒・緑」な事が多かった。

しかし後期のものはカラーリングが次第にフリーダムになっていったように思う。


これは一例でゴールドコングという改造ゾイドだ。「ゴールド」というとかなり共和国的だと思うのだが……。
(ちなみに本機はガイロス皇帝が座する宮殿を守る守備隊のゾイドだった。キングゴジュラスと交戦した末に敗北した)

「改造ゾイドにまで厳密な色を求めるのは…」というのはもっともな意見だろう。
たしかに改造ゾイドの色は自由なものも多い。だが、それでもゼネバス帝国やヘリック共和国の改造ゾイドは属軍が分かりやすいものだったと思う。
(極初期の奇抜なカラーのゴジュラスなど例外はあるのだが……)

暗黒軍のゾイドの色はノーマル機も改造機もかなりフリーダム。以上から、暗黒ゾイドに厳密な色の法則は無いように思える。
しかし、法則こそないものの「なぜそうなったのか」については考える事ができた。

 

暗黒軍と帝国&共和国軍で最も大きく異なるのは、「ずっと戦争をしていたか否か」だ。
中央大陸戦争時代において、帝国と共和国は総力を尽くして戦っていた。
ではその間の暗黒軍は何をしていたか。
ずっと中央大陸を「監視」していた。そして中央大陸攻略の機会を伺っていた。

帝国と共和国はずっと戦争をしているから、戦力を部隊などの「群」で考える傾向が強いと思う。従って統一されたカラーになっていった。
しかし暗黒軍は戦争をしていない。
そうはいっても中央大陸攻略の機会を伺うくらいだから、全力で戦力強化に励んでいただろう。
して、それはいかなる強化だったか。

思うに、「ゾイドバトル」のような事を開催していたんじゃないか。
そのバトルでパイロットは技量を向上させる……、そんな事をしていたのではないだろうか。
実戦が無いので、パイロットの技量はそうして向上させるしかない。
もちろん「部隊」の運用も研究していただろう。だが実戦のない軍隊で士気を向上させるには「バトル」を開催して「スーパーエース」を誕生させる。
そしてその英雄が大きな発言力や影響力を持つようになって結束力が高まり……というのが良いと思う。

捕捉すると、そのゾイドバトルは娯楽として観客も集めていたと思う。
ガイロス帝国国民に軍の戦闘ゾイドを披露し、将来的に起こるであろう「中央大陸への侵攻」その事への理解を求める。
また観覧には料金をとって経済も回してしまう。

さてバトルで優勝したエースには特別に「パーソナルカラー」が認められる。更に「次期ゾイドのカラーがその標準になる」ような事もあったのかもしれない。
こうしてガル・タイガーのような奇抜とも言えるカラーが標準として採用された…。
このシステムはバトルで優勝を目指すパイロットの心を大いに刺激し、皆はいっそうの技量向上に励む事になった。
また国民も熱狂し、事は全てガイロス皇帝の思惑通りに進んでいったのであった……… という状況を想像した。

 

暗黒軍は「部隊カラー」という要素を重視していない感じがする。
ガイロス皇帝は、色を統一する事にあまり重きを置いていないのかもしれない。
むしろ、「兵がやる気を出してくれるなら何でもいいんじゃないか?」「最低限、敵味方の見分けがつくなら何だっていい」という考えが強かったのかもしれない。
だからガル・タイガーのカラーを許したと思った。

ジーク・ドーベルやガン・ギャラドについては、ゼネバス帝国軍を吸収した後のゾイドだ。これがポイントだと思った。
特にジーク・ドーベルは吸収した直後に配備されたゾイドだ。
当時の旧帝国兵にしてみれば、無理やり暗黒軍に編入されたということで士気はグダグダだったと思う。
たとえゼネバス皇帝を人質に取られている状態だったとしても。

そんな状況なので、あえて新型機のカラーリングをゼネバス帝国的にしたのだろう。それによって「君たち旧帝国兵の扱いは高いのである」とアピールをしたのだろう。
「君たちにとって特別な色である赤を採用したのだぞ」
旧帝国兵にしてみれば悪い気はしないはずだ。与えた影響は強かったと思う。

また、旧帝国国軍のゾイドは従来のままのカラーで運用されている事も多い。

ギル・ベイダーに随伴するレドラーはピンクレッドのままだったし、上の画像の基地守備隊のブラックライモスも黒赤のままだ。
デスザウラーもアイアンコングも、初期を除けば従来と同じカラーで登場する事が多かった。
例外としてライジャーだけは装甲を黒く塗られて登場する事が多かった……

のだが、しかし「赤」の部分はそのままだった。
完全な暗黒カラーにするならこの部分は銀、緑、紫のいずれかにすべきと思う。

暗黒軍は旧帝国兵に上手くやる気を出してもらうべく、あえて従来仕様のカラーを許した。
更に同じカラーの新型機を出す事さえ行った。
こうして旧帝国兵は、暗黒軍として戦う事を徐々に受け入れていった……。

暗黒軍はそもそも部隊カラーをそんなに重視していなかった。それはもうパーソナルカラーを許してしまう位に。
一方、帝国軍は部隊カラーを超重視していた。
そこで、「暗黒軍にとっては割とどうでもいい色という要素で帝国軍を手懐けられるなら万々歳」ということで赤を積極的に使うようになったのかもしれない。

そんなわけで、私は暗黒軍ゾイドのカラーを以下のようにまとめた。

暗黒軍標準カラー(前期)装甲:黒 内部機構:緑 武器:銀」
デッド・ボーダー、ヘル・ディガンナー、ダーク・ホーン、
初期の暗黒化改造ゾイド(デスエイリアンやブラックコングなど)、特殊ゾイド(ブラックチャレンジャーど)

暗黒軍標準カラー(後期)=装甲:黒 内部機構:紫 武器:銀
ギル・ベイダー、アイス・ブレーザー

パーソナルカラーがそのまま採用された=エースのパーソナルカラー ※ガル・タイガーの場合は黄・オレンジ・黒を使ったド派手なカラー
ガル・タイガー

旧帝国国軍への配慮=装甲:黒 内部機構:赤 武器:銀」
ジーク・ドーベル、ガン・ギャラド

旧帝国国軍への配慮2=装甲:赤 内部機構:黒 武器:銀」
デス・キャット

 

帝国軍を吸収するより前のゾイドは、ひとまず標準カラーで塗られることが多かった。
ガル・タイガーはバトルで輩出されたエースを称えるカラー。それゆえあのような派手で奇抜なものになった。
帝国軍吸収後のカラーは「彼らに最高の動きをしてもらうために」帝国軍的なカラーを採用する事が多くなった。
ただそうはいってもギル・ベイダーという暗黒軍の威信をかけたゾイドには国のカラーを採用した。
(アイス・ブレーザーも首都防衛に配備されたので国のカラーだったと推測する)

以上、暗黒軍のカラーをまとめてみた。
奇抜な印象を持つ暗黒軍カラーだが、このように考えてみると面白いと思う。

 

あと、ここからは補足。
上の考えの中で、暗黒大陸(暗黒軍)ではパイロット個々の技量を高めるべく、「ゾイドバトルをしていた」と導いた。
これについて。

これは何故そう思ったかというと、初期の頃(暗黒軍が登場した直後頃)の暗黒軍は次のように紹介される事が多かったからだ。
・暗黒大陸では強大な軍団が絶えず激しい戦いを繰り広げている。
・ヤツらは血で血を洗う戦いを続けている。戦いを何より好む恐怖の軍団だ。
と、まるで内戦状態のように解説される事が多かった。

私はこれは間違った情報だと捉えている。
中央大陸(主に共和国)から見た、偏見と著者の主観が入りまくった情報だと思う。

何故かというと、内戦をしていれば確かに個々の技量は実戦で磨かれ超エースは生まれるかもしれない。だが内戦をずっと続けていれば国力が疲弊する事が避けられない。
極一部の超エースを生む代償に国力を大きく落とすなんてありえない。いずれ中央大陸制覇を目指す暗黒大陸がしている筈はない。

暗黒軍は「長く続く戦争で疲弊した中央大陸を襲う」事をした。
戦争をしていれば疲弊し国力が下がる事を理解しているのだ。その暗黒大陸が自らもそういていたのだ…というのはあまりにも矛盾する。

ただこの情報は、微妙に事実も交じっているとも思う。
・暗黒大陸では「ゾイドバトル」が行われている。それは死ぬ事こそないものの負傷は頻繁に起こる激しいものである。
・パイロットは己の誇りをかけて全力で挑む。国民は熱狂する。
そんなことが行われている。
その事を中央大陸の者が偏見たっぷりに書き記せば初期の解説のようになるのかもしれない……と思う。
「物事が偏見たっぷりに伝わる」っていうのはよくある事だ。

あと、1989~1990にかけて、雑誌「ホビージャパンEX」では「Z-KNIGHT BATTLES」というオリジナルストーリーが展開されていた。
(ちょっと名前がややこしいのだがが「装甲巨神Zナイト」とは全然関係ない。ゾイド同士の戦いを「Z-KNIGHT BATTLES」と呼んでいたというわけ)

内容は公式とは一切関係ない独自のストーリーだ。だが、あえてミックスして考えても面白いと思う。
登場したゾイドはデッド・ボーダー、ダーク・ホーン、ジーク・ドーベルなどの暗黒ゾイドばかりだった。
これらのゾイドをパイロットが独自にカスタムしてバトルするという内容だった。
(改造はかなり独自すぎる感じで公式ストーリーに当てこむには違和感もあったが)

暗黒軍ゾイドばかりが登場するZ-KNIGHT BATTLES。
まさしくこれは暗黒軍が行っていたゾイドバトルではないのか。そんな風に考えてみても面白いと思った。
また、各機の改造は独自すぎる感じがすると書いた。
これらの異様な改造ゾイドは暗黒軍の試作強化ゾイドであって、その有効性を探るためにゾイドバトルに投入していたと考えても面白いと思う。

そんなわけでゾイドバトルが行われていた。
その事が共和国には大いなる偏見をもって伝えられていた…というのはなかなか面白い説なんじゃないかと思う。

こうして暗黒軍は力を高め、また一方でカラーリングはそれほど重視しなかったのだと思った。

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