幻のレッドホーン後継機?

前回のコラムで出したディバイソンの開発中のスケッチ。

こちらをブログで紹介したところ、帝国ゾイドっぽいという意見を幾つか頂戴した。
なるほど、言われてみればたしかにそんな感じがする。
脚部装甲の丸い感じとか、アイアンコングのような「左右つながった目」になってる所とか。
あと色も赤が入っていてそれっぽい。
この段階では帝国側で予定されていたのかもしれないと思った。

開発背景を想像しても…、
レッドホーンに能力不足を感じ始めていた帝国軍。
当初はブラックライモスを後継機とする予定だったが、同機は中型なのでカバーしきれない場面も多かった。(※)
「そこで大型の後継機を開発する事になり牛科型新鋭ゾイドが誕生した」的な感じであれば説得力が高い気がする。

※ブラックライモスは箱裏設定が「現在では旧式となったレッドホーンにかわる突撃戦用の中型ゾイド」である。
 ただし実際はレッドホーンを完全更新する事はなかった。

 

まあ、結果として共和国側に変更されて良かったと思う。
ディバイソンという突撃機の一歩目があったから、次なるマッドサンダーへの技術的な説得力や完成度の高さが大いに増した。

ところで「当初は帝国軍で出す予定だった」のは本当にありえる話だと思う。
以下はそんな話。

 

「ゾイドX-DAYアイデアコンテスト」はご存知と思う。
ユーザーから新型ゾイドのデザイン案を募集し、最優秀作を実際に製品化するという夢のイベントだ。

第一回:バリゲーター
第二回:カノントータス
第三回:ブラックライモス
第四回:バトルローバー

が製品化された。
このコンテストは新世紀にも受け継がれていて、デススティンガー、エレファンダー、ライガーゼロイクスがユーザーデザインから製品化されている。
ゾイドがいかにユーザーフレンドリーかを物語るイベントだ。

X-DAYアイデアコンテストは最優秀作が製品化される。
だが、それ以外の作品も大いに参考にされているだろう。なにしろユーザーの「こんなのが欲しい!」という声なのだから。

実は、第一回X-DAYデザインコンテストの応募作にはこんなのがある。


実にアイアンコングっぽい応募作。
もしかするとアイアンコングはこのイラストに刺激を受けて開発される事になったのかも と思う。

デザインコンテストの応募作は、各種雑誌などで最優秀作以外の作品も多く公開されている。

それらの中には「後のゾイドの参考になったんじゃないかな?」と思えるも多く、とても興味深い。

 

話をディバイソンに戻そう。
さて第二回X-DAYアイデアコンテストでは、「最優秀ではなかったが惜しい所まで選考に残った応募作」が雑誌Mark.1などで公開されている。
その中でこんなのがある。

ネーダ

突撃機でゲルダーの発展型、との設定。
これは凄く好みで見た瞬間に欲しいと思ってしまった。カッコいい。そして小型相応に軽妙でもあり絶妙。イラストのタッチも素晴らしい。
帝国軍小型ゾイド(重装甲SP級)を想定しているようだ。共通コックピットを使っているのもニクい。

更にこんなのもある。

ビッグタウラス

こちらも凄く良い。帝国大型ゾイドを想定しているようだ。
脚部がレッドホーンに似ている。帝国らしさにあふれている。
頭部の感じはディバイソンに似ている感じもする。
全体的には未来的な感じがして、技術的にレッドホーンの発展型という印象を強く受けた。

 

第二回X-DAYアイデアコンテストで惜しい所まで残った作品に牛科のゾイドが二点。
いずれも帝国側。
という事から、「よし野牛タイプで新型を開発しよう。帝国側で」となったのかもしれない。

第二回X-DAYアイデアコンテストで最優秀を得たゾイドはブラックライモスだ。同機は中型突撃機である。
突撃機という要素でダブるわけだから、同クラスにするのはよろしくない。そこで大型になったと思う。

この時の構想では、新型突撃機の大小を開発して帝国軍の戦力をUPさせようという感じだったのかも……。
新型野牛型ゾイドはブラックライモスと戦隊を組む予定だったのかもしれない。
アイデアコンテストから生まれたゾイドが戦隊を組む…何ともアツい事だ。

いやしかし開発を進める中で、「レッドホーンが居るから同クラスの後継機はまだいいだろ」となったのかもしれない。
レッドホーンは確かに戦力としては陳腐化しかけてる。後継機を開発するという設定的な意義は大いにある。
だが……、
レッドホーンというのはいつの時代も「順調に売れる安定した良ゾイド」だったようだ。
大きさが手ごろでデザインも良い。
同軍・同クラスの後継機を出せば売り上げが下がる事は必至。

なので急遽として大型突撃機はキャンセルされる事になったと思う。
いやしかし、「野牛型ゾイドというのは良いアイデアである。単に破棄するのは勿体ないよなぁ…」という事で共和国側に変更されたのかもしれない。
更に、
「共和国側に変更………、これ、対デスザウラー用にしたら設定的にも燃える感じになりそう」そんな怪我の功名もあったのかも……。

 

キットの開発中に属国が変更される事はある。
そういえばデススティンガーも当初は「共和国軍ブルーマリンスティンガー」として始まっていた。

こうしてディバイソンは共和国ゾイドっぽくブラッシュアップされていったのであった……。
そんな風に思った。

ディバイソンは共和国らしいデザインのゾイドだ。だが装甲式コックピットなど帝国的な部分も多く持っている。
今回のコラムの様に考えると、そのデザインがいっそう面白く思えてくる。

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